東映版Kanon 単語

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トウエイバンカノン

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東映版kanonとは、東映アニメーション制作したTVアニメKanonである。
2002年1月から3月まで、フジテレビ系列中に放送された。
その特徴的なデザインから「agon(ン)」「アゴメ」などと揶揄されており、それは当時から現在に至るまで根強い潮として残っている。
京都アニメーション版が制作されたことで、本作は今に至るまで黒歴史負の遺産扱いされることが多い。

概要

本作は横田守の手引きで企画された、東映アニメーション初のギャルゲーエロゲー原作アニメである。
つまり本作はKeyブランド初のTVアニメーション化作品であり、東映にとっても初の試みだった。
この話は、両者にとって革新的な企画だったということである。
なお、当時の深夜アニメと言えば今ほどメジャーではなく、それほど数が多くなかったうえ、東映の新作アニメ中に放送されるというのは勝負師伝説 哲也に並び、較的しいことであった。

そういった背景はともかく、原作ファンからの当時の評価はあまり良くないことで知られている。
Key原作アニメ化の際、前情報で不安点があると、悪い例として本作のことがしばしば較対としてあがるのはもはや定説で、京都アニメーションAIRすら、原作を生かしすぎたデザインからPV時点では本作とべられていた。

根強いアンチ評が今も昔も立ち気味であるが、当時からまるで評価されていなかったわけではない。

1クール全13話という短い期間しかないことで、内容が良くも悪くもざっくりとしているのがこのアニメの特徴である。
しかし短いことが功を奏してか、較的ストーリーの要所のみを重点視しつつ、それぞれのヒロインを絡めた構成になっており、5人のヒロイン末をそれぞれ1クール内でまとめた点は特筆に値するだろう。
当時、本作と同時期に発表されていたプチ漫画版ですら、(特に)名琴に関しては深いところまで踏み込まなかった(あるいは踏み込めなかった)ところを見ても、シリーズ構成の多大なる苦労は察するに余りある。

ちなみにシリーズ構成の一人である中村に至っては、本作を経たその後、劇場版AIR劇場版CLANNADと、さらに短い劇場用に90分以内での全編構成を託されている。東映マジ鬼畜

それはともかく、こういった「視聴者1クール完走が容易」、「内容握がしやすい」点などは、多い層とは言い難いものの、度々あがっていた評価ポイントであり、「1クール内でよくやった」というのは較的見られる好意的な意見。

第二期が放映され、長い時間を経た今ではより好みが細分化したこと、あるいはいくらかりやすい環境が生まれたことで、「こっちのほうが好きだ」というファンや利用者も立つようになり、第2作のファンとの衝突も見られる。

絵について

全編に渡り作画が悪い」と言われがちだが、基本はデザイン画に沿っているだけである。
冷静に見ると作画自体は普段の東映と変わらず、回によって浮き沈みがある。
むしろ当時から多数のアニメを抱えていた東映において、わずか1クールとはいえここまで安定した作画を保っていたことは、すごいことであると言っていいだろう。

そして、諸悪の根源とされ、何かとネタにされるキャラデザも、デザイン担当の大西陽一のとは言い切れない。
確かに、同時期に発売された「伝心 まもって守護月天!」では本作の絵柄に近い点が少なからずあるが、それ以外を見れば別段そこまでが強調された絵を描く人ではない。
むしろ作監を務めたスラムダンクキャラデザから関わっていた地獄先生ぬ~べ~などでは、非常に評価が高かった。
その理由の多くは、原作の絵柄を較的近いところまで再現出来ているとされたためである。

身も蓋もないことを言うと、このデザイン当時の原作の絵柄をがんばって再現したまでなのだ。
逆に言えばこの絵柄を否定するということは、半分は原作樋上いたる絵を批判をしているのも同じである。
やたらそんな絵柄が立ってしまうのは、線の太い作画が多く、ギャルゲーらしからぬ色彩だったことで、原作の絵の雰囲気と大きな差異が生まれたためだったとも言える。
つーか後の京都アニメーション制作Keyアニメ原作を尊重した絵柄だし、よく見たらじゃん……。
もしこの東映版Kanonがなかったら、あるいは歴史が変わっていたかもしれない。(結果論に過ぎないが)

ちなみに大西陽一は、後に劇場版CLANNAD作画監督を担当している。
最初に見た人は恐らくもそうだとは思わなかったことだろうが、ちなみに件のCLANNADは、作画面において本作と同じような酷評を受けたという話は少ない。

