メタルヒーローシリーズの礎を築いたカテゴリーであり、メタルヒーローシリーズは程度の差はあれど、宇宙刑事シリーズの影響を大きく受けている。その影響は国内にとどまらず、ハリウッドも参考にしたほどである。
宇宙刑事ギャバン・宇宙刑事シャリバン・宇宙刑事シャイダーの三作品が該当する。
東映ではこれまで多くの特撮が世に出されてきたが、1970年代後半の仮面ライダーシリーズの最新作である「スカイライダー」の視聴率が振るわず、その一方でスーパー戦隊シリーズである「バトルフィーバーJ」が大当たりし、安定した人気を誇っていた。しかし、いずれにしても目新しさには乏しく、さらに80年代に入ると仮面ライダーシリーズやウルトラシリーズが終了し、特撮番組がスーパー戦隊シリーズのみという状況に至った。
これに危機感を覚えた東映ではまったく新しいヒーローの形を提案、それまでの概念を打ち破る金属質のヒーローを誕生させた。これが宇宙刑事シリーズであった。
これまでの特撮の概念を打ち破る新機軸が多く採用された。例としてその当時としては最新鋭だった合成技術を採用、制作にかかる予算を相当つぎ込んだらしく、失敗したら責任者の首が飛ぶほどであったといわれる。
その名前も日本風ではなく欧米風となっており、ギャバンとシャイダーはいずれも実在する海外の俳優から引用されている。シャリバンは一説によるとサリバンと読む俳優からの引用と言われているが、それ以外にも諸説流れておりはっきりしていない。
宇宙刑事のコンバットスーツは金属的な輝きを強調したスーツとなっている。それまでの特撮はスーパー戦隊シリーズに代表されるようなナイロン製のスーツにFRPのマスクといった具合であったが、コンバットスーツはスーツに至るまでFRPとし、金属感を出す為に銀色の素材を蒸着加工させた。周囲の風景が写りこむほどに綺麗に加工されたコンバットスーツはそれだけでもインパクト十分である。なお、この蒸着は宇宙刑事ギャバンの変身の際のコールに採用された。なお、アクション用にはシリコンのような素材を使っており、激しい動きをするとくねっとなったり、光沢感がない。その他にも写り込み防止の為に光沢を抑えたものなど数種類のスーツが用意されていた。普段の衣装もウエスタンブーツや革ジャンと言ったアメリカ風になっている特徴がある。
なお、数年ほど前まで都内某所において本物と思われるギャバンのコンバットスーツが展示されている店があったが、現在では不明である。
シリーズを通じて、「銀河連邦警察」の存在がある。現実世界の警察の様な組織であり、そこから地球担当として派遣される設定は3作共通であった。そして宇宙刑事には女性のパートナーが存在する。主人公の背景に存在するドラマも大きな特徴である。ギャバンは行方不明の父親捜し、シャリバンは祖先より伝わるイガクリスタルをめぐる攻防、シャイダーは銀河連邦警察の設立にまつわるフーマとの攻防があげられる。
キャスティングはコム長官役に西沢利明を起用、どちらかと言えば時代劇などで黒幕役が多かった彼であるが、そのキャリアをいかんなく応用、冷静沈着で重厚感のある役を演じた。
彼らの平時における足は劇中ではジープと言われていた「スズキ・ジムニー」である。スズキ自動車は特撮のバイクのスポンサーとして従来よりおなじみであったが、この作品ではバイクのみならず自動車を提供した。仮面ライダーでもおやっさんの車としては登場していたが、主人公の車ともなると注目度が大きいものとなった。爆発や悪路走行などのアクションが多い番組内ではジムニーの持つポテンシャルがいかんなく発揮され、ドルギランやサイバリアン、グランドバース、バビロスといったメカと比べても全く普通であるにもかかわらず、視聴者には強い印象を残したであろう。
特にギャバンの乗った赤いジムニーは最後の2ストジムニー(通称SJ30)として名車の誉れが高く、タマ数もあるので宇宙刑事気取りたい人はやってみるといいだろう。そしてジムニー乗りの中には「宇宙刑事」を見てあこがれたとか、ギャバンと言ったキーワードで通じる程である。
ちなみにギャバンの乗っていたジムニーはSJ30で本来は軽自動車であるが、番組内では白い普通車のナンバーとなっている。この辺りの事情はお察し下さい。
シャリバンとシャイダーはSJ40という1000ccの普通車となっている。ギャバンのものに比べて排気量も大きく、特にシャイダーのジムニーはロールバーやフォグランプ付きと言う風にカスタマイズが施されている。また、色も各々のイメージカラーとは異なっている(ギャバン→赤、シャリバン→白)であるが、シャイダーのものは青となっている。なお、上司よりお値段もグレードも上の車に乗っている件についてはお察し下さい。
アクション担当には千葉真一率いるジャパンアクションクラブが起用された。既にスーパー戦隊シリーズではアクションを担当していたが、単体ヒーローとしては本格的な起用となった。それまでの仮面ライダーに代表されるアクション担当の大家である大野剣友会が所謂殺陣を中心にした時代劇なものであったのに対して、JACはアクロバティックかつスピード感を前面に押し出したアクションとなった。
