『奏光のストレイン』とは、2006年11月3日~2007年2月14日の間WOWOWで放送されたロボットアニメである。
制作はスタジオ・ファンタジア。
DVDは初回限定版、通常版共に全7巻。また現在バンダイチャンネルにて有料配信中(1話のみ無料)
概要
「SF美少女メカアクション」という謳い文句と「ギャラクシー・エンジェル」などのキャラクターデザインを手がけた藤田まり子による可愛らしいキャラクターの雰囲気で誤解されがちであるが、そのストーリーは非常にハードなものになっている。
またSF考察についても手を抜いておらず、13話という比較的短い作品ながら見応えのある内容となっている。
ストーリーのコンセプトはフランシス・ホジソン・バーネットの小説「小公女」をベースとしており、登場人物の名前も彼女の小説に登場する人物から取られたものになっている。
メカニックデザインは海老川兼武。彼の得意とする曲線を多用したデザインのロボットが当時の3DCGとしてはかなり滑らかかつスピーディに動くアクションシーンもまた見所の一つとなっている。
CGを担当したデジタル班は現「サンジゲン」。
あらすじ
ユニオンの名門ウィーレック家の長男ラルフ・ウィーレックは妹セーラ・ウィーレックを一人家に残し宇宙を二分するユニオンとディーグの戦争の最前線へと行ってしまった。
数百光年も遠くに行ってしまった兄と再び出会うためには自分も兵士となり前線に行くしかない。
セーラ・ウィーレックはストレインのパイロットとなり戦場へと出ることを目指し、兵科学院に入る。
そんなある時、セーラが所属しているグラベラ兵科学院は突如ディーグ軍の襲撃を受ける。ディーグの兵器に混じって攻撃を仕掛けてきたのはなんと本来ユニオン軍の兵器であるストレインであり、セーラが見たそのパイロットは愛する兄・ラルフ・ウィーレックの変わり果てた姿だった。
「優しかった兄さんが、なぜ・・・?」
兄に裏切られ居場所を失い不幸のどん底に突き落とされたセーラはその思いだけを胸に抱きバジオン戦術学校の演習艦「リベルタッド」に搭乗、そして戦いに身を投じることとなる・・・
登場人物
ユニオン軍
- セーラ・ウィーレック - 声:川澄綾子
- 主人公。兄との再会を夢見て訓練生となり、戦場へと出ることを目指す。
良家の所謂「お嬢様」であり、気が強く負けず嫌いとやや男勝りな性格。
一部の訓練生からは「根性女」と呼ばれている。
- 元は明朗快活な少女であったが、前述のような事もあり心を閉ざすようになってしまった。
- 趣味はダンスと何描いてるのか分かんないレベルの絵画。好きな人は兄さん。
- ロッティ・ゲラー - 声:ゆかな
- 見た目こそ幼いが非常に優秀なバジオン空間機甲科の訓練生。
- 並々ならぬ根性でいくつもの逆境を乗り越え、皆からは「女王様」と呼ばれている。
- 皆のリーダー的存在だがセーラと同じく負けず嫌いで、彼女をライバル視している。
漫画版では物語は彼女視点で進められ、TV版では見られない彼女の一面を見ることができる。
好きな人はお兄様。ギュイーン!バリバリィ!!
- ジェッシィ・アイジェス - 声:松来未祐
- お団子にまとめた髪の毛がチャームポイントのバジオン空間機甲科訓練生。
ロッティの親友であり、良き理解者である。
優しく穏やかな性格だが少々流されやすく、そのためロッティの割を食うこともしばしば。
とはいえ責任感はしっかりと持っていて、メンバーのバランスを保つのに必要不可欠な存在である。
怒ると怖い。
- カリスフォド・ラドフリックス - 声:保志総一朗
- バジオン空間機甲科訓練生。嫌味のない優等生の好青年。愛称はカリス。
ディコンとは仲が良く、いつも一緒に行動している。
セーラを気にしているようで、色々と気にかけてくれるがセーラはあまり取り合ってくれず・・・
ちなみに弟が一人いる。
- ディコン・シドノック - 声:谷山紀章
- バジオン空間機甲科訓練生。褐色肌で金髪の青年。
軟派でお調子者な性格だが実は操縦技術は抜群。
「女の子は俺の生きがい」と公言しており、ジェッシィをナンパして肘打ちを食らったりアーミィに抱きついてつねられたりしている。
- マーサ・シュビーパウエル - 声:花井なお
- バジオン空間機甲科訓練生。大柄で男勝りな女の子。
筋肉を付けたがっている根っからの体育会系少女で、独特の訛りで喋る。
細い子を見ると肉を食べるように勧めたり大雑把ではあるが根は優しい子である。
アーミィと仲が良い。
