基準が基準値からずれる一覧 単語

キジュンガキジュンチカラズレルイチラン

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基準が基準値からずれる一覧とは、ある対象をもとに単位、尺度、表示基準などを定めた結果、その基準を由来となった対象自身に当てはめると、本来の基準値から外れてしまう事例の一覧である。「レモン1個には、レモン5個分のビタミンCが含まれる」といった例がこれに当たる。

概要

単位・尺度・紀年法・表示基準には、特定の物体、人物、自然現象をもとに定められたものがある。しかし、測定精度の向上や後世の研究によって、由来となった対象が「1」「100」「0」などの基準値と一致しなくなることもある。本項では、そのような逆転現象を扱う。

一覧

項目 内容
キリストの生年を基準にした西暦では、本人が紀元前に生まれたことになる

キリストの生年を基準とする紀年法を考案したのは、6世紀の修道士ディオニュシウス・エクシグウスである。ディオニュシウスは、当時参照できた歴史資料からキリストの生年を推定し、その翌年を紀元1年とした。後世の表記では、推定された生年が紀元前1年に当たる。西暦には紀元0年がないため、紀元前1年の次が紀元1年となる。この紀年法が後世の年代記で採用され、現在の西暦紀元として定着した。なお、クリスマスはキリストの降誕を祝う祭日であり、12月25日が史実上の生年月日だと確認されているわけではない。

一方、新約聖書ではイエスがヘロデ大王の治世に生まれたとされ、ヘロデの没年は紀元前4年頃と考えられている。このため、イエスの誕生は一般に紀元前4~7年頃と推定される。紀元の計算にはずれがあったものの、西暦はすでに広く定着していたため、後から年数を振り直すことはなかった。

炭素を基準にした原子量で、炭素の値が12にならない

相対質量を12と定めているのは、炭素元素全体ではなく同位体の炭素12である。天然の炭素には炭素13なども含まれるため、同位体存在比を反映した標準原子量は約12.011となる。

かつては炭素12を1mol集めた質量も12gと定義されていた。しかし2019年、molはアボガドロ定数を固定する定義へ変更されたため、この関係も実測の対象となった。現在、炭素12の1molの質量は11.999 999 9958(36)gとされる。

地球と太陽の距離をもとにした1天文単位は、実際の地球と太陽の距離と常には一致しない

地球の公転軌道は楕円であるため、太陽までの距離は一年を通して変化する。現在の天文単位は1au=149,597,870,700mという固定値であり、ある瞬間の地球と太陽の実距離を表すものではない。このため、両者の距離は時期によって1auより長くも短くもなる。

銅の導電率が、銅を基準とする尺度で100%を超える

1913年当時の標準焼鈍銅の導電率を100%とした尺度が、現在もIACS導電率として使われている。その後、銅の高純度化や加工技術が進んだため、現在の高導電率銅には、この基準を上回る102%IACS前後のものがある。つまり、銅を測る尺度の100%が「現在作れる最良の銅」ではなく、「1913年当時の標準的な銅」を表しているため、銅そのものの導電率が100%を超える。

レモン1個には、レモン5個分のビタミンCが含まれる 加工食品の表示でいう「レモン1個分のビタミンC」は、レモン1個そのものの総含有量ではなく、果汁に含まれる量をもとに20mgへ換算した表示基準である。日本食品標準成分表ではレモン果汁100g当たりのビタミンCは50mgで、レモン1個を120g、果汁量を約30%とすると約18mgとなるため、表示上は20mgに丸められる。一方、皮を含むレモン全果の可食部には100g当たり約100mgのビタミンCが含まれる。果汁だけを対象にした換算値と全果の含有量を比べると、レモン1個から「レモン約5個分」に相当する値が得られることがある。

補足――単位系の話

国際単位系(SI)とその関連単位にも、当初の定義と現在の定義が異なるものが多い。これらは、由来となった対象が自然に変化したというより、精度と再現性を高めるために測定基準を変更した事例である。そのため厳密には「基準そのものがずれた」とはいえないが、本項では類例として取り上げる。

単位 当初の基準 現在の基準 備考
A
アンペア
真空中に1mの間隔で平行に置いた無限に長い2本の直線導体に流したとき、導体間に長さ1m当たり2×10^-7Nの力を生じさせる一定の電流 電気素量eを1.602 176 634×10^-19C(C=A s)と定めることで決まる電流

1948年から2019年までは、2本の導体間に生じる力によってアンペアを定義していた。現在は電気素量を固定値とし、1Aは1秒間に約6.241 509 074×10^18個分の電荷が流れる電流に相当する。(BIPM・2018年決議exit)

