呂不韋(りょ・ふい ? ~ 紀元前235年)とは、中国の大商人から戦国時代末期の秦の国の相国(宰相)となった人物である。秦王朝を建国した中国史上最初の皇帝となった「始皇帝」の実の父親とする説もある。
また、秦の次の王朝である漢王朝の初代皇后となった呂雉(リョチ)の祖父とする説もある。
この二つの説が正しい場合、中国史上最初の皇帝6人のうち5人までが彼の子孫ということになり、中国史最大のキングメーカーといえる存在といえる。
紀元前3世紀、中国は長い分裂時代である春秋戦国時代の後半にあたる(中国の)戦国時代の末期にあたった。この時代には、西にあった秦国が群雄たちが抜きんでる存在となっていた。
秦国には名君である昭襄王(しょうじょうおう)が王として君臨し、名将の白起(ハクキ)、賢宰相の范雎(ハンショ)を擁していた。
紀元前262年に、秦は、軍事大国である趙との戦いに入っていた。この戦いに秦が勝利すれば、天下の形勢は大きく秦に傾くことに間違いなかった。
呂不韋は、この戦国時代を生きる大商人であった。呂不韋の父もまた、商人であったと思われる。
商人は中国古来の存在であったが、呂不韋のような大商人が目立ちだしたのは、戦国時代の中頃からである。この時代に利益を独占することをさす「壟断(ろうだん)」という言葉も生まれている。
この時代の商人は「物をできるだけ安く仕入れて、できるだけ高く売ることで利益を出す」手段で利益をあげていた。時をかえ、場所をかえ、物の価値と相場を見極める「眼力」と値上がりを待つ「忍耐力」、思い切って売り出す「決断力」、それにすぐれていなければ大商人となることはできない。
物を転売するだけといっても、当時は戦乱の世である。物を購入して、移動して、利益を出すことは並大抵の苦労と才覚では困難であった。呂不韋はそのような才覚を有した人物であった。
呂不韋は元々は小国である「衛」の国の都であった「濮陽(ボクヨウ)」の出身であったが、移住して戦国の群雄の一つである「韓」の都があった「楊翟(ヨウテキ)」という土地で財をなしたと考えられる。
呂不韋はまた、商業のために、趙の都である「邯鄲(カンタン)」の土地を訪れていた。邯鄲は、韓や魏の国が存在する中原までの南北に延びる大きな道と、東は斉の国、西へは秦の国へと東西に延びる大きな道の交差点にあたる交通の要衝(ようしょう)にあたる大都市である。
邯鄲の都市の大きさも中国有数の大規模なものであり、多くの物資が集まるため、天下各地から商人が集まる商業都市であった。呂不韋は父とともに、この邯鄲に大きな商売を求めてやってきていた。
だが、呂不韋には悩みもあった。商売の物資の移動には時間もかかる。また、途中で各地の軍や賊に襲われる恐れもあった。
「もっと安全に確実に大きな利益を出す手段がないか」
呂不韋は、そんなことを、いつも考えていた。
もっとも、邯鄲にきている呂不韋には、別に楽しみなこともあった。趙の土地では、大きな家の娘でありながら、歌や舞、琴に長けた美女たちが、金持ちの男性を求めて言い寄ってくるらしい。
大商人とはいえ、当時は身分が低い商人である呂不韋としては、大きな家と縁が結べる機会でもある。何重の意味でも楽しみなことであった。
呂不韋が邯鄲に滞在している時、やはり、そのような女性と知り合う機会があった。その中でも特に、容姿と舞にすぐれた女性を家にいれた。彼女の実家はやはり大きな力を持っていた。この女性は後に「趙姫(チョウキ)」と呼ばれることとなった。
ただし、呂不韋は邯鄲において、父とともに、大きな商売の機会を探すことは決して忘れなかった。
ある日、呂不韋は、大きな商機につながる秦国に関する情報を知った。
秦国の王は上述した通り、昭襄王といったが、その後継者の太子となる「安国君」には20人以上の息子がいた。そして、安国君の正妻である后(きさき)となる華陽夫人(かようふじん)には子がいなかった。
さらに、邯鄲には「安国君」の男子の一人である異人(イジン)がいた。異人は秦が趙へ送った人質であるが、前述の通り、秦と趙は交戦状態にあり、異人はいつ殺害されてもおかしくはない。
この二つの情報を結び付けた呂不韋は「奇貨居くべし(珍しい宝物はためこむべきである)」とつぶやき、さっそく父のところに出かけて話した。
呂不韋「田畑をたがやして得る利益は何倍でしょう?」
父「十倍だな」
呂不韋「それでは、玉や財宝を売って得る利益は?」
呂不韋「王のうしろだてになる利益はどうでしょう?」
父「それは計り知れない」
