旗(MotoGP) 単語

ハタモトジーピー

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旗(MotoGP)とは、走行中のライダーに向けてコースサイドで振られるものである。


特定のライダーに向けて振られる旗

青旗exit

周回遅れのライダーに対して振られる。「後ろからやってくる1周速いライダーの走行を邪魔するな」
という意味。これを振られたライダーコースに寄るなどして進路を譲らなければならない。

ライダーは後ろにが付いているわけではないので、旗を振って状況を知らせる必要がある
 

オレンジボール(黒地にオレンジ色の玉)exit

マシンが故障しているライダーに対して掲げられる。「マシンが壊れているのでピットに戻れ」の意味。

ライダーのゼッケンを示すボードと同時に静止して掲示されることが多い。

意外にもライダーマシンの故障に気が付かないものなので、こういう旗が必要となる
 

黒旗exit

失格処分を受けたライダーに対して掲げられる。

ライダーのゼッケンを示すボードと同時に静止して掲示されることが多い。

2013年オーストラリアGPにてマルク・マルケス営がルールを間違って解釈してしまい、
失格処分を受けた。そのときの動画がこちらexit
 

チェッカーフラッグexit

練習走行や予選が終了する時刻の後にチェッカーラインを過ぎていくライダーに向けて振られる。

決勝でレース周回数を走り終えてチェッカーラインを過ぎていくライダーに向けて振られる。

レースの終わりを告げる旗
 

全てのライダーに向けて振られる旗

レッドストライプ(黄色い地に赤い縦縞)exit

カタルーニャ州旗exitとよく似ている。レッドトライプはタテ縞、カタルーニャ州旗はヨコ縞。


コース上に異変が生じていることを示す。


4輪レースでは路面にオイルがばらまかれてもこの旗を振ってレース続行となる。それゆえ4輪の世界では
この旗をオイルフラッグと呼ぶ。4輪の世界の呼び方をMotoGPに持ち込む人も多く、
MotoGP関係者でレッドトライプをオイルフラッグと呼ぶ人は多い。


が降って路面が濡れたときはレッドクロスと一緒に振られるexit


ライダーがグラベル)で転倒して、コース上に小石が散乱したときにも振られる。
2018年スペインGPで、トーマス・ルティが12コーナーで転倒、小石がコース上にばらまかれたexit
そのとき、レッドトライプが振られている。
小石が散乱するコースっ先に飛び込んで行ったのは先頭を走るマルク・マルケスだった。
マルクは滑りながらも持ち前のマシンコントロールで転倒を回避している。

バイクが小石を踏んで中に飛ばすことがあり、その飛んだ石を後続が浴びることがある。
2018年イタリアGP・moto3クラスの決勝中、ホルヘ・マルティンのスクリーンに飛び石が当たり、
スクリーンが割れてしまったexit。時速150km走行中なら石の速度も時速150kmとなり、危ない。

2011年ニュルブルクリンクで行われたスーパーバイクレース中に、小石が路面にばらまかれた。
小石が飛んで走行中のマックス・ビアッジの足にあたり、ビアッジは骨折し、数レースを欠場した。


サーキット広大な敷地が必要なため土地代の安い田舎にあることが多く、様々な動物が出現する。
動物コース上に出てきたらレッドトライプの出番となる。


ここで余談ながら、サーキットに出現したことがある小動物を列記しておきたい。

かつて鈴鹿サーキット最終コーナー付近には山田池という池があり、そこからが這い出てきた。
バンクセンサーライダーが膝小僧に付ける突起)が転がっているのかな?」と思ったらだった、
という体験談が多く聞かれた。

2018年moto3クラスの決勝中、ホルヘ・マルティンのの前を野ウサギが横切っていったexit

1998年マレーシアGPはジョホールサーキットexitで開催された。
250ccクラスのレース中にコブラが出現exitライダーに轢かれた。

シャーアラムサーキットexitはかつて日本メーカーにとって場に使用できる絶好のテストコースだった。
このため日本人ライダーはしばしばここに連れて行かれ、マシンにまたがっていた。
首都クアラルンプールから15km程度と近い場所にあるが、動物が出てくる。

