必殺仕事人2009とは、ABCとテレビ朝日の制作で2009年1月9日~6月26日までテレビ朝日系列で放送された時代劇・『必殺シリーズ』第31作目である。全22話。
概要
オープニングナレーション
金は天下の回りもの
ところがどっこい近頃は、天下が金の回し者
金さえありゃとは申しませんが、情けがありゃとも申せません
きれいごとばかりじゃあ、とどのつまりの堂々巡り
どうやらどの世に生まれても
こいつだけは許せねえ、てな輩がおりますもので
ナレーター:春風亭小朝
17年ぶりの新作
第30作目『必殺仕事人・激突!』以来、およそ17年ぶりとなるTVシリーズの新作。
2007年7月7日に放送されたスペシャル番組『必殺仕事人2007』の視聴率が良かったことから、『2007』のキャストや世界観を引き継いで本作が作られ、第1話の5日前の2009年1月4日には『必殺仕事人2009新春スペシャル』が放映された。ABC(朝日放送)は以前、ジャニーズ事務所主導の番組を阪神タイガース戦中継に差し替えたことでジャニーズ事務所とは関係が悪化していたが、この企画がジャニーズサイドから持ちかけた経緯があることから、ABCと和解を果たした事となる。
これまでの中村主水に代わって東山紀之(少年隊)演じる渡辺小五郎が『2007』より新たな主役となったが、主水も健在であり、『2007』そして本作では脇に回ったとはいえ、ベテラン仕事人として小五郎をはじめとする若い仕事人にとっては頼りになり、支えとなるご意見番的役割という重要なポジションだった。
東山および藤田まこと以外のキャスティングとしては、経師屋の涼次役にTOKIOの松岡昌宏が、からくり屋の源太役に関ジャニ∞の大倉忠義が、仕立屋の匳役にKAT-TUNの田中聖と、東山を含めてジャニーズ事務所所属の若手で固められた。彼らを束ねる(?)元締代行的立場である花御殿のお菊役は和久井映見が演じている。
仕事人シリーズの目玉といえばラストの中村家コントだが、『2007』よりそれが渡辺家に代わった。
せんりつコンビも『2007』、『新春スペシャル』には登場していたが、本作ではりつが最終回に登場したのみであった。
本作終了からおよそ8ヶ月後の2010年2月17日に主水役の藤田まことが亡くなったため、本作が中村主水最後の登場作品となった(ただし、スペシャル番組『必殺仕事人2010』では、回想シーンではあるが登場している)。
登場人物(仕事人)
- 渡辺小五郎(わたなべしょうごろう)
- 演:東山紀之(少年隊)
本作のチームリーダーである南町奉行所定町廻り同心だが、かつての主水同様に昼行灯であり、マイペース主義者でもあったため、『2007』での着任時は上役に期待されていたものの、本作ではあまり期待されなくなった。
配置替えでは『2007』で主水が配置されていた書庫を希望していたが、定町廻りだったため辟易していた。しかし、芝居好きであるため、定町廻りは仕事をさぼって芝居を見られる格好の役職だったのかもしれない。
家庭では中村家同様に婿養子という立場だが、中村家とは逆に嫁と姑に大事にされており、食事も豪華な物ばかりであったためか嫌気がさし、めざしなどの質素な物を好んでいる。
主水や涼次とは『2007』で初めて組んでいるため、それ以前は別の人物と組んで仕事をしていたかと思われる。裏稼業の掟を厳粛にわきまえていることから、時折涼次と対立したり、若い源太を叱責するともあるが、逆に小五郎が暴走しかけて匳に止められるということもあった。
「仕事」の時は長刀を振るって堂々と立ち回り、主に「裁きの刻」(『新必殺仕事人』のBGM)をバックに一人もしくは大勢を斬り捨てる(『2012』では主水のようにマフラーを使用、BGMも「主水のテーマ」に)。その時の形相も見どころの一つである。
なお、『2012』より南町奉行所から本町奉行所へと転属になっている。
- 経師屋の涼次(きょうじやのりょうじ)
- 演:松岡昌宏(TOKIO)
かつては伊賀の忍びであったが、抜け忍となって江戸へ流れ、経師屋(掛け軸やふすまの補修を行う職業)として生計を立てていた。しかし食い道楽であるため、生活費は食事につぎこんでいるようである。
『2007』で自分を狙って江戸にやってきた同じ伊賀の忍びの玉櫛とは、お互い口が悪いものの少なからずいい関係であったが、『新春スペシャル』で玉櫛は殺され、その後にやってきた玉櫛の妹・如月の面倒を見ている。
抜け忍となってから仕事人になるまでの経緯は小五郎同様に謎で、お互い花御殿のお菊から「仕事」をもらっているのにも関わらず『2007』冒頭が初対面であった。そのことや小五郎が役人であることもあってか、小五郎に対しては何かと反発し、匳とも仲が悪い。
「仕事」の時は、『2007』では絵筆に仕込んだ劇毒を標的の口の中に落とすもしくは筆を額にあてて死に至らしめる殺し技であったが、『新春スペシャル』では毒が手に入らなかったことから、錐(源太に作成させた)を使った殺し技に変更、「暗闇に仕掛ける」(『新必殺仕事人』の殺しのテーマ)をバックに、背後から刺したあとに心臓までゆっくりと届かせて絶命させている(その錐が心臓に届くまでの様子をレントゲン(CG。撮影時の日付つき)で表現している)。
