参政党単語

サンセイトウ

7.3千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

参政党とは、日本政党である。

概要

若手の保守地方首長・地方議員の連合体「プロジェクト」の結成・運営や、インターネットチャンネルCGS」での若者向け情宣活動などにより、保守・右営における若手有望として2010年代から注を集めていた神谷宗幣により、2020年4月11日に結成された[1]

綱領の第一として「天皇を中心に一つにまとまる平和づくり」を掲げ、世界一の皇統を日本アイデンティティの根幹と位置づけ、自尊史観(自由義史観/歴史修正主義教育を進め、社会主義的な戦後システム戦後際秩序からの脱却を図ると提唱するなど、政治思想面では右イデオロギーを党の政策・思想の核心に据えており、後述する党の中心メンバーや関係者も右色の強い政治評論家活動家によって占められている。(個々の議員でなく)党全体の政治思想面のスタンス較した場合、国会に議席を有する政党の中では最右に位置する政党である。

他方で、相対的に立ち位置の近い、右ミニ政党である維新政党・新風日本国民党、日本第一党、新党くにもり、幸福実現党などと較すると、これらの諸政党民族義や国家主義、排外義的な政策や言動を正面に押し出して賛同を募るのと対照的に、これらの要素は積極的に表には出さない傾向が見られる。

参加民主主義を積極的に訴え、憲法への緊急事態条項追加反対、脱農による食の安全など各論部分では従来左が取り組むことが多かったテーマアピールするなど、若年層・無党派層への間口を広げて参加を促し、サポーターや党員として党コミュニティに取り込んだ上で、セミナーや勉強会、研修ツアーなどを通じて、党のイデオロギーや思想、政策を浸透させ、「知った」「覚めた」と称揚して自尊心に訴えかけ、自信と周囲への普及意欲を高めていくという手法を採用している。

また、党として新型コロナウイルス感染症ワクチン懐疑論・反ワクチン論や感染症対策緩和策を前面に押し出している点も大きな特徴であり、ワクチン推奨施策への反対、子供へのワクチン接種反対運動との連携、海外からの渡航者の入制限撤内の行動制限撤、脱マスクなどを提唱している。そのため宣活動などの場でも参加者はノーマスクで過ごすことが多い。

の豊富さでも前述のミニ政党と一線を画しており、設立初年に8600万円の収入を計上[2]2022年参院選においては約4億3365万円もの寄附を集め、その資背景に全45の都道府県選挙区に1人ずつと例区に5人の補を擁立する(供託金額1億6500万円)という積極策を展開している。また2022年の党大会において「先行ペアチケット10,000円・党員7,000円・一般8,000円」という入場料を要する[3]、「予祝」と称する参院選後の政治パーティーのチケット代として「SS席10万円・S席5万円(一般2万円)」という強気の値段設定を行うなど、党としても熱狂的な支援者からの集に自信を有していることが伺える。[4]

2022年6月時点で称70,000人の党員・サポーターを擁しており(後述のとおり会費無料サポーターから年4,000円の運営党員まで4等級あるが、いずれの等級が何人かは不明。なお2020年末時点の総務省届出の党費納入者数は2,502人)

熱狂的な支持者によるTikTokInstagramを中心としたネット上での情宣活動、そして前述の積極擁立策も相まって、2022年参院選では選挙区で約202万票(得票率約3.8%)、例区で約177万票(同3.3%)を獲得した。選挙区では得票率11.4%と善戦した熊本県選挙区を除き得票率一桁台に留まり、45全員が法定得票未満で落選、供託金収点を上回ったのも定数の多い東京都神奈川県愛知県の3補に限られたが、例区では1議席を獲得、党内個人票1位神谷が党初の国会議員となった[5]

また、得票率2%要件をクリアしたことで政党要件の確保に漕ぎ着け、これにより今後、選法上は次回参院選政治規正法・政党助成法上では次々回参院選までは、選挙での優遇措置(衆院選での重複許可例区の最低搭載人数撤)や政党交付の支給を受けられる運びとなった。