原作に忠実な絵柄をした「アゴが長く見えるデザイン」は、視聴者に良くも悪くも強な印を与えた。
よって当時は「余計にアゴを長く伸ばして笑いものにするコラ画像が量産されてしまい、主人公一は特にその犠牲となってしまった。
放映当時の2ch本スレでは、サブタイトル原作台詞変したアゴネタタイトルを付けるのが一時期定番化しており、今でも「アゴアニメ」などそれにまつわる検索をすると、「Kanon」と入っていなくても高確率ヒットしてしまう。

こういった要素は原作ファンからは負の側面と捉えられがちで、アンチ層から揶揄の標的にされやすいポイントである。
わずか4年程度で京都アニメーションによる第二作(実質のリメイク)が製作されることになったのは、言及されていないとはいえこういった評が原因となっているというのが定説になっている。

当然というべきか、このリメイク作品の放映後、本作に関係する商品は一切出されなくなってしまい、後述のような不遇なエピソードが生まれることになってしまった。
メインヒロイン声優などは東映版からの継続参加だが、本作についてはまるで緘口でも敷かれているかのような雰囲気で、話題には一切出されなかった。

ただし東映アニメーションサイト歴史には本作は当時の公式サイトが丸々残っており、東映アニメーションオンラインショップでもDVD-BOXの商品ページをまだ閲覧することが出来る。

ストーリーについて

脚本事情

わずか13話という内容の中に、全シナリオをぶちこむという、かなりのをしている構成である。
ちなみに第二作は2クール分もらっている辺り、この時点で制作側に与えられた環境は大きく異なっている。

当時(アニメでは)新規採用同然だった中村と、そのに手れた山口亮太の二名体制で行われた。
各話も、一人で脚本を書いている回の方がむしろ少なく、常に多くの人間の手が加わった状態だった。
初めてのアニメ化ジャンルということもあり、相当いろんな考慮が行われていたことが推察出来る様相である。

中村Key作品の大ファンである。
元々はラジオドラマ人間だった、中村KanonドラマCD関係の仕事に着手。
その後アニメ関連の脚本を務めるようになったのはこの作品がキッカケであり、山口亮太とはもう一作においてタッグを組むなどしていた。
放映前後に展開していたドラマCDの脚本は、ほぼすべてに中村が関係している、劇場版ニ作品でも参加した。

もう一人の山口亮太は、そういった発言は見受けられないが、何かと本作に対する言及は行なっている。後に、同社制作山口亮太構成のTVアニメデジモンセイバーズ」において、本作を意識したようなキャラが登場した。

そもそもデジモンセイバーズメインスタッフは、シリーズディレクター監督)を始め、割合この東映版Kanonから引っってきた人が結構おり、そもそもシリーズディレクターは本作の彷彿させるキャラ配置を意図的に行ったらしい。
役の國府田マリ子が、子さん的な立ち位置で出演しているのも興味深い点だろう。(名前さゆり

内容

全体的なストーリーを簡潔に説明すると……

原作下地に置きつつも、あゆメインヒロインとし、裏役は名

という構成になっており、どのシナリオにも何らかの形で名が介入し、主人公に大なり小なりを与えている。
一部尺のバランスが偏っていると言われることもあるが、13話(特別編含め14話)しかないのだから、少しは事情をむべきであろう。
アニメオリジナルの展開として、何故か一の荷物の中に見覚えのないカチューシャがあるという演出がある。
原作を知らない視聴者にはキーアイテムとなる要素であり、あゆとの関係性を示唆しながらも視聴者に提示していた。
第一話冒頭の病室描写も、さらなるヒロインの登場を予感させていた。
これらはあくまで見ていない人間のための演出で、かつ最後まで物語の芯として存在するものであり、原作を見ていれば何を意味するかわかってしまうものである。

こういったコンセプトから、二人以外のヒロイン主人公である一と仲良くはなるものの、明確な相思相愛の関係には発展しない。
原作における主人公とのが深まっていくようなシーンはほぼ使用されず、「友達」としてのオリジナル展開に置き換わっている。

舞とに関しては、原作サブヒロインメインとなってヒロインを救う展開になっている。
特にに関しては原作ではパタリと交流を切ってしまった香里との関係性がよりピックアップされていた。
琴に関しては全なバッドエンド展開になっており、普通に見れば他と較すると救いがないものになっている。
が、この琴の消滅が最終3話へ静かに大きくを及ぼしたことは、その後の描写からわかる通りである。

最終3話はあゆシナリオメインにしながら、名シナリオの展開を合成した展開となる。
そのため必然的に展開がドロドロと称される系列の内容になっている(とはいえ明らかドラ的なさではないが)。

