嗅覚(きゅうかく)とは、生物の五感(視覚、聴覚、味覚、嗅覚、触覚)の一つであり、主に鼻を使い、物のにおいを嗅ぐ力のこと。嗅が表外漢字であったために、臭覚(しゅうかく)と表記されることもある。
なお、慣用句で物事に対する勘、感覚の鋭さも嗅覚と表現されることがある。
嗅覚(きゅうかく)は鼻を使い、物のにおいを嗅ぐための感覚であり、日常生活では主に芳香(花や食品、石鹸などの芳しい匂い)や悪臭(腐った食べ物、排泄物などの悪い臭い)を嗅ぐために用いる。無論、ヒトの嗅覚が発達したのは後者のためであり、腐った食べ物など毒を嗅ぎ分けるためである。
また、生物の間ではマーキングといって縄張りのために臭いを撒くことも少なくない。オスの犬が電柱におしっこをかけたりするのはその野生動物からの習性である。
視覚、聴覚と違い、遠隔にあるものを直接体験することができない感覚である。その一方、においを作り出す物質は科学的なメカニズムが解明されているため、化学合成などでそれと同一のにおいを作り出すことができ、食品には少なからず香料が使用される(例として見た目が醤油にしか見えないオレンジ清涼飲料を某飲料メーカーが作ったことがある)。そして、濃度によって同一の成分が悪臭になったり、芳香になったりもするのも特色である(例としてバラの香りと糞便に含まれるスカトールは同じ化学成分であり、濃度や他の化学物質との合成によってこれだけにおいが変わったりする好例といえる)。
味覚にも直接的に影響している感覚であり、とりわけ食べ物の味に強い影響を与える。口内の食べ物の香りが鼻腔に行き、においとして感じられるためである。鼻をつまんで料理を食べると全く違った味になってしまうこともある。それは特定の病気の前兆として起こるものも少なくない。
余談だが、香水は入浴の習慣がない欧米人が汗臭さなどの臭いをマスキングするために発達したものである。
とはいえ、人間の嗅覚はあまり強くない。これも日常生活で視覚や聴覚、そして味覚と比較してあまり必要がなかったため退化したといわれている。一方、イヌ科など非常に嗅覚が優れた生物も少なくなく、ヒトの1000倍ともいわれている。また魚類も嗅覚が発達した生物であるが、これらは縄張り意識の強さや捕食、外的から身を守るために発達したものとされる。
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最終更新:2024/10/08(火) 08:00
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