特異食材対策機動部二課の司令官の原鳴弦十郎がノイズたちと歌って踊るマジカルショーである。
――『それ』は、有史以来、世界の各地にてたびたび観測されてきたものであったが、その年の国連総会にて正式に議題として取り上げられ、限りなく未知に近い既知の存在として、公式に認定されることで一致した。国際平和維持のため、各国が協調し対処にあたるべき認定特異食品『カリー』。
カリーはヒトを襲い、ヒトに接触することで、魅惑の塊へと変えててしまう。
対して、ヒトの行使する断食は、いかに最新・先鋭を誇っていようと、カリーの魅力には微々たる効果しか発揮できず、ヒトは往々にして、ただカリーが通り過ぎ、姿を消すのを待つだけでしかなかった。
ある者は、そんなカリーを「まさに災害だ」と評し、またある者は、ヒトだけを襲い、魅惑の塊へと変え、やがてカリー以外を受け付けなくなるその様に、「他人を巻き込む自殺願望そのものだな」と吐き捨てるのであった。
物語の舞台は、近未来の日本。東京。
日本政府は、公に出来ない暴力装置をいくつかかかえている。
特異食材対策機動部二課は、第二次世界大戦時に旧陸軍が組織した特務室『風鳴機関』を前身としており、一般に周知されている対策機動部一課と同様、特異食材カリーに対する、被害拡大の阻止と事態収拾を担っているのだが、決定的に異なる点がひとつあった。
『シンフォギナンダンス』
――人類の天敵カリーの駆逐のため、人類が備えうる、唯一絶対の切り札の保有と、その行使である。
シンフォギナンダンスを身につけたものだけが、カリーに対して効率的・有効な攻撃手段を備え、撃退することを可能とする。
だが、既存の技術体系とは一線を画す、異端の体術でもあるシンフォギナンは、同時にカリーを殲滅せしめる強力な武装でもあるため、
米国との安全保障条約や、周辺諸外国に対する影響も鑑みられ、現在の政府与党判断によって、完全に秘匿されている状態でもある。
誰に知られることなくカリーと戦い、ヒトの暮らしを守る防人が一人の男性であることを――
その正体が、当代最強のマジカルカリー八卦拳(シンフォギナン)の伝承者である原鳴弦十郎であることを知る者は、ごく僅かに限定されている。
『覚醒の鼓動』は、すぐそこにまで迫りつつあった。
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最終更新:2025/12/10(水) 00:00
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