呪界とは (ジュカイとは) [単語記事]

呪界とは、

2．夜色Pの初音ミクオリジナル曲、本項にて解説(未公開の要素が多く含まれている)

※一部暴力表現が含まれています。閲覧の際はご注意ください。

概要

夜色Pの9作目となる初音ミクのオリジナル曲で、ホラー表現を用いた暴力や絶望を描いた物語風オリジナル曲。
ニコニコ動画とは別にYoutubeでも公開されているが、ニコニコ動画版ではニコスクリプトを使用したアトラクション要素も含まれている。
また、夜色Pの楽曲で唯一JOYSOUNDで配信されている曲でもある。(歌手名は、m.y.s.f. feat.初音ミク)
また、同曲の世界観を異なる視点から描く外伝作品もある。

呪界・ストーリー

何も変わらない日常、しかしそれは突然終わりを迎える。
原因不明の大規模な爆発、核爆発のようなそれは世界を呑み込んでいき、地上は廃墟と化し人類の大半が死滅した。
辛うじて死を免れた人々は空を見上げるがその空の色はかつてのそれとは大きく異なっていた。
空は血の色のように赤い。
生き残った人々は互いに集まって集落を作り、互いに助け合いながら復興を夢見て生活していた。
しかし突然現れた支配者によって復興の夢は破れ、人類は絶望へと叩き落された。
自ら王と名乗りこの世界を支配した謎の男、そしてその傍らには4人の配下がいる。
彼ら(以後「王族」)は、この世界を支配することを宣言し地上に存在する集落から無作為に選ばれた集落に対して虐殺を行った。
ある者はその場で無残に殺され、またある者は捕らえられた。
捕らえられた者たちは王族の城の地下に「糧」として監禁される。
ある者は人体実験や改造の実験材料に、またある者は王族の食料としてく。

戦争としての呪界

呪界はホラーとしての他にストーリー上から人類対王族という構図としての戦争の物語でもある。
2009 New Mix版の動画では、この視点からビジュアルが展開していく。

物語としての呪界

崩壊後の世界を支配する「王族」と、王族の支配からの解放を掲げて抗う人類で構成する「抵抗軍」の戦いを主に描いている。
物語上に登場する主要人物はVOCALOIDのキャラクターが扮しており、初音ミク、鏡音リン・レン、MEIKO、KAITOは人類と王族の双方に存在、それ以外は人類側(一部例外あり?)のみとなっている。
また初期の頃は、王族は重火器や数多くの特殊兵器を有しているのに対し、人類は剣や弓といった武器しか持っていなかった。

王族
崩壊した世界に突然現れて、圧倒的な力を持って人類を支配した正体不明の種族。
王とその配下4人を中心に構成され、圧倒的な兵力と戦力を有している。
王族は姿形は人間と変わらないが、王と4大配下は永遠の寿命を持ち人間とは桁違いの長い時を生きている。
特殊な力を持ちそれ故に不死身とも言われている。
また、その体の内部に侵入した有害な毒素などを自然中和してしまう特殊な体質をも兼ね備える。

王族の主な人物
・戒頭(KAITO)
崩壊した世界を支配する王で、冷酷さと優雅さを併せ持っている。
人間の心理を巧みに利用することに長け、また戦闘力も桁違いで人間が100人がかりでかかってきても傷一つ負うことなく葬り去ってしまうほどの強さを持つ。

・美紅(初音ミク)
王の4大配下の一人で美しく大胆な体をしており、畜殺班と呼ばれる食料調達班のリーダーを務めている。
性格は冷酷残忍で王族としての仕事の合間を縫っては人間の男を誘惑しては戯れているが、彼女と戯れて生きて戻った者はいない(戯れた後に殺される)、そこから地獄の責め苦になぞらえて「刀葉林姫」と呼ばれている。

・冥子(MEIKO)
王の4大配下の一人で軍事班のリーダー、軍事班は対人類戦における兵器の製造・管理を行っており、拉致した人間に対する襲撃用の改造人間兵器への改造も含まれている。
また冥子は集落襲撃の実行部隊の最高司令官でもあり、自ら指揮も執っている。

・燐(鏡音リン)
王の4大配下の一人で、世界中に張り巡らされたネットワークを使用して情報を流す広報班のリーダーを務める。
ネッワークは、かつて人類が情報を共有する手段として使っていたものだったが王族の支配後は王族が全てを掌握しており、広報班は王族からの情報発信や人類の生活における広報の選別を主に行っている。また、人類が抵抗軍を興した後は抵抗軍に対する懐柔などの扇動も行っている。(集落襲撃の免除を条件とした抵抗軍の情報提供の呼びかけなど)