呂不韋はさっそく、異人の元にでかけて、面会をした。
呂不韋「あなたの門を大きくしてあげましょう」
異人は、初対面の呂不韋の不意な発言に失笑する。
異人「まずは、君の門を大きくしてから、私の門を大きくしてくれたまえ」
呂不韋「あなたはご存じないのです。私の門は、あなたの門によって大きくなるのです」
呂不韋はさっそく、語りかける。
呂不韋「秦王(昭襄王)はもうお年です。太子の安国君さまがご寵愛されている華陽夫人さまには子がありません。ですが、異人さまのご兄弟は20人以上いらっしゃいますし、長い間、人質となっておられる異人さまの安国君さまからの寵愛はさほどではないでしょう。異人さまがこのままお世継ぎに選ばれることはないでしょう」
異人「どうすればいいのか」
呂不韋「異人さまは貧しく、親御さまに贈り物を贈り、名のある方と様々な交際をすることはできないでしょう。私が千金をさしだして、安国君さまと華陽夫人さまに働きかけて、異人さまがお世継ぎになる手助けをすることを許してください。成功したあかつきには、異人さまと秦国をともにいたしましょう」
呂不韋が頭を床につけて頼むと、異人は応諾した。呂不韋は異人に500金を与えて、名のある人物と交際させることで名声をあげさせることにした。さらに、500金で、宝物やみやげの品々を買いそろえて、西にある秦の都である咸陽(カンヨウ)へ向かった。
呂不韋は華陽夫人の姉に面会すると、献上品を全て華陽夫人へと差し出した。
呂不韋「異人さまはとても英明な方で、天下中の諸侯や名士と交際しておられます。また、異人さまは、華陽夫人さまを天のようにお考えで、毎日、御父上である安国君さまと華陽夫人さまをお慕いになり、涙にくれておられているのです」
呂不韋のこの言葉を聞いて、華陽夫人はとても喜んだ。そこで、呂不韋は彼女の姉をつたって重ねて語った。
呂不韋「華陽夫人さまは、安国君さまのご寵愛が衰えないうちに、安国君さまのご子息から孝行な方を我が子として、お世継ぎにお選びになってはどうでしょう? 子楚さまは大変すぐれたお方ですが、年長ではありませんので、お世継ぎに選ばれないことはご存じでしょう。子楚さまの実の母親は、安国君さまのご寵愛はなく、華陽夫人さまをお慕いされています。異人さまをお世継ぎにされれば、華陽夫人さまは秦国でめでたく過ごせましょう」
華陽夫人は同意して、安国君に対して、異人をほめたたえ、泣いて、子楚を世継ぎにするように願った。安国君は、華陽夫人と異人を後継にすると約束する。二人は、異人に贈り物をするとともに、呂不韋に守り役になって欲しいと依頼した。異人は、名を「子楚(シソ)」と変えるようになった。
このため、「子楚」と名を変えた異人の名声は諸侯の間で高まった。
紀元前260年、邯鄲にもどった呂不韋が子楚(これからは「異人」ではなく、「子楚」と表記する)を屋敷に呼んで宴会をすると、子楚は、宴会の席にいた趙姫を見て惚れてしまった。子楚は、呂不韋にお礼を言うとともに、趙姫を妻として譲ってほしいと頼む。
呂不韋としても、趙姫は大事な女性であった。怒りをおぼえたが、今までの投資を考えて思い返し、趙姫を譲ることにした。趙姫は子楚の夫人となった。
同年夏、秦と趙の「長平の戦い」に決着がついた。秦の将軍であった白起が大勝利をおさめ、趙の将軍の趙括(チョウカツ)は戦死し、降伏した40万人以上が生き埋めとなった。邯鄲にいた子楚はまた、微妙な立場となった。
紀元前259年、趙姫の子として、嬴政(エイセイ、後の始皇帝)が生まれた。呂不韋が趙姫を子楚に譲ってから12か月が経っており、ほとんど可能性はなかったが、後世では、嬴政は呂不韋の子であるという話も残ることになった。
※呂不韋と始皇帝が実の親子説については、wikipediaの「始皇帝」項目の「実父に関する議論」と「呂不韋」項目を参照。
紀元前257年、邯鄲は秦軍により包囲される。趙国では子楚を殺害しようとする動きがあった。
呂不韋は、600斤の金を監視の役人にばらまき、子楚とともに邯鄲を脱出して、秦の軍に入り、そのまま、咸陽まで同行する。
趙姫と嬴政をやむをえず、邯鄲に置いていくことになったが、元々、大きな家の娘であった趙姫は一族にかくまわれ、この母子は無事で済んだ。
紀元前251年、子楚の祖父である秦王・昭襄王が75歳で死去する。安国君が秦王となり、「孝文王(コウアンオウ)」となり、華陽夫人が后に、子楚が太子となった。秦の太子である子楚の夫人にあたる趙姫と、長子となる嬴政は、趙から護衛をつけて呼ばれることとなった。
