平昌オリンピック(ピョンチャン Olympic)とは、2018年に開催された第23回冬季オリンピック(XXIII Olympic Winter Games)である。
日本はこのオリンピックで13個、パラリンピックで10個のメダルを獲得し、大いに沸いた大会となった(詳しくは後述)。
冬季オリンピック | |
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平昌オリンピック | |
正式名称 | |
第23回オリンピック冬季競技大会 | |
XXIII Olympic Winter Games | |
基本情報 | |
開催国 | 韓国 |
開催都市 | 平昌郡 |
開会式 | 2018年2月9日 |
閉会式 | 2018年2月25日 |
競技種目数 | 7競技102種目 |
参加国・地域 | 92 |
新採用/追加競技 | |
オリンピックテンプレートボックス |
2011年7月6日にダーバン(南アフリカ共和国)で開かれた第123次IOC総会で開催地をアヌシー(フランス)、ミュンヘン(ドイツ)、平昌(韓国)の中から決めることになり、圧倒的大差をつけて平昌が開催地となった。
国名 | 都市名 | 1回目投票 |
大韓民国 | 平昌 | 63 |
ドイツ | ミュンヘン | 25 |
フランス | アヌシー | 7 |
しかし、このオリンピックは様々な問題点を抱えている。
圧勝的大差をつけて開催地に決定した理由としては、計画が評判であり、IOCの評価報告書でも高評価。また、李明博大統領がアメリカ等各国を歴訪し、支持を取り付けたことが挙げられる [1]。
しかし、以下の問題点が浮かび上がっている。
とにかく運営面ではすったもんだが続いた本大会ではあるが、一方で競技に目を向ければ日本選手の活躍が大いに目立つ内容であった。
以下、メダル獲得者ないし上位入賞者を中心に、本大会における日本選手の主な戦績をまとめる(2/25現在)。
日本は金4個、銀5個、銅4個の計13個のメダルを獲得しており、1998年の長野オリンピックを上回り冬季五輪としては最多のメダル獲得数となった。
日本は8個のメダルを獲得、中でも高木姉妹は団体競技含め合計4つのメダルに輝く。高木菜那(姉)は団体競技と個人競技両方で金メダルを獲得、高木美帆(妹)は金銀銅すべてのメダルを手にすることになった。
スケルトンのみ出場。日本選手の上位進出こそならなかったが、女子の小口貴子は初出場ながら19位と健闘。
女子のみ出場。準々決勝進出はならなかったが、記念すべき五輪初勝利を挙げた。最終順位は6位。
残念ながら日本選手の上位進出はなし。個人最高位は立崎芙由子の女子7.5kmスプリントにおける42位。
男女ともに出場。男子(SC軽井沢)は残念ながら予選突破はならなかったが、女子(LS北見)は日本勢として初めて準決勝進出、韓国に敗れ3位決定戦に回るもイギリスに勝利し銅メダルに輝いた。詳しくは下記「そだねージャパン」を参照。
平昌パラリンピックでも日本選手の躍動は続き、金3個、銀4個、銅3個の全10個のメダルを獲得。特に村岡桃佳は出場全種目でTOP3に入り、日本勢の半分となる5個のメダルを1人で手にすることになった。ここではそのメダリストたちの成績を紹介する(3/18現在)。
特に話題になった国外選手の成績についても記述(2/25現在)。
なお開催地・韓国選手団は大正義ショートトラックではいつもより不発気味だったが、カーリング女子以外にもスケルトン男子でアジア初の金メダル、スノーボード男子パラレル大回転とボブスレー男子4人乗りでアジア初の銀メダルを獲得。これまで白人以外にだけ聳え立っていた壁をいくつか破ることに成功している。ぜひ日本の選手たちにもこれに続いてもらいたい。
今大会もいろんなことがありました。
