複数の公理がセットになったものを公理系(axiomatic system)と呼び、前提として用いられる。公理系の公理を組み合わせて演繹的に証明された定理とあわせて一つの論理体系となる。
ここで発想を逆転させて定理とされていたものから公理を用いずに公理を証明したら、定理とされていたものが公理で公理とされていたものが定理ということができなくもないので、当たり前のことが公理であるというのは多少不正確なのかもしれない。とはいえ、公理系の公理は当たり前に見えることが選ばれるのが通例である。
ユークリッド幾何学は5つの公理と5つの公準から始めて多数の定理を証明したことで公理系の例として知られている。しかし、実はユークリッド幾何学は「歪みのない2次元・3次元空間の出来事である」という前提が公理系に隠れていたのである。 → 非ユークリッド幾何学
公理系は無矛盾が求められるのが常であるが、無矛盾な公理系は実は一つだけとは限らない。「当たり前」の組み合わせは実は複数存在し、既存の当たり前の組み合わせ=常識を疑えば新たな常識=公理系=世界が開けることもあるのである。
当たり前であればあるほどそれに疑問を抱いたりすることは難しいが、上記で言えば非ユークリッド幾何学のように歪んだ空間を前提とした幾何学を発見できる場合もあるし、あるいは除算を封印して整数しか扱わない計算体系を考えることもできるかもしれない。
掲示板
1 ななしのよっしん
2018/05/04(金) 05:04:55 ID: hsgVA+T1RI
前提を疑え!
2 ななしのよっしん
2019/02/12(火) 11:54:10 ID: S0/VYFMRgi
>実はユークリッド幾何学は「歪みのない2次元・3次元空間の出来事である」という公理系に含まれない前提が隠れていた
正確に言うと、説明が回りくどくて本当に公理系に必要なのか疑われていた第五公準こそ、空間がまっすぐであることと同値であるという事が分かり、この代わりに「空間が曲がっている」公準を付け加えても問題がないことが発見された。
3 ななしのよっしん
2019/02/12(火) 18:11:28 ID: B7HCplzuBF
>実はユークリッド幾何学は「歪みのない2次元・3次元空間の出来事である」という公理系に含まれない前提が隠れていた
この説明の仕方は逆ですね。
後世の多くの学者は、妙にかさばった第五公準に不満を持っていて
「もしかして第五公準いらないんじゃね?これ無くてもユークリッド空間構成できるんじゃね?」と疑っていた。
しかし研究を進めた結果、最初の4公準だけでは空間の平坦さを保証できない事が判明した。
つまり「歪みのない2次元・3次元空間の出来事である」という前提は公理系に含まれて『いた』んであって
結局、(一見不要にも思える)第五公準をわざわざ明示的に掲げたユークリッドは正しかったわけ。
もちろん、ユークリッドが曲がった空間の排除を念頭に置いていたわけじゃないだろうけど、
素晴らしい慧眼であることに変わりはない。
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最終更新:2025/04/25(金) 21:00
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