希望の轍

希望の轍（きぼうのわだち）とは、サザンオールスターズの楽曲である。

概要

…サザンの楽曲と書いたものの、実は厳密にはサザン名義の曲ではない。1990年に公開された桑田佳祐監督の映画『稲村ジェーン』のために作られた曲であり、名義は「稲村オーケストラ」になっている。公開当時の「ミュージックステーション」にもこの「稲村オーケストラ」として出演するなどしていたが最近は桑田本人もラジオにてサザン名義で曲紹介を行うなどもはやどうでもよくなっている。
イントロのピアノがものすごく印象的だが、このピアノもサザンのピアニスト、原由子の演奏ではない（後にMr.Childrenのプロデュースなどで活躍する小林武史によるもの）。

しかし何がすごいってこれだけ有名な曲なのに実はシングルになっていない。1998年より一時期めざましテレビのワールドキャラバンのコーナーで使われた事などにより有名になった。

現在ではサザンオールスターズの曲として広く認識されており、サザンのライブでも数多く演奏される定番曲になっている。
その際には当然ながらサザンオールスターズのメンバー全員が演奏に参加しており、スタジオ版で聴けなかった松田弘のドラム、野沢毛ガニ秀行のパーカッション、関口和之のベース、そして原由子によるピアノイントロも勿論きちんと披露される。

2コーラス目、サビ直前の「愛されるために　羽ばたくようなbaby love」のbaby loveは桑田がシャウトするのがお約束になっており、観客のテンションもブチ上がるこの曲のハイライトシーンになっている。

1999年9月3日放送のクレヨンしんちゃん第331話「まつざか先生の恋の決着だゾ」においては劇中で流れる曲としてこの作品が選出されている。原作漫画の単行本24巻のエピソードを元にしており、漫画版ではこの曲の歌詞が貼られている。なお、このアニメ第331話は3回に分けて展開され、終盤の組長先生の名台詞などもあって名作と名高い。
楽曲がそのままオリジナル音源で流れる関係上、DVDなどの映像ディスクメディアには未収録となっているが、2015年10月21日より、テレ朝動画のクレヨンしんちゃんのチャンネルにおいて配信が開始されており、2023年現在は比較的容易に試聴することが可能。
このことを認識していたからか、2009年9月に原作者の臼井儀人が不慮の事故で他界した際に、桑田は自身のテレビ番組『桑田佳祐の音楽寅さん』のステージにおいてソロ楽曲「漫画ドリーム」の一節の歌詞を「クレヨンしんちゃんも夢をアリガトウ」と変えて歌い、故人を偲んだ。

1998年からワールドキャラバンでこの曲が使われていたことや、前年にクレしんで流れたこともあって一般に曲の知名度が急上昇していたこともあってか
2000年の茅ヶ崎ライブにおいてはオープニング曲として選出されたことから、プレッシャーからキーボードの原由子はこの曲を1曲目にするのはやめて欲しいと嘆願したという。

2006年の「THE夢人島 Fes.2006」ではBEGINの比嘉栄昇、ポルノグラフィティの岡野明仁、Mr.Childrenの桜井和寿、GLAYのTERU、福山雅治にサザンオールスターズというまさに全員ラスボスといった錚々たるメンツで歌われている。

俺、サザンが復活したらライブ行って一緒にbaby loveをシャウトしようと思ってんだ…←無事復活したぞい

桑田のレギュラーラジオ番組『やさしい夜遊び』でも何度か演奏されており、特に東日本大震災から1週間が経過した2011年3月19日放送分では演奏後に感極まり「日本の国民のみなさんは素敵で優しい人たちだと思う。この国に生まれて良かったなと思います」という名言を残している。

2013年の35周年ツアー『サザンオールスターズ SUPER SUMMER LIVE 2013 灼熱のマンピー!! G★スポット解禁!!』では、2000年以来の茅ヶ崎球場公演が含まれ、前回とは対称的にライブを締めくくるラストナンバーとして君臨した。サザン単独ライブでフィナーレにこの曲が使われたのはこのツアーが初めて。

NHKドラマ「とめはねっ! 鈴里高校書道部」では、挿入歌（書道のパフォーマンス時）として使用された。
ちなみに、轍とは車の通った後に残される車輪の跡のことである。

2014年10月1日より東海道本線茅ヶ崎駅の発車メロディに採用された。2000年の時はJR側に拒否された物の、この前年に13年ぶりの茅ヶ崎凱旋公演が行われた事で再度機運が高まり、時代が進んで駅メロディが一般的となった事から採用が決まった。なお、2022年3月までは1・2番線にはもう一人の湘南シンガー加山雄三の「海 その愛」も使われていた。

2023年には10年ぶりに茅ヶ崎球場でのサザンオールスターズの単独ライブが4公演行われたが、その際にJR東日本がライブの観客向けに東京-茅ヶ崎間で臨時運行したE257系9両全車指定席の特別急行列車「えぼし号」では、茅ヶ崎駅発着時にこの曲が車内放送のチャイムとして流れている。停車駅は品川、川崎、横浜だった。但し、放送内では「イベント開催の為～」とサザンオールスターズの名前は出さないようにしていた。しかし、プレスリリースのPDFではサザンオールスターズのライブのための増発と明言している。
ちなみに、この特急列車の名前がサザンではなくえぼしになったのは、南海電鉄に既に特急サザン号が実在していたためである。

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関連項目

• サザンオールスターズ
• クレヨンしんちゃん
• 茅ヶ崎駅