すでに高齢だった孝文王が、即位後わずか3日で死去したため、太子であった子楚が、秦王に即位する。子楚は秦王である「荘襄王(そうじょうおう)」となった。趙姫と嬴政は無事に咸陽に着いた。
この6年、咸陽において、呂不韋は、子楚の補佐役として優れた活躍を見せていたようである。子楚の呂不韋への信任は厚かった。
あの華陽夫人は荘襄王の母として、「華陽太后」となり、荘襄王の実母であった夏姫も、「夏太后」となった。
さらに、趙姫は荘襄王の后(正妻)となり、嬴政は太子となった。
全ては呂不韋の思い通りであった。
紀元前249年、呂不韋は秦の丞相(じょうしょう)にとりたてられる。爵位も最高の「徹侯(てつこう)」が与えられ、「文信侯(ぶんしんこう)」に封じられた。そればかりではなく、河南の洛陽(ラクヨウ)付近の十万戸の土地が与えられた。
まさに大成功であった。各国の王を除けば、呂不韋以上に栄達した人間など天下のどこにもいない。呂不韋の「奇貨」への投資の利益は、千倍をはるかに超えた。
呂不韋は、荘襄王を助けて、他の六国(斉、楚、趙、魏、韓、燕)を討伐することにした。中国が多くの国に分かれていることは商売にも不便であった。呂不韋は、天下の人々の声をよく知っていた。各国に通じている呂不韋は、討伐軍の指導者としても、優秀であったと考えられる。
紀元前249年、秦軍は、まず、韓を討ち、滎陽(ケイヨウ)などの土地を奪った。その土地を秦の直轄にして、「三川郡(サンセングン)」を置く。これで、韓は本当にただの小国となり、魏の都である大梁(ダイリョウ)にも攻めやすくなった。
紀元前247年、将軍である蒙驁(モウゴウ)に命じて、魏と趙を攻略させた。蒙驁は37城を落としてきた。
「長平の戦い」の時に奪った「上党(ジョウトウ)」で反乱が起きたため、将軍の王齕(オウコツ)に鎮圧させた。さらに趙から奪ってきた土地に、秦の「太原郡」をおいて、直轄地とした。
だが、まだ、30代の若さであった荘襄王が死去してしまう(余りの急死に呂不韋の暗殺説があるが、強い根拠はないため、ここでは採用しない)。
だが、荘襄王の后である趙姫はかつての呂不韋の妻であり、太子である嬴政も呂不韋のおかげで、父とともに救われた人物であった。あるいは自分の本当の息子である可能性もあるかもしれない。彼ら父子が秦王になることができたのは、呂不韋の力によるものであった。
「あの母子が頼りにするものは自分しかいない。かえって自分の立場はさらに盤石になったのではないだろうか」
呂不韋はそう考えたかもしれない。
この時、呂不韋は自分の運命に暗雲が立ち込めたことを知ることはなかった。
太子であった嬴政は、わずか13歳で秦王に即位する。嬴政の後見となる太后となった趙姫は、秦につてがあるはずもなく、呂不韋が政治の実権を完全ににぎった。
呂不韋は「丞相」より一段上の「相邦(ショウホウ)」に任じられた。また、秦王・嬴政から「仲父(ちゅうほ、「父につぐ者」の意味)」とも呼ばれるようになる。これは、かつて「春秋の五覇」と呼ばれた斉の桓公(かんこう)が、宰相の管仲(カンチュウ)を「仲父」と呼んだ故事にならったものである。
呂不韋の権勢はさらにうなぎ上りであった。呂不韋の召使いは一万人を越えるほどとなった。
呂不韋は当時、名が高かった戦国の四君(斉の孟嘗君(もうしょうくん)、趙の平原君(へいげんくん)、魏の信陵君(しんりょうくん)、楚の春申君(しゅんしんくん))に自分も負けまいと考えて、有能な人材を「食客(しょっかく、個人的な顧問や私兵となる人物たち)」として集めた。食客は三千人までのぼった。
呂不韋の食客には12歳になったばかりの甘羅(カンラ)のような人材もいた。甘羅は、趙を説いて、口先だけで、趙の国の城を5つ、燕の国の城を11、獲得するほどの活躍をしていた。
また、呂不韋は文芸の才能にすぐれた食客たちに、学び伝えていることを記させた。この時代は、多くの諸子百家(しょしひゃっか)の書物が天下に広まっていた。秦でも、彼らに負けない書物を編集する必要がある。
だが、この頃、呂不韋は大きな過ちを犯してしまう。
宮廷で趙姫と会う機会が増え、元々は夫婦関係であったこともあって、密通を行うようになった。
元々から未練があったのか、久しぶりに会って情がわいたのか、未亡人になった趙姫への同情か、秦王の母となった趙姫の心をつなぎとめようと思ったか、趙姫から望まれて断れなくなったか、理由は分からないが、この密通は繰り返された。しかも、少なくとも途中からは趙姫の方から求めるようになった。
