学歴ロンダリング 単語

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ガクレキロンダリング

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学歴ロンダリング(がくれきロンダリング)とは、日本大学院進学の際に自身の出身大学よりも更に上のレベル学歴)の大学院に進学することをインターネットスラングである。別名は大学院ロンダリングであり、ネガティブな意味あいで使われることが多い。略称は学歴ロンダ、院ロンダ。また生語として下記の四つがある。

学歴ロンダリングとは逆に下位の大学院に進学すること。 → 逆ロンダリング
短大卒・高専卒が四年制大学へ三年次編入すること。 → 編入ロンダリング
通信制や社会人を使って難関大学入学すること。→通信ロンダリング
特に理系において大学大学院で専門分野を変更すること。 → 専攻ロンダリング

概要

背景

1990年代以降に大学院重点化政策を行い一部の国立大学大学院の定員数を増加させた。その結果、大学院の定員数が学部より多くなるところも出てきた。これを根拠に大学院の方が簡単だと2chにおいて揶揄されるようになった。だがハーバード大学のように大学院の方が定員数が多いことは海外でもあり、学歴ロンダみたいなことは言われない。それには教育制度や社会構造の違いに要因があるのかもしれない。

また元来から技術系の職種において高度な力が要され、大学院生も採用していた。時代が代わり、理系大学院進学者数が増加し、どちらの入学試験が簡単かという議論が生まれた。しかし、大学の一般入試は学習導要領に基づいた高校教育での到達度評価という側面を持つのに対し、大学院入試研究するための基礎力や的意識を重視する。知識重視の大学一般入試と思考力・学習意欲を重視する大学院入試では本質的に異なるのである。

そしてマネーロンダリングをもじって学歴をよいものに"ごまかす"ことができるという意味で作られた。しかしマネーロンダリングは、犯罪で手に入れたお金を表社会で使えるように正当な方法で手に入れたように見せかける犯罪行為である。それに対し学歴ロンダリングは正規の方法である大学院入試を競争で勝ち、入学している。履歴書を記載することが学歴詐称に当たり、隠すことはできないのでロンダリングという言葉は誤用である。

そもそも努力して上をすことにどんな倫理的問題があるのだろうか。これを否定した場合は高学歴そのものの否定である。また普遍的な学問とされる自然科学ですら、大学教授ごとに考え方に差異があることが知られている。従って海外では異なる大学文化に触れ、多視点を持つために学部と院で別々のところに行くことが定石である。その際よりレベル高い大学院に進むことは努力したとして好評価となる。

現実

行き先に学部と同じ地域のより上位とされる大学院を選ぶ傾向がある。また上位の大学であるほど大学院への進学率が高いとされる。上位の大学じゃなくても、その中で上位の成績を持つものがより深く学ぶために上位の大学院すことは自然のことだろう。普通と違うからといって異端者扱いするのは多様性を認めない窮屈な社会である。ちなみに学部と修士課程で別の大学に行く割合は1998年の抽出調で約29%となっている。

ネットにおいてよく用いられる例として、MARCHの学部出身者が東京大学大学院に進学する場合がある。まずMARCHは、某掲示板を除いて十分に高学歴という扱いである。また開されている情報の範囲内[1]では東大院に最も多く行く大学早稲田大学であり、それでも約70名である。9位になって明治大学の約30人が出てくる。全合格者が約3,200名であることを考えるとそんなに大きな数字とは言えない。海外からの留学生も多いのだろう。

かれやすい出身校に東京理科大学横浜国立大学があるがこれらは難関と認識される大学である。東京理科大学均在学年数が約5.7年と一年以上は留年するのが当たり前というくらいに進級・卒業するのが厳しい学校である。また関東地方における国立理系の場合は横浜国立大学東大東工大に次ぎ、千葉大学筑波大学と並ぶ三番手の大学である。

大学院難易度はその専攻が就職に有利かどうかで大体決まる。工学系は難易度が高く、人文系難易度は相対的に下がる。それでも入学者数が定員数を下回っても最低準を満たしていない学生入学できない。就職に不利なところに行く場合は基本的に学者をすもの達であろう。しかし、「高学歴ワーキングプア」になるリスクがある。大学院進学は的意識が非常に重要である。大学院入試でも志望動機は問われる。

世間一般で難関と認識されている大学ならいざ知らず、それ以外の大学においては定員割れも多く大学院そのものの在り方が問われている。教育面から大学間の移動こそ大学院の活性化につながるとして、移動しやすい仕組みづくりしようという流れがある。「学歴ロンダリング」という考え方が若者やる気を阻しているという摘もある。再チャレンジの機会は大事。

就職

理系の場合は特に専門性が要される研究職においては、「学歴ロンダリング」は有効に働くという見方が強い。但し職種にもよるが企業のニーズによって対応は異なり出身学部で評価するところもある。むしろ企業での教育の方が大事だからと学部卒を優先してとることを宣言しているところもある。研究開発職が就職先の中心になるため就職先は狭まると考えていい。

文系に関して日本企業は専門性を重視しないので大学院生は就職が難しくなる。強いてあげるなら法科大学院等で弁護士などをすべきだと考えられる。但し、法や経済の知識が必要な公務員や実力義の外資企業では文系でも大学院生を採用する。例えば高度な政策立案力がめられる国家総合職(旧国家Ⅰ種)では大学院卒が条件の「院卒試験」がある。

文系理系を通して言えることだが、採用担当次第である。中には出身高校を見れば学生の思考力がわかると語する採用担当者もいるという。また大学院生の場合は研究を熱心に行っているかを企業は見てくる。社会の出た後は、本人の実力がものを言うことを忘れてはいけない。高学歴であろうがかろうが結果はめられる。

最後に

日本は「追いつき、追い越せ」と欧の模倣することで急な発展をしてきた。トップランナーになり、既存の知識より新しい発想がめられる時代となった。学問においては異分野の知識の活用の重要性が言われ、異分野間での協力が積極的に推進されている。研究室は教授コピーを生産しているという批判を受け、複数の教授による教育が受けられる体制を作る大学も出始めた。

偏差値上位大学において入学ゴールとなる燃え尽き症候群になる学生が現れ、2016年度から東京大学京都大学推薦入試を導入することとなった。そしてセンター試験現在のような一発勝負から、2020年度に学生中に複数回受けられる新しい形式への移行が決まっている。大学入学スタート地点であり、「偏差値があってるから」ではなく的・学習意欲を重視した入学試験への模索が始まっている。

日本教育制度は岐路に立たされている。文部科学省国立大学文系学部をより社会的要請の高い分野に再編するよう通知、波紋を呼んだ。この通知そのものは国立大学だけだが、間接的に私立大学に再編を促すことも狙いとしていた。本当の学びとはなんだろうか、社会にとって必要なものとはなんだろうか、それが改めて問われている。

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関連項目

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脚注

  1. *慶應義塾大学上智大学京都大学大阪大学などは他大学大学院への進学数は非開。従って、早稲田大学明治大学なども順位が低くなる可性は十分にある。
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