八王子スーパー強盗殺人事件とは、1995年7月30日に発生した殺人事件である。2022年時点で未解決。
東京都八王子市のスーパーマーケット「ナンペイ大和田店」において、閉店後の事務所で従業員女性3名が射殺された事件。強盗殺人の可能性が高いが、それにしては不自然な点が多く、怨恨の線でも捜査が行われている。
決定的な証拠がつかめずにいたが、2010年4月、時効となる3か月前に殺人事件の時効が撤廃されたため、現在も捜査は続いている未解決事件。また、報奨金制度の対象にもなっている。
警視庁がつけた正式な事件名は「大和田町スーパー事務所内けん銃使用強盗殺人事件」。スーパーの名前からナンペイ事件とも呼ばれる。
現場はスーパーの2階にある事務所であった。犠牲者は当時47歳のパート女性A、当時17歳のアルバイト女子高生B(高2)、当時16歳のアルバイト女子高生C(高2)の3名。Aは顔を殴られた後に頭部に銃弾を2発撃たれていた。BとCは口にガムテープを貼られ、背中合わせにした上で互いの手首をテープで縛られた状態で、共に後頭部に銃弾を1発ずつ撃たれていた。3名とも至近距離から脳幹を撃ち貫かれており、ほぼ即死とみられる。また、事務所内の金庫にも1発の銃弾が撃たれていた。
しかし金庫の中の約500万円もの売上金は全く手つかずで、事務所を荒らした形跡もなく、犠牲者たちの財布や貴金属なども手付かずであった。その為、強盗ではなく怨恨の可能性も考えられている。この年は地下鉄サリン事件などのオウム真理教事件が発生した年であったため、一時はオウムの関与が疑われたこともあった。
これ以前に拳銃を用いた殺人事件というのは大抵がテロリストか暴力団関係であり、なんでもない普通の町の一角で普通の人が射殺される事件が起こった事実は世間に衝撃を与えた。
詳細はwikipediaの当該項目も参照のこと。
この日の夜はスーパーのすぐ近くにある公園で盆踊りのお祭りが行われていた。被害者Cはこの日はシフトに入っていなかったが、勤務予定を確認するためスーパーを訪れており、被害者Bと一緒にお祭りに行こうと閉店まで店内で待っていた。
21時をもってスーパーは閉店し、レジの売上金は2階の事務所内の金庫にしまわれた。このとき金庫の中には約500万円が入っていた。間もなく盆踊りも終わり、お祭りの騒がしさはなくなった。
21時15分、被害者Aは知人男性と小料理屋に行く約束をしていたため、事務所の電話で男性に迎えに来てもらうよう伝えた。そしてセキュリティシステムに残された記録によれば、この時間に事務所のドアは一旦施錠された。後に見つかった遺体はA・Bともに制服から私服に着替えていたので、帰宅しようとしていたとみられる。
ところが21時16分、ドアの鍵が開けられた。おそらく外で犯人に脅されて事務所に戻らされたものと考えられている。
そして21時17分、何かの破裂音が数回鳴り響いたのをスーパー付近の複数の住民や歩行者が証言しており、この時3名は殺害されたとみられる。
21時20分、Aの知人男性が車で迎えに来たがAが出てくる気配はなく、事務所の明かりはついていた。事務所は更衣室も兼ねていたので、男性は事務所に入らず車内で20分以上待ったが、入れ違いになったかもしれないと考えて小料理屋へと向かった。だが小料理屋にもAはいなかった。そこで(着替えと鉢合わせない為)小料理屋の女将を乗せてスーパーへと戻った。
そして22時ごろ、鍵が開いていた事務所に入った知人男性と女将は3人の死体を発見。交番へ駈け込んで事件が発覚した。
当日はお祭りで人が多かった事も影響して、不審な人物や車の目撃情報がいくつか寄せられたが、決定的な証拠までには至らなかった。事務所内には犯人の足跡が残っており、単独犯かつ短時間の犯行と推測された。
このスーパーは以前より何度か空き巣被害にあっており、防犯意識がゆるい事が地元では知られていた。また、同店は1階が売り場で2階が事務所なのだが、階段が建物内になく、レジの売上金を2階の金庫に移す際はレジの引き出しを取り出し、剥き出しの現金が入った引き出しを持ったまま店から出て、外階段を上り事務所に入るというかなり危ない方法が行われており、被害者Aを含む店員たちには不安視されていた。
だが今回の事件は金庫に売上金を入れてから発生している。金庫にも1発銃撃しているが、これが被害者を脅すためだったのか、鍵を壊す意図だったのかは分からない。またこの事件は21時16分に室内に入り、17分の銃撃から20分の知人男性到着までという短時間に犯人が殺害・逃亡したとみられており、時間をかけて脅迫して金庫の暗証番号を聞き出したりせず、わずか1,2分で殺害に及んでいるのも不可解である(金庫に鍵が差し込まれていたため、暗証番号を聞き出そうとしていた可能性は高い。知人男性がまもなく来ることを伝えたことで突発的犯行に至ったという可能性も否定できない)。その上、実は金庫の暗証番号は事務所の机の上に紙に書いて貼り付けられていた。そして事務所からは被害者の財布など含め特に何も奪おうとした形跡がない。その為、強盗以外の目的……怨恨による殺人の可能性が浮かび上がってきた。