秦王が大きくなれば、いつかは知られてしまう。だが、いまさら、関係を断てば、太后である趙姫がどのようにするか分からない。そうなれば、災いが自分と一族の身に及ぶであろう。
呂不韋は悩んだ。
そこで、呂不韋は「ちんこ」が巨大という評判のあった嫪毐(ロウアイ)という人物を探し出してきた。呂不韋は彼を舎人(しゃじん)にして、宴会を行わせた。
「舎人」とは、食客の一種であるが、貴人や高官の家に仕えて様々なことを行う「召使い」に近い存在である。しかし、「召使い」といっても、その実、地位は低いとはいえ、「側近」というべき立場でもあった。
才能がすぐれた舎人は、主人の保証を得て、宮廷に推挙され、「郎(ろう)」となる。「郎」は「郎吏」や「郎中」、「郎官」とも呼ばれ、宮中の警護をその任務とするが、王に近く、王の「側近」にもなりやすい立場であった。さらに、王に抜擢されることとなれば、宮廷の大臣や官僚になることも夢ではなかった。
嫪毐はその宴会の場で、「ちんこ」で車の車輪に持ち上げて歩く芸を披露する。その噂が趙姫の耳に聞こえるようにすることで、趙姫が興味を示すようにさせたのだ。さらに、嫪毐は趙姫と同じく邯鄲出身であることも都合がよかった。
果たして、趙姫は嫪毐に興味を示し、自分に欲しいと、呂不韋に所望してきた。
呂不韋は、嫪毐を宮中に仕えさせて、趙姫に「嫪毐は、腐刑(ふけい。ちんちんが切られる刑、『史記』の著者である司馬遷も受けたことがある)を受けたものということにしてください。そうすれば、給事中(きゅうじちゅう)という役職につけることができ、側に置けるでしょう」と語る。趙姫が同意すると、呂不韋は部下に、嫪毐は腐刑の罪があると告発させる。
趙姫は、腐刑担当の役人を買収して、嘘の判決をくださせた。嫪毐は、ひげと眉を抜いて、去勢した男性であるとして、宦官(かんがん、宮廷の中に仕える人物。この時代は必ずしも去勢したとは限らないところは注意)として、趙姫に仕えることとなった。
趙姫は嫪毐を寵愛し、密通を重ね、妊娠までしてしまう。そこで、趙姫は占いのおつげがあったという理由で、咸陽から、かつての秦の都が存在した雍(ヨウ)の離宮に移る。
なお、呂不韋はこのようなことばかりをしていたわけではない。秦のために人材も抜擢していた。呂不韋の「舎人」の一人に、楚の国出身の李斯(リシ)という人物がいた。
李斯は、儒家の大家である荀子(じゅんし、「性悪説」で知られる)の弟子であり、師の考えを、「帝王のための学問」としておさめていた。その考えは師とは異なり、法律により国を治める「法家」思想の傾向が強かった。楚では未来はないので、秦に来たという。
呂不韋は、「文章」と「文字」、「法家思想」にすぐれた李斯の才能を見出す。ただ、元々は商人である自分には李斯の才能を充分に発揮させることはできない。そのため、「法家思想」に大いに興味を持っているという秦王・嬴政の「郎」として、推薦する。
李斯は、嬴政に各国の侵略を行うための計略として、「策士に財宝を持たせて、各国の重臣・名士を買収させ、秦に都合のいい存在にする。買収に応じない時はその家臣を暗殺する。そうやって、各国の君臣のきずなを失わせたうえで、名将に兵を率いらせて、各国を攻撃して滅ぼす」という献策を行う。
なんとも陰湿な策略だが、嬴政と呂不韋は、李斯のこの献策を採用する。東にある六国は内部に亀裂が生じ、秦に内通する六国の家臣は増えてきた。
この功績で、李斯は客卿(他国出身の大臣)となり、朝廷に参列するようになった。
呂不韋としては、秦のためにまた功績をあげたつもりであったが、この時、まだ十代であった秦王がこのような策略に抵抗がないことにもっと注意すべきであったかもしれない。
紀元前244年、将軍の蒙驁に命じて、韓を攻めさせ、13城をおとす。
紀元前243年、秦においてイナゴの害が大きく、千石の穀物を納めた人物の爵位を1級あげる。同年、魏では秦軍に何度も勝利している信陵君が死去する。
紀元前242年、恐れるものがいなくなった秦では、将軍の蒙驁に命じて、魏を攻めさせる。20城を奪い、秦の直轄地として「東郡(トウグン)」を設置する。
紀元前241年、斉を除く五国連合軍が秦を攻撃するが、函谷関(カンコクカン)と蕞(サイ)において撃退する。さらに、魏を攻めるとともに、呂不韋の出身国であった衛を支配する(ただし、名目上は衛は存続している)。
