写輪眼とは、漫画『NARUTO』シリーズに登場する、血継限界[1]の瞳術である。
ここでは、写輪眼の上位種である輪廻眼・輪廻写輪眼も併記する。
概要
うちは一族の者が発現させる特殊な瞳術で、後述のように視力・幻術共に様々な能力を持つ強力な瞳術。
原作終盤で二代目火影・千手扉間が語ったところによると、写輪眼は『うちは一族の血を持つものが深い愛情を覚えた後、それの対象を失って失意に苦しむ、または己の無力にもがく』時に脳内に特殊なチャクラが発生し、視神経と眼球を変質させたものが写輪眼になるという。
開眼の切っ掛けが負の感情である事に加え、この時の特殊なチャクラは精神にも少なからず影響を及ぼすため、写輪眼の開眼者は失意のやりどころを求めて暴走する危険性が高いという。
後述の輪廻眼も含め、「オン・オフの切り替えができなくなる」状態が確認されている。
うちはマダラは通常写輪眼→万華鏡→輪廻眼まで切り替えができているのに対し、そのマダラの眼を移植されている長門は輪廻眼のままで固定されており一度も切り替えをしていない。一方はたけカカシは通常の眼→通常写輪眼の切り替えができないが、通常写輪眼→万華鏡の切り替えはできる。
ここまでだと「開眼した状態で移植された眼は切り替えができないが、移植した後に開眼した段階に限って移植者でも切り替えができる」と解釈できる。
しかしサスケの輪廻写輪眼はBORUTOの時代でもオフにしている様子が無い、どころか右目の写輪眼をオフにしている時でも左目が輪廻眼のままであり、この目を見られていらぬ騒動を呼ぶ事があったために前髪を伸ばしているというエピソードまでできている。
写輪眼(通常)
開眼者:うちは一族の者多数
第一段階の状態。
体術・忍術の殆どを視認し看破してしまう視力に加え、チャクラを「色」で見分ける事ができる。また、目を合わせるだけで相手に幻術をかける瞳力も持つ。
同じ「チャクラを見分ける」視力を持つ白眼と比べると、写輪眼は影分身の本体看破まで可能にする識別能力を持つ一方で、よほどの熟練者でない限りチャクラの経絡系の流れを見切る事ができないため、他人の被幻術状態を看破することが難しい。
開眼したての状態では瞳孔の周りの輪の上に勾玉模様が1つだけ配置されている状態だが、成長に従って最大3つまで増えて完成となる。当然、勾玉模様が多い方が視力などの各種能力は上になる。
うちは一族の者が自分の眼で発動させた写輪眼は任意でオンオフができ、通常の眼に戻る事ができる。逆に、写輪眼の維持も難しいほどにチャクラを消耗してしまうと、勝手に通常の眼に戻ってしまう。
しかしうちは一族でない者が眼球移植によって写輪眼を持つ場合、オフにすることができず常に眼球が写輪眼発動状態のままになる。
写輪眼で物を視認するとそれだけでも少なからずチャクラを消費し、元に戻らない性質上本人が行動不能になるまでチャクラを消費し続けるため、はたけカカシ・志村ダンゾウはいずれも写輪眼を移植した方の眼は普段は隠して物を見ないようにしていた。
- イザナギ うちはマダラ、志村ダンゾウ
自分自身にかける幻術で、自分にとって都合の悪い現実を幻にしてしまい、自分に都合のよい現実を作り出して上書きするという幻術。
これを用いると過去に戻るにも等しい「やり直し」が可能となる強力極まりない術だがリスクも高く、この術を発動し終えると使った写輪眼は確実に失明する。ただし発動即失明と言うわけではなく、眼球1つあたりイザナギを発動できる総合計時間が決まっているようで、それを使いきる前にイザナギの発動を解除すれば失明に至らずに済む(残り時間が回復する訳では無いので、次にイザナギを使うとすぐに失明することになるが)。
作中でダンゾウが使用したイザナギは眼球1つあたり1分と言う時間があったようで、発動中は術者に都合の悪い事が起こるたびに常にそれを書き換え続ける。ただしダンゾウの使用したイザナギは完全なものではなく「術者に都合の悪い現実を幻にする」事しかできていなかった。これは完全なイザナギを使うには陰陽両方のチャクラが必要なためで、「自分に都合の良い現実を作り出して上書きする」のは陽遁のチャクラが必要である。
うちはマダラは後述の転写封印によってこれを時間差発動し、自分自身の死と言う現実を無かった事にして復活している。
