小国開放経済 単語

ショウコクカイホウケイザイ

10.0千文字の記事

小国開放経済とは、経済学の用語である。

概要

定義

小国開放経済とは、貿易や際的資本移動の自由があり、実質利子率の決定の自由がない体制のことをす。

2種類の体制

小国開放経済は2種類の体制に分けられる。

1.のは、固定相場制を採用する小国開放経済のであり、国際金融のトリレンマによって発生する3種類ののうちの1つである。

2.のは、変動相場制を採用する小国開放経済のであり、世界各地に見られ、経済学における考察となっている。

1.のも2.のもマンデル=フレミングモデル経済を分析することができる。

本記事では1.のと2.ののそれぞれについて解説する。

固定相場制を採用する小国開放経済の国

採用国

2024年現在香港がこの体制を採用している。

19世紀から20世紀初頭にかけて金本位制を導入していた諸もこの体制を採用するの典例である。金本位制は金塊を一種の外通貨と見なしつつ金塊と自通貨名目為替レートを固定する制度であって、固定相場制の1つである。

長所その1 自由貿易の長所を確保できる

小国開放経済の自由貿易の長所を確保できる。

自由貿易の長所の1つは、企業の費用を削減できるところである。自由貿易をすると安価な外商品を購入することができ、企業原材料費などを削減しやすくなる。また自由貿易をすると企業経営者が労働者に「人件費の安い外に対抗するため賃下げを受け入れろ」と言いやすくなり、労働運動を押さえ込みやすくなり、企業労働者に支払う人件費を削減しやすくなる。

自由貿易の長所の1つは、企業の収益を増加させることができる点である。自由貿易をすると企業海外の巨大な市場に商品を売り込むようになり、企業の収益の増加が期待できる。

長所その2 固定相場制の長所を確保できる

固定相場制を採用する小国開放経済の固定相場制の長所を確保できる。

固定相場制を採用しているので、名目為替レートが固定され、物価が一定である短期において実質為替レートが固定される。このため、貿易の確実性が高く、企業の経営の見通しが立ちやすく、企業が在庫投資や設備投資を行いやすく、国家投資が増えやすい。また、純輸出プラスはその状態を持続させやすく、国家純輸出が一定になりやすい。

短所その1 自由貿易の短所に直面する

小国開放経済の自由貿易の短所に直面することになる。

自由貿易の短所の1つは、内農産業を保護できず内の田舎において人口空白地域が発生することを防げず、ぼうぼうの荒れ地が発生することを防げず、犯罪者犯罪拠を隠滅しやすくなる状況を作り出して治安を悪化させて国家全体の生産技術を劣化させるところである。治安が悪くなると、人々は生命・身体・自由・名誉・財産に危を加えられることにおびえながら生活するようになって労働に集中できなくなり、労働者職務専念義務を果たせなくなり、労働強化の逆が起こり、同一の労働時間であっても以前よりも生産が減るようになり、国家全体の生産技術が劣化する。国家全体の生産技術が劣化すると実質GDP実質賃金実質資本レンタル料や労働生産性Y/Lや資本生産性Y/Kがすべて下落するが、そのことはコブ=ダグラス生産関数で計算すれば明である。

自由貿易の短所の1つは、内工業やサービス産業を保護できず企業が価格競争で敗北しやすいようにすることで労働者が賃上げをめにくくなる状況を作り出し、労働運動を沈静化させ労働者賃金の引き上げを抑制し、人口減少を促進して言語や文化の統一性を悪化させて国家全体の生産技術を劣化させるところである。労働者賃金が下がると、結婚率と出生率が下落して少子化と人口減少が促進され、移民の流入に頼るようになり、内の言語と文化の統一性が悪化し、内において情報が流通しやすい社会が維持できなくなる。社会の中で情報が流通しにくくなれば同一の労働時間であっても以前よりも生産が減るようになり、国家全体の生産技術が劣化する。国家全体の生産技術が劣化すると実質GDP実質賃金実質資本レンタル料や労働生産性Y/Lや資本生産性Y/Kがすべて下落するが、そのことはコブ=ダグラス生産関数で計算すれば明である。