かねてから組織的なドーピング疑惑が指摘されており、国際陸上連盟からはロシア陸上連盟の資格停止処分を下され、リオデジャネイロパラリンピックでは国レベルで出禁という厳しい措置をくらったロシア。もし本大会にロシアが出場できなくなるとなれば、フィギュアスケート女子シングルのエフゲニア・メドベージェワをはじめ多くのトップ選手が競技に参加しないことになり、本大会が「世界一決定戦」にならないのではないかという心配がなされていた。これに対しIOCは2017年12月5日、ロシアオリンピック委員会の資格を停止したうえで、「シロ」である可能性が極めて高い選手に限り、個人資格での参加を認めることとなった。これらの選手によって結成された選手団が、「Olympic Athletes from Russia」、略してOARである。OARは"ロシア代表"ではないという立場上、とにかくあらゆる場面においてロシア国旗・ロシア国歌などの使用を一切禁止されており、代わりにオリンピックシンボル(いわゆる五輪のマーク)とオリンピック讃歌が用いられることになったほか、選手のユニフォームなどにある「Russia」の表記も「OAR」などに変更させられている。
ただし個人資格での参加とはいっても一応選手団なので、冬季オリンピックでたくさん実施される個人種目はもちろんのこと、カーリングやアイスホッケーといったチームスポーツをはじめ、ショートトラックやリュージュのリレー、フィギュアスケートやスキージャンプの団体戦といった種目においても「OAR」というチームとして競技に参戦している。
そのOAR選手であるが、前述の通り今大会も残念ながらドーピング陽性反応を示した選手が複数現れてしまった(もしかしたら閉会後に何らかの処分が下され、日本選手を含めた順位の変動があるかもしれないので注意が必要)ほか、アイスホッケー男子では優勝したOARチームがあれだけダメといわれたのにロシア国歌を斉唱する(もちろん伴奏として流れていたのはオリンピック讃歌なのだが)という事態も発生している。
なお2週間後に開催された平昌パラリンピックでは、ロシア選手はオリンピック同様ドーピングの疑いが極めて低い選手に限り、「Neutral Paralympic Athletes」、略してNPAという名前で個人資格で参加することに。出禁にならなかっただけマシとはいえ、国名表記まで消えてしまった。東京五輪におけるロシアの立場は一体どうなってしまうのだろうか。
1988年にソウルオリンピックが開催されたときは、韓国政府首脳の暗殺や大韓航空機の爆破など、とにかく大会の妨害に余念がなかった北朝鮮。今回も金正恩体制下で核実験やミサイル発射を繰り返し国際的に孤立していたため、その動向が注目されていたが、韓国政府やIOCなどの呼びかけもあり、結局は2018年1月になって参加を表明。その後行われた話し合いの結果、開会式では韓国・北朝鮮合同での入場行進が行われたほか、アイスホッケー女子において史上初の南北合同チーム「コリア」が結成されることになった。テロップなどでよく見るIOCコードは「COR」。本来コリアは英語で書くと「Korea」だが、韓国の「KOR」との重複を回避するために、フランス語の「Corée」に由来する表記が採用されている(ちなみに北朝鮮のIOCコードは「PRK」)。
余談だが、前述のアイスホッケー女子日本代表が五輪初勝利を挙げた相手はこの「コリア」チームである。というか、「コリア」は結局今大会で1勝もできなかった。
本大会会場のメインプレスセンター近くに、韓国の現代アート作家・金知鉉の制作した「弾丸マン」というオブジェが設置されていた。東京スポーツの記者が「これは何ですか?」と運営スタッフに尋ねたところ、皆が皆「モルゲッソヨ(知りません)」と答えた、というエピソードを記事で紹介したところ、ニコニコ静画やTwitter、Pixivなどで急速に拡散。即座に大量のイラストやCGが制作され、あたかも「モルゲッソヨ」がこの像の名前であるかのように定着、ついには「平昌オリンピック非公式マスコット」と言われるまでに成長した。詳しくは「モルゲッソヨ」の項目を参照。
ちなみに一応言っておくと、本大会の公式マスコットは白虎の「スホラン」、パラリンピックの方は熊の「バンダビ」である。
-6℃という厳しい環境の下で2月9日実施された、本大会の開会式。服の下にカイロを20個貼り付けて参加したり、そもそも参加をパスしたりする選手も現れる中、入場行進にココナッツオイルでテッカテカになった上半身裸の男が現れ、世界中の注目を浴びることになった。彼は南太平洋に浮かぶトンガからやってきたピタ・タウファトファ、34歳。トンガ選手団の旗手を務めた人物である。