この術の発動には写輪眼が外界を認識する必要があるため、瞼を上げ、包帯などで覆っているのならそれを外す必要がある。
- イザナミ うちはイタチ
相手にかける幻術だが、「実戦で使用するにはリスクが高く危険」と言う理由で禁術指定されている。
指の動きや瞳術によってかける幻術ではなく、位置関係や姿勢と言った「状況の感覚」を用いて相手をハメる。ある一瞬の状況を写輪眼で写真のように記憶し、後でもう一度同じ様な状況を再現する。この2つの地点を重ね合わせて繋ぐことでループを作り出し、相手を閉じ込めると言う術。この術にハメられると、相手は永遠に時間がループする精神世界に閉じ込められたまま出てこられなくなる。
この術は元々イザナギに頼りすぎて都合の良い現実の奪い合いを始めた同族を戒めるために作られた術であり、ハメられた者が「目の前の現実を素直に認めて逃げない」事を選ぶと自然とループが解除されるようになっている。この抜け道があるため実際の戦闘に用いる幻術としては不向きとされたが、作中ではまさに「ありのままの自分を認めようとせず他の何かに逃げ道を求める」薬師カブトに対して用いられた。
こちらもイザナギと同じように、失明と引き換えにする瞳術。原作では失明したのかどうか微妙だったが、アニメでは明確にイタチの左眼が視力を失った事を示すように白くなっていた。
白眼との違い
同じ血継限界の瞳術である「白眼」とは、高い視力を得ると言う共通点があるが、細部はかなり異なる。
- 白眼は数百メートル先の距離を、頚椎の真後ろの極僅かな死角を除いたほぼ360度全方向を見渡す視野の広さ、遮蔽物に隠れている物も透視できる視力があるが、動体視力は飛びぬけて優れていると言う描写は無かった。
写輪眼は逆で、視界の広さこそ通常の眼とそう変わらず透視能力もないが、高速突進をしながら相手のカウンター攻撃を回避するほどの動体視力を持つ。またその動体視力により、物理的に見えない位置でない限り、写輪眼の前で印を結ぶとどんなに速く結んでもどんな印であるか全て見切られてしまう。
- 白眼はチャクラの経絡系を見通す事ができ、そこに流れるチャクラの流れも見切る事ができるため、通常と異なる乱れたチャクラの流れになる被幻術状態を看破する事ができる。分身体には本体と同じチャクラの流れが無い「普通の分身」も偽物を看破することができる。ただし、本物とチャクラが完全に等分される影分身は本体を見抜くことができない。
写輪眼はよほどの熟練者でない限りチャクラの経絡系の流れまでを見通すことはできないが、チャクラを色で識別するため、影分身の本体をも看破するほか、目に見えないほどの細かな物質に練りこまれたチャクラも視認することができる。
- 白眼はチャクラを練り印を結ばないと発動できないが、写輪眼は本人の意思のみで発動できる。写輪眼による瞳術も同様に印を結ばずに発動する。発動状態が解除されて通常の眼に戻るときはどちらも同じである。
- 写輪眼は先述の通りうちはの血統でないものに移植をするとオンオフの切り替えができなくなるが、白眼は日向の血統でないものに移植をしても印を結んで発動する部分は変わらない。
- 作中でカカシが「写輪眼も源流を辿ると白眼に行き着く」と言うような解説をした後で、写輪眼は忍の祖である六道仙人の眼でもある輪廻眼に連なる眼であるという事実が明らかになったため、カカシの解説が間違いだったとする向きがある。
しかし、その六道仙人の母親である大筒木カグヤの両目が白眼であり、六道仙人の双子の弟の大筒木ハムラは母と同様の白眼を受け継ぎ、その系譜が後の日向一族となっているので、白眼が大元の源流と言うのはある意味間違ってはいない。
万華鏡写輪眼
開眼者:うちはサスケ、うちはイタチ、うちはオビト、うちはマダラ、うちはイズナ、うちはシスイ、うちはフガク、うちはシン、大筒木ハゴロモ
第二段階の写輪眼。長いうちはの歴史の中でもわずか数名しか開眼したことがないという伝説の瞳術。
・・・なのだが、作中の時代でもイタチ、サスケ、シスイ、フガクと4人開眼していることが知られており、生存を知られていなかったオビトや別の時代の者であるマダラ・イズナを含めると合計7名にも上る。