辻本聡さんや青木拓磨さんは2メートル近いトカゲ撃したとっている。

原田哲也さんや青木拓磨さんは最終コーナー付近で孔雀が羽を広げて威嚇してきたとっている。

1999年チェコGPの練習素行中、2コーナーを立ち上がってから3コーナーへ向かう東雄の前に、
いきなり鹿が出現した。コース外側の森exitからさまよい出てきたと思われる。
鹿は即死し、東は全身打撲の重傷を負ったexit。すぐに東はメディカルセンターへ運ばれ、治療を受けた。
このときトーチュウの遠藤智さんが心配してやってきたが、骨折とか意識混濁とか、そこまでの深刻な
事態でないことに安心した遠藤さんは場を和ませるため「鹿なら仕方ないな」「よく叱っておく!」と
しょうもない親父ギャグを連発していて、それを東は苦しみながら聞かされることになった。
 

レッドクロス(白地に赤い×)exit

その付近でが降り始めたことを示す。

この旗はライダーにとってトラウマもので、「レッドクロスを見るだけで不安がよぎる」と
正直にる二輪レーサーが多い。

サーキット広大なので、あっちで晴れているがこっちでが降っている、ということも多い。
レッドクロスが同時に全ての場所で振られるとは限らない

ちなみにイギリス国旗のユニオンジャックexitの一要素である聖パトリック旗exit地にい×である。
 

黄旗exit

この旗が振られている場所では追い越し禁止となる。

黄色い旗を無視してパッシングを行うと、「ポジションを1つ下げろ」といったペナルティが出る。
あるいは、「タイムを10加算」といった具合のタイム加算ペナルティが課せられることもある。


転倒者が出るとコースサイドに待機しているコースマーシャル医師が飛び出し、マシンの片付けや
ライダーの救護を行う。こうした作業員の安全を確保するため旗を振って追い越し禁止にする。
パッシングというのはやはりどうしても転倒のリスクが増える危険な行動だからである。

転倒が発生してコースマーシャルライダーを救護しているところにもう一度転倒が発生、
コースマーシャルライダーが危ないに遭ったのは2013年のイギリスGPのこのシーンexitである。
このときのマルク・マルケス旗を無視して危険走行をしたのでペナルティポイントを課せられたexit


黄色い旗(日本人ライダーイエローフラッグと呼ぶことが多い)が振られると、
どうしてもそのコーナーを思い切って攻めることができなくなる。
予選でタイムアタックをしている最中に、転倒者が出て黄色い旗が振られるコーナーに出くわすと、
どうしてもライダーとしては攻められず、その周のタイムが伸びなくなってしまう。

ヴァレンティーノ・ロッシファン黄色い旗を観客席でぶんぶん振り回している。
これを見たライダー運営の提示する旗と勘違いして攻めることができなくなってしまうことがある。
レース後の談話で「黄色い旗なので勘違いした」とコメントすることになる。


黄色い旗は転倒者が出た間に振られる旗なので、これを見たら「転倒が発生した」と即断して良い。
この動画exitを見ても、転倒が発生したら即座に黄色い旗が振られていることがわかる。
 

緑旗exit

旗が振られている場所を過ぎた場所で振られる旗。
「この場所ではコースマーシャルコースのグラベル)で作業していない」ということを示す。
つまり、追い越しして良い、攻めるライディングをして良い、という意味になる。


