天地明察(てんちめいさつ)とは、冲方丁の時代小説。江戸時代の天文暦学者、渋川春海の生涯を描く。
江戸時代前期、第4代将軍・徳川家綱の時代。江戸城に勤める囲碁棋士の安井算哲(渋川春海)は、その算術と神道の才を見込まれ、会津藩主・保科正之から日本全国の北極出地調査への出立を命じられる。
建部伝内・伊藤重孝とともに全国を巡り、帰還した春海に新たに命じられたのは、800年の永きに渡って使われ続けた結果、2日のずれが生じている現在の暦・宣明暦を廃し、新しい暦を制定するという改暦事業だった。
様々な困難や妨害に遭いながら、春海は生涯を掛けて、日本独自の暦作りに挑むことになる。
冲方丁初の時代小説。そもそも冲方が渋川春海に惚れ込んだのは高校時代のことで、授業で渋川春海についてのレポートを発表したものの、本人の熱意に反してクラスメイトは全く興味を示さず、その悔しさがこの作品を書くバネになったと後に語っている。
原形となったのは、『SF Japan』2004年春季号に掲載された短編「日本改暦事情」(のちにハヤカワ文庫JAの短編集『OUT OF CONTROL』に収録)。SF誌の発表だが、別にSF要素があるわけではない。ストーリーの骨格は短編の時点で既に出来上がっていたが、本人いわくこの時点ではまだこの話を長編化する力が無かったとかなんとか。
5年後、短編を大幅に膨らませた長編版が『野性時代』2009年1月号から7月号まで連載され、同年11月に角川書店から刊行。たちまち大ベストセラーになった。2012年には角川文庫から上下巻で文庫化。
第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞など5賞を受賞し、冲方丁の名前をSF・ライトノベル界のみならず世間一般に広く知らしめる代表作になった。第143回直木賞にもノミネートされたが受賞は逃した。
一方、参考文献に挙げられた本の著者(和算研究家の佐藤健一)からブログで文句をつけられたりもしている。
2012年には『おくりびと』の滝田洋二郎監督により映画化。また、槇えびし作画による漫画版がアフタヌーンで連載中。
監督:滝田洋二郎(『おくりびと』)、脚本:滝田洋二郎・加藤正人(『クライマーズ・ハイ』)、音楽:久石譲。
主演は岡田准一、宮崎あおい。他、中井貴一、松本幸四郎など豪華キャストを揃えた。
原作では主人公は「渋川春海」と「安井算哲」の名を使い分けているが、映画ではややこしくならないようにという配慮か「安井算哲」で統一されている。また原作・史実とは異なり、山崎闇斎が算哲の実質的な後見人として改暦事業に大きく関わり、その途中で死亡するというシーンが描かれている(映画の終わりに「史実と異なる場面があります」というテロップがある)。ほか、算哲の最初の妻・ことのエピソードなどがカットされている。
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最終更新:2025/03/25(火) 20:00
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