恐ろしい子とは (オソロシイコとは) [単語記事]

「おそろしい子！」とは、美内すずえの漫画『ガラスの仮面』に登場する月影千草の最序盤の名台詞の一つ。
パロディとしては「○○（名前）・・・恐ろしい子ッ！」などの形で用いられるが、原作での表記は「おそろしい子！」である。

概要・・・おそろしい文！

物語の最序盤、伝説の大女優・月影千草（先生）は、ごく平凡な少女・北島マヤに秘められた演劇の才能を見出し、その驚嘆すべき能力の発露を「おそろしい子！」と評価する。
その時の一コマが、元々の'70年代の少女漫画らしい画風に加え、普段はクールな月影先生が「オーホホホホホ」と大口を開けて高笑いしながら、バックにはこれまた月影先生の顔のドアップが驚愕と畏怖と高揚が渾然一体となった独特なオリジナル笑顔を浮かべているという、実にインパクトのあるものだったので、『ガラスの仮面』ファンから次第に世に広まり様々な場面で使われることになる。

ちなみにこの時の月影先生は嬉しそうに目を閉じて大笑いしており、バックのドアップ顔のほうも興奮気味な三白眼でほくそ笑んでいるのであって、よくパロディコラージュやAA等で見られるような「白目蒼白」とは全く異なる表情である。
そもそも原作漫画における白目蒼白とは、血の気が引くほどの強い恐怖・動揺・絶望・瞋恚といった非常にネガティヴな感情の発現だ。それに対し「おそろしい子！」というレッテルはマヤの神憑り的な演劇的才能に対する畏怖・敬意・讃嘆・憧憬の吐露であるのに加え、偶然にもマヤという天才児と同時代に生まれてその真価に気付き正当な評価を与えることができるという真の演劇人としての僥倖・才覚・矜持に対する自覚が含まれる、とてつもなくポジティヴな褒め言葉なのであり、本来は超ネガティヴな白目蒼白で表現されうるものではない。
また、マヤのライバル・姫川亜弓がやはり白目蒼白で「マヤ、なんて恐ろしい子！」等と言っている画像なども見かけられるが、これらはAA等に随ってセリフを差し替えたコラージュである。確かに原作でも姫川亜弓はマヤを「おそろしい子」と評してはいるが（参考：コミックス第20巻など）、実に誇らしげで気品に満ちた笑顔である。

とはいえ、現在でもしばしば白目蒼白と共に定番ネタとして漫画・アニメ・ラノベ等で散見される（『らき☆すた』など）。

かるた・・・おそろしい札！

原作いまだ継続中の2012年 10月、「『ガラスの仮面』名台詞かるた」が発売された。

当然、「おそろしい子！」のコマも収録されたのだが、なんと「お」ではなく「き」の札である。以下、読み札を引用する。

気がついて？　真澄さん　小野寺さん
あの子「椿姫」の舞台をただ一度みただけなのよ
それなのに３時間半もの舞台のセリフを
一言一句みごとにまちがえずに　俳優達のこまかな演技のポーズまで
丸暗記してしまっているのよ　オーホホホホホ　おそろしい子！

そこからですか。ちなみに件の「お」の札については箱裏で、月影先生が瞳を光らせながらこう忠告してくださる。

「お」から　始まる札は　６枚あります！
油断は　なりませんよ！

AA（アスキーアート）・・・おそろしい絵！

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