実はこの男、このパフォーマンスをしたのはこれが初めてではない。彼はもともとテコンドーの選手であり、リオデジャネイロオリンピックでは80kg超級に出場。そのときもトンガ選手団の旗手を担当し、上半身裸での行進を行っている(そして、本大会の閉会式でも入場時は服を着ていたが、途中でやっぱり上半身裸になった)。
クロスカントリースキー男子15kmフリーに出場するタウファトファだが、数年前まで雪をまともに見たことすらなかったらしく、メディアの取材でも正直に経験不足を告白していた。しかし、オーストラリアのホームレス支援施設で働く彼は、「やればできる」というメッセージを施設の人たちに送りたいと、テコンドーからスキー競技への挑戦を決意。並々ならぬ努力の末、オリンピックの出場権を獲得するに至ったのである。その開催国がテコンドーの本場・韓国だったというのは何かの偶然だろうか。
なお競技の方は2月16日に実施され、タウファトファは優勝者から約23分遅れの56分41秒1、完走者116人中114位でフィニッシュ。結果はともかく無謀ともいえる挑戦を成し遂げた彼に対して、心から称賛の言葉を送りたい。
本大会は開催地である韓国はもちろんのこと、お隣である日本にとっても時差を気にせず熱い戦いをTVで楽しめる…はずだったのだが、スキージャンプ男子ノーマルヒル決勝は午後9時35分開始、フィギュアスケート男子シングルフリーは午前10時開始など、不自然な時間帯に競技が実施され、結局現地観戦はもちろんTVで応援する場合にも、そこそこの観づらさを感じることになった(これに加えて男子ノーマルヒルの場合はあの葛西紀明も恐怖を感じるほどの猛烈な風が吹き荒れ、何度も競技進行が中断された結果、表彰式が始まったころには午前0時を大きく回っていて、お客さんはほとんどが帰ってしまっていた)。前述のとおり日本や韓国にとっては時差を気にしなくていい本大会であるが、逆に言うとヨーロッパやアメリカの人は時差を気にしなければTVで観られなくなるため、そちらのゴールデンタイムに無理やり合わせたのではないかと言われている(ちなみに韓国の午前10時はアメリカ東海岸の午後8時)。
オリンピックのTV放映権料は莫大な収入であるため、運営上仕方ないといえば仕方ないのかもしれないが、韓国まで応援に行った関係者やファン、そしてなにより選手たちのことが第一に考えられているのか?という疑問が呈されることになった。
68選手が参加したクロスカントリースキー男子30kmスキーアスロンでは、スタート直後にシーメン・ヘグスタット・クルーゲル(ノルウェー)が転倒するアクシデントが発生。これに後続の選手も次々と衝突、クルーゲルのストックも折れてしまった。コーチから新しいストックを受け取り、やむなく最後尾からのスタートとなったクルーゲルだが、ここから彼は意地の激走。そこから25km地点までの間に自分を除く67人全員を抜くという追い上げで先頭に立つと、そのまま後続を振り切り1時間16分20秒でフィニッシュし金メダルを獲得。初出場のオリンピックで、とんでもない精神力を見せつけた。
記念すべきメダルを授与されたのはフィギュアスケート男子シングルの王者・羽生結弦。
けがの影響で約4ヶ月間実戦から遠ざかっており、日本、いや世界のフィギュアスケートファンをやきもきさせていたが、SPでは4回転ループこそ回避したもののすべてを完璧にこなす圧巻の演技で116.68点をマーク。FSではミスもあったものの206.17点をマークし、合計317.85点でメモリアルな金メダルを獲得した。なお羽生は2014年ソチオリンピックでも金メダルを獲得しているが、この種目での連覇達成はアメリカのディック・バトン氏が1948年サンモリッツオリンピック・1952年オスロオリンピックで達成して以来66年ぶりの快挙。観客たちはこの大偉業達成に熱い拍手と喝采、そしてくまのプーさんで応えた。
ここ最近話題に取り上げられている同性愛。今大会は冬季五輪としては過去最多、15人のLGBTアスリートが活躍を見せた。
