日韓基本条約単語

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日韓基本条約(正式名:日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約)とは、
1965年6月22日日本佐藤栄作首相)と韓国朴正煕大統領)の間で締結された条約であり、簡単に言うと
戦後補償問題は解決済みであり、韓国韓国人日本日本国民に対して賠償を要することが一切できない
ことの根拠である。
同時に複数の協約が結ばれた。

全文は外務省の資料 日韓基本条約exit を参照(PDF形式 日本語英語韓国語で記載)。

概要

この条約は日本韓国の間の交正常化、および戦前両国関係の清算や戦後補償について取り決めている。ただし戦後補償については付随協約(韓国との請権・経済協定)による。また第二次日韓協約・韓国併合条約の合法性に関する問題や竹島帰属問題は、事実上「棚上げ」された。

条約制定当時、日本韓国の間には賠償問題のみならず、前述の竹島問題など課題が山積しており、韓国内ではしい条約締結反対運動も起こった。それでも両国妥協交を回復したのは、同1965年ベトナム戦争を始めたアメリカ日韓戦争を得るべく、「資本主義営として団結社会主義に対抗する」よう両国に圧をかけたためだと言われている[要出典]。

以下にな条文を引用し、それぞれを簡単に解説する。

日韓基本条約

数字は一部算用数字めた。

二条

1910年8月22日以前に大日本帝国大韓帝国との間で締結されたすべての条約及び協定は、もはやであることが確認される。

注)1910年8月22日:韓国併合条約(韓国併合ニ関スル条約)の締結日。

韓国併合条約及びそれ以前に日韓間で結ばれた条約・協定は効であることが規定されているが、重要なのは「もはや」の3文字である。条約作成時、戦前日本朝鮮植民地支配を清算するにあたって、日本側は、

日韓併合条約とそれ以前の条約・協定は、当時は合法であったが、日韓基本条約締結以後は効になる」

とする立場をとった。一方韓国側は、

「それらの条約・協定は、当初から効・不法である

とする立場をとっていた。

結局両者の間で折り合いがつかず、韓国側がめていた、

It is confirmed that all treaties or agreements concluded between the Empire of Japan and the Empire of Korea on or before August 22, 1910 are null and void.

という英語条文の表現に、"already" の一をつけ加え

It is confirmed that all treaties or agreements (中略) are already null and void.

とし、日韓どちらの解釈にも合うよう妥協的措置がとられ、解釈は「棚上げ」された。現在においても、この問題に関する議論、特に外交権を接収した第二次日韓協約や韓国併合条約(詳細は韓国史を参照)の合法性に関する議論は収束していない。

三条

大韓民国政府は、国際連合総会決議第195号()に明らかに示されているとおりの朝鮮にある一の合法的な政府であることが確認される。

注)国際連合総会決議第195号():大韓民国朝鮮半島における一の合法政府であることを認める国連決議。上記日韓基本条約のPDFの末尾に内容が載っている。

社会主義営の一員であった北朝鮮が、合法的政府と認められていなかったことを示している。

韓国との請求権・経済協力協定

※正式名は「財産及び請権に関する問題の解決並びに経済に関する日本国大韓民国との間の協定」
※全文は外務省の資料 韓国との請求権・経済協力協定exitを参照(PDF形式 日本語韓国語で記載)。
数字は一部算用数字に、仮名は一部現代仮名遣いめた。

一条

1. 日本国は、大韓民国に対し、

  • 現在において1080億円に換算される3億合衆ドルに等しい円の価値を有する日本国の生産物及び日本人の役務を、この協定の効発生の日から10年の期間にわたって償で供与するものとする。各年における生産物及び役務の供与は、現在において108億円に換算される3000万合衆ドルに等しい円の額を限度とし、各年における供与がこの額に達しなかったときは、その残額は、次年以降の供与額に加算されるものとする。ただし、各年の供与の限度額は、両締約政府の合意により増額されることができる。
  • 現在において720億円に換算される2億合衆ドルに等しい円の額に達するまでの長期低利の貸付けで、大韓民国政府が要請し、かつ、3の規定に基づいて締結される取極に従って決定される事業の実施に必要な日本国の生産物及び日本人の役務の大韓民国による調達に充てられるものをこの協定の効発生の日から十年の期間にわたって行なうものとする。この貸付けは、日本国海外経済により行なわれるものとし、日本国政府は、同基がこの貸付けを各年において均等に行ないうるために必要とする資を確保することができるように、必要な措置を執るものとする。

前記の供与及び貸付けは、大韓民国経済の発展に役立つものでなければならない。

ここでは、日本政府韓国政府に対し事実上の賠償(厳密には「経済」であって賠償とは書かれていない。これは日本政府が「日本戦前朝鮮を合法的に領有しており、大戦においても韓国と交戦状態にあった訳ではないので、日本韓国に賠償を支払う立場にない」としているためである)として3億ドル償で支払い、2億ドルを低利融資することが定められている(当時は固定相場制で1ドル=360円)。この他にも、3億ドル以上が民間借款として韓国政府に低利融資された。

ちなみに1965年度の日本の一般会計予算は3兆7千億円、同年の韓国国家予算は3.5億ドルであり、償供与の賠償3億ドル=1080億円は、日本国家予算の1/40、韓国国家予算とほぼ同額であった。今の価値に直すとおおよそ1兆~2兆円程度であろうか。

二条

  • 両締約は、両締約及びその民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約及びその民の間の請権に関する問題が、1951年9月8日にサン・フランシスで署名された日本国との平和条約第4条(a)に規定されたものを含めて、全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
  • この条の規定は、次のもの(この協定の署名の日までにそれぞれの締約が執つた特別の措置の対となったものを除く。)にを及ぼすものではない。
    • 一方の締約民で1947年8月15日からこの協定の署名の日までの間に他方の締約に居住したことがあるものの財産、権利及び利益
    • 一方の締約及びその民の財産、権利及び利益であって1954年8月15日以後における通常の接触の過程において取得され又は他方の締約の管轄の下にはいつたもの
  • 2の規定に従うことを条件として、一方の締約及びその民の財産、権利及び利益であってこの協定の署名の日に他方の締約の管轄の下にあるものに対する措置並びに一方の締約及びその民の他方の締約及びその民に対するすべての請権であって同日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなるもすることができないものとする。

まず1.では、韓国政府民の日本に対する賠償請問題は、この協約で規定された日本政府による韓国政府への経済援助をもって全に解決されることが定められている。なお、日本政府による韓国民への直接賠償が規定されていないのは、韓国政府が自民への個別保障をするので日本政府韓国政府へ一括して賠償を支払って欲しいという、韓国政府の要請によるものである。

ついで3.では、今後韓国政府民は日本に対し一切の賠償請ができないと定められている。しかし韓国政府は後になって、日本軍従軍慰安婦への賠償や当時広島長崎で被爆した韓国人への賠償は、この規定に含まれないとするをし始めた。これに対し日本政府は、韓国に対する全ての賠償問題は同協約で解決済みだとの姿勢を貫いている。

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