柳生利厳とは (ヤギュウトシヨシとは) [単語記事]

柳生利厳（やぎゅう・としよし／としとし　1579 ～ 1650）とは、安土桃山時代～江戸時代初期の剣豪である。通称「柳生兵庫助」（～ひょうごのすけ）。尾張柳生家初代。新陰流3世。

概要

剣豪と名高き柳生宗厳（石舟斎）の孫。石舟斎より新陰流の教えを継承するが、柳生宗家は叔父の柳生宗矩が引き継いだ。諸国を放浪した末に尾張徳川家の剣術指南役となった。子孫も代々その役目を引き継いでいる。

側室の珠（たま）は島左近の娘で、のちの名剣豪・柳生厳包を生んだ。

生涯

柳生厳勝の子。厳勝は石舟斎の長男で、本来ならば後継者となるはずだったのだが、戦の怪我で半身不随となり、廃嫡されてしまった。このため柳生家の跡継ぎは五男の柳生宗矩となる。

利厳は柳生庄でじいちゃんから新陰流剣術を徹底的に叩き込まれて育った。関ヶ原の戦いの後、加藤清正からの招きを受けて熊本藩に仕官したが、同僚との揉め事の末に相手を斬り殺し、一年も保たずに出奔。かなり気性の荒い性格だったと伝わる（じいちゃんのスパルタ教育がやりすぎだったのでは…）。

以後は10年ほど諸国を回り修行に明け暮れる。1615年、尾張徳川家の徳川義直の剣術指南役として招かれて、以後は尾張に落ち着いた。この際、名前の読みを「としよし」から「としとし」に改めたらしい。詳しい理由は不明だが、主君・義直（よしなお）の上の字音が下に来るのを憚ったからだろうか。以後の尾張柳生家では通字の「厳」を「とし」と読んでいる。一応、初めから「としとし」だった可能性もある。
ちなみに柳生宗家の方は宗矩以後「宗」が通字になっているが、徳川吉宗の登場以降は「俊」に変わる。