コソウ
古筝(こそう、グージョン)とは、中国大陸で使用されているツィター属の撥弦楽器である。
古筝はロング・ツィター属の撥弦楽器で、主に中国大陸で使用されている。同種の楽器は東アジア各国で使用されており、日本の箏、朝鮮半島のカヤグム、ベトナムのダン・チャイン(弾箏)、モンゴルのヤトガなどと祖先を同じくする。弦数は17~25弦(主流は21弦)、弦の材質はスチール弦にナイロンを巻いたものを使用する。音量は大きく豊かなサスティンを有する。
古代中国では横置きツィター属を構造によって区別して呼んでおり、柱が無く七弦のものを「琴」と呼び、弦を柱で支える構造の楽器を指して「瑟」と呼んでいた。古筝の原型である「筝」は「瑟」を小型化したものであり、春秋戦国時代の秦国で発生したとされている。「筝」が発生した際の伝説として、姉妹が「瑟」の取り合いをしたため、2つに分割して与えたという逸話が残されている。
その後、各国に伝播した「筝」はそれぞれの地域の嗜好に合わせて発展を遂げてゆく。そして改良が行われたのは中国大陸でも同様であった。
「筝」は中国大陸においては音量の拡大及び豊かな音色/サスティンを目指して進化した。特に1950年代以降の変化は大きく、当初12~13弦、絹弦だったものが弦数は次第に増大し、材質も金属に変更された。そして名前も「古来からある」という意味を込めて「古筝」と呼ばれるようになった。現在の「古筝」は当初の「筝」とはまったく別物といっていい。
現在、「古筝」を日本で紹介する際、「日本のお琴(箏)の祖先」と紹介されることが多い。しかし、「筝」が日本に伝来してから既に1000年以上が経過しており、その後両国で別個に進化を遂げていることを考えれば、「古筝」と「箏」は兄弟の間柄と捉えた方が実情に近い。ちなみに、日本の箏、特に雅楽の楽箏の方が当初の「筝」の特徴を良く受け継いでいる。
鼈甲や水牛角で作った義爪を医療用テープで指の腹側に付けて演奏する。弦は日本の箏と同じく五音音階に調弦されているが、弦の間隔が狭く弦の材質も異なるため、奏法、演奏感はかなり異なる。(調弦は同じ五音音階でも日本の俗箏は陰旋法、中国の古筝は陽旋法を使用する。日本の楽箏は古筝と同じ陽旋法。)特に他の同種の楽器と比べて弦の張力が極めて高く、豊かなサスティンと音色を得られる代わりに演奏に筋力と技量を要する。
奏法としては弦の材質と強力な張力を活かしたグリッサンド及びトレモロに関連する技法が発達している。また、中国楽器らしく弦の張力変化によるポルタメント奏法も多用される。これらの奏法により、他の同類の楽器より装飾性の強い、華やかなイメージを与えることが多い。
古筝は中国、台湾、香港、シンガポール等、主に漢族が居住する地域で普及している。日本の箏のような流派は存在せず、中国では音楽大学に専攻科を設置して教育を行っている。その他、いわゆるカルチャースクールのような形でも教育が行われている。日本におけるピアノの教育をイメージすれば分かりやすい。
普及地域では、古筝はピアノやギターとともに楽器屋に売られている「普通の楽器」であり、おおよそ「伝統楽器」というイメージは無い。価格は5万円ぐらいで相当に高品質な楽器が買え、子供の習い事として良い選択肢の一つになっている。
なお、中国において古筝は二胡よりもメジャーであり、専攻科の設置も早かった。日本でなぜ二胡の方がメジャーになったのか、中国人の中にも興味を持つ人がいる。
二胡に比べると動画数は少なく、ニコニコ動画での認知度は高くない。
手軽に古筝の音色を楽しむなら、各社より発売されているソフト音源が良い。
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最終更新:2021/01/17(日) 05:00
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