・煉(鏡音レン)
王の4大配下の一人で人類の活動を監視する情報班のリーダーを務める。
ネットワークは情報発信と共に収集も可能で、人類の監視の他には集落襲撃のターゲットの選出などを行っている。

抵抗軍
呪界暦0006年に王族の支配からの解放を掲げて蜂起した人類で構成する軍隊

抵抗軍の主な人物
(表記中のC.C.は呪界暦を現しており、マイナス表記は崩壊前を意味する、また年齢は第2次抵抗軍が起こされた呪界暦0008年時点のもの)

・藤音未来(初音ミク)－18歳(C.C.-0009～0015)
C.C.0008年に再起した新生抵抗軍のリーダーを務めている。初音ミクオリジナル曲「呪界」本編の主人公でもある。

・峰耶　凛(鏡音リン)－19歳(C.C.-0010～0045)
聖女として、また戦士としての教育を受けた。未来が従える4大将軍の一人。両親は世界崩壊の1年後に死去。

・新井　憐(鏡音レン)－18歳(C.C.-0009～0040)
王族の集落への虐殺で家族を失いながらも逃げ延びて凛と出会ったことがきっかけで武を学ぶ。未来が従える4大将軍の一人。

・園崎メイコ(MEIKO)－31歳(C.C.-0024～0057)
音楽と武の天才で道場を構えていた。世界崩壊後は横行していた略奪の鎮圧にも積極的に関わっていた。未来が従える4大将軍の一人で抵抗軍の中では最も長く生きた人物。
崩壊前を生きた人類の最後の一人が亡くなったのは、メイコの死から3年後。

・海籐尚登(KAITO)－32歳(C.C.-0025～0043)
メイコとは音楽好き仲間として学生時代から交際、共同創作をする一方でメイコの道場での修業にもつき合わされているうちに剣術の才を開花させ、未来が従える4大将軍の一人へと至る。

・秋山音瑠(亞北ネル)-(C.C.0022～0084)
5歳の頃に孤児院から凛と憐に引き取られて聖女としての教育を受けていた。
また、機械いじりが好きな性格で成人すると機械の扱いや組み立ての才能にも磨きがかかり、やがて人類に重火器や戦闘機を持たせる道を開く。
凛の死後、秘密裏に増産した武器やそれを使う民兵を集落の防衛として投入させて王族の撃退に成功させると、自ら各地を回って教えを説き、やがて旧抵抗軍消滅から55年ぶりに抵抗軍を興し自ら総帥となった。

王族を象徴する「王族の城」

・城の概要
世界各地に神出鬼没している王族の居城で地上と地下に分かれている。
地上は王族や配下、幹部らの部屋や食堂、調理室などが存在する。
地下は捕まった人間を監禁する部屋や実験室、そして食料向けに監禁された人間から肉を取り出す畜殺部屋がある。

・監禁室
兵器改造向けと食料向けの2種類がある。
兵器改造向けの監禁室は実験室が隣接し、食料向けの監禁室は畜殺部屋が強度な磨りガラスで隔てるように連接している。

・実験室
人類の集落への襲撃で捕らえた人間のうち、兵器素材向けに分類された人間に改造手術を施す施設。
記憶の消去などを行い、対人類戦向けの人間兵器に改造する。
元が王族に捕らえられた普通の人間であるために人間が攻撃することを躊躇してしまうという人間の心理を突いた戦術として初期の頃から存在した。

・畜殺部屋
食料として選ばれた人間から選ばれた人間が連れて来られる部屋、人間の胴体などを切断する機械が設置されている。設置位置は監禁部屋とを隔てている磨りガラスに近い位置にあり、畜殺時の血液が磨りガラスに付着することで監禁された人間の目に見えるようになっていて、それを目の当たりにした監禁された人間は悲鳴や慟哭を上げ、絶望感を余計に植えつけられる。畜殺される人間は、その実行前に下準備として着ているものを全て脱がされ、洗浄される。(切断時に汚れや身に纏った衣類の切れ端が肉に紛れ込むのを防止するため)

※畜殺
オリジナル曲「呪界」の歌詞に登場する畜殺、本来食料調達のために家畜を殺すことを意味する言葉がここでは人間に対して使われているように、王族の食べる肉は人間の肉である。その元となる人間は集落襲撃で拉致された人間から厳選(男性は対象外)されて地下室に監禁という形で集められている。

年表

C.C.0000-原因不明の爆発が世界を覆い尽くし、あらゆる文明や秩序が崩壊した。人類の大半はこれにより死滅し、生き残った人々は集落を作り生活している。しかし、各地では略奪が横行する。