第21話終盤でお菊を逃がした後に敵に捕まり、最終回では拷問で体がぼろぼろになりながらも生き抜いて「仕事」を果たし、そして如月と二人で江戸を離れたが、『2010』で再び江戸に戻ってきた。
- からくり屋の源太(からくりやのげんた)
- 演:大倉忠義
『2007』で失った恋人の息子・作太郎と二人で小料理屋を営んでいるが、元々はからくり細工を作って縁日等で販売していた小五郎とは顔なじみの青年。仕事人となったきっかけも悪人に殺された恋人の仇を討つため。
『新春スペシャル』では、毒が手に入らなくなった涼次に頼まれて錐状の武器を作っている。
「仕事」の時は、「旅愁」(『暗闇仕留人』主題歌)アレンジをバックに、からくり蛇を標的ののどに巻き付けて突き刺すもしくはそのまま絞め殺す技を使うが、標的を油断させるためにからくり細工のお茶運び人形を使用している。
元来、気の優しい性格であり、仕事人となった後はかつての殺し屋のように自分のやってきたことが正しいかどうか思い悩む部分があり、それを主に小五郎に注意されていた。第10話ラストで、自分が自分が殺した悪人の側にいるところを小五郎の後輩同心・大河原伝七に目撃されるというヘマをやらかし(その時は主水と涼次のおかげで難を逃れた)、続く第11話で自分の母親だと騙る悪人に気を許した挙げ句にその女に刺されてしまい、最後の力を振り絞ってその女を仕置した後に絶命した。
- 仕立屋の匳
- 演:田中聖(KAT-TUN)
- 第13話より登場する、態度は悪いが腕は確かな仕立て屋で、坊主頭にピアスという『新必殺仕置人』の念仏の鉄を彷彿とさせる出で立ちをしている。実は、第12話で小五郎が仕留め損なった標的を仕留めていたのは彼。
見た目や態度とは違って気のいいところがあり、弟分や近所の子供達に仕立てや裁縫を教えている。元々は一匹狼の仕事人だったが、その弟分を悪人に殺されたことで依頼人となり、小五郎チームに加入した。しかし、持ち前の口の悪さのせいでメンバー(特に涼次)とは仲が悪い。
「仕事」の時は、「夜霧を裂いて」(『新必殺仕置人』出陣、『必殺仕事人』後期殺しのテーマ)をバックに、仕立ての糸と関節技(?)を駆使して糸を標的の首筋に巻き付けて絶命させる。
最終回では、生きて戻れないと思ったのか飼っている文鳥を野に放したが、生還後その文鳥は戻ってきていた。
なお、『2010』では坊主頭から一転して長髪になっていた。
- 花御殿のお菊(はなごてんのおきく)
- 演:和久井映見
普段は常磐津の師匠を、裏では三番筋で聞いた依頼を仕事人に仲介する元締代行的立場の女性。
彼女が頼み人に喋る時はなぜかエコーがかかる。
小五郎や涼次だけでなく主水とも顔なじみだが、『2007』冒頭では主水に「仕事」を回さず、小五郎と涼次には別々に依頼していたため、この三人が組むのは『2007』終盤になってから。『2007』以前では主水と組んでいたようだが、第21話終盤で仕込み扇子を使おうとしたところを見ると、殺しを行ったこともあるようだ(ただし同話では、その武器を涼次が使用してお菊を逃がした)。
最終回で解散したものの、素性がばれたわけではないので、それ以後も常磐津の師匠をしている。
- 中村主水(なかむらもんど)
- 演:藤田まこと
南町奉行所の同心である大ベテランの仕事人。
『2007』では書庫番担当だったが、本作ではさらに自身番へ異動となったため、そこでめざしを食べながらのんびりとしており小五郎に羨ましがられている。家族(りつ)が最終回まで登場しないため、中村家の様子は最後まで描かれる事はなかったが、話によると自身番への異動で扱いがひどくなっているようである。
本作での立場はかつてのチームリーダーではなくご意見番的存在で、小五郎、涼次、源太、匳といった若い仕事人に対して注意やフォローをするだけではなく、時折仕事の指示もしたりしている。お菊とは顔なじみで、『2007』冒頭では「仕事」を自分に回さなかったことに不満を抱いていた。それ以前にも組んでいたようではあるが、彼女と男女の仲だったかどうかは不明。
「仕事」の時は、おなじみの「中村主水のテーマ」をバックにおなじみのセコ突きで標的を始末している。
最終回以後は西の方へと異動となり、誰にも会わずに密かに江戸から去った(『2010』)。
主題歌
- 鏡花水月
- 作詞:Satomi、作曲:大智、編曲:家原正樹、歌唱:The SHIGOTONIN
- 本作ではおなじみの縦書きテロップではなく、役名が表示されない横書きのロールテロップとなっており、主題歌が終わってから主に渡辺家コントが行われていた。歌唱の「The SHIGOTONIN」は、小五郎役の東山・涼次役の松岡・源太役の大倉の3人からなるユニットだが、源太が退場してもこのメンバーでの主題歌が使われている。
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