それらへの反応

残念ながら、原作ファン(というより、当時鍵っ子と呼ばれた人々)にとっては「不満の残る内容」とされることが多いのが本作である。
なお、誤解されがちだが、本作は基本的にはあゆストーリーベース原作に沿った形でストーリーが進められている。
そのため大変されているというのは正しい認識ではないが、後発と第二期とべると、あゆ以外の各ヒロインエンディングは例外なく結末が変更されているため、これを大変という感想を抱くのも原作ファンとしては人情だろう。

近年では各ヒロインエンディングを消化する方法がいろいろとられているが、当時は一本道にまとめることをめられていた。ヒロイン全員の正ルートを行くということは、悪く言えば主人公がただのナンパ野郎になってしまう。
だからこそ当時は、シナリオ変、もしくはヒロインスルーをすることが苦の策として用いられていた。
しかしどれか一人のヒロインを選ぶということは他のヒロイン幸せ無視されるということであり、各ファンからの反感を買うのは必然的なことだった。
こうした視聴者の反応から、近年の半ば強引に「全員の正ルートをやる」「他のヒロインルートパラレルワールドとして扱って描く」という手法に切り替わっていったといっていいだろう。 

こういった要因があるとはいえ、悪い意味でネタにされていた本作の評価は、どちらかと言えば何事も斜めに捉えられやすかったことは否定出来ない。

その一つとして、魔物に実態があるかのような演出がされた点は較的非難を浴びていた。ただしこれに関しては演出上の問題であって、魔物人間達に視されていたかどうかは定かではなく、少なくとも「舞踏会」での描写を見れば制作サイドとして「視出来る存在ではない」と演出されていることがわかる。
(なお、京アニ版では魔物の姿は一切描かれていない)

と、東映版はオリジナルオリジナルを重ねた別物……と、思われがちだが、あゆシナリオに関しては子がほぼ原作から変更されていない。一部補されたり名の干渉点が存在することで多少の変化がある程度である。

そして満を持して発表された第二期が原作再現かと言われると、それもまた異なる。
確かに各ヒロインエンディングはほぼ原作通りの流れになっているが、日常描写に関しては、原作者の監修も入ったせいか、原を留めていない部分も決して少なくない。
あゆ食い逃げを聞いて速攻で謝罪に向かわせる、北川キャラ付けなど、細かいところは原作とはまるで異なる。

よって、別に東映版だけが特別内容を大きく変しているわけではないので、「東映原作無視してるけど京アニは忠実」という認識は正しいとは言えず、全体的に見れば、それは恐らく誤った見方であると言えるだろう。
前評判のおかげで、不等かつ要点を見落としがちな線や心から評価を受けやすいのも、本作の不遇さの一つなのかもしれない。

当時はこんな評ありきでもKanonという作品そのものの商業成績は良かったようで、その後も永らくKanon自体の拡展開は翌年になっても継続されていた。

その後の評価

当時の悪い評価があまりにも定着しすぎているため、放映から10年以上を経てもなお、を笑いものにするコメントや書き込みが後を立たない。
これを見れば、いくら時間を経てもそういった偏見が減少する可性が少ないことを意味していることは明である。
よってファンにとっては苦しくても「仕方のないことだ」と、ある程度は割り切らないといけない、と言わざるを得ない状況になってしまっている。

………とはいえ、内容を見ずに作画だけで切ったりそれだけで判断していれば批判を繰り返していれば、当然ファンから強い反感を買うのも当然である。
ましてや第1・第2作とでは、制作された時代や与えられた環境も違うことを、互いに理解しなくてはいけないだろう。

少なくともKanonという市場がこのアニメによって崩壊したという事実はない。
むしろ商品展開が続いたのであるから、一定のファンがいることは間違いなく、希薄な知識でれば反感を買うのは言うまでもなく当然のことであろう。

幻の14話

原作にはないオリジナルの後日談“風花”が、DVD全巻購入特典OVAとして配布された。
汚い、流石汚い。

この風花は、視聴者にとって昇しきれないと言われがちな点をある程度補したエピローグである。
すなわち、東映版Kanon最終回という内容となっている。
厳密に言うと最終回ラストシーンに至るまでのそれぞれの状況を描いた物語で、名の「その後」も補されている。
このエピソードにおける名の「ある台詞」は、(東映版の)ファンからは名台詞との呼びも高い。

