『東方Project』(とうほうプロジェクト)とは、ZUN(通称「神主」)が運営する個人サークル「上海アリス幻樂団」制作の弾幕シューティングゲームを中心とする作品群の総称。
単に『東方』と呼ばれることも多い(ニコニコ動画のタグなど)。ニコニコ動画三大ジャンル(御三家)のひとつ。
ニコニコ動画における、いわゆる「弾幕系シューティングゲーム」の代名詞。
1995年から制作が始まり、1996年にリリースされた第1作から続く事実上の「シリーズ」作品だが、他のシリーズ化しているゲームのように『東方シリーズ』などと呼ばれることはあまりない。これは製作者であるZUNの意向によるもので、作品ごとにキャラクターの性格や絵柄、設定が必ずしも連続しておらず、シリーズではないと述べている。
制作はプログラムからグラフィック、BGMに至るまで上海アリス幻樂団(つまりZUNひとり)がほぼ単独で行っている。特にBGMに対する評価は高く、ファンによる各種アレンジが多数制作されている。(「東方アレンジ」参照)
日本をモチーフにした架空の世界「幻想郷」を舞台とする独特の世界観や、一風変わった性格・設定のキャラクター、裏設定の重厚さなどから、ストーリー部分やキャラクターへの人気も高く、二次創作(小説や漫画など)も多い。
2005年の『東方花映塚』で制作10周年、2015年の『東方紺珠伝』を以て制作20周年を迎えた。
現時点(2023年)での最新作は2023年8月のコミックマーケット102で頒布され、steamでも配信が始まった『東方獣王園』である。
『東方Project』はニコニコ動画においても安定した人気を誇っており、毎日多数の二次創作動画などがアップロードされ、VOCALOID、アイドルマスターと並びニコニコ動画三大ジャンル(御三家)の一角を占めている。また、ニコニコ静画は「東方Projectポータル」というポータルサイトを運営していた。
STGとしての大きな特徴として「スペルカードシステム」を用いたボス戦が挙げられる。詳細は当該の項目を参照のこと。
本作品群は同人作品として発表されている為に、一般的なPCゲームと違い購入方法がやや特殊である。詳細は下記「作品の購入について」を参照。
『東方Project』は海外でも人気があり、有志による英語化パッチやまとめWikiなどが存在している。特に海外のまとめWikiはソースが日本語しかないにも関わらず非常に多くの情報量を誇っており、本作品群が海外でも人気であることを示す好例といえるだろう。
2011年4月18日に『東方Project』は「最もシリーズ作品数が多い同人シューティングゲーム作品」“Most prolific fan-made shooter series”としてギネス世界記録に認定された。しかし、この記録はZUN以外の第三者が無断で申請したものであり、また記録自体にも黄昏フロンティアと共作した3作品が含まれていたり、『東方Project』そのものが二次創作と表記されていたりするなど誤りも多く、認定そのものを疑問視する声もあった。その後、時期は不明だが何故か認定は取り消されたようで、ギネス世界記録のウェブサイト上からも何故か記録が抹消された。
ZUNが大学時代、サークル「Amusement Makers」に所属し、「ZUN Soft」を名乗っていた頃に開発した作品。Windows版(後述)と区別して俗に『旧作』、『東方旧作』、『PC-98版』などと呼ばれる。
第1作は変則ブロック崩し、第3作は対戦型STGで、第2・第4・第5作がオーソドックスな弾幕STG。設定・システムはWindows版のそれの原型となっており、設定の相違点や一部のキャラクターは今でも二次創作等で使われることがある。
PC-98プラットフォーム上で動作するが、当時既にPC-98自体が終末期に差し掛かっていた頃であったため、知名度もそれほど高くなかったが、東方幻想郷が月刊誌『ゲームラボ』で紹介されていたりと当時から評価されていた。
No. | 作品名 | 頒布年月日 |
---|---|---|
1 | 東方靈異伝 〜 Highly Responsive to Prayers | 1996/11/03 (または4) |
2 | 東方封魔録 〜 the Story of Eastern Wonderland | 1997/08/15 |
3 | 東方夢時空 〜 Phantasmagoria of Dim.Dream | 1997/12/29 |
4 | 東方幻想郷 〜 Lotus Land Story | 1998/08/14 |
5 | 東方怪綺談 〜 Mystic Square | 1998/12/30 |