K
ケルビン
水の三重点の熱力学温度の1/273.16 ボルツマン定数kを1.380 649×10^-23J K^-1と定めることで決まる熱力学温度

1954年には水の三重点を273.16Kと定め、その1/273.16を1Kとした。2019年からは、特定の物質や試料に頼らず再現できるよう、ボルツマン定数を基準にしている。1℃の温度間隔が1Kに等しく、0℃が273.15Kに当たるという換算関係は変わっていないが、水の融点と沸点は厳密には0℃と100℃にならなくなった。標準圧力101,325Paでは、水の沸点はITS-90で約373.124K(約99.974℃)、純水の融点は約273.153K(約0.003℃)となる。これらは圧力、同位体組成、不純物、溶存気体などによっても変わる。日常的に使われる「水は0℃で凍り、100℃で沸騰する」という説明は、実用上分かりやすい値へ丸めたものである。なお、沸点が100℃から外れたのは2019年の再定義だけによるものではない。水の相転移点を固定値としなくなり、温度尺度と測定精度が改められてきた結果である。(BIPM・ケルビンの変遷exit・現在の定義exit・IAPWS・水の標準沸点exit・NIST・標準融点と標準沸点exit)

kg
キログラム
1dm³(現在の1Lに相当する体積)の水の質量 プランク定数hを6.626 070 15×10^-34J sと定めることで決まる質量

メートル法が成立した当時、キログラムは1dm³の水の質量をもとに考案された。しかし、水の密度は温度、圧力、同位体組成、溶存物質などによって変わるため、精密な質量標準には向かなかった。その後はキログラム原器が基準となり、2019年からはプランク定数を6.626 070 15×10^-34J sと固定してキログラムを定めている。

リットルについても、1901年から1964年までは「最大密度・標準大気圧における純水1kgの体積」を1Lと定義していた。この定義による1Lは約1.000028dm³であり、現在の1Lよりわずかに大きい。1964年にこの定義が廃止され、1Lは1dm³とされた。

一方、水の密度は最も高くなる温度付近でも、標準大気圧のもとで約999.97495kg/m³である。このため、現在の水1Lの質量は約999.97495gとなり、厳密には1kgではない。一般に「水1Lは1kg」とされるのは、キログラムとリットルがともに水を基準として成立した名残であり、現在では実用上の近似である。(BIPM・現在のキログラムexit・1901年のリットル定義exit・1964年の定義廃止exit・IAPWS・水の最大密度exit)

m
メートル
北極から赤道までの地球の子午線四分円の1/10,000,000 真空中の光が1/299,792,458秒間に進む距離

1799年のメートルは、パリを通る子午線に沿って北極から赤道までの距離を求め、その1/10,000,000とすることを目指して作られた。しかし、当時の測量と地球形状の推定には誤差があり、完成したメートル原器を1000万倍しても、実際の子午線四分円とは一致しなかった。その後、基準は国際メートル原器、クリプトン86の放射波長へと移り、1983年からは光速を用いている。現在のメートルは、真空中の光速を299,792,458m/sとすることと定義されている。

このため、地球の子午線周長は40,000,000mではなくなっている。一例としてWGS 84楕円体では、極を通る子午線周長は約40,007,863mとなる。(BIPM・現在のメートルexit・BIPM・メートルの変遷exit・NIST・子午線測量の誤差exit・NGA・WGS 84exit)

s
秒
平均太陽日の1/86,400 セシウム133原子の基底状態における超微細構造遷移周波数ΔνCsを9,192,631,770Hzと定めることで決まる時間

秒はもともと、平均太陽日の1/86,400とされていた。しかし、地球の自転速度は一定ではなく、これを基準にすると秒の長さまで変動してしまう。そこで1960年には1900年の回帰年をもとにした暦表秒へ変更され、1967年にはセシウム133原子が放つ電磁波の9,192,631,770周期を1秒とする原子秒へ移行した。現在もこの周波数を固定値として用いている。

現在、時間の単位としての1日は86,400 SI秒である。しかし、地球の自転から求めた一日の長さが、常に86,400 SI秒になるわけではない。潮汐、海洋や大気の運動、地球内部の変化などによって自転速度は日々変動し、長期的には遅くなる傾向もある。原子時計に基づく協定世界時UTCと、地球の自転に基づく世界時UT1とのずれを抑えるため、1972年以降はうるう秒による調整が行われてきた。

一般に一日とされる24時間は、太陽が同じ子午線へ戻るまでの時間を平均したものである。恒星を基準に測った地球の自転周期は約23時間56分4秒で、24時間ではない。地球は自転しながら太陽の周りを公転しているため、太陽が再び同じ位置に見えるまでには、そこからさらに約4分を要する。太陽日も自転速度などによって変動するため、常に24時間ちょうどになるわけではない。(BIPM・秒の変遷exit・NIST・自転とUTCexit・米国海軍天文台・恒星日exit)

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