主人公には長らくスタントマンを担当し、バトルフィーバーJで遂に顔出しで俳優デビューした大葉健二を宇宙刑事ギャバンで起用、アクションも演技も両方できる希有の俳優としてその名を知らしめた。次作シャリバンでは若手の渡洋史を起用した。それ以外にも敵組織の面をつけた戦闘員等もJACが担当。これ以降、JACは特撮には欠かせない存在となっている。無論、彼らのアクションはノースタントであり、変身前と変身後に出てくる違和感を極力抑えている。なお、シャイダー役の円谷浩はオーディションで選ばれており、元々アクション畑の人間ではなかった。その為、当初は激しいアクションにおいてはスタントマンに入れ替わる事も多く、すぐに変身してしまう事も多かったが、撮影の中で色々と技術を会得して行ったという逸話がある。
宇宙刑事には女性パートナーがついており、ギャバンにおいては和服の着こなしに定評のある叶和貴子演ずるミミーであった。ミミーはコム長官の娘であり、ギャバンの幼馴染でもある。正式な宇宙刑事と言うわけではなく助手という立場であり、どこかお嬢様な感じである。ストーリーに大きく影響するキャラとなっている。
シャリバンではリリィが登場、正式に宇宙刑事の範疇に含まれる事になり、戦場においても第一線で活動する事が多くなった。また、船内着も設定され、シャリバンに準じたデザインとなっている。どういうわけか最終回において地球においてきぼりにされ「私も行きたかった」とつぶやいた。
シャイダーにおいてはアニーが登場。前述した通り、円谷がアクション畑の人間ではない為にそれを補う意味で当時JACで売り出し始めていた森永奈緒美を起用した。華奢な体に似合わず激しいアクションを披露、大きなお友達から主にパンチラ的な意味で人気を集めた。また、アニー専用車も用意され、黄色い初代RX-7であったが、円谷曰く「運転は僕の方が得意で、森永はよくぶつけていた」との事。
オープニング・エンディングはソウルフルな歌声に定評のある串田アキラが起用された。力強い歌声は新時代を切り開くにふさわしい歌声であり、彼自身のキャリアに燦然と輝くものとなっている。
光り輝く剣であるレーザーブレードは蛍光管を加工したものであるが、そのヒントには宇宙刑事シリーズが放映される数年前に公開された「スターウォーズ」のライトセーバーがあるといわれている。テーマ曲はおおむね似たような旋律であるが、ギャバンで起用された時はマクー襲撃を念頭に使われていた。
なお、3人共レーザーブレードを振り下ろす角度が異なっておりギャバンは上から下に振り下ろすスタイルとなっており、シャリバンは斜めから振り下ろすスタイル、シャイダーは横一文字のスタイルとなっている。
それまでの特撮の概念を打ち破った宇宙刑事シリーズはたちまちに人気となり、それ以降はメタルヒーローシリーズとして宇宙刑事シリーズのフォーマットを採用することとなった。また、影響は国内にとどまらず世界にも飛び出した。とりわけフランスではこのシリーズは人気となった。なお、ギャバンという名前が同国の実在の俳優から拝借したものであったためか、同国ではX-OR(エクソール)という名前で放映されている。大葉健一は同国を訪問した際に熱烈な出迎えを受けたとされている。
一方、ハリウッドではロボコップ制作にあたって、監督のポール・バーホーベンが東映に直接デザインの引用を申し出ており、快諾したと言われている。そしてロボコップをいわば逆輸入して、日本風のテイストを加えたのが機動刑事ジバンと言われている
その他、OVA作品として「学園特捜ヒカルオン」が作られたが、その内容は宇宙刑事シリーズを下敷きにしたものに疑いの余地はない。
宇宙刑事シリーズにおける映画化は近年までは「宇宙刑事シャイダー」だけであった。元々、メタルヒーローシリーズ自体、他のヒーローシリーズと比べても映画化されたケースが多くない。
そんな中で宇宙刑事ギャバンの本放映から30年を経過した2012年、「海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン」が公開され、ギャバンを演じる大葉健二氏が往年の活躍を我々に見せてくれた。そして、来る10月にギャバン単体での映画「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」が公開されることになった。
番外。実際はこんな感じなんだろうか。
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最終更新:2025/03/21(金) 17:00
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