動物のお医者さんとは (ドウブツノオイシャサンとは) [単語記事]

「ワタシにはキミの未来が見える　キミは将来～　獣医になる！！　このカシオミニを賭けてもいい」

『動物のお医者さん』とは、日本の少女漫画である。作者は佐々木倫子。

1987-1993にかけて少女漫画雑誌「花とゆめ」で連載された。単行本は全12巻、文庫版は全8巻。2003年にテレビドラマ化された。

概要

北海道札幌市のH大学獣医学部を舞台に、極めて個性的なキャラ達の大学生活を描いている。
コメディ、喜劇的な要素が多く、女性のみならず男性にも人気がある。

少女漫画の学生モノというと99.99%の確率で恋愛モノと相場が決まっているが、この作品には恋愛のエピソードは殆ど登場しない。精々メインヒロイン？菱沼さんの見合いの話と、漆原教授のオフィスにあった口紅の話のみである。

美男美女が何人も登場するが、概ね変人の類に属し、相応に遇されるキャラばかりである。

このマンガが大ヒットしたため、H大学のモデルとなった大学（後述）に入学希望者が殺到する、チョビのモデルになったシベリアン・ハスキーの人気が高まるなどの社会現象にまでなった。

しかしシベリアン・ハスキーは原作のチョビとは違い、一般的な手狭な日本の住宅事情では飼育し難い大型犬種であるため、飼ったは良いものの、持て余した挙句、捨てる飼い主が続出し、社会問題化した。

あらすじ

大学受験を控えた高校生の西根公輝(ハムテル)と二階堂昭夫は、近道をするためにH大学の敷地内を通り抜けていた。

するとそこへ怖い顔をしたシベリアンハスキーの子犬が現れ、直後に子犬を捕まえるために出てきたアフリカの民族化粧をした男と出会う。

獣医学部の教授だというその男に「君は獣医になる。このカシオミニを賭けても良い」と当てずっぽうで予言され、シベリアンハスキーの子犬を押し付けられたハムテルは、親友の二階堂と共にH大学に入学し獣医を目指すハメに。

舞台

主立った舞台はH大学獣医学部。H大学と名は伏せられているが、北海道札幌市という所在地とアフリカのお面を集める教授が出てくることから、モデルは間違いなく北海道大学獣医学部であるとわかる。

北大は旧帝国大学という北海道随一の名門大学である事から、H大に進学した主人公らも（皆クセは強いが）優秀な人物であると思われる。とはいえ、本作品が連載される前の北海道大学獣医学部といえば、理科 II系で入学した学生の2年秋の進路振り分けにおいては毎年のように定員割れが生じ、教養課程での成績不振により希望の学部に進めなかった学生がしぶしぶ進むこともままある不人気ぶりであったのだが……（故に高校3年時のハムテルも、理II合格＝獣医学部入りをほぼ当然のこととして考えている）。それが本作品の連載により、全国の獣医学部でも屈指の入学難易度を誇る人気ぶりとなったと語り継がれている。実際に、北海道大学における最後の教養課程からの学部移行となった1995年度（本作品の連載終了直後の1994年 4月に北大に入学した学年が主な対象）においては、理IIの獣医学部の定員22人に対し獣医学部移行を認められた学生の最低席次が67位であることからも伺われる（理IIの1学年総数は500人弱）。獣医学部には理科 III系からも移行可能だが、こちらは定員23人に対し最低席次が27位（理IIIの1学年総数は250人ほど）と理IIを超える狭い門であった。なお、1995年度入学者からは北大獣医学部は学部単位の入試となっているが、北大の中では医学部と並び、全国の国公立大学獣医学部としては東京大学・京都大学に続く入学難易度と、依然として難関である。
（※制服が学ランであること、近道として北大獣医学部を通り抜けていることから、主人公の出身校は札幌北高校と推察される。主に学会に数多くのOBを輩出する、北海道では札幌南高校と一・二を争う超進学校である）