さらに、アニメでイタチによって語られたイザナギとイザナミの歴史の中では登場するうちは一族全員開眼済みというくらいいっぱいいたので、実際どのくらい希少で伝説だったのかはよく分からない。
後述の「永遠の万華鏡写輪眼」が近親者でないと失敗するリスクがあるという事が分かっている以上、実際はいっぱいいたという方が正しいのだろう。
本編では開眼条件が複数回語られているがそれぞれ微妙に異なっており、『最も親しい友を殺すこと(イタチ→サスケ)』、『最も親しい者の死を経験する事(オビト→サスケ)』、『近しい者の死を経験し、それに対する深い後悔や悲しみを抱く事(シスイ→イタチ)』と様々であるが、このうち最も正しいのはシスイが語ったもの。
3つの勾玉模様が配置された写輪眼がさらに変化し、開眼者によって異なる固有の模様が浮かぶ。全ての面で通常の写輪眼を上回るスペックに加え、右目と左目にそれぞれ1つずつ固有の瞳術を得る。
通常の写輪眼からさらにオンオフを切り替えて発動できる瞳術で、発動状態でのみ上記の固有の文様が現れる。万華鏡のオンオフはうちはの血脈でない者でも切り替えができるようで、通常の写輪眼のオンオフができないはたけカカシでも万華鏡のオンオフはできていた。
上記のうち、うちはフガクは原作漫画中では万華鏡写輪眼に開眼しているという描写は無く、アニメ版「イタチ真伝」にて初めて明かされた設定である。
開眼した状況
万華鏡写輪眼の術
左右で別々の術が宿る事もあれば、同じ術が宿る場合もある。同じ術が宿った場合でも左右で微妙に性質が異なる事もある。
また開眼者の完全な固有術と言う訳ではなく、複数の開眼者が同じ術を持つ事もある。
- 天照(あまてらす) うちはサスケ(左)、うちはイタチ(右)
術者の視界に入りピントが合ったものを、決して消えない黒炎で燃やす術。火遁の術でさえも燃やしてしまう高熱を放ち、対象を燃やし尽くすまで決して消えないので術自体を回避するしか無いが、視界に入るだけで発動するので基本的に回避不能の強力な術。
基本的なチャクラの消費量が多い上、燃やす対象が大きいとさらにチャクラを大量に消費する。また眼球への負担も大きく、サスケ・イタチともに使うたびに眼から出血している。
イタチとサスケでは宿った術のレベルが異なるようで、イタチは発火させた右目を閉じることで一部または全部を任意で鎮火する事ができるが、サスケは下記の加具土命を使わない限り一度発生させた天照を消す事が自分でもできない。
- 炎遁・加具土命(えんとん・カグヅチ) うちはサスケ(右)
天照の黒炎をも含めた、炎を意のままに操る術。炎を様々な形に形態変化させる術で、これ自体は形態変化に特化した術なので天照より遥かに少ないチャクラ消費と眼球負担で済む(それでも出血および痛みは避けられないが)。
これ自体もいくらかの発火能力を持っているが、天照そのもので発火させるよりも遥かに小規模な炎しか発生させられないため、これ単体で相応の炎を発生させたい場合は一度発生させた炎を形態変化で増幅する必要があり、チャクラはともかく時間効率は悪い。
- 月読(つくよみ) うちはイタチ(左)
幻術の一種。術者が空間も時間さえも支配する精神世界に相手を引きずりこみ、その中で任意の効果を与える。一般的な「見せるだけ」の幻術と違い、相手の精神に直接干渉して「体験したと錯覚させる」術であるため、相手の精神に与える影響も比べ物にならない。
後述の別天神とは別の意味で最強幻術と呼んでも差し支えない即効性を持つ。下記のカカシの例のように、現実世界ではほんの一瞬で効果を全て完了してしまうため、一般的な幻術解除の手段がまるで意味をなさない。食らったらその時点で終わりである。これに対処するにはそもそも目を合わせずに術をかけられる事を避けるか、もしくはイタチと同等以上の瞳力を持つ写輪眼で術そのものに抵抗するしかない。
はたけカカシに対して使用した際は、現実世界では一瞬かけただけであるにも関わらず、精神世界で72時間もの間貼り付けにしたまま剣で串刺しにし続けるという拷問を与えた。
思い通りにできる特性から、逆に「何もせず見せるだけ」という事ももちろん可能。味方に対して月読をかけ、限られた時間で多量の情報を伝えるための手段としても使える。