重要なエピソードなのにも関わらず前述の通りテレビ未放映であるだけでなく、後に発売されたDVD-BOXにすら収録されなかった。
京都アニメーション導となった今、再企画・再発売される可性は少なく、今では本当にの1話となってしまった。
(ry

さらに幻のスペシャル編ナレーション

放映当時、本作はフジテレビの都合で、東京圏などでは一挙2話放送などとしてたスペシャルが組まれていた。さらに最後は第11,12,13話(最終回)と三話一挙に放送した。
1話放送だったのは1,2,7,8話だけであった。
この際、「今日は二本立て」とするナレーションを、キャラクター達が行なっている。
しかもこのナレーションは、ドラマCD水瀬さんちを彷彿とするコント形式となっていた。

ちなみに最終3話は一気に放映され、約一時間半スペシャルとなった。

ローカルにおける深夜アニメで、これだけ長時間放送されるのはなかなかしいことであろう。

しかし当時、首都圏関西圏・中京圏は翌2003年12月地上デジタル放送開始を控えており、深夜に設備機器の保守点検や更新などによる放送休止の頻発が、このような事態を招く原因だったのではとも言われている。

実際、Kanon終了後に同じで放送された「藍より青し」なども同じように二話連続放送が頻発する事態になっていた。


元々最終3話が3つで一つの話として完成するため、一気に放送したことを喜ぶもあったとかなかったとか。
逆に1話ずつの放映だった地域は、壮絶な地獄を見たという噂もある……。

音楽

原作BGM主題歌(それも特殊な使い方がなされている)を除いて利用せず、オリジナルの楽曲を使っているという点が特徴にあげられる。また、原作BGMを使う場合でも、それらは全てテレビ用にアレンジされている。
後の第二期は全て原作曲・または原作側から提供された音楽を使用していたのとは対照的な方針である。

作曲者は主題歌を含め神津裕之が担当する。よって主題歌アニメオリジナルである。
しかし、最終回では原作オープニングを挿入歌、エンディング最終回専用のEDとして使用している。
特に原作オープニングクライマックス最大の盛り上がりで使われるため。この使い方を評価する人もいる。

放映時間の関係(に上記の連続放送の時)で、OPは時折イントロだけが流されることがあり、サウンドトラックにもそのバージョンが収録されている。

ちなみに本作のサブタイトルは「舞踏会」と「風花」を除いて全て原作楽曲のタイトルを元にしている。

登場キャラクター

実は性格上で見れば原作と大差がないが、声優紹介を兼ねて軽く解説する。

スタッフ

トリビア

最近この作品に興味を持った人へ

まず公式サイトをご覧頂きたい。そして「この絵柄がダメだ」と思ったら、あまりオススメは出来ない。
散々記したように、本作でもっとも非難されたのはその特徴的なデザインにある。
「特徴的な絵柄は身体に合わん」というアニメファンや、最近鍵っ子になった諸君にとって、あまり有意義な時間を提供してくれる作品にはなり難いと言える。

そういうところをクリア出来るユーザーには、次に視聴環境の難儀化というが待ち受けている。
リメイク版の存在から、レンタルビデオ屋からは撤去されていることはしくなく、かといって中古ショップでも見かけることすら難しく、あっても全巻ってないなんてことはザラである。
劇場版AIRに合わせてリリースされたDVD-BOXは較的手に入れやすく、値段も中古なら高くないものもあるので、そこを狙うといいだろう。
ただ、そういうのを買うのは言うまでもなく作品のファンなので、レンタルで済ませられるならそのほうが良いだろう。

さらにこの作品を見るうえで留意すべきことがある。

このアニメ2002年の作品であり、当時は今ほどギャルゲーアニメ化が推進されているわけではなかった。そして東映にとってもKeyにとっても初めての試みなので、手探り感はたっぷりである。
よって、それから4年後に作られた京都アニメーション版のKanonには、技術的な面などにおいていてある程度劣ってしまうのは当然、ということも念頭に置いておこう。

そして最後に……の14話は今となっては本当に入手困難なので、「ないもの」と潔く諦めたほうが良いかもしれない。

同じく(商品的に)黒歴史となっている同社の作品

東映アニメーション製作現在知る人ぞ知る作品となっているアニメとして初代遊戯王が存在する。
概要は当該記事に委ねるが、現在ソフト困難主題歌は概ね高評価等の点においてやや類似している。

ただし初代遊戯王子供向けアニメとしてマイルドストーリー変している点、声優主人公を含め全員違うなどまったく同じ状況なわけではない。
だが、どちらも根強いファンがいることには疑いようがない事実である。

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