党組織

以下の組織構造は2022年6月末時点の党規約に基づくもの。

党大会
最低年1回招集される党の最高議決機関。ただし構成員や議事運営事務局に決定権があり(党規約第6条第2項)、後述のサポーターから運営党員までのどこまでが議決権を持つのか、あるいは代議員制を採るのか等は明記されていない[6]。また、他の政党政治団体べてしい点として、党大会には党の代表や後述のボードメンバーを選任する権限が与えられていない。
ボード
党の執行機関であり、党を代表する最高幹部会議。定員の定めはないが、代表と事務局長の2人はボードメンバーから選任しなければならない。任期は次の党大会までとされるが再任は可。前述のとおり党大会に選任権がなく、同じボードメンバーの過半数の承認により選任される(党規約第10条)。
後述のとおり党代表の権限が弱く、事務局長の権限が強い一方で、その身分はボードメンバーの過半数の信任に担保され、党員はボードメンバーの選任権を持たない、という構造から、参政党は事務局長を中心としたボードメンバーによる寡頭運営体制を志向していると考えられる。
党代表
ボードメンバーの中から、ボードの過半数の承認により選任される。大半の政党の代表と異なり、選挙と広報に関する最高責任者、党の徴という位置づけに留まり、党務に対する統括権は持たず、選挙に関しても議員補の推薦権は事務局長が握っている。他方でボードの招集権と可否同数時の決裁権を持っており、対外的代表と最高幹部会議の議長を兼ねた名誉職的な意味合いが強い。
事務局長
ボードメンバーの中から、ボードの過半数の承認により選任される。党務に対する統括権を始め、議員補の推薦権、党大会やボード運営権、支部長の選任権など包括的な権限を有しており、実質的な党の導者としての権を有している。
党支部
2022年6月現在で49支部(参院選都道府県選挙区ごとに1支部、東京都のみ5支部)が設置されている。支部長は支部内の互選によらず、党本部の事務局長が選任する。
党員・サポーター
党費無料の「サポーター」、党費年500円の「メルマガ党員」、党費年1,000円の「一般党員」、党費年4,000円の「運営党員」の4等級に区分されており、等級が上がるごとに右政治評論家らのコラム配信、党のイベント政治塾への参加資格、政策会議補者予備選挙での投票権などの特典が順次付与されるという仕組みを採っている。
2021年末時点では勧誘党員数に応じて党員ランクが上がり(勧誘10人で「ブロンズ党員」、以下30人で「シルバー党員」、100人で「ゴールド党員」、1,000人で「ダイアモンド党員」)、ランクを示すバッジと党内での権限が付与されるという制度を採用していたが、現在止されている[7]