短所その2 固定相場制の短所に直面する

固定相場制を採用する小国開放経済の固定相場制の短所に直面することになる。

固定相場制を採用しているので、名目為替レートが固定され、物価が一定である短期において実質為替レートが固定される。このため、貿易の確実性が高く、企業の経営の見通しが立ちやすく、企業が在庫投資や設備投資を行いやすく、国家投資が増えやすい。投資の余地が少ない先進国でそのような状態になると、過剰投資になり、需要がいのに需要が有るかのように見せかけて投資家から融資を騙し取る投資詐欺を行う知犯罪者が増え、不良債権が増え、バブル景気バブル崩壊が発生し、長期にわたる深刻な不景気が発生する。

固定相場制を採用しているので、名目為替レートが固定され、物価が一定である短期において実質為替レートが固定される。純輸出プラスの状態のはその状態が維持されやすくなる。産業の規模が大きい先進国でそのような状態になると、「あの近隣窮乏化政策を実行している」と厳しく批判されやすくなる。

短所その3 国内実質利子率を自由に決定できない

小国開放経済のは、政府が財政政策を実行して中央銀行が金融政策を行うことで内の実質利子率自由に決定するという体制ではなく、実質利子率自由に決定できない体制である。

小国開放経済のは、経済学教科書の教えに従えば、実質利子率世界共通実質利子率r*とその固有のリスクプレミアムθの合計値に等しくなる。

そして小国開放経済のは、現実的には、実質利子率固定相場制の対となる通貨を発行する実質利子率に等しくなる。その典例は香港であり、香港ドルを対とした固定相場制を採用していて、アメリカ合衆国と同じ実質利子率になっている。

投資が増えすぎたときは過剰投資が発生してバブル景気バブル崩壊が発生して大量の不良債権が生まれて長期にわたる不景気を作り出すので実質利子率を引き上げて投資を抑制せねばならないが、そうした経済政策を実行できない。このため小国開放経済のバブル景気バブル崩壊が起きやすい。

投資が減りすぎたときは将来の資本量が減って将来において国家の生産力が低下するので実質利子率を引き下げて投資を促進せねばならないが、そうした経済政策を実行できない。このため小国開放経済のは、投資がなかなか増えず資本量が少ない発展途上国のままでいるになる可性がある。

性質

小国開放経済のでは、際的資本移動を自由化するので、自企業が外企業を買収して下に収めることや、外企業が自企業を買収して下に収めることが発生しやすい。このため多企業が発生しやすい。

先進国企業発展途上国企業を買収して多企業に成長していく現象は新植民地義とか新帝国義などと呼ばれる。

物価が一定の短期において財政政策の拡大で実質GDPが増えて外貨準備高が増える

物価が一定の短期において固定相場制を採用する小国開放経済ので財政政策を拡大し、政府国債を発行してお金を借り入れてから政府購入または消費を増やすと、投資純輸出が一定となり、政府購入または消費が増えた分だけ実質GDPが増え、中央銀行の外貨準備高が増える。

物価が一定の短期において固定相場制を採用する小国開放経済の政府国債を発行して、長期金融市場からお金を借り入れ、その資金を使って政府購入を増やして実質GDPを増やしたり、もしくはその資金を埋め合わせに使いつつ減税して民の可処分所得Y-Tを増やして消費を増やして実質GDPを増やしたりしたとする。実質GDPが増えたので実質貨幣残高M/Pへの需要が増えて名目利子率が上昇し[1]、短期で期待インフレ率が一定なので実質利子率も上昇する。それに合わせて外発のキャリートレードが発生し、際的投資家が自通貨買い・外通貨売りを行う。固定相場制を維持する中央銀行が自通貨売り・外通貨買いを行うが、自通貨売りによってマネーサプライMの供給が増え、短期で物価が硬直的なので実質貨幣残高M/Pの供給も増え、名目利子率が下がり[2]、短期で期待インフレ率が硬直的なので実質利子率も下がり、元通りの準に戻る。こうして実質利子率投資が維持される。また物価が一定の短期における固定相場制なので名目為替レート実質為替レート純輸出が維持される。このため政府購入や消費の増加によって発生した実質GDPの増加が打ち消されない。また、中央銀行が外通貨買いをするので中央銀行の外貨準備高が増える。

タテ軸名目為替レート・ヨコ軸実質GDPのマンデル=フレミングモデルで説明すると次のようになる[3]政府が財政政策を拡大して政府購入を増やすとIS*曲線が右に行移動して名目為替レートが下落するが、固定相場制を維持することを課せられている中央銀行が自通貨売り・外通貨買いを行って名目為替レートを上昇させ、名目為替レートを維持する。中央銀行が自通貨売りをするときはマネーサプライMの供給が増えるので、LM*曲線が右に行移動する。また、中央銀行が外通貨買いを行うので外貨準備高が増加する。以上から、国債発行で資金を調達して政府購入を増やすと、実質GDPが増え、中央銀行の外貨準備高が増える。