- アーメンガァド・ヨハニッツ - 声:阪田佳代
- 赤いウェーブのバジオン空間機甲科訓練生。愛称はアーミィ。
マーサと行動をよく共にしているが、彼女とは対照的にお洒落やダイエットなどが気になる様子。
- ラヴィニア・リベルス - 声:野中藍
- バジオン空間機甲科訓練生。ロング髪の毛と美しいプロポーションを持つが、性格は空気が読めず極めてマイペースで加えてよく暴走する。所謂ボケ担当。
百合の気があり、セーラを大変気に入っている。色ボケ担当もといえるかも知れない。
彼女の起こした事件はなかなかインパクトが強く、「ストレインは知らないけどラヴィニアのアレは知ってる」という人も少なくない。もう許してやれよ。
- イザベラ - 声:田中理恵
- バジオン機動歩兵科の訓練生。
セーラをいじめているグループのリーダー格。
- マリエット - 声:谷井あすか
- バジオン機動歩兵科の訓練生。
イザベラの後ろにいつもくっついている。
- メルチセデック - 声:皆川純子
- バジオン技術工兵科の教官。愛称はメルチ。見た目は眼鏡をかけた子供であるが年齢不詳であり、結構な歳である可能性が高い。
ただし性格は子どもじみたところもあり、少々我侭で脳天気。
天才技術者であり、リベルタッド内でストレイン・ラムダスをこっそり作っていた。
ストレイン以外にも色々と怪しいメカを作っている。
- カアマイクル - 声:谷井あすか
- メルチと同じくバジオン技術工兵科教官。
- 子供にしか見えない彼女もまた年齢不詳。
よくメルチに意見を言っては「うるさいぞカァマイクル」と返される。
実は裁縫が得意。
- ベッキィ - 声:阪田佳代
- バジオン野戦衛生科の訓練生。三つ編みに眼鏡の少女。
ドジが目立ち、パニックに陥りやすい性格だが、一生懸命さだけは一人前である。
- クレイヴン - 声:麦人
- バジオン総合戦術学校校長。
冷静な判断力と柔軟な思考を持ち、訓練生たちからの信頼も厚い。
意図のわからないディーグの襲撃に対し訓練生を出撃させなければならない現状に心を痛めている。
メルチとは旧知の仲のようで、目上として扱っている。
- デュファルジュ - 声:中田譲治
- バジオン空間機甲科教官。
良き教官であり、またクレイヴンの傍に控え補佐として活躍した。
- セディ - 声:白鳥哲
- グラベラ兵科学院にいた頃のセーラの友人。
セーラのことが好きだが、告白する勇気がなく遠回りに何度もアプローチを試みるが、兄さん一筋のセーラは気づいてくれない。
- メアリー - 声:田中理恵
- グラベラ兵科学園にいた頃のセーラの友人。
清楚な雰囲気のおとなしいポニーテールの少女。
- コリン - 声:増田裕生
- グラベラ兵科学園にいた頃のセーラの友人。
礼儀正しく、メアリーとはお似合いのカップル。
ディーグ軍
- ラルフ・ウィーレック - 声:近藤隆
- 名門ウィーレック家の長男でありセーラの兄。
かつては心優しい性格であったが寝返った彼にはその面影はなく、無口で冷酷な風貌になっていた。
騒動の中心に存在する人物であり、言い換えればだいたいこいつのせい。
- エミリィ - 声:野中藍
- グラベラのカプセルの中で眠っていた謎の少女。
ラルフに連れ出されて以降、行動を共にする。
セーラの人形の名前もエミリィであり、姿が非常に似ている。
- メドロック - 声:田中敦子
- ディーグの軍艦「クンルーン」の司令官。
- 監視役としてラルフの身柄と彼のストレイン・グロワールの全権を委任されている。
- ラルフを信用し、男女としての親密な関係を作っている。
- バロウ - 声:長克巳
- メドロックの副官。予想外に時間のかかるリベルタッド追撃作戦や気に入らないラルフの存在、慣れない敵国の兵器の調整などの数々の問題によりストレスが蓄積され常に苛立ちを見せている苦労の男。
登場兵器
ストレイン
STRategic Armored INfantry(=戦略装甲歩兵)の略称。
亜光速の戦闘を可能とした唯一の有人兵器であり、光速に近づくにつれ増大する質量を利用し、手刀足刀を使った突撃攻撃が主要攻撃となる。
また動力源として使われている液体「マーキュリオン」を光弾として撃ち出すこともできる。
(ただし亜光速空間においては進行方向に向けて発射すると自機に直撃するので注意が必要)
- フリッサー
- ストレインの代表的モデル。
数種類のカラーリングが確認されている(グラベラのは黄色、バジオンのは緑、正規軍のは青)が、性能に差はない。
