捕手 単語

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捕手とは、

  1. 野球ソフトボールにおいて投手の投球を受ける選手である。キャッチャー。守備番号は2。英語ではCatcherと書く(略称はC)。
  2. 相手を生け捕りにする武術のこと。捕手術。捕縛術。素手か流によってはさすまた、突棒、もじり、縄、十手短刀などを用いて相手を取り押さえ殺さずに捕まえる。竹内流、荒木流などが有名。

ここでは2については特に触れず1についてのみ記述する。

概要

捕球

捕手は投手の投球を受けるポジションであるため、それを如何に逸らさずにキャッチできるかが捕手の良し悪しを決める要素となる。例えば「ランナーが三塁にいると落ちる変化球は投げにくい」とよく言われるが、これはワンバウンドする球はキャッチングが難しく、捕手が後逸しやすいため点に繋がりやすいためである。しかし裏を返せばその状況で下方向の変化球を抑えられる捕手であれば、より打者に対して有利に攻められるということで、優れた捕手の要素を持っているということが言える。

リード

投手がどこに投球すれば良いかを示し、相手の打者に打たせないようにすることが最大の仕事。そのため捕手は相手打者の得意・苦手コース、球種などをよりも把握しておかなければならず、かつそれを活かして投手リードをすることがめられるため、頭の良さ(野球)がめられる選手である。さらにその示を投手に受け入れさせるために、投手との信頼関係を築けることが良い捕手の条件の一つであると言えよう。

野球ファンの中において捕手のリードの良し悪しはよく議論にのぼる題材ではあるが、反面場が荒れやすい題材でもある。打者の打率本塁打投手防御率のように数字によって優劣をつけることが出来ないため、主観的な意見に陥りやすいためである。(一応捕手別防御率という数字もあるが、同じ捕手によってもシーズンごとに安定しないためあくまで参考程度の標であると言える。)

また打撃、特に長打に長けた捕手は何故か守備の捕手(守備>>>打撃という守備に特化した捕手のこと)にべて、リードがあまり良くない捕手だと見られる傾向があるようであるが、もちろん打撃リードの良し悪しに直接的な要因はいはずである。

NPBではリードは捕手の仕事とされているが、MLBにおいては、配球に関しては投手自身が決めたり、あるいは監督コーチが決めるベンワークとされていることが多い(これは単純に対戦する球団数・選手数が多いため、ひとりの捕手があらゆるデータ把握しきるのが難しいためである)。そのためMLBではNPBべて、捕手は打送球の方が重視される傾向にある。

送球

リードの上手さに加えめられるが、肩の強さと送球技術である。盗塁阻止はもちろんのこと、素い牽制で野手を塁上に釘付けにするのにも必要とされる。(OBでは大矢明彦古田敦也、現役ではソフトバンク甲斐拓也などが強肩な捕手としてよく名前があがる)

よく誤解されることであるが、肩の強い捕手が必ずしも盗塁阻止率が高くなるわけではない。もちろん、強肩であることにこしたことはないが、投手クイック、球種、送球までの時間、送球の正確性など複合的な要因が重なってくるので、思いもがけない捕手が高い阻止率を残したりすることも多い。ただし阻止率が低い捕手は弱肩であることが多いのは間違いない。

また右投げにべ左投げは送球が不利になることから、左投げの捕手はほとんど存在しない。右打者のほうが多い現状では、左投げの場合二塁・三塁への送球のときに打者が邪魔になり、送球に支障が出るためである。こうした左投げの捕手は、学生野球の段階で他ポジションへのコンバートが図られるため、特にプロに近いレベルではその存在は確認できなくなるのである(そもそも左投げ用のキャッチャーミットは特注になるため、具がいという根本的な問題により左投げの選手は捕手ができないという事情もある)。

ブロック

他に捕手特有の仕事としてあるのが、走者の本塁突入をブロックすることである。きわどいタイミングでは走者が体当たりをしてくることもあり、捕手にとっては最も怪をしやすいプレーの一つである。いかに怪をせずに本塁を死守するかが優れた捕手にはめられる。