物価が一定の短期において金融政策の拡大で実質GDPが一定となり外貨準備高が減る

物価が一定の短期において固定相場制を採用する小国開放経済ので金融政策を拡大し、中央銀行国債買いオペしてマネーサプライMを増やすことがある。それを行うたびに中央銀行の外貨準備高が減っていく。つまり、中央銀行政府国債買いオペすることは、中央銀行の外貨準備高が底を付くまでの間でしか行えない。また、そうした金融政策を実行したとき、実質利子率投資実質GDPが一定を保つ。

物価が一定の短期において固定相場制を採用する小国開放経済の中央銀行国債買いオペすると、中央銀行マネーサプライMの供給を増やすことになり、短期において価格Pが硬直的なので実質貨幣残高M/Pの供給を増やすことになる。それにより名目利子率が下落し、短期において期待インフレ率が硬直的なので実質利子率も下落する。それに合わせて自発のキャリートレードが発生し、際的投資家が自通貨売り・外通貨買いを行う。固定相場制を維持する中央銀行が自通貨買い・外通貨売りを行うが、自通貨買いによってマネーサプライMの供給が減り、短期において価格Pが硬直的なので実質貨幣残高M/Pの供給を減らすことになり、名目利子率が上昇し、短期において期待インフレ率が硬直的なので実質利子率も上昇し、元通りの準に戻る。実質利子率が一定なので投資が一定になり、実質GDPも一定になる。そして中央銀行が外通貨売りをするので中央銀行の外貨準備高が減っていく。

タテ軸名目為替レート・ヨコ軸実質GDPのマンデル=フレミングモデルで説明すると次のようになる[4]中央銀行市場に流通する国債買いオペしてマネーサプライMの供給を増やすとLM*曲線が右に行移動して名目為替レートが上昇するが、固定相場制を維持することを課せられている中央銀行が自通貨買い・外通貨売りを行って名目為替レートを下落させる。中央銀行が自通貨買いをするときはマネーサプライMの供給が減るので、LM*曲線が左に行移動する。また、中央銀行が外通貨売りを行うので外貨準備高が減少する。以上から、中央銀行国債を肩代わりすると、マネーサプライMや実質GDPが一定を保ち、外貨準備高が減少していく。

前項と本項を合わせると次のようになる。物価が一定の短期において固定相場制を採用する小国開放経済の政府国債を発行してお金を借り入れて政府購入を増やすと、実質GDPが上がっていったんは中央銀行の外貨準備高が増える。その国債中央銀行に肩代わりさせて返済するときに実質GDPが一定となり、中央銀行の外貨準備高が減る。

物価が一定の短期において貿易政策の拡大で実質GDPが増えて外貨準備高が増える

物価が一定の短期において固定相場制を採用する小国開放経済ので貿易政策を拡大し、関税を高めて輸入を減らすと、純輸出実質GDPが増える。

物価が一定の短期において固定相場制を採用する小国開放経済の政府関税を引き上げ、輸入を減らす。純輸出が増えて実質GDPが増え、実質貨幣残高M/Pへの需要が増えて名目利子率が上昇し、短期で期待インフレ率が硬直的なので実質利子率が上昇する。それに合わせて外発のキャリートレードが発生し、際的投資家が自通貨買い・外通貨売りを行う。固定相場制を維持する中央銀行が自通貨売り・外通貨買いを行うが、自通貨売りによってマネーサプライMの供給が増え、短期で物価が硬直的なので実質貨幣残高M/Pの供給も増え、名目利子率が下がり、短期において期待インフレ率が硬直的なので実質利子率も下がり、元通りの準に戻る。こうして実質利子率投資が維持される。また、中央銀行が外通貨買いをするので中央銀行の外貨準備高が増える。以上をまとめると、貿易政策を拡大して関税を高めて輸入を減らすと、純輸出実質GDPが増え、外貨準備高が増える。

タテ軸実質為替レート・ヨコ軸実質GDPのマンデル=フレミングモデルで考えると次のようになる[5]政府関税を高くして輸入を減らすと純輸出が増えるのでIS*曲線が右に行移動し、名目為替レートに下落圧力がかかる。名目為替レートに上昇圧力を掛けて名目為替レートを維持するため、中央銀行マネーサプライMの供給を増やして自通貨売り・外通貨買いをして、LM*曲線を右に行移動させる。こうして純輸出実質GDPが増加し、外貨準備高が増える。

