命題とは、以下のことを表す。
平叙文には、正しいことを言っている文と間違ったことを言っている文がある。そのどちらであるかを判断するのは通常受け手である。命題とは、受け手によって真偽が異なることのないような平叙文のことをいう。数学における定理は通常、真の命題として書かれる。
ニコニコ動画を例に取ると、「この動画は100万再生を果たした動画である」というのは真偽が明確であるため命題である。一方、「この動画はもっと評価されるべき動画である」というのは「もっと評価されるべき」という明確な基準がないため、命題とはいえない。
論理値(真・偽)の演算。いくつかの命題を組み合わせてひとつの命題を言い表す際に用いられる。主に次の6つが使われる。以下、P,Qは命題とする。
「~でない」ということ。記号は¬を使い、¬Pと書くが、別の表記で書かれることが多い(=などの記号に斜線を加える等)。Pが真のとき¬Pは偽であり、Pが偽のとき¬Pは真である。
「~かつ~」ということ。記号は∧を使い、P∧Qと書くが、別の表記で書かれることが多い(カンマで代用する等。論理積であることを明確にするため「AND」と表記する場合もあり)。PとQが両方とも真のときのみP∧Qは真であり、それ以外の場合は偽である。
また、論理積を否定したものを否定論理積といい、NANDと表記する。P NAND Qとは¬(P∧Q)のことである。
「~または~」ということ。ただし日本語の「または」とは若干ニュアンスが異なる。記号は∨を使い、P∨Qと書くが、別の表記で書かれることが多い(カンマで代用する等。論理積との混同を避けるために「OR」と表記する場合もあり)。PとQが両方とも偽のときのみP∨Qは偽であり、それ以外の場合は真である。
また、論理和を否定したものを否定論理和といい、NORと表記する。P NOR Qとは¬(P∨Q)のことである。
「~または~のいずれか一方」(つまり両方はだめ)ということ。(P∧¬Q)∨(¬P∧Q)などここまでで述べた記号だけで表現可能なため特別な記号はない。プログラミング言語などでは「XOR」と表記する場合あり。
「~ならば~」ということ。ただし日本語の「ならば」とは若干ニュアンスが異なる。記号は⇒を使い、P⇒Qと書く。Pが偽またはQが真のときP⇒Qは真であり、Pが真かつQが偽のときP⇒Qは偽である。
「言ってることが同じ」ということ。記号は⇔を使い、P⇔Qと書く。PとQの真偽が一致しているときP⇔Qは真であり、そうでない場合は偽である。
論理式の真偽と、構成する命題の真偽との関係を表にしたもの。前述した論理演算を、真理値表を用いて書くと次の通り。
P | Q | ¬P | P∧Q | P∨Q | P xor Q | P⇒Q | P⇔Q |
真 | 真 | 偽 | 真 | 真 | 偽 | 真 | 真 |
真 | 偽 | 偽 | 偽 | 真 | 真 | 偽 | 偽 |
偽 | 真 | 真 | 偽 | 真 | 真 | 真 | 偽 |
偽 | 偽 | 真 | 偽 | 偽 | 偽 | 真 | 真 |
これを用いてド・モルガンの法則の片方について考えると、常に真となることがわかる。
P | Q | P∧Q | ¬(P∧Q) | ¬P | ¬Q | (¬P)∨(¬Q) | ¬(P∧Q) ⇔ (¬P)∨(¬Q) |
真 | 真 | 真 | 偽 | 偽 | 偽 | 偽 | 真 |
真 | 偽 | 偽 | 真 | 偽 | 真 | 真 | 真 |
偽 | 真 | 偽 | 真 | 真 | 偽 | 真 | 真 |
偽 | 偽 | 偽 | 真 | 真 | 真 | 真 | 真 |
数学において、命題は「~ならば~である」の形で書かれることが多い。記号で書くと、前述したとおり「P⇒Q」となる。このPを仮定、Qを結論という。命題P⇒Qに対し、Q⇒Pを逆、(¬P)⇒(¬Q)を裏、(¬Q)⇒(¬P)を対偶という。逆は、元の命題と真偽が必ずしも一致しないが、対偶は必ず一致する。
P⇒Qは、Pが偽であるときはQの真偽を問わず真となる。
これが直感とかけ離れているせいか、疑問に思ってしまう学生が少なからず存在する。そのせいか、このことに中学校や高校で触れることはまずない。これは日本語の「ならば」とのニュアンスの違いによるものと考えることができる。
日本語で「甲ならば乙である」と言った場合、「じゃあ甲じゃなかったらどうなんだろうか」と考える人もいる。「今なら更にもう一缶」などの「今なら」につられるのは「裏」を読んで「今でなくなると、もう一缶のおまけがつかなくなる」と考える心理が働くためではないだろうか。
一方、論理演算の「⇒」はそのような深読みはせず、その文が間違っていなければ真とするのである。先程の例で「今でない場合」を考えると、その場合は文中で一切触れられてないので、もう一缶プラスしてくれるかどうかは真偽不明となる。
命題P⇒Qが真であるとき、QはPであるための必要条件、PはQであるための十分条件である。実際、Pが真であるためにはQが真でなければいけないし、Qが真であるためにはPが真であればよい。
大学入試センター試験ではこれに関する問題が必ずと言っていいほど出題される。必要・十分の意味を正しく理解すれば間違うことはないが、ごっちゃになりやすいため、丸暗記に頼る生徒がほとんどである。それどころか、丸暗記をすすめる教師まで存在する。
全称命題は、「すべてのxに対し~」という類の命題。記号∀を用い、∀xに対し~と表記する。
存在命題は、「あるxに対し~」という類の命題。記号∃を用い、∃x s.t. ~と表記する。s.t.はsuch thatの略。
数学ではよく用いられる表記だが、ε-δ論法ではこれらをいくつも組み合わせるので、混乱する学生が後を絶たないとか。
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最終更新:2025/01/19(日) 06:00
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