- グロワール
- 上位モデル。少量しか生産されていなく、エースにのみ与えられるスペシャル機。
- 作中に登場したラルフ機は、それにさらにディーグの技術を用いて改造を施している。
- ラムダス(EX)
- メルチがリベルタッド内でジャンクパーツを駆使し趣味としてこっそり作っていたストレイン。
- 鮮やかな赤色と非対称のシルエットが特徴的で、数値上ではグロワールと匹敵する高い性能を持つ。
- しかしミミックへの負荷が大きいためエミリー人形以外は耐えることが出来ず、(何故か)それとリンクできるセーラの実質的な専用機となっている。
- 燃費の悪さなど問題点はまだまだ多く、日々改造を繰り返している。
ギャンビー
General Axis Motorized Battle Exoskeleton Equipment(=枢軸動力化戦闘外骨格)の略称。
ストレインが開発される以前から活躍していた有人兵器。
性能はストレインに劣るもののまだまだ現役で、操縦にミミックを必要としない。
ワイヤーを射出しエネルギーを流しこむ銃を使用している。
トゥモール
Tactical Unmanned Maneuver ORb(=戦術無人機動球体)
の略称。
ディーグの主力としている無人兵器。
敵の拠点に亜光速で侵入、破壊活動を行いそれが困難となったら自爆をするというプログラムが組み込まれている。
単機での性能は低いがサイズが小さく安価で大量に造られ、また簡単な群知能を有しているため時には数千万の機体が連携を組んで戦う。
〈○〉←こんなの
用語集
- ユニオンとディーグ
- 恒星間航行技術を獲得した人類の活動圏は急速拡大し、それによって起こる利害関係により宇宙戦争が勃発し、人類を二分するものとなった。
ユニオンは戦争は人の手で行うものであるとし有人兵器を開発したのに対し、ディーグは効率と合理性を重視し無人兵器の大量生産を行った。
やがて紛争宙域は数百光年にもなり、最前線の状況等の情報の伝達が遅れ、錯綜し、結果戦争は泥沼化、数百年たっても終りが見えない状態となっている。
- 亜光速
- 限りなく光速に近い速度のこと。
亜光速域においては時間の流れが静止しているものに対して遅くなるため、結果的に亜光速で移動している人間のほうが歳を取るのが遅くなる。(所謂ウラシマ効果)
- リーズナー
- ストレインのパイロットのこと。
機体性能や扱いの差から、基本的にギャンビー乗りとは仲が悪い。
- ミミック
- Ministerial Instrument of Mercurion Interface Core(=マーキュリオン制御支援装置)の略称。
機械式の装置が役に立たない亜光速域において、リーズナーとリンクすることにより意思をタイムラグゼロでストレインに反映させることを可能としたユニット。
リーズナーが受精卵の時に人為的に分割、脳のみを成長するようにして造られた"双子の脳”。そのため交換や修理は不可能であり、リーズナー生命そのものである。
- マーキュリオン
- 特殊なバクテリアを含んだ透明の液体で、ストレインの主動力源。光弾としても使う。
- エミリー
- グラベラのカプセルにいた謎の少女の名前。
それと同時に演習艦リベルタッドの中にあった人形の中のミミックに書かれていた名前でもある。
彼女の正体が物語の重要な要素となっている。
- ダンス
- セーラの趣味であり、本作のキーワード。いろんな意味で。
ストーリーの数え方の「STEP◯◯」もダンスにちなんだものと思われる。
ちなみにDVDの巻数表記は「WaltzⅠ,Ⅱ,Ⅲ・・・」となっている。
- ギュイーンバリバリー
-
いいか!今度のフォーメーションは、一機が囮になって敵機をギュイーンと引き寄せ、
もう一機がバリバリーと撃破するものなのだ! ギュイーンバリバリーッとだ!
ギュイーン!バリバリーッ!
それから!ドドーン!ときたらシュビビビーッと切り替えてー!・・・んあー!こら!まだ話は終わってないぞー!
根性女ー!待たんかー!
ミスターが降臨したようです。
スタッフ
主題歌
- メッセージ (OP)
- 作詞 - 上田緑 / 作曲・編曲 - 上野洋子 / 歌 - Yoko
- 海のオパール (ED)
- 作詞 - 上田緑 / 作曲・編曲 - 上野洋子 / 歌 - Sema
- アウローラ~ひとすじの曙光~ (第9話)
- 作詞 - 上田緑 / 作曲・編曲 - 上野洋子 / 歌 - Sema
関連動画
関連項目