この頃になってくると、趙姫の側にいる嫪毐の権勢が強まってきていた。趙姫は様々なものを嫪毐に与え、雍における宮廷のことは全て、嫪毐が決めるようになってしまった。嫪毐の召使いは数千にもなり、嫪毐によって官職にありつこうと舎人となるものが千人にものぼった。
嫪毐の権勢は呂不韋と並び、秦の人々は、「嫪氏につくか、呂氏についか」というほどにまでなっていた。嫪毐もまた、なかなか才覚があったらしく、ただ、「ちんこ」がでかいだけの男ではなかった。
呂不韋としてみれば、趙姫も嫪毐も元は自分と関係が深い人物たちである。彼らが大きな権勢を持つことは自分にとって悪いとばかりも言えない。それゆえにか、このことは大きな問題にしなかった。
紀元前239年、嬴政の弟にあたる成蟜(セイキョウ)が反乱を起こすが、すぐに鎮圧される。呂不韋としては、秦王である嬴政の秦王の座は守らねばならない(成蟜はおそらくは趙姫の子ではない)。この事件は嫪毐が権力を伸ばしていることと関係があったかもしれないが、呂不韋はそのようには考えなかったと思われる。
大勢の食客たちに書き記させていた書物が、ついにまとまった。その書物に自分の名をつけて、『呂氏春秋』(もしくは『呂覧』)とした。『呂氏春秋』は、二十余万字にのぼり、「十二紀」、「八覧」、「六論」と章だてを行ったうえでまとめられ、公表されることになった。
呂不韋は大喜びで、「天地、万物、古今」全てに関することがらがこの書物に備わっているとまで豪語し、咸陽の市場に展示をして、「一字でも不足の分を加えるか、余分の部分を削ることができる者には千金を与える(『一字千金』の故事)」と告示する。
結局、そういった賞金を得るものはなかったが、こういった思想や文学作品をやはり金での価値に換算するところに、呂不韋の商人出身者であるという「現実性」と「思想の浅さ」があらわれているとも言えた。(呂氏春秋は、「呂氏春秋について」において後述)
だが、呂不韋には失敗もあった。
この頃、鄭国(テイコク)という人物に、秦の本拠地である関中(カンチュウ)の原野に水を引くため、経水(ケイスイ)という河から大規模な約150Kmにも及ぶ灌漑(かんがい)用の水路の工事を行なわせていた。
しかし、鄭国は、実は韓のスパイであり、「秦の国力を使い、東への侵攻を遅らせるために工事を行わせている」と発覚した。
鄭国は確かにスパイであったが、この灌漑工事が完成すると、秦の利益になると主張した。呂不韋は、秦王・嬴政と確認し、その言葉を正しいと判断し、工事を継続させた。
これは、完成後に鄭国の言葉通りになり、この長大な水路は、「鄭国渠(ていこくきょ)」と呼ばれるようになった。鄭国は「私は韓のために数年の命をのばしたが、秦のためには万代の功績を立てた」と語ったと伝えられる。
ただし、政治の実権を握っていた呂不韋としては、鄭国が韓のスパイでありながら、これだけの大工事を任せたのは、確かに失敗であり、それを知った上で、鄭国に灌漑工事を任せ、呂不韋を不問とした嬴政にその大器を見出すべきではあった。嬴政はもう21歳になり、翌年には加冠(かかん、成人に達すること)を迎えてしまう。
しかし、呂不韋はその権力の座をいまさら降りるわけにはいかなかった。
この年、あの嫪毐は、「徹侯」となり、「長信侯」に封じられる。嫪毐は、山陽(サンヨウ)と太原に広大な領地を与えられた(この土地は、「毐国(あいこく)」という嫪毐の名がつけた国となったとする説もある)。
呂不韋の秘密を知り、共犯者となった嫪毐はすでに、簡単に始末ができる相手ではなくなっていた。
しかし、嫪毐は、賭博の席で口論になり、「俺は秦王の仮の父親だ。お前らが俺と張り合うつもりか!」と叫んだと伝えられるような人物である。秘密がいつまでも守られるはずもなかった。
紀元前238年、嬴政のもとに「嫪毐は去勢者ではありません。以前から、太后(趙姫)と密通しています。子供も二人まで生まれているのです。それを全て隠した上で、秦王が亡くなられた後に、その子を秦王にしようとたくらんでいるのです」という訴えがあった。
嬴政は、母の趙姫がからみ、権勢ある嫪毐に関することであるため、慎重に側近たちに調査させたが、事件は公にはしなかった。だが、嫪毐がこのことを聞き知った。
この時の嬴政は、成人のための加冠の儀式を行うため、趙姫のいる雍城に向かった。雍はかつて秦の都が存在したところであり、代々の秦公や秦王の「陵墓(りょうぼ)」や「宗廟(そうびょう)」がある。加冠の儀式は、先祖の霊が祭られている宗廟で行う必要があった。