フィギュアスケート団体では金メダルを獲得したカナダのエリック・ラドフォードがペアで出場、優勝に貢献している。銅メダルのアメリカにもアダム・リッポンがオープンリー・ゲイであることを公表しており、Twitterでは同じ仲間として誇らしい姿を撮った写真が「#outandproud(カムアウトしていて誇らしい)」とともにアップされている。
フリースタイルスキーでは男子スロープスタイルにソチ五輪銀メダリストのガス・ケンワージー(アメリカ)が出場。今回は12位という結果になったものの、競技直前に交際中の俳優、マシュー・ウィルカスとのキスがオリンピックを通じて全世界に放送された。この歴史的なオリンピックキスは、例えゲイカップルであっても嘘をつかずに喜びを分かち合う誇らしい姿として、世界中のLGBT達に希望を与えた。
リオデジャネイロ五輪では夏季五輪史上最多の56名が参加・躍動したことに続き、今回の平昌でもLGBTアスリートが話題を作った。国家ごとに同性愛に対する見方が異なる中、次回の冬季五輪開催地である北京、2年後の東京で開催国がLGBTに対してどのような施策をするかも注目である。
スピードスケート女子500m24連勝中で本大会を迎え、同種目を金メダルを取るのは確実と言われていた小平奈緒。一方この種目は韓国のイ・サンファが五輪2連覇中で、韓国国民からは夢の3連覇へ向けて期待が高まっていた。
小平とイ・サンファという、長年アジアの女子スピードスケート界を引っぱってきた"戦友"同士が直接対決することになったこのレースでは、結果的に小平が金メダルを獲得、3連覇の夢がついえたイ・サンファは号泣。それを目にした小平はイ・サンファのもとに近寄り「チャレッソ(よくやった)」と声をかけると、日本国旗を持った小平と韓国国旗を持ったイ・サンファがともにウィニングランをするというシーンがあった。
これが世界中のメディアに大きく取り上げられ、「小平は真のスポーツマンシップを持ったアスリート」として、五輪新記録での金メダルと合わせて報じられることになった。韓国のネット上にはこの時期の日韓関係と対比させて「個人の関係まで悪く見てはいけないと思った」という意見もあったという。
前回ソチオリンピックから種目として採用された、フリースタイルスキーのハーフパイプ。スノーボードやスケートボードではおなじみの構造物で、選手はこの中を往復して空中に飛び出している間にかっこいい技を競い合う。
ソチ五輪では日本の小野塚彩那が銅メダルを獲得(今回は5位)したことでも知られるこの種目に、一風変わった選手が登場して話題になった。彼女の名はエリザベス・スウェイニー。2月19日に行われた女子の予選に出場するも、特にこれと言った技を出すことなく基本的な滑走のみを行い、当たり前のように最下位で敗退した。
おそらく技を出さなかったのではなく、出せなかったのであろう。一体なぜこの選手が本大会に出場できたのか。前述の通りこの種目は歴史が浅いため、特に女子はほかの種目に比べ競技人口が少ない。「主要世界大会で30位以上に入ること」などの出場資格の基準はあるものの、彼女はそもそも出場選手が30人未満の大会に出場するなどしてうまいことその基準をクリアしてしまったのだ。とはいうもののスウェイニーの出身国・アメリカは選手層が厚いため、彼女は祖父母のふるさとハンガリーの市民権を取得、同国代表として出場するに至った。
とにかくオリンピックに出ることが幼いころからの夢だった彼女。報道ではハーバード大学で修士号を取得したことや、シリコンバレーでエンジニアのリクルーターをやっていたなどが注目されたが、過去にはスケルトンでオリンピックを目指していたり、遠征費を稼ぐために1日18時間以上働いたりしたこともあるという。「オリンピックに対する冒涜なのではないか」などと議論を呼んだがスウェイニーだが、彼女を紹介した朝日新聞の記事は以下の言葉で締めくくられている。
ルールの「抜け穴」を使って五輪に出るなんて、倫理的におかしい。そう批判されても、初志貫徹で「オリンピアン」の称号を手にした。少なくとも、自分の人生の傍観者ではない。