被害者Aはかつて高級クラブでホステスを務めていたことがあり、複数の男性と関わっていた。その為、過去の人間関係が洗い出された。Aは気性の荒い性格でも知られており、生前には様々な男性を相手に罵倒する姿が多数目撃されていた。男性から金を貢がせたりもしていたという。逆にカッターナイフの刃が入った脅迫状が送られてきた事もあり「このままでは命がないぞ」という内容であったとされる。こうしたAの人間関係が原因で殺人事件が起こり、BとCは口封じに殺された可能性もある。
現場に残された銃弾から、凶器はフィリピン製拳銃「スカイヤーズビンガム」である事が分かった。これはコルト製拳銃のコピー製品で性能は悪く、日本では主に暴力団員が所持していた。そんな粗悪品にも拘わらず犠牲者は全員正確に射殺されていること、殺害に全く躊躇がみられないことから、拳銃の取り扱いに慣れている人物の犯行が疑われた。
そんな中、銃弾についた線条痕が銃刀法違反で逮捕されたとある暴力団員の拳銃のものと一致した。暴力団員は拳銃は2008年頃に譲り受けたものだと証言したが、誰から譲られたのかや本事件との関係については語らず、警察もこの人物と事件との関わりは薄いと判断した。
他の証拠として足跡から靴を特定したが、ここからも犯人には辿り着けなかった。ただ、足跡に鉄粉が付着していたことから、鉄工所などに出入りしていた可能性が出た。
事件から10年後、特殊な薬品を使う事でガムテープから犯人のものとみられる指紋が検出された。データベースと照合した結果、2003年に死亡した元タクシー運転手の指紋と「特徴点」が8個一致した。8個一致する確率は1億人に1人とされる。またこの人物は事件当時多摩地域に住んでおり、現場で目撃された不審車と同じ車を所有していたため、参考人として事情聴取もされていた。だが警察が「指紋が一致した」と断言するには「特徴点」が12個以上一致することが条件であったため、ほぼ一致しているが確定には至らず、またアリバイがあり、被害者との関係性も見つからなかった為、この線も薄いと判断された。
事件から14年経った2009年9月、覚醒剤の密輸により中国で死刑判決を受けた男が、この事件についての情報を知っていると証言したため、警察は中国へと飛んだ。この死刑囚はかつて「日中混成強盗団」のリーダーだったが、そのメンバーのひとりである中国人男性が本事件の話題になったとき詳細を知っていた事が判明する。なおこの死刑囚は翌年死刑執行された。
この中国人は1994年に日本に密入国して、2002年に偽造パスポートでカナダへ移住し永住権を取得していた。その為国際的に色々と問題が生じ、あくまで偽造パスポートによる旅券法違反以外では逮捕・起訴しないことなどを条件にカナダから日本に引き渡された。だが本事件についての証言は全く得られず、旅券法違反の裁判が終わるとカナダへ強制送還された。
2010年、このまま事件のあった7月30日を迎えれば時効となる年。その4月に刑法が改正され、殺人などの時効が撤廃された。その為現在でも強盗と怨恨、2つの可能性を元に捜査が続けられている。2007年に制定された、有力な情報提供者への報奨金の対象にもされている。
なお事件現場のスーパーは1998年に閉店し、現在は跡地が駐車場となっている。
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3 ななしのよっしん
2022/11/02(水) 05:56:38 ID: w3MMyuw+Iw
未解決事件の犯人が潜伏先の職場で同僚に得意気に当時の手口を披露しちゃってお縄に成ったことあったなぁ
結局は自己顕示欲に負けるって言うね
4 ななしのよっしん
2022/11/02(水) 06:06:46 ID: U5IfEaomkf
未解決事件の場合お縄にできても裁判で犯行を立証できない場合が多いと思う。本人が全面的に認めて自供したとしても裁判で争う姿勢に変えることはできる。
5 ななしのよっしん
2023/04/21(金) 15:37:37 ID: 9+my+0ni58
怨恨、怨恨、と記事中に何度も書かれているが、週刊誌などに「口封じ説」が載ったように強盗以外の目的は怨恨に限らない。
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最終更新:2025/04/19(土) 05:00
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