時化(しけ)とは海上の天気のことで、強風などの悪天候により海上が荒れる状態を呼ぶ。
気象用語として一般的な言葉であり、沿岸部の地域に住んでいる人ならば天気予報でキャスターが説明することもあるので知っている事が多いだろう。
特に、漁師など水産業にとっては陸上の天気と並び重要な情報である。
気象学では波高によって状態が定義され、4メートル以上で時化、6メートル以上で大時化、9メートル以上で猛烈な時化となる[1]。
船舶の運航にとって重要な情報である。大規模な時化に船を出航させると転覆する恐れがあるため、運休や欠航をすることになる。
島嶼部と本土をつなぐ連絡船が欠航すると物資も運べなくなるため、時化が続く時期にはお店が在庫を切らしてしまうという事態もある。
漁船も同様、船が出せない日が何日も続けば不作になり、魚市場へのダメージにつながってしまう。
あくまでも海上の状態を指す言葉であり、単に海が時化ているだけなら、沿岸部に警報や避難の注意情報が発令されることは基本的にない[2]。
ただし湾内への波浪の侵入を止める防波堤や、海に突き出した岬や高台は危険である。磯釣りのチャンスなどと足を踏み入れる釣り客がいたりするが、自殺行為なので時化の海べりには行かないこと。
また、海上警報として洋上に注意情報が発令される。自前のクルーザーなどを所有している船舶免許持ちのユーザー諸君は、船を出すときにはこれらの情報をきちんと把握し、海が安全なときの出航を心がけること。
ギネス記録“世界一幅の広い海峡”で知られるドレーク海峡が通年時化に見舞われる場所として有名。一年を通し温帯低気圧が走り、止まない嵐によりとんでもない程に猛烈な時化が続く航海の難所である。
この海峡がある南緯60度は、地図をご覧になればわかるとおり、地球をぐるっと回っても陸地がまったく存在しない。空には偏西風が、海には物凄い量の海水が南半球を一周する南極環流が、遮られることもなく走り続るのである。
悪天候の要素が揃ったこのエリアは“絶叫する60度”の通称を持ち、南極に到達する前の最後の難関として恐れられている。
日本においては、夏や秋に発生する台風が海上に時化をもたらす他、冬の日本海が大荒れの場所として有名である。
冬期はシベリア側からの季節風が、日本海からの湿気を大量に含みながら列島へやってくる[3]。海上で発生した雲と、大陸からの強い風が天候を荒らし、海上に大きな時化をもたらすのである。
この荒れた天候がカニをはじめとした冬の味覚を生み出す一方、海上が穏やかな日は夏よりも少なくなり、島嶼部への定期連絡船の欠航便が増える原因となる。冬にこれらの島に旅行するときは、陸上だけでなく海の天気もきちんと調べておこう。
先述したように、時化が起こると不漁の原因となるため、魚が捕れないことも「しける」と呼ぶようになった。
さらに転じて、金回りが悪くなることや、気分が落ち込むことも指す言葉となった。
よく「シケた顔してるなあ」なんて言うときのシケたとは、この時化のことなのである。
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最終更新:2025/01/20(月) 09:00
最終更新:2025/01/20(月) 08:00
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