かしこの接触プレイは捕手・走者ともに怪が多い事からたびたび危険視されており、アメリカMLBでは2014年から禁止された。日本NPBでも2016年シーズンより禁止となった(コリジョンルール。走者の進塁ルート上に捕手が立ちはだかる事は禁止となり、如何に上手くタッチするかという技術、および本塁以外の走者のアウトを優先すべきかの判断が、よりめられる事になった。

グラウンドでの指示

投手を含める全9人の守備側選手のうち一外野フェンス方向を向いて守備に就く選手で、グラウンド全体を見渡せることから野手の中でも特別な仕事が与えられたプレイヤーであり、守備位置や送球先の示をする役をになっている。ボールカウント・アウトカウント・イニング数・点差などもろもろの要素から相手打者・走者の意図を見抜き、素示を出さなければいけないため観察眼・洞察められるポジションである。その役割からグラウンドにおける監督とも揄えされ、非常に専門色の強いポジションである。

さらに心理描写が表しやすい、守備においても出番が多いことなどから、アニメ漫画等では投手と共に役・メインキャラクターに据えられることが多い。

捕手の装備

捕手は前述したホームでのブロックの他、ファールチップをその身に受けることも多いため全野手の中でも最も怪しやすいポジションであり、怪を防ぎやすいように様々な防具を身に付けることが許されている一のポジションでもある。その種類は顔面を保護するマスク、胸部を保護するプロクター、膝下を保護するレガースなどである。

また他の野手はグラブグローブ)を使って捕球を行っているが、捕手は投球を受けるのに特化したキャッチャーミットを使っている。捕手の他にミットを使っているのはファーストのみである。(こちらはファーストミットと言う)

捕手登録

通常ベンチ入り選手の中で捕手登録されている選手は2,3人であり、その中でも先発出場する捕手を「正捕手」、それに続く捕手を「二番手捕手」「三番手捕手」と呼ぶ。最も総合に優れた捕手が正捕手となり、その疲労を抑えるためにたまに先発出場したり、正捕手が代打や代走、または怪などで退いたとき途中から出場するのが二番手・三番手捕手の役割となっている。

レギュラーである正捕手の代わりに二番手、三番手が出場することが他のポジションべると多く、守備の規定試合数が野手は試合数の2/3となっている一方で、捕手は試合数の1/2と少なく規定されている。

しかし全ての捕手を試合中に使い切ってしまうことはほとんどい。前述したように捕手は非常に専門的なポジションであり、未経験の選手ではまともに役割をこなすことは難しい。もし最後に出した捕手が怪でもしてしまった場合、試合が立ち行かなくなってしまう可性があるためである。

だが長いプロ野球歴史の中でそうした事態がかったわけではない。最近の例としては以下のようなものがある。

余談ではあるが各チームこうした緊急事態に備え、捕手登録の選手がいなくなってしまった場合はどの選手が捕手を務めるのかは前もって決めているらしい。先に述べた木村拓也もこの事態になる前から、「もしもの時は行くからな」と言われていたと語っている。

専属捕手

捕手は投手とのコミュニケーションを密にする立場であることから、投手と捕手の相性が重視されることがあり、2人以上の捕手をレギュラーとして併用するチームでは投手によって捕手を使い分ける場合がある。たとえば北海道日本ハムファイターズでは、ダルビッシュ有ボビー・ケッペルとは鶴岡慎也が、武田勝ブライアン・ウルフとは大野奨太バッテリーを組んでいた。

また不動の正捕手のいるチームでも、特定投手登板する際には二番手以下の捕手がマスクを被るということがある。近年では福岡ソフトバンクホークス斉藤和巳的場直樹や、東北楽天ゴールデンイーグルス岩隈久志藤井彰人が有名。

リリーフ投手の場合には登板機会が一定しないためこういった例はまずいが、例外として登板タイミングがほぼ決まっている抑え投手の場合は専属の「抑え捕手」がつく場合がある。有名なのは日本ハム時代のマイケル中村で、中嶋聡が専属捕手としてマイケル登板時はマスクを被った。マイケル高橋信二と組んだ際にはベンチから中嶋リード示したという逸話がある。また抑え専属ではないが、広島東洋カープ永川勝浩フォーク石原慶幸でないと止められないと言われており、永川登板時は基本的に石原マスクを被るという例もある。