2月19日に行われたスピードスケート女子チームパシュート・準々決勝。この日行われた韓国VSオランダのレースで、韓国世論が紛糾する事態が起きた。ご存知の通りこの競技は3人1組で隊列を組んで滑るのだが、韓国のキム・ボルム、パク・ジウはもう一人のノ・ソニョンを大きく引き離す形でゴールし、さらにレース後コーチに慰められるノ・ソニョンを無視してインタビューブースに向かったキム・ボルムは一人遅れたノ・ソニョンにこうなった全ての責任があるかのような発言をした(ちなみに記録は一番最後の選手がフィニッシュした時点のタイムになるため、先頭が後続を引き離してゴールする行為は何の意味も持たない)。
この異常事態に世界中のマスコミが食いつき、「韓国女子チームパシュート内でいじめ説が浮上した」「エリートスポーツで弱者を苦しめる気分の悪い話がTVで中継された」などと報じられた。母国開催のオリンピックで盛り上がっていた韓国国民も大激怒し、「キム・ボルムとパク・ジウの韓国代表資格剥奪を!」という署名が大統領宛に殺到。キム・ボルムはもともと実力(なんせ大会時点で女子3000mと5000mの韓国記録保持者である)と超絶かわいいビジュアルを兼ね備えた選手で「氷上の女神」「スピードスケート界の妖精」などと呼ばれていたのだが、今回の件で韓国国民からの熱い手のひら返しを食らう結果に。キム・ボルムをスポンサードしていた企業にまで話は及び、あるアウトドアブランドは「彼女とは2月で契約が切れるけど、もう更新はしない」と言及する事態になった。
これをうけキム・ボルムは他の選手や指導者らと急遽謝罪会見を開くことになったが、一方で韓国では「こうなったのは韓国スケート連盟さんサイドにも問題がある」という報道もある。ノ・ソニョンはそもそもチームパシュートのみに出場する予定だったのだが、「チームパシュートの選手は何でもいいから個人種目に1つ以上出場しなければいけない」という規程を連盟がうっかり見落としていたのだ。結果的に前述のOARがらみで女子1500mの選手が2名大会に参加しないことになり、ノ・ソニョンに出場権が土壇場で転がり込んできたことで、彼女もチームパシュートのメンバーとして本大会に出場できることになったのだが、逆に言うとそれまで彼女は韓国代表としての練習に参加できておらず、しかもその間ノ・ソニョンは連盟を非難する発言をしていたこともあって、3人の間に溝が生まれチームワークを養成する時間が足りなかったということなのだ。実際にレース後も作戦面をめぐってキム・ボルムとノ・ソニョンの間で意思疎通が取れていないところが垣間見えるシーンもある。
キム・ボルムは24日のマススタートで銀メダルを獲得したが、笑顔でジャンプして表彰台に飛び乗った高木菜那(金メダル)とは対照的に、キム・ボルムはレース後観客席に向かって土下座をし、また最後まで表情を崩さなぬまま表彰式を終えた。
しかし、彼女は前述の通り実力のある選手である。アスリートたるもの、失われた信頼は結果で取り返すしかない。
2月19日に行われたボブスレー男子2人乗りでは、ジャスティン・クリップス/アレクサンダー・コパチ(カナダ)とフランチェスコ・フリードリヒ/トルステン・マルギス(ドイツ)の合計タイムがともに3分16秒86となり、両チームに金メダルが授与されることになった。
一方翌20日に行われたショートトラックスピードスケート女子3000mリレーの決勝では、とりあえず韓国・中国・イタリア・カナダの順でゴールしたものの、長い審議の結果中国とカナダが失格となり、韓国の金メダルはそのままだがイタリアが銀メダル獲得。先に行われた順位決定戦で世界新記録をたたき出していたオランダに銅メダルが転がり込んできた。なお、これにより日本の順位も8位から6位に繰り上がっている。
そして大会最終日に行われたボブスレー男子4人乗りでも、ドイツCチームと韓国チームが同タイムとなり、両チームに銀メダルが贈られることになった。
カーリング女子に日本代表として出場した「ロコ・ソラーレ」、通称「LS北見」。元「チーム青森」のマリリンこと本橋麻里を中心に、北海道北見市出身の選手のみによって結成されたチームである。
このLS北見、予選リーグでアメリカ・デンマーク・韓国を相手に3連勝スタートと好発進を遂げ、また「スキップの藤澤五月が木村文乃似の美人」「吉田知那美がムチムチしていてかわいい」といった健全な男子向けの話題もまき散らすことになったのだが、なにより注目を集めたのは選手たちが戦術を話し合っている際、「そだねー」「押ささる」「○○かい?」といった北海道方言を多用しているという事実。これが道民たちの心には「あれが方言だったのか」という困惑または郷土愛を、それ以外の者の心には萌えの感情を呼び起こし、「そだねー」は試合のたびにTwitterのトレンドワード入り。気が付けば「#そだねージャパン」なるハッシュタグまで作られ、すっかりこのチームの愛称として定着。そんな国内の盛り上がりが韓国まで届いたのか、LS北見は日本勢として初となる予選突破。準決勝では韓国に延長戦の末敗れるも、イギリスを3位決定戦で下し見事日本チーム初の銅メダルを獲得した。
試合時間が長い上に地味に頭も体も使うカーリングのハーフタイムでは、作戦を練る一方で選手が糖分やエネルギーを補給するためにおやつを食する。今回はこの部分が大きく取り上げられ、各国のチームがどんなおやつを食べているのかがよくわかるようになった。この中で前述のLS北見メンバーが果物と共に食していたのは、地元・北海道北見市の銘菓「赤いサイロ」。当然の如くメディアを通じて注文が殺到し、一時販売停止になるほどの話題を集めたのは言うまでもない。
前述の通り史上稀にみる激戦となった今大会のフィギュアスケート女子シングル。特にショートプログラムでは参加した30選手中、アリーナ・ザギトワ、エフゲニア・メドベージェワ、ケイトリン・オズモンド、宮原知子、坂本花織の上位5名を含む11名が自己最高得点を更新。メドベージェワに関しては自信が団体戦でマークした世界最高得点を上回る演技(81.61点)で観客を魅了したものの、3つ後に滑ったザギトワがそれをあっさりと上回る82.92点をマークして首位に立つという、前日に行われたアイスダンスに引けを取らないハイレベルな戦いを繰り広げた。これを生で観たお客さんがうらやましいぞ。
この言葉が生まれたきっかけは2月20日のノルディック複合男子ラージヒル。前半、ジャンプを終えた時点で日本の渡部暁斗が首位に立ち、僅差の2位にノルウェーのヤールマグヌス・リーベル。ドイツ選手はノーマルヒルで渡部を倒したエリック・フレンツェルが4位、ヨハネス・ルゼックが5位、ファビアン・リースレが6位に入った。後半のクロスカントリーではリーベルこそ渡部と1秒差のスタートになったが、4〜6位のドイツ選手は30秒ほど遅れのスタートになり、渡部やリーベルを追い抜くのは難しいのではないかとみられていた。
…が、現実はそうはならなかった。後半、クロスカントリーのレースが始まると、赤い帽子に黒いウェアをまとったドイツ3人衆は、パシュートのごとく集団の先頭を入れ替わる形で体力を温存したまま渡部たちを猛追。6キロ過ぎで先頭に追い付き、渡部・リーベル・フレンツェル・ルゼック・リースレの5人にオーストリアとフィンランドの選手をくわえた7人による先頭集団が形成された。最終的にドイツ3人衆が他の選手を突き放すとそこから先は3人のスプリント勝負となり、1人ルゼック、2位リースレ、3位フィレンツェルでフィニッシュ。なんとドイツ選手3人で表彰台を独占してしまった。
この衝撃的なレース展開をテレビで観ていたお父さん世代は、機動戦士ガンダムの「黒い三連星」を思い出したようで、「ドイツの黒い三連星」は一躍ネットの流行語に。翌日の「スッキリ」では加藤浩次が「私にはドムに見えましたよ!」「ずっとジェットストリームアタックをかましている状態」とさらにガンダムネタを拡げ大興奮したばかりか、22日に行われた団体戦の際、中継したNHK総合のラテ欄に「ドイツの黒い三連星」というワードが登場。とうとうNHK公認の愛称になってしまった。
その団体戦のクロスカントリーでは2位スタートだったドイツチーム。しかし1走の選手がオーストリアを抜いてトップで2走リースレにつなぐと、そこからは3走フレンツェル、4走ルゼックの「黒い三連星」が文字通りの独走。最後はルゼックが2位ノルウェーを52.7秒引き離し、ドイツ国旗を高々と掲げ余裕でフィニッシュした。ドイツは今大会におけるノルディック複合の3種目すべてで金メダルを獲得することになり、圧倒的な実力を世界に見せつけることになった。
上記「そだねージャパン」の項目で述べた通り、日本中の注目を集める中で予選突破を果たしたカーリング女子・LS北見。準決勝では韓国と対戦することになったが、こちらも前述の通り初の予選突破で国内は大きく盛り上がっており、「ガーリックガールズ」たちの戦いに韓国国民たちは熱視線を送っていた。
そんな日韓両方の国民が見守る似た者同士対決で、事件は起きた。試合開始前、両チームの選手が紹介される際、LS北見の吉田知那美が国際映像のカメラに向かって矢澤にこ(ラブライブ!に登場するキャラクター)の決めポーズである「にっこにっこにー♪」を満面の笑顔で披露。これに日本中のラブライバーがざわつき、噂を聞いた徳井青空(矢澤にこを演じていた声優)も「え!?にっこにっこにー!?にっこにっこにーですって!?にっこにっこにー!!??」とかなり食い気味のツイート。作中で「世界のYAZAWA」と呼ばれていた矢澤にこが、本当に世界に進出した瞬間だった。後の報道によるとこの「にっこにっこにー」は吉田選手の姉が指示したもので、予選終盤でミスショットが目立っていた妹を和ませるべくやらせたものだったといわれている。
それにしても今大会はフィギュアスケートペアスケーティングの須崎海羽/木原龍一組が「ユーリ!!! on ICE」の劇中曲を使用し話題となり、またエフゲニア・メドベージェワは2017年に東京で行われた世界国別対抗戦のエキシビジョンで「美少女戦士セーラームーン」のなりきり演技を披露したことで有名。今やウィンタースポーツは世界中のアニメファンにとっても目が離せないコンテンツになったようだ。
今大会から新規採用された種目の1つ、スピードスケートマススタート。簡単に言うと20人ほどの選手が400mのコースを16周し、4の倍数の周回時の順位でポイントを付与。これとゴール時の順位時に与えられるポイント(当たり前だがこちらがかなり大きい)を合算して、順位を決めるというシステムである。
24日に行われた女子決勝では前述の通り日本の高木菜那が初代女王に輝き、また競技内容が競馬を彷彿とさせるなど大いに盛り上がったレースではあったのだが、それとは別にひときわ注目を浴びた選手がいた。彼女の名はサスキア・アルサル。開会式でエストニア選手団の旗手を務め、「美人すぎる旗手」として世界の注目を集めていた。
そのアルサル、追い越しのための加速が許される2周目に入ると、けん制しあう他の選手を無視していきなり先頭に飛び出す。しかし高木やキム・ボルム(韓国)などの有力選手を含め、後続はだれもアルサルを相手にせず、結果的にレースはアルサルの"大逃げ"状態に。彼女は4周目・8周目・12周目のすべてを先頭で通過しポイントを獲得したが、実力者が勝負に出た13周目以降は飲み込まれ、一体全体どこにいるんだかまるでわからなくなった。最終的に彼女は後方でのフィニッシュとなったものの、通過ポイントをきっちり獲得したおかげで4位入賞を果たしている。
もともと注目度の高かったアルサルの露骨な4位狙い作戦に、彼女は90年代に活躍した競走馬になぞらえられ「エストニアのツインターボ」などと呼ばれることになったが、その本人はビジュアルばかり注目されることを快く思っていなかったらしく「(4位入賞によって)美人コンテストのために来たんじゃないと証明できて嬉しい」というコメントを残した。
掲示板
842 ななしのよっしん
2021/11/05(金) 20:30:57 ID: iP95lnDz+H
東京五輪ってコロナ禍じゃなかったら東京の記録的な猛暑の中バタバタ熱中症で死んでただけだと思う
そういう意味でも無観客でやったのは良かったよね
熱中症対策なんて朝顔と打ち水しかやってなかったし、新国立競技場は冷房設備もなかったしな
843 ななしのよっしん
2021/11/05(金) 20:33:56 ID: ToOpPk18NJ
844 ななしのよっしん
2023/03/04(土) 08:36:51 ID: NpV9BRXZDr
最近は中傷しに来る人居なくなったな?
急上昇ワード改
最終更新:2024/09/14(土) 21:00
最終更新:2024/09/14(土) 20:00
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