嬴政としては、雍城にいる趙姫と嫪毐の同行を調べるにも便利であった。嬴政は楚の公子(王族)であった昌平君(ショウヘイクン)と昌文君(ショウブンクン)をともない、雍城に着く(なぜ、楚の公子が嬴政の腹心であったかは不明であるが、一説によると、嬴政の正妻は楚の王族の出身とする。また、嬴政の義理の祖母にあたる華陽夫人が楚の出身であり、その縁戚であるという説もある)。
嫪毐は反乱を決意して、秦王(嬴政)と太后(趙姫)の玉璽(ぎょくじ)を偽造して、兵を集め、蘄年宮(きねんきゅう)という秦の離宮で反乱を起こした、だが、嬴政は、すぐに昌平君と昌文君を派遣して、討伐させる。嫪毐は敗れて逃走した(嫪毐は咸陽で敗れたという記述が史記の別箇所にあるが、この記事は『史記』呂不韋列伝による)。
嫪毐は好畤(コウジ)という土地で追いつかれ、捕らえられた。嫪毐は「車裂き」の刑となり、一族も処刑された。反乱に加担した役人20余名は全てさらし首となった。さらに、四千人以上いた食客は、財産没収の上、家族ごと、へき地の蜀(ショク)に追放となる。
趙姫はさすがに反乱に加担したわけではなかったが、このような人物に大きな権力を持たせた責任は重大である。嬴政は、趙姫を雍城にとじこめ、父違いの弟(もしくは妹)にあたる二人の子も処刑した。
だが、嬴政の追及は、趙姫と密通し、嫪毐を推薦した呂不韋にも及ぶこととなった。
事の真相を知った嬴政は、「相邦」である呂不韋も罰しようとする。しかし、呂不韋の秦に対する功績は余りに大きかった。また、多くの食客と交遊を持つ呂不韋には、たくさんの名のある人物や弁士が弁護を行う。
そのため、嬴政も、呂不韋も無理に厳しく罰しようとまでは思われなくなった。
紀元前237年、呂不韋は「相邦」を解任される。だが、趙姫は雍城から咸陽に呼び戻された。嬴政としても母親がからんでいたため、大きな問題にはしにくい部分もあった。
だが、呂不韋は咸陽から追放となり、「文信侯」として、領地である河南に行くこととなった。呂不韋は諸侯からの使者や客人を出迎え、悠々とした生活を送ることにした。
紀元前237年、追放されて1年以上たっても、呂不韋を訪れる諸侯からの使者や客人は絶えることはなかった。政務にいそしみ、天下統一を目指し始めた嬴政から見れば、そのような不安要素は断たねばならない。
嬴政は、呂不韋が反乱や各国へ内通を起こすことを恐れて、呂不韋へ書簡を送った。
「お主は、わが秦王の家にどのような功績があって、秦国が、河南に十万戸も与えているのか。お主はわが秦王の家にどのような血のつながりがあって、『仲父』と号しているのか。一族とともに、蜀の地にいくことを命じる」
呂不韋は、嬴政からのこの手紙を見て、自分の権勢はさらに次第に削られるであろうことを察した。このまま、命令に従って、蜀の地に行っても、過去の罪で一族ごと巻き添えになるかもしれない。また、反乱など成功するはずもない。
ついに、呂不韋は覚悟を決めた。
嬴政は、呂不韋と嫪毐、どちらも死んだため、蜀の地へ流していた嫪毐の舎人たちを故郷に帰すことにした。
かつての鄭国、そして、呂不韋と嫪毐の事件により、秦人の外国出身者に対する批判が強くなり、「逐客令(ちくきゃくれい)」という命令がだされ、外国人は秦から追い出されそうになった。
しかし、かつて呂不韋が嬴政に推薦した李斯が、上言して嬴政を諫めたため、とりやめになり、さらに李斯は重用されることとなる。
呂不韋に代わって、秦の政治をとり行うようになるのは、この李斯であった。呂不韋の影響は、秦の「天下統一と繁栄」、そして、秦の「滅亡」に大きく関わっていくことになった。
このようにして、呂不韋は死去したが、その名は一族が流刑となった蜀の土地が、「不韋県」と名付けられることが長い間、残った。
「三国志」で蜀漢に仕えた呂凱(リョガイ)は呂不韋の子孫であると伝えられている。
また、特に史書に記されているわけではないが、漢王朝を建国することになる劉邦の義父となった「呂公(リョコウ、本名は呂文(リョブン))」を「実は呂不韋の子だったのではないか」と考える研究者も存在する。
この場合、当然、呂公の娘であり、漢の初代皇后となった「呂雉(リョチ)」は呂不韋の孫娘ということになる。
呂不韋の嬴政(後に始皇帝)の父親説、呂公の父親説、どちらも正しければ、中国の皇帝制度はじまって以来、最初の六人の皇帝(嬴政(始皇帝)、胡亥、劉邦、劉盈(恵帝)、前少帝、後少帝)のうち、劉邦をのぞく五人までが呂不韋の血を引いていたということになる。
さらに、皇帝制度はじまって以来、最初の二人の皇后(呂雉、張皇后。なお、秦には皇后が置かれていたか不明)もまた、呂不韋の子孫ということになる。
