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新ゴとは、モリサワからリリースされている和文書体である。角ゴシック体に分類されるサンセリフ装飾)書体の一つ。

概要

パーツによって構成される角ゴシック体の中でも、坦な線による装飾ないわゆる「モダンスタイル」の角ゴシック体の代表例と位置付けられる書体であり、DTP明期からデファクトスタンダードに位置付けられている。

濃密になり過ぎない文字の濃度調整が独特の明るさと清廉さを生み出し、品格ある雰囲気を持ち合わせている。設計を揮したのは小塚氏。「リュウミン」やAdobe小塚ゴシック」などでも知られる名うての書体デザイナーである。

削除動画サムネイル
原宿時代)

モダンスタイル角ゴシック体は今でこそ多数の種類があるが、モリサワは印刷業界がデジタル化の波に乗る中でっ先にAdobe社と組んで本書体デジタル化を行ったため、現代において多数の企業コーポレート書体に制定される人気書体の一つとなった。恐らく、この書体を見ない日はほとんどない。

例えば、JR(東日本ほか)の駅名標に用いられている和文書体がコレである。なのでニコニコだと鉄道系の動画で用例が多かったりする。あと、かつてニコニコ動画削除動画で表示された字幕や、サムネイル視聴できません」も新ゴ。

背景

新書体ブームとゴナ

伝統的な雰囲気を持つゴシック体
(見出しゴシック体 MB31
モリサワ1961年)

日本書体デザインでは元来、文字格に関して独特の制約があった。角ゴシック体においてもそれを尊重した伝統的な格を有するものが多数で、エレメントにも筆を思わせる装飾や脈絡がみられてきた。

しかし1970年代、業界を牽引していたタイプファウンドリーの一つ「写研」からリリースされた「タイポ」「ナール」などを端緒とする新書ブームがあり、均質で装飾の書体の提案があった。

これに対し、モリサワゴシックにおいて試みた最初期のメーカーの一つで、書体デザインのそれまでの常識の範疇から外れたとまでは言い難いながら、1971年に仮名書体じゅんゴシック」、1972年に総合書体直B101」という、直線や均一な線の特徴を持つ書体リリースしていた。

一方、写研は更に、ナールデザイナーであった中村依頼して新しい角ゴシック体制作おこなった。ゴシック体として最も太いデザインというコンセプトがあり、装飾な欧文書体インスパイアを受けた、装飾で直や垂直などの幾何学を思わせるモダンデザインに仕上がる。1975年、「ゴナ-U」としてリリースされたその書体は非常に緻密に整理されており、極太から細いウェイトまでフォントファミリー化しても重厚で、広告に用いられたり、日本メガバンクなどが次々に制定書体に採用するなど大きく広まることとなる。

この書体が与えたは大きかった。幾何学的な造形のためにデフォルメや独自の格解釈、またパーツの重ね合わせなどといった大胆な処理を厭わない設計思想は多くの書体デザインし、また各社は同様に均質なサンセリフゴシック体の開発に躍起となった。

新ゴシックの開発

顧客からの需要もあり、モリサワも同様の書体開発に乗り出す必要に駆られる。そこで「ツデイ」や「アローG」という総合書体を開発したが、前者は直101の特徴を引き継いで抜けない印であったし、後者は丸々としていて非常に明るくウェイトも少ないなど、汎用的なゴシック体とは少し違ったものとなっていた。

そこで1986年書体デザイナーの小塚モリサワへ、ツデイとアローGを足して2で割ったような新しいゴシック書体制作を提言、制作に乗り出した。「ゴナ」がどっしりと構えた中庸な雰囲気なのに対して、懐も広めながら少し抑え、重心は上げた。カーブは深めにとって、優美な印を作った。

また当時最先端の書体デザインコンピューターシステムIKARUS」を導入してのシステマティックな作業を行なった。ドイツURW社で開発された、世界で最初のデジタルアウトラインフォント制作ソフトと言える代物で、自動で中間の太さを生成する機を備えた同システム活用したシステマティックな作業によって、4年の制作期間を経て、全に統一された雰囲気での8ウェイトの同時リリースが実現(※それまでは、少しずつウェイトを拡充していくのが一般的だった)。

こうして1990年、「新ゴシック」という名前リリースされたのが本書体となる。

特徴

全体的な曲線バランスを取りがちだが
新ゴは直線を強調して最後の部分で
曲線への変化を加える
(左例:新ゴ-U
右例:ニューロダンEB)

モダンスタイルゴシック体においては、フトコロ(字面の広さ)のほか、どこまでを直線的とし、どこまで曲線を描写するかが設計思想の上で分かれとなりがちである。
先述したゴナの場合は視覚的な印を優先しており微妙曲線の変化を加えたりしているが、新ゴの場合はフトコロを非常に広めにとり、直線は直線として、曲線曲線として描写している。これによって幾何学的で整理された印がある。

また、隙間を先発のゴナよりも多めにけ、明るく潰れにくい印が保たれた。仮名のいわゆる「伝統的な格」を一部意識している部分もあり、視覚的に違和感を覚えることが少ない仕上がりである。

上記の設計を踏まえても、「な」の独特の接続処理などゴナとの類似は否めず、実際に写研に訴えられたこともあったが、その背景には多数の工夫があり、結果として雰囲気等によってその役割は確かに分散している。太さではゴナに及ばないものの、明るさはゴナよりもして、埋没しない訴求力を秘めている。

時代に合わせた変化もある。より多くの人が読めるようなユニバーサルデザインに配慮した、UDフォント「UD新ゴ」は多くの公共的な場面での制定書体に用いられている。出自や特徴などによって賛否の分かれる新ゴシリーズではあるが、ある種の定番として浸透に成功していることは間違いないだろう。

余談ながら、Monotype社の「Arial」も同様の経緯を持って「Helvetica」に薄するモダンスタイルのサンセリフ書体の一つである。

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最終更新:2023/03/30(木) 23:00

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