なお、生前のうちはマダラも「魔像に力を借りている分広く思い通りにできる、自分が支配する精神世界」を使った事があるため、月読またはそれに似た術を宿している可能性がある。
-
神威(かむい) うちはオビト(両目)
時空間忍術に属する効果を持つ瞳術。右と左で効果が微妙に異なるが、時空間は共有しており、どちらの神威で飛んでも同じ空間に行き着く。時空間忍術としては最高峰の術で、非常に応用範囲が広く、格上の時空間の術使いであるカグヤの輪廻眼による空間転移にも(チャクラのサポートを受ければ)ある程度干渉可能という非常に強力な術。
元々うちはオビト両目に宿った術だが、これを開眼した時点で左目は既にはたけカカシに譲り渡した後だったため、オビト本人は左眼の術を使う事は無かった。
天照ほどではないが視力への負担もちゃんとあるようで、カカシは出血こそしていないものの終盤になると視力ががた落ちしており、かなり近づかないと相手を視界に捕らえること自体ができなくなっていた。オビトは長い間術を使いまくっていたにも関わらず視力が落ちた様子は無いが、これはオビトはマダラに助けられて蘇生した時点で半身がゼツ=柱間細胞でできていたため、術のリスクが大幅に緩和されていたためだと想われる。
- カカシの「左の神威」は、術者の視界の中の任意のポイントの空間を神威の時空間に転送する。
視界に捉える事さえできればかなりの遠距離にある物でも転送を行う事ができ、対象物の一部分だけ転送するようにすれば空間ごと引きちぎる事ができる。ただし初期の頃は転送完了までにかなりの時間がかかっており、加えてある程度以上の大きさの物体を転送するとチャクラも相応に大量消費する。
この神威の時空間は口寄せなどの時空間忍術とは完全に独立した空間になっており、神威の持ち主以外はいかなる手段でも出入りする事ができない。輪廻眼を持った六道マダラでさえ、オビトの眼球を奪い取らなければ神威空間への侵入が出来なかったほどである。
- オビトの「右の神威」は自分自身を時空間に転送する。
特に強力なのが「オート部分すり抜け」効果で、外敵の武器や術に接触した体の部分を自動的に時空間に転送=その場から消えてなくなる事で、すり抜けて回避する。意識して発動する術ではないので不意打ちでも完全に対応でき、空間から消えてなくなるので如何なる術でも当たらない。
さらには相手の攻撃をすり抜けるだけでなく、こちらから突進していって相手の身体をすり抜ける事もできるため、囲まれて八方を塞がれようが、強固な檻に閉じ込められようが、すり抜けて移動できてしまう。
ただし5分以上の連続使用ができない事に加え、すり抜けている最中の体の部位は時空間側に存在するので、そちらから攻撃されると無防備に食らってしまう。神威空間へ任意で進入するのは神威の万華鏡写輪眼の持ち主以外には不可能だが、神威を「敵を神威空間に放り込んで隔離する」と言う使い方をしていた場合、その敵に攻撃されるリスクが生じる。
また、時空間から出る時は元居た場所とは別の場所に出る事もでき、これを利用して遠距離ワープ移動もできる。ただし元居た場所でない場所に出る場合、予めマーキングしてある地点にしか出られないため、自由自在にどこへでも行ける訳では無い。
- なお、「自分自身を時空間に送る事」は左目でもできるし、「他者を時空間に吸い込むこと」も右目でもできるが、前者は転送スピードがかなり遅く、後者は至近距離にいないと吸い込めないなど、得意な方の眼に比べると性能は劣る。
- 別天神(ことあまつかみ) うちはシスイ(両目)
「最強幻術」と称される幻術。
月読と違って特殊な精神世界を用いたりする訳ではないが、かけられた者に幻術にかかったと意識させる事すらなく操る。対象者の思考そのものを操ってしまい、かけられた者はそれが自分自身で考えた行動だと思い込んで幻術の効果に従うため、白眼などで外部からチャクラの流れの乱れを見抜きでもしない限り、幻術にかかっていると知ること自体が難しい。また幻術の強制力も極めて強く、穢土転生によって口寄せされた者の口寄せ者からの命令さえも上書きしてしまうほど。