主要関係者

ボードメンバー

神谷宗幣
党の創設者にして党初代代表、現在は副代表兼事務局長参議院議員(任期は2028年7月まで)。「党員と支部、支部とボードメンバーを繋いでいるのは私」「私以上に党を知っている人間はいない」と自負するように[8]、内外ともに実質的な党の中心人物とされている。
1977年福井県生まれ。関西大学文学部在学中の海外生活ナショナリズム覚め、卒業後、高校教師実家スーパー勤務・法科大学院を経て、2007年統一地方選挙大阪府吹田市議会議員選挙に出当選2011年選挙でも再選。任期中の2012年に辞職し、衆院選大阪13区(東大阪市)から自民党認で出するも維新補に大敗、2015年統一地方選挙では府議選吹田市選挙区に転じたが落選に終わり、以後は在野の活動家としてKAZUYA CHANNEL京本和也らと連携し、ネットやミーティングによる地な情宣活動に転じるほか、「イシキカイカク株式会社exit」を立ち上げ、ナショナリズム等に関する有料セミナーの動画配信、健康グッズの販売等を行っていた。また、居住する石川県加賀市に「加賀プロジェクト」と称するフリースクールを立ち上げ、独自の教育活動を行っている。
な著書に「子供たちに伝えたい『本当の日本』」(青林堂)など。
松田
党代表、結成時ボードメンバーの1人。元衆議院議員(1期)。財務官僚出身であり、「松田プラン」など、党の経済政策の策定に大きく関与している。
1957年京都府生まれ。東京大学卒業後、大蔵省・財務省のキャリア官僚を務め、2010年に退官。同年の参院選たちあがれ日本認で神奈川県選挙区から出し落選するも、2012年衆院選では日本維新の会石原(旧たち日)への優遇策から東京ブロック単独2位に回り初当選。党分裂で次世代の党に移籍し、2014年衆院選では神奈川7区から再選をすも大敗。2016年参院選では自民党からの出したが、ネット投票東京プリン伊藤洋介に敗れ、出はならなかった。2022年参院選では例区から出し、党内個人票3位で落選(2位武田邦彦)。
な著書に「TPP論」(ロングセラーズ)など。
裕一郎
党副事務局長。現職の石川県議会議員(金沢市選挙区)。
1971年金沢市生まれ。介護事業経営などを経て、2007年金沢市議選に民主党認で出し、トップ当選2011年には石川県議選金沢市選挙区に転じ、民主党認で当選。しかし2014年の県知事選で現職支持を決めた党に反発して離党、原発再稼働反対などを訴え所属で知事選に臨んだが現職に大敗。その後同年の補欠選挙で県議に返り咲き、2015年2019年の県議選でも再選、現在に至る。
由美
元党共同代表、現在役のメンバー1965年東京都生まれ。帝国議会で議員を1期務め、戦後は大日本愛国党を率いて約40年に渡り選挙に挑み続けた伝説右翼活動家尾敏の姪にあたり、伯父を「心優しい愛国者」として敬愛しているという。アルミ会社を継ぐ傍ら、2014年頃から右論壇にて言論活動を開始。2016年総選挙では日本のこころ認で東京ブロックから出したが落選した。2022年参院選では例区から出し、党内個人票5位で落選。参院選後に共同代表を退いた。
な著書に「民進党(笑)。 - さようなら、日本を守る気がない反日政党」(ワニブックス)など。
田中義人
役のメンバー。現職の倶知安町議会議員。ニセコリゾートサービス代表。
1972年札幌市生まれ。倶知安高校卒業後、アマチュアスキーヤーとして活動する傍ら、自動車ディーラー、外資系消費者融などを経て、2003年倶知安町レンタルスキーショップを開業。また、2011年倶知安町議選に出し初当選2015年2019年の町議選でも再選。
スキーリゾートとして外国人観光客や外資のが強い倶知安町において、「ニセコヒラフでは数少ない日本人ローカルの会社」を標榜し、中国を初めとする外資や外国人労働者規制外国人への参政権・住民投票権の付与反対などのを積極的に展開している。

なお、結成時はKAZUYA CHANNEL宰の政治Youtuber京本和也政治アナリスト渡瀬裕哉らがボードメンバーを務めていたが、党が陰謀論に傾倒しているなどとして、いずれも退任・離党している。なお、彼らの退任理由について、参政党結成前に神谷と協関係にあった右政治評論家倉山満は以下のように述懐している。

渡瀬KAZUYAと決別したあたりから、神谷と参政党は振り切った。渡瀬KAZUYA批判したのは「陰謀論を許容するな。を言いふらすことになるからだ」だったが、神谷は振り切った。私も直接言われたが、「陰謀論スピリチュアルネットワークビジネス、そういうものを許容しないと広がりがい」が神谷の言だ。事実、そちらの方向に振り切ってから、参政党の勢いは加速度がついて広がった。

…この党、確かにいいことも言っている。…しかし、ある補者と熱狂的な支持者が「コロナウィルスは波動で治る」と訴えているのが聞こえてきたら、他人のフリをしたくなる。参政党は、いいことも言っている。いいことを言っているのではない。極端な「トンデモ」が混ざるので、「いいことも」言っているにすぎないのだ。しかし、参政党に投票するような人は、「いいことを」と「いいことも」の区別はつかない。ここに参政党のリアリズムがある。

