尾翼 単語

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尾翼とは飛行機などの後部にあるのことである。安定性や操縦性の向上を的としたものが多い。

安定飛行のため、ヘリコプター飛行船等にもある。全機など、特殊な機体にはいものもある。

概要

航空機には何種類かのがある。画像を見てほしい。これはジャンボジェットとして有名なボーイングB747機である。

まずエンジンを搭載しているが2枚ある。これは人間でいう両腕にあたる。

その後方には、平尾が2枚と垂直尾翼1枚がある。それぞれ両足と尻尾と考えてもらってかまわない。

B747はこの5枚ので揚を生んでに浮き、また中での姿勢を保っている。

このうち、平尾と垂直尾翼をまとめて尾翼と呼ぶ。

おなじでもにくらべるとあまり大きくなく、立たない部位であるが、その役割は外見よりはるかに大きい。中はつかまるものがないため、バランスを保持することは地上にいるときよりむずかしい。それに的地へ飛行するためには自在に方向を変えることができなければならないし、昇降も任意に制御できなければならない。離陸するときに機首を上へ向けてやらなければそもそも飛び立てないだろう。ではどうやって飛行中の飛行機を右や左に旋回させたり、上昇や下降をさせたりするのだろうか。

それがまさに尾翼の役なのである。

水平尾翼

平尾は基本的に昇降をコントロールする。平尾の後端は上下に動くようになっており、―の状態から/や\にしたりできる。/にすれば平尾がある尾部が空気抵抗で下がり、機首が上を向くので機体は上昇する。逆に平尾を下へ向けて\にするとどうなるだろうか? 尾部が持ち上がるので代わりに機首が下がり、機体が下降するのである。

また、というものは下がると揚が大きくなり、上げると失う性質をもつ。というわけで、たとえば右の平尾を下げて、左を上げると、右側の揚が大きくなって左側は揚が小さくなるから、機体は左に傾くことになる。左に傾いた状態で機首を上げると機体は左方向へ進路を変える。飛行機はこうして旋回しているのである。

この機体の昇降を制御する平尾の可動部分をエレベーター(昇降)といい、可動しない部分を安定板という。つまり、安定板エレベーター平尾が構成されているわけである。
ちなみにF-15F-22など一部の戦闘機平尾全体がエレベーターとして動くようになっており、これを全遊動式と呼称する。

垂直尾翼

他方、垂直尾翼は機体の左右方向の安定を保つために欠かせない部位である。平尾安定板エレベーターからなるのと同様に、垂直尾翼は機体に固定された垂直安定板と、その後縁の可動式となっているラダー(方向)で構成される。ラダーをふりふりと動かせば機体は飛行しながら右や左に機首を振ることができる。横を受け続ける状況でもこの方向を利かせてやればまっすぐ飛べるというわけだ。

中の飛行機は、左右のヨー、上下のピッチ、傾きのロール、この3つの運動がかみ合ってはじめて安定した姿勢を得ることができる。平尾ピッチロール、垂直尾翼はヨーをつかさどる(ロールを制御しているが今回は割愛する)。5枚ののうち、1枚でも欠けるとまともに飛ぶことはできない。

2001年には、飛行中に垂直尾翼が折れたアメリカ航空587便が住宅街墜落。乗員乗客260名全員死亡しただけでなく、墜落に巻き込まれた地上の住民5名までも命を落とす大惨事となった。たかが1枚のだが、されど1枚である。1枚の垂直尾翼が折れただけで、265名もの命が奪われる痛ましい事故を招来せしめたのだ。

F-15F-22などの戦闘機では垂直尾翼が2枚あったりする。戦闘機は大仰(頭をものすごく上へ向けた状態)で離着陸する状況がままあるが、こうなると自分の胴体に垂直尾翼が隠れてしまう。隠れるということは気流が垂直尾翼に当たらなくなるということで、つまり左右方向の安定性は失うし方向も利かなくなる。かといって垂直尾翼を大きくすると格納庫天井にひっかかる可性もあるし、機体が重くなるうえに抵抗が大きくなって速度に支障が出るし、安定性がよくなりすぎて運動性も低下する。そこで垂直尾翼を2枚にして、胴体のになりにくいように配置したわけだ。2枚あると面積が2倍になるのであまり高くしなくてもよくなる。

ただし、ユーロファイター・タイフーンのように機首にカナード(小さい)があるものはそれで垂直尾翼まわりの気流を整えてやれるので1枚にしてある機種もある。垂直尾翼を2枚にすると1枚のときよりどうしても重量と空気抵抗は増えるので、飛ばすことだけを考えるなら1枚のほうが有利なのである。

しかし戦闘機は敵よりさきに敵を見つけ、敵よりさきに攻撃し、敵よりさきに撃墜しなければならない。レーダー全盛の現代でそれを成し遂げるにはステルスが重要になってくる。

ステルスを考えるうえでたいせつなのはレーダーの仕組みだ。レーダー電磁波を発射して反射してきたものを受信してはじめて機する。つまりレーダーを照射されても反射波を相手に返さなければ見つからないわけだ。

そのためにいちばん有効なのは、機体の形状を工夫して、照射された電磁波まっすぐ相手に反射させず、四方八方でたらめな方向に受け流すことである。ステルス機として有名なF-117が初代バーチャファイターみたいにカクカクな外形をしているのはまさに「レーダー波を照射された方向に反射させないため」である。

さて、垂直尾翼である。1枚だとその名のとおりに垂直に設置されているのでみごとにレーダー波を来た方向に跳ね返す。ナナメに倒せば正反射させずにすむが、そんな奇形では飛べない。そこで垂直尾翼を2枚にして傾けるという案が出されたのである。

F-22戦闘機。垂直尾翼に注されたい。傾いているのがわかるだろう。

重力にさからってを飛ぶというのは本来は理なことである。その理を理にするために、飛行機は、一般的な旅客機なら400万~600万点もの部品を総動員させ、飛行という物理奇跡を実現させているのである。尾翼はその奇跡を起こす、まさに一を担っているのである。

尾翼がない航空機

機と呼ばれる極端な例だが、尾翼がB-2ステルス爆撃機のような例もある。

(→ノースロップ・グラマンB-2

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