この二説が真実なら、呂不韋は中国史における最大の「キングメーカー」と言える存在であることは確実といえる。
「呂不韋は高貴な身分に出世したが、嫪毐の謀反により、失脚した。孔子の評する「聞(ぶん)」に類する「有名であっても、その内容がかんばしからぬ人物」とは、呂不韋のことであろう」
と、かなり厳しく評価している。
呂不韋は、嬴政(後の始皇帝)が排除したがった「権力を独占し、私欲に用いる臣下」と歴史解説本などで紹介されることが多い。
だが、同時、呂不韋が政治を預かった時代の秦はかなりの発展を見せており、「函谷関の戦い」という危機をのりきっている。さらに、『呂氏春秋』という現代でも残る書物の発行に大きな貢献を果たしている。
また、一介の大商人から、金だけを使って、一国の大臣になった事例は、春秋戦国時代でも呂不韋が唯一であり、大きなロマンを感じる人物でもある。
創作の中の呂不韋は、「権力を私欲に使うところはあるが、老獪で優れた政治力を有する人物」に描かれることが多い。
『呂氏春秋』とは、本文で書いた通り、呂不韋が集めた食客に書かせた文章をまとめて、紀元前239年に刊行した大部の書物であり、現存する。
呂不韋が『呂氏春秋』をまとめることにした主な理由は、文化が発達していたとされる中原各国に対抗して、秦の文化のかさあげをもくろんだことにある。『呂氏春秋』により、秦の国家のイメージはかなりの程度、高まったものと考えられる。
これは呂不韋のもくろみ通りであり、呂不韋の大きな業績の一つと考えてよい。
『呂氏春秋』では、正史『漢書』芸文志では「雑家」に分類される。雑家とは、儒家・道家・法家・墨家など様々な思想がまじった思想という意味であり、いわば百科全書のような書物となっている。
その内容は当時、流行していた「時令」という概念で分類されるが、かなり無理に分類したと思われる部分も多く、後世の書物ではこの形式は受け継がれることはなかった。
『且氏春秋』では全体を貫徹する強烈な思想はないが、その中でも、「孟秋紀」に記される
とする思想は注目される。
秦による六国討伐は、始皇帝一人の考えではなく、呂不韋など多くの秦に仕えた人々の思想や望みであったことが分かる。
「商人」という言葉は、元々、「殷(いん)王朝」の「殷の人」のことを指す言葉であったが、殷王朝の滅亡後、殷の人(周代では「宋」の人)たちが、行商をはじめるようになったため、行商のことを「商」、「行商する人」のことを「商人」と呼ぶことになったことが語源である。
また、店舗販売も含めて商売を、「賈(こ)」とも呼ぶが、そのうち、「商」と「賈」は区別されず、商売全般を表す言葉となった。
商業が一つの生業(なりわい)となったのは、西周時代からであるが、春秋時代から社会的に目立ち始めるようになった。文化が発展した中国の「中原」では、商人の活動が激しくなり、春秋時代では強国であった「鄭(てい)」は商人を保護したため、大商人があらわれ、諸侯や貴族を相手に商売を扱うようになった。
大商人として史実に名を残すものとしては、春秋時代では、越の范蠡(ハンレイ)、孔子の弟子の子貢(シコウ)、戦国時代では、魏の白圭(ハクケイ)が知られる。戦国時代では大商人の活躍が目立ってきた。
商人は、各地方の特産品を、馬車や牛車、船で商隊を組んで、天下を回り、「できるだけ安く買い、高く売って」商売を行った。各国には関所がおかれ、それぞれの国の通行証を持っていなければ、関税を払う必要があった。関税は100分の1か2程度であり、現物か、銭、あるいは穀物で納めた。
関所は、春秋時代は都市国家であったため、国の都の近くにもうけられたが、戦国時代には次第に領土国家に代わり、国境がはっきりしたため、要地や国境に関所がもうけられるようになった。秦の函谷関や武関(ブカン)もそういった関所の一つである。
関税の各国の重要な収入源の一つであり、商人たちは国が一つになることで国境が除かれて、関所などが廃止されることを望んでいたと考えられる。
そういった動きを背景に、呂不韋もまた、天下統一を目指したのかもしれない。
中国の殷代では、殷・西周時代に南海でとれた「タカラガイ」という貝の「貝殻」が珍重され、貨幣として流通しはじめた。
その後、中国では、流通が発展し、商業都市が発達すると、「青銅貨幣」が鋳造され流通するようになり、戦国時代には普及するようになった。
戦国時代では各都市で、競って金属貨幣を鋳造した。その貨幣はその土地や国ばかりでなく、他国でも通用した。銭の表面には、各国の都市の名前が刻まれた。