第5弾の発売以降、活動を休止していたZUNが個人サークル「上海アリス幻樂団」として活動を再開して以降の作品。動作プラットフォームがMicrosoft Windowsに変更になったことから、それまでの作品と区別して「Windows版」と呼ばれる。
ナンバーに小数点がついているものは外伝的作品という位置づけであり、整数ナンバーの作品のストーリーの流れとは直接絡まない。そのうち第7.5作、第10.5作、第12.3作、第13.5作、第14.5作、第15.5作、第17.5作は設定とテキスト・新規キャラクター用BGMを上海アリス幻樂団が提供し、黄昏フロンティアがゲームプログラムとその他のBGMを担当するという形で共同制作された作品である。
システムやクオリティが正統的進化を遂げたとされ、また東方がよりメジャー化した時期でもある第6・第7・第8作を指して俗に「Windows版3部作(Win3部作)」と呼ぶことがある。第9作は東方の10周年記念として制作された作品であり、第3作のシステムを継承している。
2006年はゲーム作品が発表されず、翌2007年に発売された第10作がゲームエンジンの改良や自機キャラのリセットなどを伴う大幅な変化を含んだ作品であったため、第10作以降を事実上の新シリーズとして区別する人もいる。
さらに、第10・第11・第12作は異変全てに守矢神社が何かしら関わっていること、さらに作品名が守矢神社の3人と関わりがある(風=神奈子、地=諏訪子、星=早苗)ことから、これらを指して「守矢3部作」と呼ぶこともある。
なお整数ナンバーの作品については、タイトル画面には霊夢が、実行ファイル(EXEファイル)のアイコンには魔理沙が登場するのが慣例となっている。
頒布、販売された作品のうちZUN本人が関わった作品。形式上は、『東方紫香花』のみ同人誌、他の作品は商業誌として流通している。『東方外來韋編』は東方初の公式雑誌(形式上はムック)である。
『東方智霊奇伝』はWeb連載作品である。
作品名 | 頒布年月日 (連載開始年月日) |
---|---|
東方香霖堂 〜 Curiosities of Lotus Asia. | 2004/01/05 2015/09/30 |
東方三月精 〜 Eastern and Little Nature Deity. 東方三月精 〜 Strange and Bright Nature Deity. 東方三月精 〜 Oriental Sacred Place. 東方三月精 〜 Visionary Fairies in Shrine. |
2005/03/26 2006/05/26 2009/05/26 2016/01/26 |
東方文花帖 〜 Bohemian Archive in Japanese Red. | 2005/08/11 |
東方紫香花 〜 Seasonal Dream Vision. | 2005/10/11 |
東方求聞史紀 〜 Perfect Memento in Strict Sense. | 2006/12/27 |
東方儚月抄 〜 Silent Sinner in Blue. 東方儚月抄 〜 Cage in Lunatic Runagate. 東方儚月抄 〜 月のイナバと地上の因幡 |
2007/06/08 2007/06/25 2007/06/22 |
The Grimoire of Marisa | 2009/07/28 |
東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit. | 2010/07/24 |
東方求聞口授 〜 Symposium of Post-mysticism. | 2012/04/27 |
東方鈴奈庵 〜 Forbidden Scrollery. | 2012/10/26 |
東方外來韋編 Strange Creators of Outer World. | 2015/09/30 |
東方文果真報 Alternative Facts in Eastern Utopia. | 2017/03/30 |
The Grimoire of Usami 秘封倶楽部異界撮影記録 | 2019/04/27 |
東方智霊奇伝 反則探偵さとり | 2019/10/28 |
東方酔蝶華 ~ ロータスイーター達の酔醒 | 2019/11/26 |
東方Project人妖名鑑 宵闇編 | 2020/03/27 |
東方Project人妖名鑑 常世編 | 2020/10/26 |
それぞれ別項を参照のこと。
それぞれ別項を参照のこと。
『東方Project』の作品の名称は基本的に『東方○○○ 〜 (英語の副題)』という形式になっている。ゲーム版については「○○○」の部分に最終ステージ(主にステージ6)のボスの名前が1文字以上入るのが基本となっている(一部例外もある)。作品によっては最終ステージの一つ前のステージのボスの名前も併せて入ることがある。
