志帥会とは (シスイカイとは) [単語記事]

概要

派閥の呼称は、中曽根派→渡辺派→旧・渡辺派→村上・亀井派→江藤・亀井派→亀井派→伊吹派→二階派の順で変遷している。

1955年保守合同後に日本民主党の河野一郎（河野洋平の父・河野太郎の祖父）が結成した「春秋会」の流れを汲み、中曽根康弘が結成した「新政同志会」が起源である。
旧・日本民主党の中でも非・鳩山一郎＆岸信介派が集まって出来たという経緯から、結成当初は寄り合い所帯的な性格が強かった。

清和会（三塚派）出身の亀井グループ合流後は、「改憲支持」「対北朝鮮強硬路線」「外国人参政権・人権擁護法案反対」など、非常に保守色の強いタカ派な傾向を持つようになった。
外交政策としては、同じくタカ派の清和政策研究会と比較して親米色が薄めである。
また、派内にはいわゆる族議員も多いため、小泉構造改革においては平成研究会（橋本派）と共に「抵抗勢力」と名指しで批判される事も多かった。

2009年の総選挙の敗北後、わずか3人となった二階俊博率いる新しい波（二階グループ）を吸収し受け入れた。
二階自身は党内きっての親中派で志師会の政治姿勢ともほぼ真逆であり、その二階が派閥の領袖となるのは異例である。

「志帥会」の名称は『孟子』の「志は気の帥なり」を由来として、平沼赳夫が命名した。

歴史

中曽根派（1966～90年）

1966年　佐藤総理の再選不支持派が春秋会（河野派）を脱会し、中曽根康弘を中心に「新政同志会」を結成する。
　→この後も春秋会から新政同志会への移動者が相次ぎ、少数派となった春秋会は八日会（福田派）に合流する。
1976年 2月　ロッキード事件発生→党内で「三木おろし」倒閣運動が発生する。
党内の反主流6派が退陣要求を突きつける中、中曽根派は三木内閣に党内で唯一協力する派となった。
1976年 6月　中曽根派所属の河野洋平が離党。党内リベラル派6名で「新自由クラブ」を結党する。
1978年　派閥名を「政策科学研究所」に変更。
1979年　第35回衆議院選にて自民党敗北→田中・大平派 vs 福田・中曽根・三木派による「四十日抗争」発生。
1982～87年　中曽根康弘内閣。
　政権発足当初は官房長官・党幹事長など田中派議員を大量起用し、「角影内閣」と揶揄された。
　その後2度の総選挙と参議院選を勝利に導いて田中角栄の影響を脱し、長期政権を樹立する。
1988年　リクルート事件発生。
　中曽根に事件の影響が直撃→翌年には事件の責任を取って自民党離党。
1989年　宇野宗佑内閣。
　リクルート事件を受けて内閣成立。当時中曽根派 No.2であり、初の派閥領袖でない自民党総裁だった。
　→しかし本人の女性スキャンダル＆第15回参議院選の惨敗を受けて僅か2ヶ月で辞任。

渡辺派（1990～95年）　→　旧・渡辺派（1995～99年）

1990年　渡辺美智雄が会長に就任。
1994年 4月　新生党・小沢一郎から渡辺に、離党を条件にポスト細川総理として総理大臣首班指名を打診される。
　これを受けて渡辺側近の柿沢弘治・太田誠一ら6名が先行離党するも、他の同調者が十数名程度しかいなかった。
　→結局、河野総裁の慰留を受ける形で離党は断念。　土壇場で寝返った山崎拓が若手議員を纏めはじめる。
1994年 6月　自社連立合意による村山富市の首班指名を渡辺が拒否→渡辺は造反して海部俊樹に投票。
　派内若手議員から猛反発を受け、渡辺の求心力が著しく低下。渡辺は公然と派閥幹部からも罵倒される。
1995年　渡辺美智雄、すい臓がんで死去。　派は集団指導体制に移行。
1998年　山崎拓ら派内若手グループ37名が旧・渡辺派を脱退。
　山崎グループは「近未来政治研究会」を結成。旧・渡辺派は少数派閥に転落。

村上・亀井派（1999年）　→　江藤・亀井派（1999～2003年）

1999年 3月　清和会（三塚派）から脱退した亀井グループと合流し、「志帥会」を結成。
　派閥オーナーだった中曽根が打診。村上正邦を会長、亀井静香を会長代行として成立した。
1999年 7月　村上の自民党参議院議員会長への就任を受けて、江藤隆美が会長就任。
2001年　小泉内閣成立→小泉総理から行政改革の「抵抗勢力」と呼ばれるようになる。

亀井派（2003～05年）

2003年　亀井静香が会長就任。
　会長就任直後に衆議院選・公認問題発生。中曽根康弘が自民党非公認とされ、党執行部との確執が深まる。
2005年 7月　郵政民営化法案・衆議院採決。党から反対37票・棄権14票の造反者が出るも、5票差で法案可決。
2005年 8月　郵政民営化法案・参議院採決。党から反対22票・棄権8票の造反者が出て、法案否決。
　→小泉総理は即日衆議院解散を決定（郵政解散）。造反者は自民党公認を得られずに出馬する事になった。
　→これを受けて亀井会長は自民党を離党。綿貫民輔らと共に「国民新党」を結党した。