旋盤とは、最も多く使われている工作機械の一つである。簡単に言うと、「硬い物を削れるろくろ」である。その歴史は古く、紀元前まで遡る。
材料をチャックに取り付け旋回させバイトと呼ばれる刃物をあてて切削する機械であり、主軸台、往復台、心押台、機械送り及びねじ切り機構、ベッド及び脚の五つの主要部分からなっている
工作物を支持し回転を与える主軸とこれを支える軸受及びモータから動力を使えるベルトやギヤボックス並びにこれらを格納するフレームからなる。
往復台はバイトに送りや位置決めを行う部分でサドル 横送り台 旋回台 上部送り台 刃物台 エプロンからなる。
心押台は長い工作物を削る時にセンターを取り付け工作物を支えたり、穴開けやリーマ仕上げするときにこれらを取り付けて案内したり、ベットの任意の位置に固定出来る。
主軸を原動軸として往復台や横送り台に正確な運動を与える親ネジ 送り軸 によって伝えられる。
旋盤の由来は明らかで無いが、紀元前8世紀のエトルリア文明の遺跡から旋盤で加工されたと思われる木のボウルが発見されており、地中海周辺のどこかで誕生したとみられている。
旋盤そのものの記録は紀元前3世紀のエジプトの壁画に残されており、それによれば回転軸は垂直で、軸に繋いだ紐を助手が交互に引いて回転させ、加工者は手でノミを当てていた。現代的な目線で見れば、「物を削るために力強く回せるようにしたろくろ」という所だろうか。(日本でもお椀の木地などを加工する木工旋盤(木挽き轆轤)として、近代まで似たような物が使われていた)
13世紀には回転軸が水平になり、弾力のある竿に結びつけた紐をペダルで引いて回転させる竿旋盤(pole lathe)が作られ、一人でも作業が可能になった。
ルネサンスの頃には主に時計産業の発達と共に改良が進み、クランクによる回転機構や初歩的なネジ切り旋盤などが誕生した。その他にも様々な改良案が生まれ、例えばかのレオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチには歯車の交換機構を備えたネジ切り旋盤が描かれている。とはいえ、前近代の発明の常で、これらのアイディアは実際は作られなかったり作られたり忘れられたりと一進一退の道を歩んでいたようだ。
余談だが、近世ヨーロッパでは上流階級の男性の趣味として、旋盤で様々な物を削るのが流行した事がある。特にローズエンジン旋盤(Rose engine lathe)と呼ばれる、複雑なカム仕掛けで幾何学紋様を彫ることのできる装飾用旋盤が珍重されていた。
かくして様々な人間が様々な改良を行った末、19世紀初頭、イギリスのヘンリー・モーズリー(Henry Maudslay)が作り上げ、普及させたものが近代的な旋盤の祖とされている。彼の作った旋盤は金属製のフレーム・高精度の親ネジ・刃物送り台・歯車の交換機構などを備え、高精度かつ高速な加工を可能にした。特に、これによってボルトとナットの規格化が可能になったことは産業革命において多大な影響を与えた。
掲示板
22 ななしのよっしん
2020/09/19(土) 12:40:33 ID: O7dVmSkeR9
木材加工用の旋盤ならAmazonでも手頃な価格で売ってるんだよね。
23 ななしのよっしん
2021/07/05(月) 20:26:31 ID: 63P0ZEH7yL
切削加工に関する古いモノクロの教育ビデオがアップされていたけど消されたのかな
最初に穴あけ加工の説明があって工具鋼→超硬合金と素材の説明が入るやつ
24 ななしのよっしん
2021/08/28(土) 16:08:50 ID: 4DK+6WvKEA
高校の実習で初めて旋盤を見た時
「この一台でこんなに色々なことが出来るのか」
と感嘆したのを覚えている
急上昇ワード改
最終更新:2023/06/09(金) 06:00
最終更新:2023/06/09(金) 06:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。