MLBではボストン・レッドソックスティム・ウェイクフィールドダグミラベリが有名。ウェイフィールドMLBでも稀有なほとんどナックルボールしか投げない「フルタイムナックルボーラー」であり、ミラベリが専属捕手を務めていた。2006年ミラベリは移籍したが、後任捕手がナックルボールを捕球できず後逸を連発したため、急遽ミラベリはトレードでレッドソックスへ復帰している。

コンバート

捕手は専門性の高いポジションであるため、不動の正捕手が存在するとどうしても二番手以下の捕手の出番は少なくなる。また他のポジションならば多少守備面に不安があっても、打に優れていれば優先的に起用してもらえる場合があるが、捕手の場合はどうしてもある程度以上の守備は要されるため、打が一軍レベルにあっても守備が見劣りすると捕手として継続的に出場機会を得ることは難しい。

そのため、捕手として入団した選手が打や身体の高さを買われて他のポジションコンバートされ、開する例は多い。近年の大打者としては小笠原道大山崎武司和田一浩などが捕手からコンバートされて活躍している(ちなみに小笠原和田は捕手で一軍出場の経験もある)。前述の木村拓也プロ入り時は捕手であり、緊急時の代理捕手役を言い渡されているのも大抵はこういった元捕手組である。また、阿部慎之助上本達之などのように、登録は捕手のままであっても他のポジションを守るか指名打者で出場することがある選手もいる。

捕手からのコンバートは基本的に打撃を評価されてのものが多いため、転向先は一塁手外野手が多い。俊足な捕手の場合は、外野手コンバートされることが多いため、二塁手遊撃手へのコンバートは少ない。ただし、外野手として大活躍した飯田哲也は、捕手から最初に二塁手コンバートしている。近年の例では、銀次が捕手として入団後、二塁手コンバートしている(その後、更に一塁手三塁手コンバート)。なお、上述の星秀和2011年からは外野手登録だが、入団当初は二塁手に起用されていた。変わり種としては、捕手登録でありながら二塁・三塁も守れる千葉ロッテ東京ヤクルト田中雅彦がいる(ヤクルト移籍後はほぼ捕手固定に)。

一方、プロ入り後に他のポジションから捕手に転向する例は、いわけではないが極めて稀であり、またプロ入り後に捕手転向して大成した選手は今のところ存在しない。一軍で捕手としてある程度出場機会を得たことがある、というレベルでさえ、元ロッテ斉藤巧(内野手→捕手)、元ダイエーの内之倉隆志内野手→捕手)がいる程度である。近年ではプロ入り7年で捕手に転向した日本ハム尾崎哉、外野手と捕手を兼任した広島中東直瑛がいる。

捕手の打撃力

捕手は一般的に打はあまり期待されないポジションであり、例えば80年代から90年代パ・リーグを代表する名捕手の伊東勤は、通算1000安打えている選手で一通打率が.250を下回っている。論、全盛期野村克也古田敦也のように、打撃でも一流という捕手もいるが、稀な存在であることは確かである。

そのため捕手は往々にして、打撃の捕手(打のある捕手)と守備の捕手(打のない捕手)という分類のされかたをする場合が多い。そして前述の通り、野球ファンの間などでは打撃の捕手は、守備の捕手にべて守備面では劣ると見なされる場合が多い(実際にどうであるかはさておき)。

特に正捕手の定まっていないチームでは、往々にして打撃の捕手と守備の捕手によるポジション争いというパターンが発生する(例えば近年では日本ハム高橋信二鶴岡慎也ソフトバンク田上秀則山崎勝己など)。ファンの間でもどちらが良いかで言い争いになることが多く、リードの評価とともに荒れやすい話題である。