このように強力極まりない術だがリスクも高く、そのままだと一度使うと十数年はインターバルを挟まないと次の発動ができない。志村ダンゾウは柱間細胞のチャクラで強化することで、無理やり数時間単位にまでインターバルを縮めていた。
また、術の強制力は強いが、やっている事自体は普通の幻術の部類であるため、チャクラの流れを視認する能力(白眼など)で被幻術状態を看破できるし、他者による幻術解除が有効である。
ちなみに作中では2度使用されているが、どちらも別天神が使われた事が被術者に知られている。1度目はシスイの目を奪った志村ダンゾウだが、同じ場に白眼を持つ霧隠れの忍・青がいたために看破され暴露された。2度目はシスイ本人から目を託されたうちはイタチが口寄せカラスを通じて自分に使った時だが、これは被術者が仕込んだ本人でもあったため、いつどんな内容で幻術がかけられたのか予め知っていただけである。
ダンゾウが使用した際は右目を隠した包帯を取らないまま発動させていたため、瞼を閉じたまま使えるかはともかく、包帯などで隠して発動する事が可能で、目を合わせないでも幻術にかけられるようだ。
なお、「再発動に十数年のインターバルを要する」とされる別天神のデメリットを、どんなに年長に見ても20代前半が限度に見えるシスイが知っていたのか、自身で開眼した後に既に1回使ったことがある…とは考えにくい。過去にも別天神を宿した万華鏡開眼者がいた可能性が考えられる。
- 須佐能乎(すさのお) うちはイタチ、うちはサスケ、うちはマダラ、はたけカカシ
両方の万華鏡写輪眼に固有術を宿した者が追加で開眼する術。骸骨のような巨大な像を顕現させ戦う。発動者は骸骨像の中に収まり、巨大な鎧となる。他者をこの中に入れる事も可能で、うちはサスケはナルトを囲い込んで庇った事があり、うちはマダラは口寄せした九尾に須佐能乎の鎧を纏わせている。
この鎧は極めて強固な防御力を誇り、並大抵の攻撃では傷がつかない(絶対無敵ではなく、破壊されたケースはある)。幻術に対しても強力な耐性を持つようで、須佐能乎の内側にいた者は無限月読を回避している。
外観や武装は個々人によって異なるようで、例えばうちはイタチの須佐能乎は「十拳剣(とつかのつるぎ)」と言う霊剣を装備しているが、うちはサスケの須佐能乎は弓矢を装備している。また、宿った直後は上半身しか形成されないが、成長し完成体になると下半身まで形成されるようになったり、背中に羽根が生えたりといった形状の変化を伴う。
装備している武具による攻撃は術者の万華鏡写輪眼の瞳術を乗せる事も可能で、うちはサスケは天照を乗せた矢を放ったり、はたけカカシは神威を乗せた手裏剣を飛ばしている。
なお、この術は万華鏡写輪眼開眼者に宿る術ではあるが、眼球に宿る術ではなく、開眼者自身に宿る術である。須佐能乎開眼者の万華鏡写輪眼の眼球を移植しても移植先は須佐能乎を使えるようにはならないが、移植などで万華鏡写輪眼の眼球を失っている者でも、自身が須佐能乎を開眼した事があるのなら眼球が無くても須佐能乎は使える。
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転写封印(てんしゃふういん) うちはイタチ、うちはマダラ
固有術ではないが、万華鏡写輪眼でのみ使われていた術なのでここに記述する。
写輪眼に、任意の瞳術を予め決めたタイミング・条件になると発動するように仕込んでおく術。
作中で使われた例としては以下の3つ。
永遠の万華鏡写輪眼
該当者:うちはマダラ、うちはサスケ
これは開眼状態の一つではなく、万華鏡写輪眼の「固有術を使うたびに視力が低下する」と言うリスクを回避するための手法。
万華鏡写輪眼開眼者が、他の万華鏡写輪眼開眼者の眼球を移植することで、固有術をいくら使用しても視力が低下しない状態になる事ができる。
移植された場合、元々の自分の万華鏡写輪眼にあった模様と、移植した万華鏡写輪眼にあった模様が重なり合って融合した模様へと変わるが、宿った固有術は移植を受けた者が持っていた術のまま。
万華鏡写輪眼ならば誰のものでもいいと言う訳ではないようで、近親者の眼でないと馴染まずに失敗する事があると言う。マダラは弟のうちはイズナの目を移植しており、サスケは兄イタチの眼を移植している。