以下、登場キャラクター名に関連づけられていると思われる作品を列挙する。
作品名 | ボスの名前 | 備考 |
---|---|---|
旧作 | ||
靈異伝 | 博麗靈夢 | 博麗靈夢は主人公。 『靈異伝』は敵(?)キャラクターの名前はアルファベットのみで、漢字表記が存在していなかった。 |
封魔録 | 魅魔、 霧雨魔理沙 | |
夢時空 | 岡崎夢美 | |
幻想郷 | 幻月 | |
怪綺談 | 神綺 | |
Windows版 | ||
紅魔郷 | レミリア・スカーレット、フランドール・スカーレット | 「スカーレット」の訳語「紅」を使用している。 「紅」という語は作品全体にも織り込まれている。(紅魔館、紅霧異変等) 紅魔郷の副題、the Embodiment of Scarlet Devilにもある。 |
妖々夢 | 西行寺幽々子、 魂魄妖夢 | |
萃夢想 | 伊吹萃香 | |
永夜抄 | 蓬莱山輝夜、 八意永琳 | 永夜抄のテーマは、永い夜。 |
花映塚 | 四季映姫・ヤマザナドゥ、 小野塚小町 | |
文花帖 | 射命丸文 | 射命丸文は主人公である。 |
風神録 | 八坂神奈子、 東風谷早苗 | |
緋想天 | 比那名居天子 | 天子の持つ剣の名は、緋想の剣。 |
地霊殿 | 霊烏路空、 古明地さとり、古明地こいし | 作中の建造物も作品名と同じ「地霊殿」。 古明地さとりはステージ4のボスだが、この地霊殿の主人である。 |
星蓮船 | 聖白蓮、 寅丸星 | 作中の船舶の名前は「聖輦船」。 作品名と文字は異なるが、読みは同じ。 |
神霊廟 | 豊聡耳神子 | |
心綺楼 | 秦こころ | こころが催す能楽がタイトルと同じ字の「心綺楼」 |
輝針城 | 少名針妙丸 | 作中の城の名が「輝針城」。黒幕の名前は「鬼人正邪」(きじんせいじゃ)。 |
紺珠伝 | ヘカーティア・ラピスラズリ | 例外である。ヘカーティアはExtraステージボス。システムの完全無欠モードに紺珠の薬が使用される。 |
天空璋 | 摩多羅隠岐奈 | 例外である。天空璋は北斗七星を表すとされ、隠岐奈の前掛けに北斗七星が描かれている。 天空璋の副題、Hidden Star in Four Seasons(隠された) |
鬼形獣 | 驪駒早鬼 | 埴安神袿姫(けいき)の名を逆に読むと「きけい」。 |
虹龍洞 | 天弓千亦、飯綱丸龍 | 「天弓」=「虹」の別称。 |
そのほかの作品の名前についても、登場キャラクターに関連するものがいくつか存在している。
ダブルスポイラー | 「ダブルスポイラー」は英語で“double spoiler”となり、“double”は「二倍の、二重の、二枚舌の」、“spoiler”は「ぶち壊し屋、妨害する人」という意味がある。これはこの作品の主人公である射命丸文と姫海棠はたての2人を指している。 |
妖精大戦争 | (基となった)「東方三月精」の作品名は主人公の光の三妖精のそれぞれの名前が基になっており、「三」は「サン」“sun”(英語で「太陽」の意)つまりサニーミルクを、「月」はルナチャイルド(“Luna”はラテン語で月の意)を、「精」は同じ読みの「星」と置き換えてスターサファイアを指している。 |
弾幕アマノジャク | 「アマノジャク」とは主人公である鬼人正邪の種族。 |
深秘録 | 最終ステージボスである宇佐見菫子は東深見高校一年に所属しており、秘封倶楽部の初代会長でもある。 |
『東方Project』の二次創作については、ZUNがガイドラインを作成し不定期に更新している。最新のガイドラインは2020年版である。なお、以前のガイドラインも未だ有効である。
ガイドラインを同人活動に関する部分だけ要約すると、以下のようにまとめられる。詳細は上記の公式ガイドラインを必ず確認のこと。
同人活動での利用は、以下の条件を満たす限り、報告の必要はなく自由に利用できる。満たしていない二次創作の場合は、個別に上海アリス幻樂団と協議し、許可を得る必要がある。
また、いわゆるプレイ動画についてはZUNの見解によれば、(一部例外が設けられているものの)基本的にNGである。ゲーム実況についても同じであるが、これに対してのZUNの考えは書籍「The Grimoire of Marisa」の後書きで触れられている。
しかし、以前からニコニコ動画にはこのガイドラインを満たしていない動画(楽曲やプレイ動画を利用した動画等)が多数アップロードされており、このガイドラインが完全に守られているとは言いがたい状況である。ただ、現在までに上海アリス幻樂団がこれらの動画を削除した例はほとんど無く、事実上黙認されているのが現状である。もちろん、これらの動画が将来にわたって削除されない、という保障はまったくないという点には留意しておく必要があるだろう。
2016年09月02日に行われた、ニコニコ生放送「Play,Doujin! presents 東方Project新作発表会」にて、ZUNは「東方関連タイトルの実況プレイ配信」や「東方関連タイトルの実況プレイ動画でお金をもらうこと」を容認している。(ただ、これは原作の話であり、二次創作のゲームで実況動画を製作する場合は、それぞれのゲームの作者の許可が必要だとしている。)
しかし、2009年07月10日のZUNのツイート「そろそろ、ゲームのエンディング以外のプレイ動画をUPする事を公式に許可だそうかなー。もう禁止するような時代じゃなくなってきたしね」では、エンディングを動画化することは禁止されており、2016年09月02日の生放送でそれについて言及されていないことから、エンディングについては現在でも禁止であるという認識が好ましいだろう。
また、2016年11月01日には、クリエイター奨励プログラムに登録する際に必要と思われる親作品の動画がニコニコ動画上に上海アリス幻樂団から投稿された。(ニコニコ動画の仕様上、クリエイター奨励プログラムに登録をしなくても、親作品として作品のコンテンツツリーに登録することが可能)
なお、「ZUNは『東方Project』に関する著作権を放棄している」というのは全くの都市伝説。信じてはいけない。確かにZUNは二次創作に関してかなり寛容な立場を取っているが、著作権を放棄したことは一切なく、「二次創作」の範疇を逸脱した「パクリ」は違法である。
『西方Project』を開発したサークル「瞬殺サレ道?」はZUNと関係が深いことでも知られている。西方Project自体も東方Projectと対となる作品を目指すというコンセプトが存在していた。
『瞬殺サレ道?』はZUNが大学時代に所属していたサークル「Amusement Makers」を起源としていることから、『瞬殺サレ道?』は「Amusement Makers」の後輩的存在であるとされる。
ZUNは西方Project第1弾『秋霜玉』第2弾『稀翁玉』に音楽と『東方Project』のキャラクター(立ち絵)を提供している。(ちなみに、第3弾『幡紫竜』にZUNは一切関係していない)
このとき提供された『東方Project』のキャラクターは、『秋霜玉』では博麗霊夢(名前が旧作の「靈夢」表記から、Windows版の「霊夢」表記になった初めての作品)と霧雨魔理沙(姿が旧作の「紫色」から、Windows版の「白黒」になった初めての作品)、「稀翁玉」では幽香(「風見」姓は付いていない。「風見」姓が付いたのは「東方花映塚」以降)である。
それとは逆に、初のWindows版『東方Project』となる第6弾『東方紅魔郷』の開発に際しては、『西方Project』の開発メンバーぽんちがpbgという名でゲーム開発環境の準備に協力していたことが知られている。(『西方Project』は第1作からWindowsプラットフォームで開発されている)
ちなみに、『瞬殺サレ道?』は『西方Project』以外にも『南方Project』や『北方Project』という作品も構想していたらしいが、こちらは技術的・ネタ的問題などから開発には至っていない。
Project Blankを開発したサークル「RebRank」も「瞬殺サレ道?」と同じく「Amusement Makers」を起源としている。
「RebRank」に関して直接ZUNが関わったことはないが、同サークルの弾幕STG『五月雨 〜samidare〜』には『東方Project』からユキ、マイ、雑魚キャラクターの化け化けがゲストキャラクターとして登場するほか、『東方Project』の世界観を髣髴とさせるステージ(背景に写っている鳥居、ステージのBGM名の「East of eden」)が存在するなど、『東方Project』とは全く無関係というわけではない。
「作品の購入について」を参照
音楽CDはゲームと同じく同人ショップや同人通販で取り扱っている。
2021年8月よりAppleMusicやYouTubeMusic、Spotify等でサブスク配信も開始した。→ 特設サイト
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最終更新:2024/10/05(土) 11:00
最終更新:2024/10/05(土) 11:00
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