渡瀬KAZUYAファンなら、「コロナウィルスは波動で治る」「アメリカ大統領選で不正が起きたので、フランクフルト米軍CIA銃撃戦を起こした」「プーチンディープステートと戦う光の戦士だ」式のトンデモには耐えられない。しかし、そこに振り切ったのが参政党のリアリズムだ。

参政党はトンデモではない。振り切ったトンデモだ/倉山満の政局速報exit

アドバイザー等

吉野敏明
元党共同代表。歯科医師。通称「よしりん」。1967年神奈川県出身。
全身の周波数や生体磁場エネルギー読み取る装置「メタトロン」の波動計測により、精的な情動が数値化され、東洋医学五行説に基づく診断と適切な治療が行えるとする説を提唱・実践している。
また、新型コロナウイルス感染症の流行後は、2022年参院選で党の例区補となった武田邦彦らと共にコロナ懐疑の急先鋒としてネット上でを広げており、「戦前日本に存在しなかった小麦食によって日本人にがんが増えた」として「小麦悪玉論」をするなど[9]コロナ非脅威論・反ワクチン論を初めとした党のユニークな医療政策や農業政策の理論的支柱となっている。2022年参院選では例区から出し、党内個人票4位で落選。参院選後にボードメンバーを退任し、外部アドバイザーに転じた。
な著書に「量子波動器メタトロンのすべて」(ヒカルランド)など。

その他、党のアドバイザーとして、政治ブログ「ねずさんのひとりごと」の著者・小名木善行、反ワクチン論の旗手の一人として知られる大阪市立大学名誉教授井上正康、同じく反ワクチン論の論客であり地球温暖化懐疑論の提唱者としても知られる武田邦彦らが名を連ねている。

また、党の政治塾的な立ち位置である「参政党DIYスクール」の講師として、旧皇族竹田恒泰、元航空幕僚長の田母神俊雄愛国文化人のケント・ギルバートなど、右論壇の人士を多数えている。ただし前述の離党した京本和也政治評論家倉山満など、右論壇の中で参政党に批判的な意見も一定数存在している。

地方議会議員

2022年8月時点で9人の地方議会議員が所属している。なお、9人いずれも直近の選挙所属又は他党認で当選しており、参政党認で選挙に出当選した議員は現時点ではいない。

なお、神谷事務局長会長を務め、スタンス的に重なるところの多い「プロジェクト」には250人の地方首長・地方議員が所属している。

雑記

関連動画

関連商品

関連コミュニティ・チャンネル

関連リンク

関連項目

脚注

  1. *総務省の政治団体名簿exitによると、設立届出日は2020年3月17日
  2. *令和2年分政治資金収支報告書exit参照。
  3. *参政党 党大会2022exit
  4. *なお、神谷事務局長が経営する「イシキカイカク株式会社exit」でも愛国教育セミナーの講義DVD一式を240,000円で販売するなど強気の値段設定を取り入れている。
  5. *なお、供託金収額は1億6500万円中1億4400万円となった。
  6. *例えば2022年の党大会は一般参加可のパネルディスカッションや演奏メインで、冒頭に一般党員・運営党員を対として行った「党総会」が実質的な議決機関としての党大会となった。なお前述のとおり党員でも参加料められた。
  7. *よくある質問 | 参政党(2021年12月29日時点のアーカイブ)exit
  8. *参政党を信じられないあなたへ​ - 神谷そうへい(カミヤソウヘイ) | 選挙ドットコムexit
  9. *今こそ「医食同源」に立ち返る時!!exit
  10. *市有施設貸与 広がる波紋 私塾開設など「加賀プロジェクト」exit
この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

急上昇ワード改

最終更新:2024/03/19(火) 14:00

ほめられた記事

最終更新:2024/03/19(火) 14:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP