徴兵制単語

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徴兵制とは、民に兵役を義務付ける制度である。

概要

徴兵制とは、民に対して一定期間の兵役を課す制度である。憲法法律によって規定され、たいてい兵役は民の義務であると定義される。対義民が自らの意思をもって兵士となる志願制であるが、制度としては両立可であり、徴兵制を施行しているでも志願兵(職業軍人)は存在する。

徴兵制と一言で言っても、その具体的な内容はそれぞれのが抱える事情から多岐にわたる。徴兵制の対となるのはたいてい若い成人男性であり、成人女性が徴兵されることは極めて稀である。 [1]

徴兵制の対となる民に対しては、兵役に適するかの検(身体病気障害の有をみる)が行われ、最終的に兵役対となるかならないかが決定される。さらにここからの事情によって兵役対全員を軍隊にいれる(入営)のか、それともそこから更に一部のみを選抜し、残りは(役)待機とするなどに分かれる。

前者は特に民皆兵と呼ばれ、北朝鮮と休戦状態にある韓国や永世中立を堅持するスイスが代表例であり、後者アメリカが例としてあげられる。ドイツなどの一部のでは軍隊に入ることを拒否する代わりに、ボランティア活動などの社会貢献活動を行う事で兵役を果たしたと認められるところもある。 [2]

入営すると数年間の軍隊生活を送ることになり、それが終了した後も一定期間は予備役として招集がかかれば兵士として軍隊に参加する義務を負う(予備役、あるいは後備役になる)ことになる。また、たいていのでは兵役が終わった後に、自らの意思で軍隊に留まり続ける(つまり、志願兵になる)ことも可である。

歴史的に徴兵制について見ていくと、後述する利点の項でも触れているが近代戦争において徴兵制は兵確保で重要な役割を果たし、第一次世界大戦、第二次世界 大戦共に参戦した々は徴兵制によって戦を確保した。

その後も、冷戦の到来によっていつでも総力戦が行えるように多くの(特に敵国と地続きで陸軍の侵 攻が容易な欧州など)では徴兵制は維持され続けた。

しかし戦争の変化と兵器の発展によって、高性兵器を少数の兵士で運用が可となったこと、それと同時に兵士に高度な訓練を施す必要性が強くなったことで、徴兵制の利点「低品質だが大兵の確保」の重要性が低下していった。最終的にソ連が崩壊し、冷戦が終結したことにより総力戦の心配がくなったことで各は徴兵制を止・形骸化させつつある。先にあげたアメリカでは徴兵制を既に停止しており、成人男性は徴兵対であることを登録する義務はあるが、実際に徴兵されることは(今のところ)い。ドイツ2014年には徴兵制を停止(実質的には止と言われて いる)して、志願兵で軍人を賄うことになっている。台湾では徴兵制は止され兵役にはつかないが、軍事教練は受けるという宙ぶらりんな状態である。

その一方で、スウェーデンフランスのように一度止した徴兵制を復活させるもある。これは、テロの脅威やロシア軍事活発化がな理由であるとされる。

現在世界中で軍隊(およびそれに類する組織)をもつ170あまりの中で徴兵制を導入しているのは67かとされている(Wikipediaより引用)。

徴兵制のメリット・デメリット

徴兵制のメリット

徴兵制のメリットは兵役対者の意思に関わらずその者を兵士にすることができるため、兵士の数を一定数確保できることである。これは特に兵器の発達(大砲など)により死傷者が増え、志願制では兵士の損失を補填することが非常に困難になった近代では重要視され、民主権の考えが浸透したこともあいまって近代国家では軒並み徴兵制がしかれることになる。また、志願制と違い、民の義務を兵士の給料を安く抑えることが可であることも利点である。

これは隣接した国家との緊状況が続いている国家にとって後述するデメリットを上回る魅でもあり、常備兵の確保が容易である点は何事にとっても代えがたいとできるだろう。

また副次的な利点として教育効果もあげられる。軍隊運用という面から統一した言・知識を教育する必要があることから倫理、あるいは民意識の向上あるいは均質、普及、標準の普及、(たとえば運転技術、生産技術など)技術の習得により生活レベルの向上などを期待できる点も確かにある(日本における徴兵制度の項参考のこと)。

徴兵制度のデメリット

逆に、徴兵制のデメリットとしては、徴兵される当人の意志を無視するため兵士やる気を持たせるのが困難であり、それが兵士の質の低下や規の乱れにつながること、若い成人男性を数年間民間から隔離することにより、その間に民間で働いていれば国家に入るはずだった税収が失われることがあげられる。また重な若年時期に兵役につくことにより就労、あるいは学歴などのキャリアが阻されるという面も摘される。

さらに現代では兵役期間中に習得した技術を悪用、つまり犯罪率の増加も摘されていることを書かねばならないだろう。

また軍として考えると現代では兵士一人の装備のコストが上昇しており、徴兵制では訓練期間が短く兵士世代交代が頻繁に起こるので、結局はコストの割に低品質な兵士しか用意できないこと等があげられる。

近代における戦争において、兵差のみが戦争の優劣を決めるわけではないという点も摘されている(が、技術レベルが均質である国家同士の場合であれば結果的には兵差が決定するだろうという摘もある)。

日本における徴兵制度

日本においては、7~8世紀頃に大陸夷に対応するために徴兵制が敷かれていた。万葉集で出てくる「防人」はその一つである。その後、日本列島内部では統一が進み、大陸とも関係善が進んだため次第にくなっていった。そこから武士が登場して武握したり、戦国の世の中になって武武士だけのものじゃなくなったりしたが、明治維新に伴い武士階級が否定されることで一区切りとなった。

明治時代において民皆兵という名のもと近代的な徴兵制度が施行された。もっとも最初は徴兵対者のうち20%しか選ばれなかったが、1889年にめて民皆兵が義務づけられた。徴兵により徴集された民のうち事兵役を勤め上げると、予備役・後備役となったが第二次世界大戦においてはこれら予備役・後備役の民も再徴集を受けている(有名な竹槍事件、東條英機の項参考のこと)。

さらに末期になるとなりふり構わず学徒出陣のように文系大学生の徴兵を初めとして、海外植民地人の徴兵なども行われることなる。熟練工まで徴兵して兵器生産に支障が出るなどの本末転倒の有様を見せていたのは有名な話でもある(し、陸軍海軍の一部の図により徴兵対外にされた人もいる)。

徴兵としてのメリットは上述の通りだが、日本においての徴兵制度による副産物はいくつか摘されている。

一つは標準である。それまで地域によって特色がある方言(訛り)の問題を是正することができたのも軍組織の中であってこそ、という摘がある。もう一つは食事で、海軍陸軍で供された食事が兵役の終わった民によってごくごく普通食事になるまで普及したカレー肉じゃがなどといったケースがある。

第二次世界大戦以後、日本に徴兵制は存在せず、志願制を採用している。一部では「若者の根性を鍛えなおす」ことを的として徴兵制を復活させようなんてもあるが、徴兵制も現代の戦争も知らんのかと呆れたくなるであることはここまで読めば理解されるかと思う。

なお、日本国憲法第18条では、「犯罪後の懲罰を除き、奴隷拘束や本人の意思に反する苦役を禁止する」内容となっており、徴兵制はこの18条に違反する行為に該当すると言うのが現在政府見解であるが、法の判断は下りておらず本当に「苦役」と判断されるのかに関しては疑問のも挙がっている。

兵役忌避について

徴兵制度が若い成人男性女性を対にすることは上述の通りだが、様々な理由からこの兵役(徴兵)を回避したいと思うのも人の世の常である。

大体の方法は、(1)健康不適格を狙う(2)制度上の、あるいは資格条件を外れるようにする(3)担当者へのコネが最たるもので、わざと体を不健康な状態にして兵役検をパスする、あるいは兵役対外の条件…長子であれば免除される場合に、二男・三男が養子縁組などで長子扱いとなる、あるいは免除地域(内の特定場所、あるいは外地)があればそこへ戸籍を移して回避する、宗教関係者の位置になる、極端に犯罪者になれば問題ないとのことで犯罪者になるもの。

コネは兵役担当役人に対する賄賂などによる袖の下を通しての嘆願、免除、あるいは第一線以外への任地定がある。ある一定以上の職についている者、あるいはの富裕層子息の場合、安全な後方勤務などにつくケースなど露な優遇が行われる場合も多々あるのといわれ、これも担当者へのコネの一種と見ていいだろう。(コネではなくご機嫌伺いとして勝手にやるケースもあるとか)。

大体、兵役のあるではこれらの方法がまことしやかに広まっているし、妬み嫉みの問題と相まって複雑なことになっているのは事実である。

アメリカの徴兵制ではよくこの手の問題が取沙汰されることがおおい。実際のところを言えばケースバイケースで、徴兵される若者の大多数が富裕層ではないのでその反面、レアケースを取り出して論じるのもあまり正しくはないだろう。確かに、某大統領経験者では徴兵逃れと思わしき選択(軍ではなく州軍に参加した)ケースもあれば、そうではない大統領経験者(海軍魚雷艇艇長になったもの)もいる。

韓国ではこの手の問題が多々あるようで、時折報道機関をにぎわす問題となっている。

いずれにしてもあまり褒められたものではない。

ただ自らの政治信条、あるいは宗教により徴兵を忌避する場合があり、罰則などを受けることを是とする人もいる。これらが「良心的兵役拒否」と呼ばれるものである。

上述するように従来、兵役拒否者はかなりの不評をもつものではあったが、最近では兵役を労働とみなして代替えの手段を講じようとするケースもある。

これとは他に韓国では、スポーツなどで功績をあげた若者に対して徴兵免除という方法をとっている場合もある。

徴兵制導入に肯定的な側の主張

上で書いたように徴兵制は現代において効率がいい制度ではないのだが、一部の論者は積極的に徴兵制の導入を支持している。週刊誌でも「日本復活のために徴兵制を導入せよ」と言う記事を載せたものもあった。

これら論者は「ニート戦後日本モラルの低下、少年犯罪などの少年問題の解決のためには徴兵制で根性を叩き直すのが有効だ」というものであり、問題にしている少年問題の原因を考えれば徴兵制で治るわけがないものばかりである。

以下は徴兵制復活支持者達のと反論である。以下の文章では徴兵制で兵役に就く場合には自衛隊に入るものとして反論を行う。

ニートの矯正のために徴兵制を導入せよ。

日本では間違った認識によるニートに対する偏見が多い。武部勤は「ニート自衛隊に入ってサマワで活動すれば3ヶぐらいで人間性が変わる」、小沢一郎ニート対策に「一定の猶予後子供から追い出し、それでも働きたくないならサービスも使うな」、カメラマン宮嶋ニート穀潰しと呼び「ニート自衛隊に入れて規勇気・自己犠牲・防意識という美徳を教育させろ」といった内容の発言を行っているが、偏見もいいところである。

そもそもニートとは「教育・雇用・職業訓練を受けていない若年層」をし、で何もせず遊んでいる若者す言葉ではない。つまり…

  • 難病で配慮をしてもらえないと働けないが、身体・知的・精発達障害者ではないため
    障害者雇用で働くことができず、結果働くことができない(身体的な問題)。
  • ブラック企業の労働環境うつ病になり、生活保護を受けていて
    とても働けるような精状態ではない(精的な問題)。
  • 働くための必要なサポートを受けられずに年齢制限を過ぎてしまった、
    日本語読み・書き・話せないことが理由で働くことができない(機会の問題)。
  • 働きに出たくても介護で手が離せず、介護ヘルパーに頼むことができる銭もない(経済的な問題)。

これらの理由にいる人間ニートと言うことができる。これらのニートまで等しく「矯正」しなければいけないのか。もし「私がしているのは『働いたら負けかなと思っている』とほざくような就職意欲のない若者だけを対にしている」と言うのなら、それは職業支援で対処すべきであり、徴兵制を行う必要がない。している人間が個人的にニートに懲罰を与えたいだけである。これらニートに対する偏見への反論については『ニートって言うな!』で詳しく書かれている。

今の若者はモラルが崩壊しており、奉仕をするということに欠けている。徴兵制で他人への奉仕精神を養うべきだ。

モラルが崩壊」してる根拠として自分が見聞きしている事例を挙げているが、それを持って日本全体の若者モラルが崩壊しているかは疑わしい。例えば少年犯罪1つとっても平成に入ってから少しずつ上昇しているが、統計資料を見る限り戦後少年犯罪最悪期は1950年代である。

徴兵制で兵役につけば各種技師の資格が取れる。兵役で人間として鍛えられており、就職の際に有利になるため若者のためにもなる。

確かに自衛隊では任期制自衛官は退官3年前から職業訓練で資格免許の取得を行い、任務の一環で行うため費用はかからない。例を挙げると、線通信士・自動車整備士・ボイラー技師・フォークリフト運転士・火類取扱保安責任者などいかにも自衛隊で勤めたような資格から、土地屋調士・ホームヘルパー中小企業診断士行政書士・簿記などデスクワーク系のものまでっている。それに加えて自衛隊で得た経験や知識を生かして、自衛隊退役後の就職時に役に立つというはなんら問題はない。

ただ、得られる要な資格免許には芸術系のものがない。ゲームクリエイターファッションデザイナーになりたい若者が徴兵制で兵役について得られるものは兵役時代の経験ぐらいである。仮に芸術系に役立つ資格が得られたとしても、規められる兵役に就くよりもす分野の勉強に回して、基礎技や自分の個性を作るために時間を費やしたほうが効果的である。

そもそも「兵役で就職に役立つ」という発想自体、徴兵制を就職学校か何かと勘違いしているのではないのか。「最近の大学生大学全入時代でろくでもない連中だからこんな大学生よりも数年自衛隊に入隊した若者の方を採りたい」というのが人事のなのだろうが、当の自衛隊機関であり就職のために若者を育てる予備校ではない。そもそも資格免許だって徴兵制で毎年膨大な数の若者資格を取れば希少性なんてなくなってしまう。

ちなみに自衛隊は二泊三日の体験入隊を行っており、一部企業は研修も兼ねて社員を体験入隊させている会社もあるようである。

韓国の若者達は徴兵制によって、ケータイやネットによってひ弱になった日本の若者とは比べ物にならないほど素晴らしい男になっている。

徴兵制を支持する保守評論家はなぜかこの件に関しては韓国の例を好意的に持ち出しているが、その点は突っ込まないでおく。

韓国の徴兵制の成功例ばかり言われているが、韓国儒教文化で上下関係を特に大切にしており、必然的に軍の上下関係も他の軍よりも厳しくなっている。そのためか新兵シゴキが異常なものになっており、「血だらけになるほど靴で踏みつけられる」「腕やを折られる」「先輩大便を食わされる」など異常に合わされた話も出ている。10万人あたりの自殺率も世界一2010年で33.5人)で男性に限れば49.6人で世界トップクラスである。

この話を聞いて韓国の事を笑うのは個人の自由だが、2011年日本自殺率も世界5位で笑えない話である。また自衛隊でも1994年護衛艦さわぎり、2004年護衛艦たちかぜで起きていたいじめの様に自衛隊内でもいじめが発生しており、防衛省職員(自衛官も防衛省職員である)の自殺者は2004年から100人を、他の国家公務員の1.5倍になっている。

また韓国には多くのでは認められている良心的兵役拒否がなく、世界の良心的兵役拒否による良心の囚人の大半が韓国人になっている。健常者が兵役を回避しようと思うのなら学業かスポーツでよほど覚しい成果を上げるしかない。兵役回避がほぼできずに異常環境に放り込まれる状況のどこが賞賛できるような内容なのだろうか。

草食系男子を叩きなおすためには徴兵制が有効だ。

意味不明である。そもそも草食系男子とは深澤真紀2006年に『男子世代 平成男子図鑑』で扱った恋愛に対する男性の立ち位置のひとつであり、「恋愛縁ではないが、ガツガツしない男性」の事をし、ある種の男性らしさとは離れた態度をとる男性のことをす言葉である。

ところがメディアで取り上げていくうちに草食系男子元気のない男という恋愛の立ち位置から若者男性叩きの用として使われるようになっていった(例えば『ミツバチ』(遊助)の歌詞にある「草食系とかマジ勘弁」のように)。上の元気がない男に男性らしさを与えなければならないという論者のおせっかいである。

反論だが、別にどういう恋愛行動消費をしようが本人の勝手である。それが気に入らないからって徴兵制を持ち出して矯正を始めるなど「ニートに徴兵制」と同レベルの呆れた話である。

おこの言葉を提唱した深澤真紀は、自分が興味深いと思った男性像が逆の扱われ方をしていることについて、体の良い男性叩きの言葉を与えて申し訳なく思っているようである。

アメリカでは非行対策にブートキャンプを行い、非行少年の更正に成果を上げている。

ブートキャンプとは新兵研修のことであり、ここで上下関係や軍の規叩き込む新兵の通過儀礼といえるものである。ここで根性を叩き直し、厳しい訓練に耐えることで1人前の兵士として自信をつけさせるのが的となっている。アメリカで徴兵制を敷いていた頃の世代は「少年の非行の原因は徴兵制がなくなったため」として、ブートキヤンプを非行少年の更生策として全で行うこととなった。

しかしに世間で勘違いされている犯罪統計について紹介した『2円で刑務所、5億で執行猶予』の中で著者の井浩一はブートキャンプを行った非行少年達と行わなかった非行少年達のその後の再犯率にたいした差がなかったと書いており、「少なくとも、軍隊的な規が非行を防止することはなさそうである。」と締めくくっている。

これと同時に、スケアード・スレイト反面教師プログラム犯罪者の末路を見せ、非行少年を脅して更正させるショック療法と非行少年の認知の歪みを治す認知行動療法の2つについても言及しており、前者は再犯率を上げる結果となり(脅して解決するなら少年院は要らない)、後者は再犯率を下げる結果となった(適切な感情統制が非行を抑えることとなる)。

上のような反論なんてなんだっていい!若者を叩き直すチャンスだ!

徴兵制を復活させる発言した論者には石原慎太郎東国原英夫橋下徹がいるが、これら論者は自ら徴兵はおろか、自衛隊への入隊経験もない。その上若者叩き直せという割には過去大人たちがをひそめる行動・言動をしていて、自分が徴兵されないような立場になってから、若者を嘆かわしく思い徴兵制を言い出すのだからタチが悪い。

上の反論で何度も書いたことだが、徴兵制は若者への教育社会参加を促す場、懲罰を与える制度ではなく、兵士確保のための手段である。わざわざ防組織に入れて教育等々を行うことは専門でそれらを行う組織よりも余計なコストがかかることとなる。志願制の時点で自殺者数が3桁も発生しているのに、徴兵制でさらに多くの人間が入隊したらさらに自殺者数が増えるのはに見えている。たいして役に立たないまま被害だけを増やす様な使い方で徴兵制を復活させて、復活論者満足かもしれないだろうが他の人間には迷惑なだけである。

徴兵制導入に否定的な側の主張

一方で、徴兵制について正しく理解しないまま議論する傾向は否定にもしばしば見られる。自衛隊への過大評価(自衛官は選ばれたフィジカルエリートであり一般国民を訓練しても脱落不可避である、等)や、現代的な制度とはかけ離れた戦前日本の徴兵制を前提にして話すのがな原因と考えられる。

徴兵制に否定的な側によく見られるを以下に示す。

自衛官には専門的知識が必要だ。素人には務まらない。

入隊試験において、専門知識により選考を行うのは医官や技術幹部・曹などせいぜい数十名程度である。他の試験区分では専門知識の有は一切考慮されず、せいぜい面接官の心が良くなる程度にすぎない。技職以外の採用区分でも武道学・情報処理等の資格により加点基準が厳密に定められている警察とは好対照である。

これは、自衛隊では個人の量よりも集団としての規に重点が置かれており、トップの一握りさえ知識があれば十分仕事になるためである。必要とされるのは専門性よりむしろ従順さであり、下っ端が知識を使って仕事を進める、あるいは進言することさえあまり推奨されない。

ちなみに、徴兵制を敷けば大学に進学してしまうであろう知的に有能若者を軍が獲得できるので、選抜すれば専門的知識が必要な部隊を構成できる。実際、イスラエルハイテク部隊8200部隊や9900部隊は徴兵された者から選抜されたエリートであり、彼らの多くはその後ハイテク企業で活躍する。

自衛隊は倍率が高く、わざわざ徴兵制で人間を集める必要はない。

一般に、3~5倍、あるいは10~50倍というのがよくされる数字である。前者は曹士としての活躍が期待される自衛官補生・一般曹補生、後者は幹部としての活躍が期待される航空学生・一般幹部補生の倍率として防衛省が発表している数字に近い。

ただし、ここで発表されている倍率はあくまで「応募者数÷採用者数」である。わかりやすく言うと、「幹部補生の滑り止めの一般曹補生の滑り止めの自衛官補生」を受験した人は1人で3人分としてカウントして出した数字である。ここにさらに民間企業大学専門学校等との併願も加わるため、倍率の数字をそのまま自衛隊人気の根拠として受け取ることはできない。

近年自衛隊人手不足は顕著であり、自衛隊全体の充足率は90.8%、実働部隊である士に限れば69.5%となっている(出典:防衛書(平成29年版))。これを受け、防衛省は募集対者の年齢上限を26歳から32歳に引き上げた。本当に自衛隊人気職であればこのような措置など必要ない。警察消防、最近では学校教師ですら採用に苦戦しており、少子高齢化が続けば自衛隊の人数的規模は現状維持すら非常に難しいというのが現実である。

入隊基準を下げれば今まで不合格だった者も入隊できる。志願しない者より志願した者を優先的に入隊させるべきだ。

当然のことだが、入隊基準の低下は質の低下に直結する。質を確保するための志願制において、量を確保するために質を犠牲にするのは本末転倒である。

いや、やる気があれば訓練次第でどうとでもなるという意見もあるだろう。は不足しているがやる気のある者と、やる気がないのある者のどちらが自衛官に向くか、難しい問題である。

何百万人もの若者を入隊させる金も、教官も、寝起きする部屋も足りるわけがない。物理的に徴兵制はありえない。

徴兵制と民皆兵はイコールではない。徴兵制を採用している先進国の例を見ても、適齢の民のうちからランダム、あるいはで選抜され、さらに良心的兵役拒否者等を除いた者が徴集され、同年代の者からせいぜい数%が軍務につくに過ぎない例が大半である。 [3]

また、民皆兵を実際に行っているでは、被訓練者をどんどんローテーションさせて経費を減らす(スイス)、賃を極端に低く抑える(韓国)、国家への奉仕の一種として軍務がある(シンガポール代替奉仕ではなくどの機関で役務に就くか自分では選択できないのが特徴)などにより実現している。

徴兵は憲法第18条で禁じられた意に反する苦役である。

政府見解によるとその通りである。ただしあくまで政府見解であり、明文で禁止されているわけでもなく、見解が覆されない保もない。条文そのものが変更される可性もある。

日本国憲法には合衆憲法を参考にした条文が多数あると言われる。日本国憲法第18条においては、奴隷制もしくは自発的でない隷属を禁じた合衆憲法修正第13条がそれにあたる。連邦最高裁判所の判断によると、修正第13条は徴兵制を禁ずるものではないとされている。アメリカの話であり日本には関係ないと言ってしまえばそれまでだが・・・

また、安全保障に関わる問題として、自衛隊や日安保の違性を問うた裁判(長沼ナイキ事件、砂川事件)においては、統治行為論、つまり「合だからそのままでいいとは言えないが、違だから解散しろと言うのは法の権限を越えている。権者たる民(の代表たる国会)の判断に任せる」という判断が下されている。

以上のことから、18条を徴兵制への防波として考えるのはやや心もとないといえる。

経済徴兵制

貧困社会アメリカ』(未果)で紹介されたアメリカ軍が行っている兵士募集システムで、軍が狙っているのは貧困地区の高校生ローンが返せなくなっている大学生である。

ブッシュ政権が2002年に行った落ちこぼれゼロ法案で「学校への補助学校の成績に応じて出す」という法案を通した。これにより競争原理で学力を上げようという考えなのだが、この制度の補助の申請と引き換えに軍へ生徒個人情報の提出を要した。裕福な学校はこんな条件を飲むわけがなく、必然的にの困る学校がこれを受け入れて軍への勧誘を行う軍人を校内に入れることとなった。

勧誘を行う軍人は「軍に入れば大学防総省が出すので学費免除し、軍の兵士がいる家族向け保険にも入ることができる」と、大学の費用に困っている庭や民間保険に入れず保険状態の庭の生徒に魅的な提案を出して軍に入隊させている。

しかし学費は10万円ほどの前が必要で、この額を払えたとしても最終的に必要な額に遠く及ばずバイトで稼ぐハメとなる。保険のほうは政府が退役軍人協会の予算を減らし続けているため、協会は退役軍人専用病院を減らさざるを得なくなり、病院の診察を待つ退役兵士達が多数いるという事実は知らされない。

就職しようにもアメリカでは高卒だとバイトにつくのが精一杯で大学を出ないとまともな職につくことができず、落ちこぼれゼロ法の成立後次々貧困層向けの社会保障の予算を減らされたため、貧困層は軍に入らなければまともな生活ができない状況に追い込まれている。