金属貨幣として、「黄金」も流通し、黄金は「斤」などの重さの単位で計算され、流通した。楚では黄金による金属貨幣も鋳造されている。
呂不韋のような大商人は、かさばる銅貨ではなく、取引に黄金をつかったようである。
中国の戦国時代では都市が発達し、都市の人口も増大した。戦国時代では、各国が軍事力を背景として中央集権を行い、全領土の富を国都に集中させた。そのため、国都は繁栄し、人口も増大することとなった。
有名な都市としては、斉の「臨菑(リンシ)」、趙の「邯鄲」、周の「洛陽(ラクヨウ)」、魏の「大梁(ダイリョウ)」、楚の「郢(エイ)」、韓の「宜陽(ギヨウ)」、秦の「咸陽」などが知られている。
特に、臨菑は7万戸もあり、人口が30万から60万人もいたと推測される。
戦国時代では都市は、「城」と呼ばれ、城壁をめぐらせていた。商業の発達につれて、「市(市場)」が城の中心となっていった。
戦国時代の国都には、すべて大規模な宮殿と祖先を祭る宗廟と役所がつくられ、貴族や官僚の住宅がつらねられていた。そのような支配者にかかわる建物の背後に、「市」があり、職人や商人の店がならんでいた。
「市」では、様々な店があり、野菜やウサギを車につんで売りにくる農民もいた。また、「市」は、遊び場や盛り場などの市民の社交の場、いこいの場でもあった。時には政治運動が行われるようになった。
商業の発展によって、市民の立場は強くなっていった。
上記で書かれたような商業の発達、貨幣経済の発展、商業都市の拡大により、王侯貴族のぜいたくは増え、商人の中でも彼らと同じような生活をするものも増え始めた。
そのような商人は「素封(そほう)」と呼ばれて、尊敬された。「素封」とは、国家に土地を封じられていなくても、その収入の多さで、土地を封じられた諸侯と同等の人物という意味である。
しかし、その反面、農村は、鉄製農具の普及による生産力の増大に関わらず、あいかわらず貧しかった。戦乱が続き、兵役が多く、租税の取り立ては厳しくなり、商業の発展によりかえって、貨幣経済が農村にはいりこんで、農民の生活を追い込んだ。
戦国時代では衣料は自給自足でなくなる商業経済が浸透し、農家の家計が苦しくなるところに、貴族や商人たちによる高利貸しが行われ、農民の生活を圧迫するようになった。
2021年10月において、週刊ヤングジャンプにおいて連載中の作品。
呂不韋は、この作品の主人公である李信(リシン)と嬴政(後の始皇帝)の前にたちはだかる話の「大ボス」的な存在となっている。
史実では、呂不韋はそれなりに嬴政を助けてはいたが、この作品では、積極的に嬴政を排除して、秦の権力どころか、秦王の地位をねらっている。
嬴政は、呂不韋と対立しているため、秦は本格的に他国へ侵攻できず、天下統一に着手できない状態となっている。
そのため、呂不韋との戦いの決着の場面が、この作品のハイライトとなっている。
呂不韋については、始皇帝関係の書籍を読んでもかなり詳しく説明がなされるが、さらに中国戦国時代の商人たちの活動などの時代背景についても調べたい人にはこちらもおすすめである。
内容は比較的、平易であり、陳舜臣『中国の歴史』を読める人なら、すいすいと読める。
比較的、中国の歴史についてもそれなりに人物エピソードを盛り込みながら、歴史の流れの時代説明や文化、商業の発展、諸子百家の思想などについても説明を行い、バランスよく解説がなされている。
この項目でも、「中国戦国時代の商人」、「中国戦国時代の貨幣」「中国戦国時代の商業都市」、「中国戦国時代の農村の困窮」はこの書籍を主に参考にしている。
呂不韋についても、簡略であるが紹介記事がある。
『中国文明の歴史〈2〉春秋戦国』を読んでもっと春秋戦国時代を調べたいと考えた人にはおすすめの書籍。
前半は、中国の人類が生まれたからの考古学を中心とした周代までの説明であるが、難しい場合は飛ばして、先に「第九章 覇者の時代」から飛んでみよう。
春秋戦国時代の具体的な人物エピソードが省かれている分、詳細にその時代の歴史の流れや制度、文化などが説明されている。これを読めば、春秋戦国時代の主要な時代背景については理解ができるであろう。
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最終更新:2024/03/29(金) 07:00
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