この政策を追求していくと、自由貿易を支持せず保護貿易を支持するようになるため、小国開放経済のの要素が薄れて閉鎖経済の要素が濃くなっていく。

物価が変動する長期において財政政策の拡大で実質為替レートが下落する

物価が変動する長期において固定相場制を採用する小国開放経済ので財政政策を拡大し、政府国債を発行してお金を借り入れてから政府購入または消費を増やすと、実質利子率が一定を保って投資が一定を保つが、実質為替レートが下落して純輸出が減少する[6]

「長期において実質GDPが一定を保つ」という自然率仮説を採用するのなら、政府購入や消費の増加幅は純輸出の減少幅と一致する。

変動相場制を採用する小国開放経済の国

固定相場制を採用しての通貨の切り下げ・切り上げは変動相場制の採用に似ている

固定相場制を採用する小国開放経済のであっても、外貨準備高が底を付いたので通貨切り下げ(自通貨安への誘導すなわち名目為替レートの上昇への誘導)をすることがあるし、内物価の上昇を抑制するために通貨切り上げ(自通貨高への誘導すなわち名目為替レートの下落への誘導)をすることがある。

19世紀から20世紀初頭にかけて金本位制を導入していた諸は、固定相場制を採用する小国開放経済のである。そうしたでもしばしば自通貨と金塊の交換レートを変更していた。たとえば1930年代世界恐慌のとき、デンマークフィンランドノルウェースウェーデンイギリス金本位制を維持しつつ、自通貨1単位に対して支払う金塊の量を50%も減らし、自通貨を金塊に対して切り下げした[7]

固定相場制を採用する小国開放経済のがそうしたことを行った場合、固定相場制をあきらめて変動相場制を導入したことと似たような状況になる。

固定相場制を採用する小国開放経済の」と「変動相場制を採用する小国開放経済の」の違いは、さほど厳密なものではない[8]

物価が一定の短期において財政政策の拡大で実質GDPが増えない

物価が一定の短期において変動相場制を採用する小国開放経済ので財政政策を拡大し、政府国債を発行してお金を借り入れてから政府購入または消費を増やすと、それと同じだけ純輸出が減り、実質GDPが一定を保つ。

物価が一定の短期において変動相場制を採用する小国開放経済の政府国債を発行して、長期金融市場からお金を借り入れ、その資金を使って政府購入を増やして実質GDPを増やしたり、もしくはその資金を埋め合わせに使いつつ減税して民の可処分所得Y-Tを増やして消費を増やして実質GDPを増やしたりしたとする。実質GDPが増えたので実質貨幣残高M/Pへの需要が増えて名目利子率が上昇し、短期で期待インフレ率が一定なので実質利子率も上昇する。それに合わせて外発のキャリートレードが発生し、際的投資家が自通貨買い・外通貨売りを行い、自通貨高・外通貨安になって名目為替レートが下落する。短期で物価が硬直的なので実質為替レートも下落し、純輸出が減り、実質GDPが減る。実質GDPが減るので実質貨幣残高M/Pへの需要が減って名目利子率が下がり、短期で期待インフレ率が一定なので実質利子率も下がり、元通りの準に戻る。政府購入または消費の増加による実質GDPの増加幅と純輸出の減少による実質GDPの減少幅がぴったり一致し、実質GDPが一定を保つ。

タテ軸名目為替レート・ヨコ軸実質GDPのマンデル=フレミングモデルで説明すると次のようになる[9]政府が財政政策を拡大して政府購入を増やすとIS*曲線が右に行移動し、名目為替レートが下落し、短期において物価が硬直的なので実質為替レートも下落し、純輸出が減る。こうして実質GDPが一定を保つ。

物価が一定の短期において金融政策の拡大で実質GDPが増える

物価が一定の短期において変動相場制を採用する小国開放経済ので金融政策を拡大し、中央銀行国債買いオペしてマネーサプライMを増やすと、純輸出が増えて実質GDPが増える。

