国際セリ名簿基準書

国際セリ名簿基準書とは、競馬における用語で、国際競馬統括機関連盟(IFHA)とジョッキークラブ・インフォメーション・システムズ・インコーポレイティッドが共同発行する、競馬におけるセリ名簿の国際基準、各国の対象レースおよび国際統計・情報技術をまとめた年間書籍。通称ブルーブックと呼ばれる。

概要

国際セリ名簿基準書とはインターナショナル・カタロギング・スタンダーズ・アンド・インターナショナル・スタティスティクス(INTERNATIONAL CATALOGUING STANDARDS and INTERNATIONAL STATISTICS)のことで、競馬におけるセリ名簿の国際基準、各国の対象レースおよび統計・技術情報がまとめられデータ化された年刊書籍である。日本語では「国際セリ名簿作成基準書」とも訳される。

書籍のメンテナンスはIFHAの下部組織である国際格付番組企画諮問委員会(IRPAC)が実施、ジョッキークラブ・インフォメーション・システムズ・インコーポレイティッド(The Jockey Club Information Systems, Inc.)とIFHAが共同で発行、国際サラブレッド競売人協会(SITA)が最終承認を行う。構成は大まかに分けると2段階に分かれ、インターナショナル・カタロギング・スタンダーズが示す競馬におけるセリ名簿の国際基準と対象レース情報が第1部、インターナショナル・スタティスティクスが示す国際統計が第2部となる。

2007年6月以前は国際セリ名簿基準委員会(ICSC)でメンテナンスが行われていたが、同月を以て国際格付番組企画諮問委員会(IRPAC)に移譲された。

インターナショナル・カタロギング・スタンダーズ

競馬におけるセリ名簿の国際基準はパートI・II・III・IVの4区分あり、平地競走はパートI・II・IIIの3段階、障害競走はパートIVと分かれている。各国ごとに定められており、例えば日本の平地競走は2007年以降はパートI、障害競走はパートIVとなる。また、サウジアラビアや韓国のように平地競走は通常パートIIだが、サウジカップ(GI)やコリアカップ(GIII)、コリアスプリント(GIII)など一部の承認された競走のみパートIとして施行することも可能である。これらの競走はパートIのOther Races(その他のレース)のページに掲載される。

競走馬セリカタログ表記国際基準の対象レースに掲載される情報は以下の通りとなる。

• レース名
  • オーストラリア等のようにレース名の後ろへ(VRC)などレーシングクラブ略称が記載される国もある
• 格付け
• 総賞金
  • JRAの競走の場合、10着までに出る出走奨励金までが対象
  • 地方競馬の競走の場合、5着までの賞金が対象
• 出走資格
• 距離
  • 日本などメートル法を採用する国ではメートル単位
  • イギリスなどヤード・ポンド法を採用している国では平地競走はハロン単位、障害競走はマイル単位
• 馬場
  • 芝・ダート・オールウェザーの3種類
  • 障害競走では記載なし
• 競馬場

ただ、凱旋門賞(3歳以上牡・牝)などが3upとだけ書かれているなど、正確性に欠けるところは一部ある。ただし、大まかに海外競馬を知るには有用である。

また、年刊物のため、書籍の後半ではAppendix to Post Publication Changesと称して前回発行に対する変更点が記載されている。主にレース名や賞金、距離や年齢など施行条件の変更や競走取り止めなどが掲載される。

具体的には2022年発行物では2021年の変更点が記載され、例えば日本の場合だと福島牝馬Sが福島競馬場の代わりに新潟で施行されたことや、マイルチャンピオンシップ南部杯の総賞金が増額されたことが書かれている。

また、競走取り止めは理由も掲載されるケースもあり、2021年コリアカップ、コリアスプリントは当初国際G3で施行される予定だったが新型コロナウイルスの影響で取り止めとなったことも書かれている。

パート国

競馬の平地競走のレベルや要件実施状況に応じてパートI～パートIIIの3段階に分類している。その他にパートIVもあるが、これは障害競走を行っている国であり、パートI～パートIIIの分類とは別である。また、パートIIIにも満たないとして分類されていない国もある。

