本格ミステリ大賞とは、本格ミステリ作家クラブが主催する文学賞。
最新の受賞作(2024年、第24回)は、青崎有吾『地雷グリコ』(小説部門)と川出正樹『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』(評論・研究部門)。
2000年に本格ミステリ作家クラブが発足したのに伴い、本格ミステリというジャンルの振興のため、年間の最優秀作品作品を表彰するものとして2001年から始まった賞。既成作品へ贈られる文学賞では、本格ミステリにジャンルを限定した唯一の賞である。小説部門と評論・研究部門がある。
対象期間は(各種ミステリランキング年度とは異なり)毎年1月~12月。候補作は毎年2月に発表され、5月に公開開票が行われる。開票式には抽選で選ばれた一般読者も参加可能(現在は新型コロナウイルスの影響で一般公開はされていないが)。
最大の特色は、日本の文学賞では一般的な選考委員による合議制ではなく、本格ミステリ作家クラブの会員による投票で選ばれる賞だということ。予選委員が会員アンケートと各自の推薦作から絞り込んだ、各部門最大5作の候補作を対象に投票が行われる。1位が同票数になった場合は2作品なら同時受賞、3作品以上なら決選投票になる。
投票制の文学賞は他に星雲賞や本屋大賞などがあるが、この賞は投票に候補全作品を読んで選評をつけることが義務づけられており、全ての選評が雑誌に掲載される。選評の掲載誌は第20回までが「ジャーロ」(光文社)、第21回からが「紙魚の手帖」(東京創元社)。途中までは本格ミステリ作家クラブのサイトにも掲載されていたが、サイトリニューアルで無くなってしまった。
星雲賞や本屋大賞と同様に複数回の受賞を認めているのも特徴で、
の4人が複数回受賞を達成している。
小説部門の候補入り回数の最多は芦辺拓の6回、次いで柄刀一の5回。共著・編著を含めた両部門での候補入り回数の最多は有栖川有栖の8回(小説部門3回、評論・研究部門5回)、次いで法月綸太郎の7回(小説部門4回、評論・研究部門3回)。小説部門でのデビュー作での受賞は、第18回の今村昌弘(『屍人荘の殺人』)と第19回の伊吹亜門(『刀と傘』)が達成している。
また、少なくとも評論・研究部門では同人誌も対象になる。プロの評論家の出した同人誌のみならず、第16回では商業出版の他候補作を押しのけて、アマチュアである浅木原忍(Rhythm Five)の同人誌『ミステリ読者のための連城三紀彦全作品ガイド 増補改訂版』が受賞した。
一方、「会員が全作品を読んで投票する」というルール上、候補になった時点で版元に在庫がなく入手が困難な作品はどうするのか、という問題がある。第21回では限定500部の真田啓介『古典探偵小説の愉しみ(全2巻)』が一度は評論・研究部門の候補作として発表されながら、その後版元在庫切れのため候補から外されるという事態になり、一部で物議を醸した(同書は後に日本推理作家協会賞を受賞)。
例年票数が伯仲する傾向にあり、第3回では1票の取り違えで一時は乙一『GOTH リストカット事件』の単独受賞と発表されたが、後に笠井潔『オイディプス症候群』と同時受賞と訂正されるという出来事があった。第10回は受賞2作(前述の歌野と、三津田信三『水魑の如き沈むもの』)が16票、次点(綾辻行人『Another』)が15票という大接戦であった。
投票とは別枠で、本格ミステリに多大な功績のあった人物が「特別賞」として表彰されることもある。受賞者は鮎川哲也(第1回)、宇山日出臣・戸川安宣(第4回)、島崎博(第8回)の4人。
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最終更新:2024/10/09(水) 05:00
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