また民間学資ローンに苦しんでいる大学生に「軍に入ればローンの肩代わりをする」として入隊を勧めている。当面の生活はしのげるがローンの肩代わりはしても返済までに数年間かかったり、外兵されてケガやPTSDになって社会復帰に苦しむことになることが多い。

日本でも『正社員落する』(湯浅未果)の中でNPO法人もやいの代表の湯浅が、自衛隊から「生活に困っている人を紹介してほしい」と勧誘が来ていたことを話している。話の内容では

と話していた。この話を聞いた未果は「取材した(軍の)リクルーターの勧誘文句とそっくり」コメントしている。

また文中では「北海道高校先生が『就職口がなく、ホームレスにさせるぐらいなら』と生徒携帯電話番号を渡した」()「立は踏みとどまっているが、私立の底辺校は自衛官の就職説明会を始めている」(湯浅)と話している。

長期自衛隊インターンシップ・プログラム

防衛省2013年に、民間企業の新入社員を任期制の「士」として2年間自衛隊に入隊させる制度を検討していたことが判明しているexit。提案では企業側で新規採用者等を2年間、自衛隊に『実習生』として派遣する制度となっており、企業側では自衛隊製“体育会系”人材を毎年、一定数確保することが可」なこと、防衛省側の利点としては「『援護』不要の若くて有為な人材を毎年確保できる」という利点があることが説明されている。自衛隊の「士」の定員割れを防ぐ制度として提案されており、将来的には予備自衛官としての活用も視野に入れられていた。実現には課題が多数あるとされ、採用はされていない。

現在でも新人研修として数日間の自衛隊入隊が義務付けられる企業もあるが、2年間という長期間のインターンシップは、徴兵制で必要とされる期間に近い。また任意制度の形をとっているため徴兵ではないと国会では述べられているが、企業において新入社員が業務命として自衛隊へ出向を命された場合、拒否することは難しいものと思われる。

徴農制

徴兵制と似たような制度に徴農制がある。これは若者を兵役ではなく農業に従事させる制度である。これにより農業従事者が増えることに期待してか、政治家や経営者が支持していたりする。農業体験も広義的な徴農制と言えないこともない。

かしこの制度も問題がある。農業自然でなんとなくいいイメージがあるが、そのイメージの良さを利用して政治から利用された歴史的経緯がある。特にカンボジアポルポト政権下では都市住民や知識人を強制的に農部に移住させて殺を図っていた。

「農人間関係が豊かで人格形成によいがある」というも信頼できるデータはなく、いきなり今までの生活と違う場所に送り込まれて精的な負担になることもありうる。そもそも「農=心が温かい人たちがいる」という発想自体もおかしい(の権者が気に入らない村民八分にしていたことだってあっただろう)。

さらに農業自体「雑草抜いてと肥料やって数ヶ月経てばできあがり」という単純なものではなく、人間にはどうしようもない大自然との戦いである。いい例が中国毛沢東時代の下放政策で農部に強制的に送られた若者達に農業やらせたが、農業は不慣れだったために食糧生産に支障をきたし、更に都市部の若年人口減少によって少なからぬ経済的損失を被った。現在でも、下放政策により高等教育を受けられなかった世代が良い年になっても重要な役職に就けないなど、今でもそのは残っている。仮に日本でも徴農制で集めた若者に食糧生産を任せる前提で食糧政策を考えた場合、下放の二の舞になりかねない。

奉仕労働

徴兵制・徴農制よりも穏健なものとして、若者に一定期間奉仕労働を強制的にやらせるというもある。海外では良心的兵役拒否として奉仕労働を代わりにさせることにしており、外に兵されて命の危険を冒すようなことはいため、日本人でもまだ抵抗感なく受け入れやすいものと思われる。

日本国内で若者に一定期間奉仕労働の強制を提案している論者として、元日本財団会長作家の曽野綾子がいる。曽野は平成12年度に行われた教育会議第1分科会第2回の議事録で「満18歳民を奉仕役に動員することです」と発言している。

