怠業とは、労働運動に関する言葉である。スローダウン(slowdown)とかサボタージュ(sabotage)と訳す。
怠業とは争議行為の1つであり、労働組合に所属する労働者が示し合わせて作業を継続しながら作業能率を量的または質的に低下させることをいう。
怠業の中の「量的に作業能率を落とす怠業」は、等質の商品を多く製造・販売する企業で実行しやすく、等質の商品を少なく製造・販売する企業で実行しにくい。
企業Aがあり、自社工場で商品を1日100ヶ製造し、自社の保有する販売店で1日100ヶほど商品を売っているとする。こういう企業なら、工場で「1日100ヶの製造能力を1日50ヶまで落とす」という怠業を実行しやすいし、販売部門で「1日100ヶの販売能力を1日50ヶまで落とし、51ヶ目を買い求める客には売り切れであることを告げる」という怠業を実行しやすい。
企業Bがあり、1年掛けて巨大な建築物を1つ作って顧客に納入しているとする。こういう企業では怠業の中の「量的に作業能率を落とす怠業」を非常に実行しにくい。明確な目標を立てづらく、製造の能率を下げることを行いにくく、労働組合に所属する労働者も「作業能率を50%下げろと労働組合に指示されたが、どうしたらいいのか」といった風に悩むことになる。
以上のように、企業の中には、怠業の中の「量的に作業能率を落とす怠業」を実行しやすい企業と実行しにくい企業がある。
怠業の中の「量的に作業能率を落とす怠業」に参加する労働者は、賃金の一部を得ることができる。
工場で「1日100ヶの製造能力を1日50ヶまで落とす」という怠業を1日実行したとする。その怠業に参加した労働者は、その日の賃金を満額受け取れるわけではなく、50%にまで減らされた賃金だけを受け取ることになる。
一方で、ストライキを1日実行すると、そのストライキに参加した労働者はその日の賃金を全く受け取れない。
このように怠業の中の「量的に作業能率を落とす怠業」は、ストライキに比べて、労働者から「収入が減ってしまうので止めてほしい」という反発が発生する可能性が低い。怠業の中の「量的に作業能率を落とす怠業」はストライキに比べて実行しやすい。
怠業の中の「質的に作業能率を落とす怠業」の例として、集改札ストと納金ストがある。これらについては本記事にて後述する。
日本の労働法の怠業を最も正確に英訳するとスローダウン(slowdown)になる。
英語版wikipediaにはSlowdown
という記事があり、日本の労働法の怠業と同じ定義づけをしている。
日本の労働法の怠業をサボタージュ(sabotage)と訳すこともある。
しかしサボタージュは怠業よりも広い概念であり、①争議行為の1つで労働者が示し合わせて作業効率を落とすこと(消極的サボタージュ)、②争議行為の1つで労働者が不良品を故意に製造したり備品を破壊したりして作業効率を落とすこと(積極的サボタージュ)、③争議行為の1つで労働者が顧客などに対して製品の悪口を言いふらして販売能率を落とすこと(開口サボタージュ)の3つを含む概念である。
②の積極的サボタージュと③の開口サボタージュは、日本では「不当な争議行為であって、刑事制裁や民事制裁が課される可能性がある」とされている。
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最終更新:2026/09/14(月) 17:00
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