下線はパートIVにも記載されている（＝障害競走を開催している）国

太字は一部の競走がパートIに記載されている国

赤字はパートIIIに分類されているIFHA非加盟国

黄背景はパート分類されているがIFHA準加盟国でも一部の国際協定に署名しているIFHA非加盟国でもない国・地域

パートI	パートII	パートIII	未分類	準加盟国
アイルランド アラブ首長国連邦 アメリカ合衆国 アルゼンチン イギリス オーストラリア カナダ チリ ドイツ 日本 ニュージーランド フランス ブラジル ペルー 香港 南アフリカ共和国	イタリア インド ウルグアイ 大韓民国 サウジアラビア シンガポール ジンバブエ スカンジナビア スウェーデン デンマーク ノルウェー トルコ バーレーン パナマ プエルトリコ ベネズエラ マカオ マレーシア	エクアドル オーストリア オランダ カタール ギリシャ コロンビア スイス スペイン スロバキア チェコ ハンガリー ベルギー ポーランド メキシコ モーリシャス モロッコ	アルジェリア オマーン キプロス クロアチア スロベニア セルビア タイ チャド チュニジア フィリピン ブルガリア ベネズエラ パキスタン ルーマニア レバノン	モンゴル トルクメニスタン
				一部の国際協定に署名している非加盟国
				ジャマイカ 中華人民共和国 ドミニカ共和国 トリニダード・トバゴ バルバドス フィンランド

パートI国の要件

• グループ・グレードレースの格付けを管理する委員会または業界団体が存在する
• グループ・グレードレースは出生国・調教国・オーナーなどの地理的条件により出走が制限されない
• 所定の手続きによりグループ・グレードレースの格付けを管理する
  • その所定手続きは地域連盟の格付け委員会に定められた規則に従う。アジア競馬連盟ではそれはレーティングである
  • 例外的事態を除き、最低1つのG1レースがあることが必要
  • リステッド競走に関しても上記手続きに従う
  • 例外的事態を除き、質が低下したレースは格下げ、もしくは格付けの剥奪が行われる
  • 格上げには2年以上ほぼ同一時期・ほぼ同一条件で開催し、所定の条件を満たす必要がある
  • G2/G1レースの新設は、例外的な場合のみ認められる
• パートI国への格上げにあたっては、以下の条件を満たすこと
  • 競走馬の数・レースの数・賞金額が相応にあること
  • 他のパートI国とグループ・グレードレースの比率が相応であること
  • グループ・グレードレース、およびリステッド競走がその国における最高格の競走である
  • 最低1つのG1レースがある
  • 地域連盟および国際格付番組企画諮問委員会により承認される
• パートII国・パートIII国の一部レースだけをパートI国相当にすることも可能(例えば韓国はパートII国だが、コリアカップとコリアスプリントは2022年からパートI国のG3相当として格付けを受けている)

パートII国の要件

• 所定の手続きにより競走の質を監視する
• パートII国の重賞はリステッド競走並みの扱いを受ける。その比率は3%を超えてはならない
• サラブレッド系の重賞と、異なる品種の馬の重賞との比率は40対1以上である
• 重賞の国際競走の比率が考慮される
• 海外での当該国調教の馬の国際競走での実績が考慮される
• パートIII国の一部レースだけをパートII国相当にすることも可能

パートIII国の要件

• 国際格付番組企画諮問委員会に以下の情報を提供する
  • 調教馬の数・レース数・輸入馬の詳細情報・賞金・馬産の概要・レースの規則を管理する競馬主催者

インターナショナル・スタティスティクス

国際セリ名簿基準書としてあまり話題に上がらないが、書籍の後半にはINTERNATIONAL STATISTICS and TECHNICAL INFORMATIONと題して国際統計情報や技術情報が掲載されている。

2022年度版の内容は以下の通りとなる。

• 承認済スタッドブック一覧
• 国別統計情報
• G1・重賞・ブラックタイプレースの割合
• 賞金比較
• 年初の為替相場
• 国別優秀馬情報
• ロンジンワールドベストレースホースランキング

関連動画

※関連動画がありましたら追加をお願いします。

関連リンク

• The Blue Book インターナショナル・カタロギング・スタンダーズ・ブック（通称ブルーブック）
• TJCIS ジョッキークラブ・インフォメーション・システムズ・インコーポレイティッド

関連項目

• 競馬
• 海外競馬
• 国際競馬統括機関連盟（IFHA）
• 国際格付番組企画諮問委員会（IRPAC）
• 重賞
• リステッド競走
• ロンジンワールドベストレースホースランキング（LWBRR）