国土の均衡ある発展とは、日本の中央政府がしばしば掲げる目標であり、有力な産業が少ない地方において重点的に公共事業を行って地域間の格差を縮小しようという考えのことである。
1962年(昭和37年)に策定された第一次全国総合開発計画において「地域間の均衡ある発展」という目標が掲げられ、有力な産業が少ない地域で公共事業を大々的に行うようになった。
「地域間の均衡ある発展」やそれを変形させた「国土の均衡ある発展」といった言葉は、全国総合開発計画やそれを引き継いだ国土形成計画において継承されていった。2015年(平成27年)の第二次国土形成計画においても「国土の均衡ある発展」の言葉が盛り込まれている(資料)。
1972年6月に田中角栄は『日本列島改造論』という書籍を発表し、「国土の均衡ある発展」を大いに支持する政治姿勢を鮮明にして、同年7月5日の自民党総裁選に勝利して、同年7月7日に首相に就任した。首相に就任してからの田中角栄は、その書籍の内容どおりに有力な産業が少ない地域での公共事業を推進した。
田中角栄は1974年12月に首相の座を退いたが、自民党の最大派閥である田中派(木曜クラブ)の首領であり続けたため歴代の自民党政権に大きな影響を与え続けており、1980年代中盤までの自民党政権は「角影内閣(角栄が影から操る内閣)」「田中曽根内閣(中曽根康弘首相を田中角栄が影から操る内閣)」などと表現されるほどだった。
田中角栄は1985年2月27日になって脳梗塞に倒れて政治生命を失ったが、田中派(木曜クラブ)やそれから分離独立した竹下派(経世会)が自民党の主流である状況に変化はなく、田中角栄の『日本列島改造論』に示されるような政策が継承された。経世会出身の竹下登首相がふるさと創生事業と称して地方交付税交付金の交付を受ける市町村に対して1億円ずつ給付したのがその典型例である。
貧乏な地方公共団体に活気を与えることで、地方の人口減少を食い止め、地方に人を張り付かせる効果がある。地方に人を貼り付かせておけば人口空白地域の発生を防止できる。
人口空白地域は、人の監視が行き届かない場所であり、凶悪犯罪者が凶悪犯罪の証拠品を隠滅するのに最適な場所である。人口空白地域が発生すると治安が急激に悪くなる。
治安が悪くなると、カントリーリスクが増大し、国際的投資家がその国の企業に対してリスクプレミアムを高く設定するようになり、その国の企業が高い実質利子率で借り入れすることを強いられるようになって設備投資を豊富に行えなくなる。企業が設備投資を豊富に行えない国は、将来における資本ストックが減少し、将来において経済が停滞する。
有力な産業を持たない地方に人を張り付かせることになり、有力な産業を持つ都会への人口流入が起こらなくなる。有力な産業の企業において人件費が増大し、税引後当期純利益が増えづらくなり、株価が上昇しにくくなり、株式を発行して返済不要の資金を調達することが難しくなる。
有力な産業に人的資源を集中させることができなくなり、資源の効率的な分配が妨げられる。
「国土の均衡ある発展」が支持される国では、重点的に公共事業を行うという手段で有力な産業が少ない地方を支援することになる。
一方で、有力な産業が少ない地方というのは農林水産業を主力産業にしていることが常である。
ゆえに農林水産業の分野で保護貿易を導入して農林水産業を保護することは、有力な産業が少ない地方を支援することに直結する。
以上から、「国土の均衡ある発展」と農林水産業の分野における保護貿易は同じ効果を持つ政策と言える。
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