また、練習走行や予選の開始を告げる旗でもある。この動画exitでは、旗で「さあ行け」と示している。

この動画exitこの動画exitでは、練習走行が始まる前まで旗を振り、時刻になったら旗を振っている。
 

白旗exit

MotoGPの最大排気量クラスのみ使用される。この旗が振られているときは、ピットに戻って
マシン乗り換えても良い、という意味。

スタート時に路面がいているとドライレース宣言が行われる。そのため各ライダードライ路面用の
マシンにまたがってレーススタートする。

レースの最中にパラパラが降り出すと、レッドクロスとレッドストライプが同時に振られるexit

さらにが酷くなるとレッドクロスレッドトライプに加えて、旗が振られる。
ライダーピットインして、ウェット路面用に整備されたマシン乗り換えて、レースを続ける。

レースの最中にが降り出すとマシンを交換してレースを続けるのは最大排気量クラスのみである。
最大排気量クラスの各チームマシンを2台用意するように義務づけられている。

この「が降ったらマシン乗り換え」の規則が最大排気量クラスに導入されたのは2005年からであるexit
 

赤旗exit

レースの中断を示す旗。旗が振られたら、全ライダーは減速してゆっくり走行し、ピットインする。

多重クラッシュが起こってコース上に多くのマシンが散乱した場合に振られることが多い。
そのため旗中断を示すRED FLAGの字がテレビ画面上に出ると、緊迫した雰囲気が漂う。

2輪は不安定な乗り物なので、路面にオイルがばらまかれたらこのように転倒が続出するexit
ゆえに路面にオイルが撒かれたら、即座に旗が振られ、コースマーシャル総員出動で掃除する。

2015年アメリカズGPではコースに犬が乱入してきたexit。このときは赤旗が振られたexit
カエル程度の小さいものならレッドトライプで済ませるのだが、ともなると結構大きく、
それが縦横尽に走り回るのでレッドトライプでは不十分であり、旗が振られた。


moto2クラスmoto3クラスではドライレース宣言後にが降ると旗が振られる。

moto2クラスmoto3クラスの各チームは予算が少なめで、マシンを2台用意することができない。
このため、ドライレース宣言でレースが始まった後にが降ると旗中断となる。
ライダーピットに戻り、待機する。その後、周回数を一杯減らしてレースをやり直す。
過去にはやり直しのレースの周回数が5周だけになったこともある。


最大排気量クラスでも2004年以前は「が降ったら旗中断、周回数を減らしてやり直し」だった。
周回数が減って行としての魅が乏しくなってしまうのが運営にとって悩みの種だった。
最大排気量クラスの各チームは予算に余裕があるチームが多いため、マシンを2台用意することができる。
このため先述のように2005年から「が降ったら旗振ってマシン乗り換え」のルールとなった。
 

赤旗中断でレースが成立する周回数(moto2、moto3)

周回数29周のmoto2クラスmoto3クラスレースがあるとする。
このレース旗中断になってもレース成立するのはどの時点だろうか。


moto2クラスmoto3クラスにおいては、先頭のライダーRed Flag Finishを消化した直後に
旗を振ると、レース成立となる。

moto2moto3Red Flag Finishは、レース周回数の3分の2(約66%)を基準にして決められる。
29周の3分の2は19.33周だが、MotoGPでは小数点以下を切り捨てて19周とすることになっている。

