『無門関』第32則より。
世尊(仏陀)は外道(異教徒)から、「不問有言、不問無言(言葉でもなく、沈黙でもないものはなんですか)」と問われた。世尊はしばらく黙って座っていた。外道は大いに賛嘆して、「悟りの世界に導いていただきました」と礼拝して立ち去った。阿難(弟子)が世尊に「あの外道はいったい何を悟ったのでしょうか」と尋ねた。世尊は「良馬がただ鞭の影を見るだけで走り出すようなものだ」と答えた。
外道は異教徒であるから、仏陀に挑んでいる。つまり何かを言えば「それは有言ではありませんか」とやっつけ、黙っていたら「それは無言ではありませんか」とやりこめようとする。そこで仏陀は、じっと座ったまま無我の境地に入ってみせた。
「有言か無言か」という二択は、自我の働きを前提として成り立つ。そこで無我の据座を示し、外道の問いの前提を覆した。言葉と沈黙を分別する自我というものを脱却した世界が示され、有言でも無言でもないものが提示されたのである。
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最終更新:2024/04/25(木) 18:00
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