マダラとイズナの例では眼球提供者のイズナが視力を失っているかは不明だったが、サスケとイタチの例では、移植するサスケと眼球の提供者であるイタチが両方とも視力をほぼ失っている状態で移植をしている。
にも関わらずサスケの視力が戻っているため、万華鏡写輪眼の使いすぎによる視力の低下は眼球や視神経が劣化するようなものでは無いらしい。
なお、上記の永遠の万華鏡を手に入れた二人はいずれも「永遠になっていない万華鏡開眼者が、他の永遠になっていない万華鏡開眼者の眼球を移植」している。既に自身の万華鏡を永遠にしているものが、さらに別の者の万華鏡写輪眼を移植した場合、移植した眼の持ち主が持っていた固有術が宿ったままで、自身の固有術は現れないし、紋様も融合しない。眼球を戻せば固有術も元に戻る。
輪廻眼
開眼者:うちはマダラ、大筒木ハゴロモ
万華鏡の持ち主が、六道仙人と同質のチャクラを得る=仙人の息子であるインドラとアシュラの両方のチャクラを得た状態で、強く死の恐怖・失望に襲われた時にのみ開眼するさらに強力な瞳術。
兄・インドラの系譜はそのままうちは一族であるので、万華鏡開眼者が何らかの方法でアシュラの系譜の者=千手一族のチャクラを得る事で条件を満たす。
マダラは柱間や扉間との争いに負け一旦は死亡したように見えたが生き延び、その時に食いちぎっていた柱間の体の一部を自らに移植することで柱間細胞を得る。その状態で老いて死期が近づいた時、死の間際に開眼した。
長門の輪廻眼は自ら開眼したかのように見えるが、実際はうちはマダラが生前持っていた眼を移植したものである。
なおマダラは、順当に考えるとイザナギによって復活した時点で「自分の永遠の万華鏡写輪眼」を片方失明していると考えられる(マダラは柱間との激闘に自身のものでない予備写輪眼で挑むとは考えにくく、その戦いの直後に死亡したためイザナギ用の予備写輪眼を移植する暇も無かったはず)。
にも関わらず、老衰で死亡した後に他者に移植された輪廻眼は両目とも輪廻眼としての瞳力を問題なく備えている。これには「自身の死を無かったことにしただけでは失明しなかった」「失明したままでも開眼可能(開眼したら瞳力復活)」「予備の写輪眼でも輪廻眼に開眼可能」などが考えられるが、詳細は語られなかった。
(穢土転生マダラは両目とも自身の永遠の万華鏡を備えていたが、これはカブトによる改造の結果(=イザナギ使用前の状態)である可能性もあるため割愛)
開眼すると、瞳孔を中心に眼球のほぼ全てに波紋状の模様が走る。
輪廻眼の開眼者は五大性質変化を全て扱う事ができるようになり、さらには陰陽遁をも扱えるようになる。
この眼になると元の万華鏡写輪眼としての能力が消失するようで、長門・マダラともに万華鏡写輪眼の固有術を使う事は無かった。また、オビトによってコピー輪廻眼を付与された穢土転生人柱力たちは輪廻眼とは別に写輪眼を与えられていた。
ただし「万華鏡開眼者に宿る術」ではあるが「眼球の固有術」ではない須佐能乎のみ例外のようで、両目とも輪廻眼になったマダラは須佐能乎は使っていた。
万華鏡写輪眼の固有術が使えなくなる代わりに輪廻眼の固有術が宿る。さらに「開眼者固有の術」が宿るが、この術は眼球を移植しても移植先の者は使えず、開眼者本人が自身の眼球を持っている時にのみ使える術である。
移植すると、後述の個人固有術を除いて輪廻眼の全ての能力を誰でも扱えるようになるが、移植自体が難しい。何の素質もないものに移植すると力を抑えきれず暴走して自我を失うか、体の殆どのエネルギーを消耗して衰弱死するかのどちらかである。
素質とは元々の開眼条件である千手の力を持つことであり、自身で開眼した訳ではない者が安易に扱えないストッパーとして働いている。
長門は千手一族の遠縁であるうずまき一族の家系であったため自我を失う事は無かったが、それでも当初はコントロールできずに暴走していた事があり、またペイン六道を操る頃になるとやせ細って衰弱していた。
オビトは千手一族とは何の関係も無いが半身がゼツ=柱間細胞でできていたため即座に暴走するほどではなかったが、片目だけで自我を失いかけて両目を移植するまでには至らなかった(もう片方の目は自身の万華鏡写輪眼なので、これを手放す理由もないのだが)。
