必殺橋掛人とは、朝日放送(ABC)と松竹の制作で1985年8月2日~11月8日までテレビ朝日系列で放送された時代劇『必殺シリーズ』第24弾である。全13話。主演は津川雅彦。
オープニングナレーション
十月十日に生を受け 七五三なら祝い事
もめ事・泣き事・勝負事 さらに加えて弔い事
裏切り・騙され・棄てられる
疲れ果てたらおいでなせえ
この世とあの世の橋掛けに
そーっと送って さしあげやしょう
ナレーター:中村梅之助
概要
第1弾『必殺仕掛人』から第7弾『必殺仕業人』までの7作品で個性的な悪役を演じた津川雅彦を主役にした作品。
第1話で殺された元締が残していた13本の仕事を、元締配下だった3名+元締の娘の新人元締、そして過去に裏稼業を引退していた男を加えた5名のメンバーで行うという話だが、本作では過去の必殺シリーズのオマージュ的な要素がいくつか見受けられ、
などが挙げられる。
ちなみに第6話に登場するお光の母親の名前はお清(おすが)だが、お光役の西崎みどり(現・西崎緑)は前々作『必殺仕切人』ではお清(おきよ)という仕切人を演じている。
また、仕置のテーマ曲は新曲ではなく流用で、おくらと新吉の時は前作『必殺仕事人V』の「冥土の鈴か、地獄花~殺しのテーマ~」が、柳次の時は『必殺仕業人』の出陣のテーマ「いざ行かん」が流れている。
物語自体はこれまで続いていたソフト路線からハード路線へと回帰しており、特に後半は同業者との激闘を描いた話が連続する「激闘編」であり、これが次作『必殺仕事人V激闘編』へと繋がっていくものと思われる。
ただし、後期シリーズでいう中村家コントのような柳次一家の微笑ましいやりとりも随所に見られるため、必ずしもハード一辺倒ではない(シリアスの中にコメディもある)のも本作の特徴だと言えるだろう。
登場人物(橋掛人)
紹介はEDのキャスト順。
- 柳次演:津川雅彦
- 後妻と先妻の娘に囲まれて暮らしている担ぎ呉服商人。
5年前に娘のために裏稼業を引退していたが、多助の事件に少なからず関わっていたことから、裏稼業に復帰することになった。餓鬼の刺繍が付いた反物から金糸を取り出し、それを標的の首に巻き付け絞め殺すというのが仕置技だが、これは昔仕えていた元締・鬼火の重蔵に教わったもの(その重蔵は第4話で実は生きていて外道になっていたことが発覚、柳次が仕置した)。
普段はちょっとした賭け事が趣味の穏やかで調子がいい性格だが、裏では万が一の時は自分が粛正されることも厭わないほど掟に厳格な男である。
逃げた先妻とは、娘と一緒に定期的に会って食事をするなど仲がいいところも見受けられる。最終回では、前話で出戻ってきた先妻の他、仕事で対決した浪人との約束でその息子も引き取り、最終的には5人家族となりますます賑やかになった。
- 新吉演:宅麻伸
- 暗闇の多助の配下だった橋掛人で、表稼業は鳥刺し(鳥を捕獲する職業)。
普段は寡黙だが、メンバー一番の若手ということもあり、反発したり暴走したりすることもある。
裏稼業では黒装束を身にまとっているが、仕置の際は羽織をガトゥラ(アラブ人の帽子)のように頭にかぶり、吹き矢で悪人の眉間や首筋に刺した後、近づいてそれを押し込んで絶命させている。回によっては、水中から飛び出したり空中回転したりした後に近づいて矢を押し込むいうダイナミックかつ地味な殺しを見せている。
- 松演:斉藤清六
- 屋根職人で後述するおくらの夫。新吉同様、多助の配下だった。
見るからに頼りなさそうな男だが、おくらがこの男のどこに惚れて結婚したのかは不明である。
裏稼業ではおくらが使う武器を研ぐだけではなく、おくらのサポートも行う。
- お光(春光尼)演:西崎みどり
- 元締・暗闇の多助の娘で「春光尼」という名を持つ尼僧。当初は多助が裏稼業の元締であることを知らなかったが、多助の死後に絵図を託されたことでそれを知り、仕事を遂行するために遺志を継いで橋掛人の元締になった。
主な役割は囮役および仕事の監視役。第1話で父を失っているばかりではなく、第6話では実は生きていて悪人となっていた母親の仕置を決意、柳次が母を仕置するところを見る(監視する)というつらい場面も経験している。
- おくら演:萬田久子
- 新吉、松同様に多助の配下だった女性で前述の松の妻。女性ながら屋根職人でもある。
性格は明るくてしっかり者。裏稼業の掟も柳次同様に厳格に受け止めている。
仕置の際は松のサポートを受け、標的に向かって鋭く研いだ瓦を投げつけて首を切り裂き絶命させる(投げた瓦はぶつかって砕けることも)。なお、出陣の前には、研がれた瓦で自身の髪の一部を試し切りしている。
主題歌・挿入歌
- さよならさざんか
- 作詞:宇山清太郎 作曲:平尾昌晃 編曲:竜崎孝路 歌唱:藤田絵美子(現・EMIKO)
前作『必殺仕事人V』と同じ主題歌。
- もどり道
- 作詞:只野菜摘 作曲:宇崎竜童 編曲:入江純 歌唱:西崎みどり
仕事料を受け取る場面で流れる本作の挿入歌。ちなみに作曲の宇崎竜童は、第7弾『必殺仕業人』のオープニングナレーションを担当している。
関連動画
殺しのテーマ
動画は全て『仕事人V』名義のものだが、『橋掛人』も同じなので貼り付け。
挿入歌
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