具体的には「小中学生で1~2週間ほど」「満18歳で一番始めはしようがないから1~2カ(最終的に1~2年)」共同生活することで「共同生活、質素な生活、暑さ寒さに耐えること、労働に耐えること」を教え、それにより「相手の立場に立つこと」「生き抜くための知恵」「働きたくないとどうしたら人のにつかないように怠けられるか」が勉強できるという。奉仕労働で怠ける知恵をつけるってどうなんだ……。反対意見は何か起きた時の責任の話が出たぐらいで、教育会議の最終決定の提言に盛り込まれている。

話はそれるが、この教育会議第1分科会の第4回では「一人一人が取り組む人間性教育の具体策」と称してここまでの第1分科会で出た意見のまとめをしているが、その内容の一部がすごい

教育改革国民会議第1分科会第4回資料exitより 一部整形

色々すさまじいものを感じる。床の間・教壇・の間を用意するだけで日本教育がよくなるならこんな楽なことはないだろう。散々思いつきレベルの内容を並べたくって最後に革を受け入れろとは、この会議の委員は日本教育をどうするつもりなのだろうか。一応資料には「義務教育年限の子どもの扶養控除額を100万円に引き上げる」「企業は従業員に対して子育てやボランティアのための休暇を認める」などよさそうなものもあるのだが……。

話を奉仕労働の強制に戻すと、問題としてなぜ奉仕なのに強制なのかという矛盾がある。奉仕労働に限った話でもないが、刑罰でもないのに本人が望まず奉仕労働を強制させられるのは、日本国憲法第18条の「意に反する苦役(本人の意思に反して強制される労役)からの自由」に反する内容であり、憲法改正でもしなければ導入不可能である。

また曽野の奉仕や慢に関するには、必要以上に「他人に甘えるな」という面が強調されすぎている。例えば2004年産経新聞で連載していたコラム「透明な歳月の光」では、海外から日本に帰ってきたら台風学校に避難してきた人が新品の毛布をもらう様を見て

  • 避難したら新聞紙を床に敷き、重ね着をして眠るのが当たり前。
  • 嫌なら布団でも持って来い。
  • なぜそんなに甘やかす必要があるのか。
  • 弁当行政が配る必要はない。
  • 天気予報を聞けるのだから(自では理な老人や障害者はともかく)食糧ぐらい持って来い。
    それが世界常識だ。

透明な歳月の光131 台風 教育のチャンス 利用をexit

と書き、台風教育の機会として活用せよと書いている。ここまで「甘やかす」のは避難所にどんな人が来るかがわからず、避難してきた側にもさまざまな事情があるからである。

避難所にはもしかしたら言に不自由がゆえに情報入手が困難外国人体力のない子供妊婦などが来るかもしれない。行政はこれらの人が来た場合を配慮しなければならないために、毛布や食糧を用意しているのである。嫌なら台風の中布団や食糧を背負いながら避難所まで来いとは暴論すぎる。それが世界常識なら世界の避難所運営日本に劣っているだけなのではないのか。

なおその翌週のコラム(透明な歳月の光132 地震に思う 災害時の知恵 訓練必要exit)では地震被災者に対して「炊飯器なしでを炊く訓練をしておけ」「瓦礫でかまどを作りゴミにしろ」「食料品をツケで買えるよう店に普段から信用を持たせておけ」などと言う始末である。地震家族財産仕事くなっているかもしれない被災者にこれをやれとは酷である。

リベラル左派からも徴兵制導入をとの声

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脚注

  1. *これは、もともと戦争は男が行うものだという思想や、兵役と参政権とを結びつける考え方、更には女性戦場に出すと男がハッスルしてむしろ損が増えて迷惑だなど、思想と実利の両面で理由がある。ただし、兵士が足りない場合や、男女平等思想が浸透している場合はその限りではなく、人口が少ないのに周り全部が敵というイスラエルや、共産主義により男女平等を建前とするソ連では女性も徴兵制の対となる(なった)例がある。また、ノルウェーでは2015年から女性も徴兵制の対とすることが決まっている。
  2. *ただしこれは割と現代になってから認められるようになったものであり、近代において健康でありながら兵役を拒否した人間は義務を果たさない人間売国奴などと罵られ、かなり辛い立場に立たされていたようである。
  3. *普段軍務にはつかないが有事には召集される、戦前日本でいう後備役や民兵役に近いシステムを持つもある。この場合兵役につく者の割合は多くなる。
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最終更新:2024/03/29(金) 18:00

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