下記のように輪廻眼共通の術は多種多様に渡るが、これらを活用して戦闘していたのは長門のみ。
他は、オビトは外道のコピー輪廻眼能力と輪廻転生の術、マダラとサスケは餓鬼道の吸収と天道の地爆天星(マダラは隕石、サスケは封印)しか使う場面は無かった。
- 六道・地獄道
閻魔大王を口寄せし、対象に問いかけて正しく答えなかった者の魂を抜き取り殺害する。
抜き取った魂は取り出して利用する事ができるが、何もしないまま一定期間が経つと消滅して戻らなくなる。
- 六道・餓鬼道
チャクラを吸収する事ができる術。どんな性質のチャクラでも無差別に無効化して吸収してしまうため、チャクラによって実体のある物体を操るような術でない限り、術そのものが消滅させられてしまう。
ただし吸い取ったチャクラの性質までは変化させないため、扱いを誤るとリスクが生じる仙術チャクラを吸い取ると吸い取った側にリスクが生じる。
- 六道・畜生道
契約していない相手でも口寄せで強制的に、無尽蔵に呼び寄せる術。地獄道の閻魔口寄せと、穢土転生以外ならほぼどんなものでも口寄せできるようになる。また、術者自身が元々穢土転生の術を習得しているのであれば、さらに穢土転生と併用する事も可能。
これによって口寄せした対象はチャクラ受信機である黒い棒を刺されて行動を完全に制御され、かつ輪廻眼のコピーを付与された状態で口寄せされる。
- コピー輪廻眼
コピー輪廻眼を持つ者全てで視界を共有する。このため複数口寄せすれば連携プレイが強化され視界の穴が無くなる。
また、口寄せ対象に六道の能力の1つを与える事が可能で、ペイン六道は外道以外の能力を1つずつ与えられていた。オビトは穢土転生と併用して穢土転生人柱力にコピー輪廻眼を与えていたが、これらは特に六道の能力を使わず尾獣の力のみで戦っていたため、六道の能力が与えられていたのかは不明。
- 増幅口寄せの術
口寄せした動物に「攻撃されると分裂して増える」と言う能力を付与する。
これにより勝手に増えて数が増すだけでも脅威だが、口寄せ動物の対処法の一つである「ダメージを与えて口寄せの術を終了させる」が通じなくなるため非常に厄介。自来也とガマケンがペイン畜生道と戦った時も、8割がた増幅口寄せの狼のような生物にてこずっていた。
- 六道・修羅道
武器や兵器を口寄せして自分自身の肉体に組み込む術。
自らの肉体を置き換えて口寄せする事が可能で、傍から見ると元々ロボットだったものの仕込み武器にしか見えないことも。ミサイルだのレーザーだの、NARUTO世界に存在しない異世界の兵器でも口寄せする。
ペイン修羅道が使用していたのは上記の通りだが、長門本人が使う場合は自身の肉体を置き換えるのではなく、武装アーマーのようなものを口寄せして纏う。
- 六道・人間道
相手の頭に手を置くことで、魂を抜き取りつつ相手の記憶を読み取る術。抜き取った魂は地獄道と共有して保存される。魂を抜き取られた場合は当然死亡する。
抜き取られる側はチャクラを練って体内に溜め込むことである程度は抵抗が可能。
- 六道・天道
引力と斥力を自在に発生させる術。
ただし当然2つを同時に発生させる事はできない他、発生させる力の大きさに比例してチャクラを消費し、術の発動そのものにも5秒程度のインターバルを必要とする。木の葉の里を壊滅させた時は、他のペイン六道が一切術を使えなくなるほどにチャクラを集中させる必要があった。
- 地爆天星
天道の術の一つ。強い引力を持った黒い球体を作り出し放出する。球体は強い引力で周囲の岩などの地形をえぐり取るようにして引き寄せていき、やがて巨大な球体となる。この過程で術者以外の周囲にいるものは周りの地形ごと引き寄せられ取り込まれ、埋め込まれる形で封印されてしまう。
ナルト世界では、「月」はかつて六道仙人が巨大な地爆天星によって作り出したものだと言われている。
- 外道
相手にチャクラを流し込み意のままに操る術。
ただし操るにはチャクラ受信機となる黒い棒を相手の体の要所に刺す必要があり、またどんな相手でも操れる訳ではない。操る事ができるのは「魂が入っているが自我が無い」状態の身体に限られ、該当するのは死体に地獄道で奪った魂を移し変えたものと、自我を縛った状態で口寄せした穢土転生のどちらかになる。
