反物質とは、ある物質と比べて質量と角運動量が同じで、電荷などの性質が全く逆である物質である。
陽子・電子・中性子などの粒子に限定して「反粒子」と呼ぶ事もある。
原子は陽子・中性子・電子に分解する事が出来る。原子の種類の違いは含まれる陽子・中性子・電子の数が違うだけであり、「陽子と中性子と電子から出来ている」と言う点はどの原子でも一緒である。
陽子・中性子・電子の反粒子同士で構成された原子、すなわち「反原子」も存在する。
反物質の例としては、例えば電子は1個あたりで以下のような性質を持つ。
である。
電子の反物質、「陽電子」は電荷のプラスマイナスが逆なだけで他は電子と同じと言う粒子。
なお電荷的に中性である中性子などを含めた、あらゆる物質に対してそれぞれ反物質が存在し得る。
20世紀初頭ではあくまで仮説の上での存在であった。
最初に可能性を提唱されたのは上記の陽電子であり、「電子と全く同じ質量・電荷を持ちながら、正の電荷である粒子」の存在が示唆された。と言っても当初はこれは陽子の事であると考えられており、反物質と言う概念が出来たのはもう少し後である。(陽子と電子では質量がおよそ1836倍も違うのだが、この質量の違いについては未解決問題として後に回してしまっていた。)
電子に対応する正の電荷を持つ粒子は質量も同じはずである、と言う指摘は当時からあったが、上記の陽電子の存在を示唆する研究が発表された1930年の2年後、宇宙線の研究の中で陽電子が実際に発見され、「正の電荷を持った電子」として「陽電子」と命名される。
それからしばらくして1955年、粒子加速器の研究において反陽子と反中性子が発見される。
さらに1995年には反陽子1個と陽電子1個を組み合わせた物質、すなわち「反水素」を生成することに成功している。
反物質は、対になる反物質と接触すると消滅する。これを対消滅と言う。
詳しくは対消滅の項を参照。
ビッグバン直後の極めて高いエネルギー状態の宇宙では、おびただしい量の物質と反物質が生成と消滅を繰り返していた。エネルギーからは物質と反物質が必ず同数生まれる。なのでこのままでは全て対消滅して消えてしまうはずである。ところが物質と反物質には性質に極々僅かな違いがあり(CP対称性の破れと言う)、これにより極々僅かな物質だけが生き残った。今あるすべての物質はこれら生き残りの物質である。
反物質のうち、比較的質量の小さい陽電子を得ることは実はあまり難しいことではない。放射性物質の中には陽電子を放出するものが多く(カリウム40が代表的)、実験で少量だけ必要な場合や、医療用の陽電子断層撮影診療にはこれらを用いる。加速器実験などで大量の陽電子が必要な場合は、強力なレーザーを金属に照射することで得られる。
ところが、質量が陽電子とは比較にならないくらい重い反陽子などの場合は、これらの手法は使えない。現在のところ加速器で加速させた陽子を金属にぶつけ、稀に発生する反陽子を少しづつ集めることしか方法がない。
遠い未来、遠方の惑星や他星系などへ人類が進出するためには反物質を用いた推進機関が不可欠になってくる。これらの燃料となる大量の反物質を生産する方法として『真空の対生成』が考えられる。
“真空”は全くの“無”ではない。ミクロの世界では量子論的効果により“存在という概念”自体が揺らいでいるため、無数の物質と反物質が生成と消滅を繰り返している。ただこれらのプロセスがプランク時間(5.39106×10−44 秒)、プランク長(1.616199×10−35m)の範囲内で起きているためマクロの世界からは“観測されない”だけなのである。これらの粒子を“仮想粒子”と呼び、真空はこれら仮想粒子で満たされている。
ところが、真空に超強力な電界をかけると仮想粒子の中の物質と反物質を引き剥がし、マクロの世界に連れてくる事ができる。具体的には超強力なレーザーを収束して、発生する電界を用いて真空から反物質を取り出し、磁場で選り分けるという手法が考えられている。この手法なら質量の大きい反陽子も量産可能である。
ただし、現在存在するどんなに強力なレーザーでもこの手法に使うには出力が小さすぎる。将来的には太陽光をエネルギー源にとするレーザーを多数搭載した工場を可能な限り太陽に近い軌道にのせて反物質を生産させようというプランが存在する。
掲示板
92 ななしのよっしん
2022/12/06(火) 18:45:52 ID: Z9XgFuxoJg
ファミコン『銀河の三人』に出る[反物質ミサイル]は?
ガルム空母は、これが無いと撃沈できない。
93 ななしのよっしん
2023/03/06(月) 21:47:19 ID: MaRFR6aRdj
実は自然の落雷で普通にポコポコ発生している反物質。
https://
94 ななしのよっしん
2023/09/28(木) 23:50:11 ID: wEe8DZ19Dk
物質と対の性質を持つ「反物質」が重力に従って落ちることがCERNの実験で判明して反重力が否定される
https://
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最終更新:2024/10/07(月) 04:00
最終更新:2024/10/07(月) 03:00
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