先頭のライダーが19周を消化して20周に入った間、テレビで「10 laps to go」と表示された間、
このとき旗を振ってしまうとレース成立となる。


moto2moto3が降りそうになったら、以下の表を見るとレース成立を確認できる。

周回数 レース成立が可となる
29周 先頭ライダーが19周消化して 10 laps to goになった
28周 先頭ライダーが18周消化して 10 laps to goになった
27周 先頭ライダーが18周消化して 9 laps to goになった
26周 先頭ライダーが17周消化して 9 laps to goになった
25周 先頭ライダーが16周消化して 9 laps to goになった
24周 先頭ライダーが16周消化して 8 laps to goになった
23周 先頭ライダーが15周消化して 8 laps to goになった
22周 先頭ライダーが14周消化して 8 laps to goになった
21周 先頭ライダーが14周消化して 7 laps to goになった
20周 先頭ライダーが13周消化して 7 laps to goになった
19周 先頭ライダーが12周消化して 7 laps to goになった
18周 先頭ライダーが12周消化して 6 laps to goになった
17周 先頭ライダーが11周消化して 6 laps to goになった
16周 先頭ライダーが10周消化して 6 laps to goになった
15周 先頭ライダーが10周消化して 5 laps to goになった
14周 先頭ライダーが9周消化して 5 laps to goになった
13周 先頭ライダーが8周消化して 5 laps to goになった
12周 先頭ライダーが8周消化して 4 laps to goになった
11周 先頭ライダーが7周消化して 4 laps to goになった
10周 先頭ライダーが6周消化して 4 laps to goになった


ただ、上の表の通りに旗を振ってしまうと、2位以下のライダーレース周回数に達していないので
ノーポイントになる。これはあまりにも可哀想というか不である。

現実には、15番手ライダーレース周回数の3分の2を消化した直後に旗を振ってレース成立としたい

先頭のライダーレース周回数の3分の2を消化してさらにもう半周から1周ほど走った後に旗を振ると、
15番手ライダーレース周回数の3分の2を消化している可性が高く、八方丸く収まる。

赤旗中断でレースが成立する周回数(最大排気量クラス)

周回数31周の最大排気量クラスMotoGPクラス)のレースがあるとする。
このレース旗中断になってもレース成立するのはどの時点だろうか。

最大排気量クラスではちょっとが降ったぐらいでは旗中断にならず、旗を振ってレース続行する。
ところが脚が強まって土砂降りになると、「いくらレインタイヤマシンでも危険すぎる」となり
旗中断となる。
2016年オランダGPは土砂降りの雨が降りexit、最大排気量クラスの決勝が旗中断となった。


最大排気量クラスにおいても、先頭のライダーRed Flag Finishを消化した直後に
旗を振ると、レース成立となる。

最大排気量クラスRed Flag Finishは、レース周回数の4分の3(75)を基準にして決められる。

31周の4分の3は23.25周だが、MotoGPでは小数点以下を切り捨てて23周とすることになっている。

先頭のライダーが23周を消化して24周に入った間、テレビで「8 laps to go」と表示された間、
このとき旗を振るとレース成立となる。


最大排気量クラス土砂降りが降りそうになったら、以下の表を見るとレース成立を確認できる。

周回数 レース成立が可となる
31周 先頭ライダーが23周消化して 8 laps to goになった
30周 先頭ライダーが22周消化して 8 laps to goになった
29周 先頭ライダーが21周消化して 8 laps to goになった
28周 先頭ライダーが21周消化して 7 laps to goになった
27周 先頭ライダーが20周消化して 7 laps to goになった
26周 先頭ライダーが19周消化して 7 laps to goになった
25周 先頭ライダーが18周消化して 7 laps to goになった
24周 先頭ライダーが18周消化して 6 laps to goになった
23周 先頭ライダーが17周消化して 6 laps to goになった
22周 先頭ライダーが16周消化して 6 laps to goになった
21周 先頭ライダーが15周消化して 6 laps to goになった
20周 先頭ライダーが15周消化して 5 laps to goになった
19周 先頭ライダーが14周消化して 5 laps to goになった
18周 先頭ライダーが13周消化して 5 laps to goになった
17周 先頭ライダーが12周消化して 5 laps to goになった
16周 先頭ライダーが12周消化して 4 laps to goになった
15周 先頭ライダーが11周消化して 4 laps to goになった
14周 先頭ライダーが10周消化して 4 laps to goになった
13周 先頭ライダーが9周消化して 4 laps to goになった
12周 先頭ライダーが9周消化して 3 laps to goになった
11周 先頭ライダーが8周消化して 3 laps to goになった
10周 先頭ライダーが7周消化して 3 laps to goになった

MotoGP公式サイトの資料

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