長門が生み出した「ペイン六道」は前者、オビトが生み出した「穢土転生人柱力」は後者である。
- 外道・輪廻転生の術
外道最大の術。チャクラを流し込んで操るのではなく、己の命を代償に他者を蘇生する術。
チヨバアの転生忍術と似た効果だが、あちらは1人しか対象にできない上、致命傷だがまだ絶命していない生きている人物を治療するのに使うのでもない限り、術者の落命が避けられない。
こちらは多数を一度に蘇生したりすることも可能で、よほど大量の同時蘇生を行ったり、死後何十年も経過した人物を蘇生させるのでない限り、術者のチャクラ消耗だけで済むなどリスクも軽い。
(作中では木の葉の大量の犠牲者を全員蘇生する、死後何十年も経っているうちはマダラを蘇生する等の用途であったため、術者はいずれも最終的に落命しているが)
- 輪墓・辺獄(りんぼ・へんごく)
うちはマダラの輪廻眼固有術。
目視も感知も不可能な別世界に分身を生み出し、別世界側から不可視の攻撃を加える術。攻撃された側からは何も無い所からいきなり攻撃されたようにしか認識できない。分身の側からしか干渉する事ができないので、攻撃される側は反撃も防御もできない。
片目のみ取り戻した状態のマダラでは1体の分身しか扱えなかったが、両目とも取り戻した状態では一度に4体の分身を生み出す事ができる。
ただし同じ輪廻眼の持ち主ならばこの分身の姿を視認する事ができる。また六道の仙術チャクラを持つ者は視認はできないものの感知をする事はでき、分身に対して攻撃する事ができる。
- 名称不明
モモシキの手のひらの輪廻眼の術。チャクラを吸収して忍術を打ち消す。さらに吸収したチャクラをストックし、威力を増幅した上で撃ち返す事が可能。
輪廻眼の餓鬼道とは違う原理らしく、餓鬼道では吸収できない木遁ですら吸収可能。しかし科学忍具が術を封じている仕組みとは共通点があるようだ。
輪廻写輪眼
開眼者:大筒木カグヤ(額の眼のみ)、うちはマダラ(人柱力状態での額の眼のみ)、うちはサスケ(左眼のみ)
輪廻眼の別バージョン。
通常の輪廻眼の波紋模様の上に写輪眼の時にあった勾玉模様が配置されている。
こちらもサスケが蘇生のために柱間細胞を移植され、ハゴロモからチャクラを授かった事で開眼したものなので、開眼条件は通常の輪廻眼と同じだと思われるが、どう分かれるのかは不明。
通常の輪廻眼とは違い、元になった万華鏡写輪眼の能力を全て残したまま輪廻眼の能力と併用できる。消耗しすぎると勾玉模様が消えて通常の輪廻眼の模様だけになる。
開眼当初の第四次忍界大戦では勾玉模様が消えると写輪眼の能力だけでなく下記の天手力も使用できなくなっていた。
- 天手力(あめのてぢから)
サスケの輪廻写輪眼の固有術。術者が視認した任意の物2つの位置を入れ替える。または、任意の物と自分自身の位置を入れ替える。
効果を文面で書くとこれだけだが、空間そのものを入れ替える術である上、扉間&ミナトの飛雷神の術による奇襲に対応できる反応速度を持つ六道マダラや九尾モードナルトでさえ術の予備動作やチャクラの変化すら察知できない程の発動スピードを誇るため、サスケの視界にいる限り事実上防御も回避も不能。
「BORUTO」の時代では他者の時空間系の術に対する察知能力も高まっており、カグヤの異空間を探し出したり、モモシキのアジト直通のどこでもドア的なワープホールを開いたり(他者も通行可能)と、時空間に関する事なら何でもできると言っても過言ではないレベルになっていた。
- 天之御中(あめのみなか)
カグヤの額の眼の固有術。自身と周囲の者を空間ごと異空間に転移させる。転移先の空間は始球空間の他は溶岩の海や砂漠、極寒の氷の地、高重力空間など過酷な環境の空間が多い。作中では6種類ほどしか出てこなかったが、大戦後もサスケが調査していた辺り、他にもまだある可能性がある。
サスケの天手力と同じように空間ごと移動する術であるため、カグヤの周囲にいる限り抵抗はできない。
なおこの術は移動するのみであり、異空間の環境の影響は術者自身も普通に受けるため、時と場合を考えないと状況の悪化を招く可能性がある。
関連項目
脚注
- *忍術のうち、特殊な体質や遺伝がないと扱えない術のこと。写輪眼の場合、うちは一族の遺伝が必要。