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学問の記事なのに、個人の知識と偏見に基づいて書かれたものです。 個人の趣味が色濃く出ており、不快に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。 真面目に、また本格的に知りたい方はWikipedia先生 ![]() |
工学とは、人間社会に役に立つ技術的な何かである。「不可能を可能にする学問」とする人もいる。
でも現実にはできないことの方が多いんだけどなあ。 越えられない壁(物理法則)がそこにはある。
単語に使われている漢字から、工業(製造業)のための学問をイメージしてみるが、そうでもない。
試しに工学という言葉が付くものを挙げてみると、土木工学、建築工学、機械工学、電気工学、情報工学、化学工学まではいいとして、それから経営工学、金融工学、人間工学、遺伝子工学、食品工学、農業工学、気候工学、法工学、教育工学、スポーツ工学、サービス工学、折り紙工学と、段々「ん?」と首をかしげたくなる分野が増えてくる。
工学が付く学問は沢山ある。なんでもかんでも工学をつければいいというものではないと思うのだが、技術的なものを扱う時に「工学」を付けたがる傾向にあるようだ。
工学はもともと engineering の訳語であり、その engineering は元来 military engineering 、つまり軍事技術を意味していた。それが市民社会に役に立つ civil engineering (日本語では土木工学と訳す)に発展した。
そして道路や建築物、機械などの「もの」を創る技術を指すものへと変わっていた。その後、物理学や化学など学問の発展と共に、理論的な裏付けが試みられることになる。ここで初めて工学という学問になったと言えるかもしれない。逆から見ると科学が生まれる前から技術はあったことになる。その後、社会の分析などに工学が応用されるようになる。
ただし、biotechnology を生命工学と訳したことに疑問はある。これまでの工学と技術内容が違いすぎるように感じる。
確かにお酒の醸造や納豆などの発酵食品、農作物の品種改良と聞けば、ものづくりと言えるかもしれない。
ただ、創薬や再生医療などにも役に立つので、やはり農学、薬学、医学(歯学)などの方が近いと感じる。
生命の原理を調べる分子生物学と、その応用技術を区別するために工学とつけたと推測される。
bioengineering なる言葉もある。こちらは生体工学と訳され、きちんと工学してる。とてもややこしい。
機械工学や電気工学などの既存の工学の医療応用として派生してきた分野なので当然であるが。
但し他の学問の例にもれず、生命工学と生体工学の境界は曖昧であり、お互いに影響し合っている。
他にも、educational technology を教育工学、law and technology を法工学と訳している。
英語だと science と engineering (technology)と言う風に、完全に科学と工学(技術)が分かれている。工学向けの科学のことを engineering science と呼んだりする。日本では科学技術という言葉のように、ほぼ一体化したもののように扱われるが多い。確かに工学は自然科学や社会科学を基礎に成り立っているが、それだけが工学ではない。
工学は試行錯誤に基づいたノウハウの集まりという側面も持つ。例えば、料理をする際に熱力学や有機化学の知識を使う人はいるだろうか。実際にそういう狂人はいるのだが、大体の人は先人の経験に基づいたレシピをみてつくるなど、どういう現象が起きているかまで考える人はいないだろう。実際にできれば何が起きてるかなど、日常的にはどうでもいいのである。
工学も同じで、先人から受け継がれてきた技術の積み重ねが重要である。そのため、使い手の技術(skill)の影響も大きい。また製図法(図法幾何学)や工業規格作りも大事にする。だから、科学的知識・手法も役に立つ道具の一つに過ぎないのである。役に立つものなら何でも使う分野である。
熱力学との関係が有名かもしれない。熱力学は永久機関の開発を通して、発展してきた。永久機関は発明家の夢であった。想像してみてほしい、永久機関があればもう働く必要もない。原発問題や地球温暖化のようなエネルギー問題も一発で解決である。大金持ち間違いない。しかし、開発は挫折で終わった。その挫折から導かれてきたのが、熱力学の基本法則である。失敗だって役に立つんじゃあああああ。
科学が工学を革新したケースもある。真空管が全盛期だったころに、ある物理学者が量子力学を基にトランジスタを開発した。トランジスタの開発当時、真空管技術者が「そんなもの、役に立つものか」と笑い、真空管の開発を続けたという噂がある。しかし結果は、真空管はトランジスタを筆頭とする半導体技術に取って代わられ、今の電化製品に無くてはならないものとなっている。技術者m9(^Д^)
工学(技術)と科学は一緒に発展してきた側面も否定してはならない。科学と技術を分けて考えなかった日本だからこそ、科学技術は発展したのだとする人もいる。もちろん、欧米みたいに区別すべきという人もいたりする。
工学の意味は時代によって変化している。工学とは基本的には「ものづくり」の学問である。その方法論として、科学的手法と経験的アプローチの二つの側面を持つ。しかし明確な定義がなく、ものづくり技術の応用以外でも、社会、生命、環境などを対象にした科学技術を工学と呼ぶことが多い。もはや、科学と現場を繋ぐ学問と言った方がいいのかもしれない。または興味のある工学分野について調べて、工学とは何かを考える方が良いとも考える。
工学に関するニコニコミュニティが無くても、日々真面目に汗をかいている人がいることを忘れないでください。
掲示板
7
2020/04/17(金) 11:37:02 ID: RwM4RgRpWr
工学って,極論「人の役に立てばそれでよし」だから.
その点が純粋な理学との違いだよね.
ゆえに原理不明だったり,
自然科学に基づかない(人間の感性的なもの)
原理に基づいて物を作る手法が議論される.
前者の例でいうと,DVD-Rの書き込み原理って
当初はわからなかったのに,製品がバンバン発売されていたし.
(なぜ家庭用5インチベイに収まるレベルのレーザー出力で,
DVD表面にデータを焼き付けられるのかわからかった)
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
8 ななしのよっしん
2020/06/15(月) 00:15:10 ID: m0B46d8evs
科学技術にこれからもずっと克服できないものは、多分、大自然の驚異でもタイムトラベルでもなく、人間の悪意だと思う
9 ななしのよっしん
2021/08/03(火) 17:04:25 ID: RsVX+1uzdU
「克服」をどう定義するかにもよるけど
悪意や攻撃等を処理解消する科学技術としては「安全工学」や「ディペンダビリティ」や「馬鹿よけ」とかある
本来の目的を達成するための本体と組み合わされて相互補完的に機能している
身近な例ではPCやスマホに入っているウイルス対策ソフト
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最終更新:2025/03/19(水) 20:00
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