C.C.0001-集落の住民たちで結成された自警団らにより、略奪行為は一応の収束を見る。

C.C.0002-とある集落で虐殺が起きる。2年前の崩壊以来、人類は重火器等の手段を持ち合わせていなかったが、虐殺を行っていた部隊は本来手にするはずの無い重火器類を多く使用していた。この虐殺の首謀者である男の映像と音声が世界中に張り巡らされたネットワークを通じてテレビで流され、自らを「王」と名乗り世界を支配することを宣言する。

C.C.0005-人類に対する虐殺が繰り返し行われる中、この虐殺部隊を剣や弓などの武器で殲滅する集団が現れ、虐殺集団を初めて撃退することに成功する。しかし、その頃には世界中の実権は王族に独占されてしまう。

C.C.0006-人類は反王族を大儀とした抵抗軍を興す。

C.C.0007-王族は抵抗軍を殲滅すべく集落襲撃にさらに強力な兵器を投入、抵抗軍のリーダーの住む集落がターゲットに選ばれ、リーダーは命を落とすが、その娘は抵抗軍メンバーの手により匿われ、別の集落に移動する。

C.C.0008-匿われたリーダーの娘(未来)を中心とした新たな抵抗軍が興される。

C.C.0012-王族討滅を掲げて抵抗軍は大規模挙兵のための兵を募る。

C.C.0013-王族軍と抵抗軍との間での大規模な戦闘が開始される。しかし、一方的に重火器を使用できる王族軍に対し剣や弓などしか使えない抵抗軍は物理的戦力差で苦戦、王族の奇襲にも翻弄され壊滅寸前に追い込まれリーダーや将軍らは離散してしまう。

C.C.0014-リーダーの未来らは抵抗を続けるも王族軍の大部隊に包囲される。未来は王族に捕まり従っていた兵たちは全滅する。未来は王族の城の中で体を弄ばれ、かつての美しい姿からは想像もつかない醜い姿へと変貌してしまう。

C.C.0015-王族は抵抗軍掃討戦を展開、7年前に新生抵抗軍が興された集落が攻撃を受ける。凛と憐はその集落に身を潜めていたが、子孫に後を託すべく生き延びることを選んだ二人は壮絶な王族の攻撃から逃げるように姿を消した。またメイコと尚登の行方は未だに不明となっている。抵抗軍リーダーの未来も王族の城の地下の畜殺の間で死亡、こうして抵抗軍は消滅し、王族はさらに人類に対する弾圧を強めていく。

C.C.0020-元抵抗軍将軍だった峰耶凛と新井憐が結婚、翌年に女児を出産し「未来」と命名する。

C.C.0025-１２年前の戦地跡にて地面に埋まった武器の破片を発掘し持ち帰る人の姿が見られる。
後に、人類側の兵器開発チームが発足。

C.C.0026-新井凛(旧姓・峰耶)は度々孤児院を訪れていたが、一人の孤児である女の子の身元を引き受け連れ帰る。
その女の子は未来と共に教育を受けながら共に暮らすようになる。
名を秋山音瑠という。

C.C 0036-王族情報部による、集落攻撃対象からの除外を条件にした情報提供の呼びかけがメディアを通じて流された。この報奨に飛びついた一部の人間からの情報リークもあり、抵抗活動の拡大は困難な状況になっていた。

C.C 0039-新井夫妻の娘である未来は18歳になり、彼女は小規模での王族攻撃作戦を計画し実行する。
この作戦は王族の航空基地にある戦闘機3機を盗み出して地上と空中の両方から攻める作戦で、３人のパイロットと地上からの暗殺要員2人(未来はこちらに参加)の僅か5人で行われる。
戦果は、予想以上で王族軍の兵器や施設など6割以上が被害を受け、2人の暗殺者は王族城内への侵入に成功するも、王や将軍との一騎打ちに敗れ、戦闘機部隊も全滅した。
そして、この戦闘の一部始終は、音瑠の端末に記録された。
僅か5人の人間によって多くの損害を出した上に、武装敵対勢力の城内侵入を許したことに激怒した王は、航空機部門の指揮官数名を処刑した。
同時に、報復として未来がいたと思われる集落が王族からの空爆を受け、新井憐が犠牲となった。

C.C 0045-音瑠と共に集落を転々としていた峰耶凛は、やがて病に倒れ54歳でその生涯を閉じた。
音瑠は凛の葬儀を仕切り手厚く葬った。
その葬儀には元抵抗軍将軍で行方不明になった園咲メイコの姿もあった。
後にメイコは３３年前当時同四将軍の一人で夫であった尚登が度重なる王族の爆撃によって病を得て亡くなったことを告げた。
また、音瑠はこの葬儀に参列していた兵器開発のエンジニアと接触、端末に収められたデータの提供と兵器開発チームへの参加を申し出て了承され、以後信頼関係を築いていく。