味の素とは、
である。
グルタミン酸ナトリウムを主成分として、いくつかの食品の「うま味」の元となっている成分を配合した、うま味調味料。
加えると料理のうま味が増すため、使えば大体味がそれっぽくなる便利な代物である。
日本の家庭のほぼ全て(化学調味料を嫌っている世帯を除く)に普及しているほか、中華料理店では「ウェイパー」と並ぶ便利な調味料として多用されている。
化学調味料を代表するといっても過言ではない調味料であるため、味の素を嫌う人も少なくない。
しかし、米国や日本の保健機関の調査の結果、現在は、グルタミン酸ナトリウムは通常の経口摂取では健康被害を及ぼすことはなく、酢や食塩と同等の安全性を持つ調味料であるという結論が出されている。
したがって、「味の素」を摂取して健康的な何らかの被害を蒙った人は、ある種の偽薬効果によるものか、あるいは過剰に摂取してしまったことが原因である可能性が高い。
健康被害がないのは、あくまで常識的な摂取量での話であり、大量に摂取すればどんなものでも健康被害を及ぼす。
特にグルタミン酸ナトリウムの場合は、味覚飽和を起こしやすい性質があり、大量に入れても「くどい」と感じることがない。そのため、おおざっぱな飲食店を中心に、どばどば使ってしまうこともあり、注意して使用しないと過剰摂取を起こしやすい。それだけでなく、主成分の名からも想像が付くように食塩の3分の1程度のナトリウムが含まれているため、過剰摂取により塩辛さを感じないまま塩分摂取量が過多となってしまう恐れもある。
特に、中華料理店では冗談みたいな量の味の素を味付けに使ったりしているため、海外を中心に起こっている、チャイナレストランシンドロームと呼ばれる健康被害の原因とみなす向きも強い。
したがって、便利な調味料だがあくまで「調味料」として、適当な分量で使う必要がある。参考までに、日本人の1日あたり平均摂取量は約2gと言われており、この程度の摂取量であれば特に問題はないと考えられる。
現在、海外の料理店では、あまりにも味の素が嫌われているため、「化学調味料不使用」を掲げる店もあるほど。
国内でも、健康ブームなどに伴い、化学調味料への嫌悪感を持つ人々が増えている。『美味しんぼ』が化学調味料を蛇蝎のごとく嫌っていることも一部の人には有名であろう。
しかし現在では、『もやしもん』のようにこの流れに反駁する向きも出ており、「適度に使えば便利である」という考え方もようやく広まってきている。
1907年に、池田菊苗がうま味を生み出す成分としてだし昆布からグルタミン酸を発見、翌年にはグルタミン酸ナトリウムを製造する方法を発明し、特許を取得した。
その際、ヨードの製造で財をなしていた二代目鈴木三郎助とグルタミン酸ナトリウムの製造で提携、うま味調味料として「味の素」が作られるようになった。
当初は瓶に詰め込んだだけの製品で、スプーンなどで取り出す必要があったが、1950年代に、現在のふりかけ型の瓶に変更し、これが大ヒットにつながった。
初期の味の素の生産には、小麦などのグルテンを塩酸などで加水分解する方法を採用していたが、塩酸の臭気が残るなど問題があった。
その後、石油由来成分を使って化学合成で作られるようになった。しかし今度は、飲食店や一般家庭に多く使われるようになった1960年代より、頭痛や体のしびれを訴える症状が相次ぎ、実験でもその有害性が問われることとなった。
このとき、タール由来の不純物が、わずかな量だが除去しきれないまま味の素に残留していることが問題視された。タールの摂取自体は喫煙でも起こりうるものだったが、石油から生産された調味料にタールが含まれている、という事実は、味の素のイメージダウンを少なからず引き起こしてしまった。
協和発酵がグルタミン酸を生産する菌を発見したことから、サトウキビから砂糖の成分を搾り取った廃糖蜜にその菌を入れることでグルタミン酸ナトリウムを生産する手法に切り替えられた。
これによって、石油由来の味の素は消滅し、安全性の面でも消費者にアピールされるようになった。
そのころより「麦からビール、さとうきびから味の素」という宣伝文句を使うようになった。
味の素株式会社(「味の素KK」と略されることが多いは、現在では日本を代表する食品・調味料メーカーとして知られ、グループ全体での年商が1兆円を超える大企業である。
その基盤を作ったのはもちろんこの「味の素」の大ヒットである。これを土台にして、調味料の分野で高いシェアを築くようになり、「コンソメ」「アジシオ」「ほんだし」「Cook Do」など、今や日本の家庭には欠かせない調味料を数多く作り出している。これらのうちのいくつかは、「味の素」と同様に日本国内トップシェアを誇る。
これに加えて、「クノール」など海外の調味料もライセンス生産しているほか、インスタント食品、冷凍食品でも高いシェアを誇る。
また、味の素の製造技術を元にアミノ酸全般の生産を手がけるようになり、こちらでは世界のリーディングカンパニーとして活躍している。アスリート向けのBCAAサプリメントとして「アミノバイタル」、化粧品として「Jino」 を手がけている。
そこからさらに派生して、医療分野にも進出しており、輸液製造や透析の分野でも活動している。
近年では、がん患者の血液中のアミノ酸バランスの変化の仕組みを解明したりといった実績がある。
ちなみに、この瓶に書かれているパンダはアジパンダといい、味の素のイメージキャラクターである。
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最終更新:2025/02/15(土) 07:00
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