物価が一定の短期において変動相場制を採用する小国開放経済の中央銀行国債買いオペすると、中央銀行マネーサプライMの供給を増やすことになり、短期において価格Pが硬直的なので実質貨幣残高M/Pの供給を増やすことになる。それにより名目利子率が下落し、短期において期待インフレ率が硬直的なので実質利子率も下落する。それに合わせて自発のキャリートレードが発生し、際的投資家が自通貨売り・外通貨買いを行う。自通貨安・外通貨高になり、名目為替レートが上昇し、短期で物価Pが硬直的なので実質為替レートも上昇し、純輸出が増える。純輸出が増えて実質GDPが増えるので実質貨幣残高M/Pへの需要が増えて名目利子率が上がり、短期で期待インフレ率が硬直的なので実質利子率が上がり、元通りの準に戻っていく。以上をまとめると、金融政策を拡大して、マネーサプライMの供給を増やすと、純輸出が増え、実質GDPが上がる。

タテ軸実質為替レート・ヨコ軸実質GDPのマンデル=フレミングモデルで考えると次のようになる[10]。物価が一定の短期において変動相場制を採用する小国開放経済の中央銀行国債買いオペして、マネーサプライMの供給を増やすと、LM*曲線が右に行移動し、名目為替レートが上昇し、短期において物価が硬直的なので実質為替レートが上昇し、純輸出が増える。以上をまとめると、金融政策を拡大して、マネーサプライMの供給を増やすと、純輸出が増え、実質GDPが上がる。

物価が一定の短期において貿易政策の拡大で実質GDPが増えない

物価が一定の短期において変動相場制を採用する小国開放経済ので貿易政策を拡大し、関税を高めて輸入を減らしても、純輸出実質GDPが一定を保つ。

物価が一定の短期において変動相場制を採用する小国開放経済の政府関税を引き上げ、輸入を減らす。純輸出が増えて実質GDPが増え、実質貨幣残高M/Pへの需要が増えて名目利子率が上昇し、短期で期待インフレ率が硬直的なので実質利子率が上昇する。それに合わせて外発のキャリートレードが発生し、際的投資家が自通貨買い・外通貨売りを行う。自通貨高・外通貨安となって名目為替レートが下落し、短期で物価Pが硬直的なので実質為替レートも下落し、純輸出が減り、実質GDPが減る。実質GDPが減るので実質貨幣残高M/Pへの需要が減って名目利子率が下がり、短期で期待インフレ率が硬直的なので実質利子率が下がり、元通りの準に戻っていく。以上をまとめると、貿易政策を拡大して関税を高めて輸入を減らしても、純輸出実質GDPが一定を保つ。

タテ軸名目為替レート・ヨコ軸実質GDPのマンデル=フレミングモデルで説明すると次のようになる[11]関税を高めて輸入を減らすとIS*曲線が右に行移動し、名目為替レートが下落し、短期において物価が硬直的なので実質為替レートも下落し、輸出が減る。こうして純輸出実質GDPが一定のままとなる。

物価が変動する長期において財政政策の拡大で実質為替レートが下落する

物価が変動する長期において変動相場制を採用する小国開放経済ので財政政策を拡大し、政府国債を発行してお金を借り入れてから政府購入または消費を増やすと、実質利子率が一定を保って投資が一定を保つが、実質為替レートが下落して純輸出が減少する[12]

「長期において実質GDPが一定を保つ」という自然率仮説を採用するのなら、政府購入や消費の増加幅は純輸出の減少幅と一致する。

関連項目

脚注

  1. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー315317ページでタテ軸実質利子率r・ヨコ軸実質貨幣残高M/Pの図があり、実質GDPが増えると実質貨幣残高M/Pへの需要が増え、右肩下がりの需要曲線が右に行移動して垂直線の供給曲線との交点が上に移動する様子が示されている。ちなみにその図はタテ軸名目利子率iとするのが本来の形である。
  2. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー315317ページでタテ軸実質利子率r・ヨコ軸実質貨幣残高M/Pの図があり、実質貨幣残高M/Pの供給が増えると垂直線の供給曲線が右に行移動して右肩下がりの需要曲線との交点が右下に移動する様子が示されている。ちなみにその図はタテ軸名目利子率iとするのが本来の形である。
  3. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』378ページ
  4. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』379ページ
  5. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー381ページや397ページ
  6. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー175~176ページ
  7. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』380ページ
  8. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー390ページ
  9. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』370~371ページ
  10. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』371ページや397ページ
  11. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー』372373ページ
  12. *『マンキュー マクロ経済学入門編 第3版(東洋経済新報社)N・グレゴリー・マンキュー175~176ページ
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