に3番を打った古田敦也、不動の4番であった野村克也、5番を打った城島健司などのようにクリーンナップを任される捕手はしばしば現れるが、俊足がめられる1番や2番を打つ捕手は非常に稀である。そもそも捕手は守備時に俊足を活かす機会がほぼいため、俊足の捕手は飯田哲也関川浩一のように外野へコンバートされる場合が多い。俊足だった捕手としては、戦前東京巨人軍の正捕手・吉原正喜や、捕手としての通算最多となる134盗塁記録した伊東勤、通算121盗塁和田博実などがいる。現役で俊足捕手として知られているのは嶋基宏など。

前述の通り打のある捕手はコンバートされることも多いため、歴代の名捕手もどちらかといえば打はそれほどでもない場合が多い。強打の捕手として有名なOBには前述の野村古田のほか、田淵幸一木俣達彦などがいる。

ブルペン捕手

ベンチ入りする選手の捕手とは別に、ブルペン投手の投球練習を受ける捕手をブルペン捕手と言う。彼らは選手としては登録されていない裏方で、に戦外や引退で働き口を失った捕手たちが「」としてボールを受けるこの仕事に就く。ブルペン捕手から現役復帰を果たした例もあるが非常に稀である。

かつてはブルペン捕手は支配下登録選手でなければならないと規定があったが、現在くなっている(ちなみに高校時代全くの名選手だった野村克也南海ホークスに入団できたのは、事実ブルペン捕手としての入団だったかららしい)。

裏方であり普段が当たることはいが、彼らが存在しなければブルペンが機しないので、チームにとっては論のこと重要な存在である。第2回WBCにおいてブルペン捕手として同行した小山良男(元中日ドラゴンズ)が、優勝後のシャンパンファイトにおいて胴上げされたというエピソードは、それを端的に物語っている。

監督として

監督示をグラウンドにおいて伝達するポジションであり、第二の監督とも呼ばれることからか、捕手出身の監督は多い。かつては野村克也南海ホークスにおいて選手兼任監督として正捕手と監督の二足のわらじを7年間に渡って履いていたことがある。他にも森祇晶などは特に捕手出身の名将として知られている。

不動の正捕手だった選手がそのままそチーム監督に収まるという例もあり、近年では伊東勤引退後即西武監督に、古田敦也は2年間選手兼任でヤクルト監督を、谷繁元信も2年間中日の選手兼任監督を務めた。

2021年現在は、NPB12球団では阪神矢野燿大監督オリックス中島監督が捕手出身である。

外国人捕手

投手とのコミュニケーションの問題から、外国人選手が捕手を務める例は日本プロ野球ではほぼ皆無である。

過去に例がいわけではなく、1937年MVPいたバッキー・ハリス後楽園イーグルス)、1953年・54年にパ・リーグベストナイン捕手部門に選ばれているチャーリー・ルイス毎日オリオンズ)などの外国人捕手が在籍していたことがあるが、現在ではまず見ることはい。

2021年には中日のヤリエルロドリゲス投手アリエル・マルティネス捕手が8月14日の試合に先発出場。外国人バッテリーNPB先発するのは30年ぶりとなった。(両選手ともキューバ出身)

95年に阪神大震災チャリティーマッチとして、日本人選抜vs外国人選抜の試合が行われたことがあるが、このときも外国人選抜に捕手がおらず(正確には捕手経験のあるティムマッキントッシュが捕手を務める予定だったが、開催前に解雇されてしまった)、当時ロッテの正捕手だった定詰雅彦と、巨人大久保博元がそれぞれ「ジョー」「デーブ」という名前外国人選抜に参加したというエピソードがある。

主な捕手(2021年現在)

現役

国内リーグ(各チーム出場試合上位2名or40試合以上出場)

太字100試合以上出場(参考[1]

メジャーリーガー

元捕手、捕手をすることもある(現役)選手

記事のあるOB一覧

国内リーグ

メジャーリーガー

架空選手(作品名順)

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関連項目

投手 先発投手 / 中継ぎ投手 / 抑え投手
捕手 バッテリー
内野手 一塁手 / 二塁手 / 三塁手 / 遊撃手
外野手 左翼手 / 中堅手 / 右翼手
その他 指名打者 / 監督

脚注

  1. *日本野球機構>2021年度 公式戦成績exit>球団別個人成績>個人守備成績
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