村上(吉田経由)とは (ムラカミカッコヨシダケイユとは) [単語記事]

村上(吉田経由)とは、かつて國鐵新潟JR東日本新潟支社で運用されていた電車の行先表示幕、またはその表示で運行されていた列車そのものを指す。

概要

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柏崎駅から越後線を通り吉田駅を経由し、新潟駅から白新線に、新発田駅から羽越本線に乗り入れ、村上駅で終点となる直通列車。これが下り列車の場合であり、上り列車の場合は同じルートを逆に走り「柏崎(吉田経由)」となる。
なぜ“(吉田経由)”と付記しているのかと言うと、柏崎から村上へ行くとなると信越本線の新津駅を経由するなどルートが何通りかあるのと、新津へ向かう信越本線よりも列車本数が少ない越後線を通ることを明示することで、利用客に分かりやすくするため。

全区間で運行距離が約150kmあり、各駅停車なので運行時分は4時間程度かかっていた。

新潟支社管内の路線で115系やE127系が運用されていた頃、当該車両のアナログ表示幕にこの「村上(吉田経由)」なる幕が存在したが、いつしかこの直通列車は廃止され、また両形式とも越後線での運用を終了。それと前後して115系は廃車解体されたが、廃車発生品である「村上(吉田経由)」の表示幕はコアな鉄道ファンによって一部が買われたようである。また鉄道博物館にも展示されているらしい。

そして・・・。

まさかの活用法

新潟の115系の相次ぐ廃車と同時期に、プロ野球・東京ヤクルトスワローズ所属の村上宗隆選手が活躍し始めた。

そこで、鉄道ファン兼スワローズファン達は、村上選手の苗字に因んで村上行き表示幕を応援幕として掲げ、それがテレビ等の映像中継で抜かれるシーンが散見された。
その中で「村上(吉田経由)」の幕も使われていたのである。
「吉田」は何も関係ないじゃないか、と思うかもしれないが、実はヤクルトには吉田姓の選手（吉田大喜）も在籍しており、全く関係ない訳ではない。

第5回WBCで

村上は2022年に首位打者・本塁打王・打点王の打者三冠を達成。その功績を評価され、2023年 3月に行われる第5回ワールドベースボールクラシック（以下、WBC）の野球日本代表（侍ジャパン）のメンバーとして招集された。また、オリックス・バファローズからMLB球団に移籍した吉田正尚も選ばれた。こうなれば、打線の繋ぎ的な意味での「村上(吉田経由)」となることが期待され、WBCの応援でも当該の表示幕を使用するファンも現れた。また、同チームには佐々木朗希（白新線・佐々木駅）、漢字は違うが牧秀悟（越後線・巻駅）も居た（どちらも上述の列車の停車駅）。

しかし、村上は準々決勝までの5試合で打率2割台前半と不振。当初4番村上・5番吉田だった打順も、4番吉田・5番村上に変えられたが、それでも村上はなかなか打てなかった。
準決勝となるメキシコ戦も第4打席まで無安打、しかも3打席目までは全て三振であり、「なぜスタメンで使い続けるのか」という疑問を持ったファンが多かったであろう。一方で、2006年の第1回大会における福留孝介（生き返れ福留）、2009年の第2回大会におけるイチロー（ほぼイキかけました）がそうであったように、不振に喘いでいても大事な場面での起死回生の一撃があることを期待される節もあった。
その期待に応え、9回裏1点ビハインドの無死一・二塁、一塁走者が生還すれば逆転サヨナラ勝ちという場面で打順が回ってきた村上は中堅手方向のやや左寄りに二塁打を放ち、走者2人を生還させてサヨナラ勝ちを決めた。先ほど打順の説明をした通り、村上の前に出塁したのが吉田であり、（実際にサヨナラ勝ちとなる得点をしたのは代走として送られた周東佑京であるとはいえ）「村上(吉田経由)」を体現してみせた。