栃ノ心 剛史(とちのしん つよし)は、春日野部屋所属の現役大相撲力士である。
1987年10月13日生まれ、ジョージア・ムツヘタ出身。本名はレヴァニ・ゴルガゼ。イケメン力士として知られており、「角界のニコラス・ケイジ」と呼ばれることもある。身長192cm、体重177kgという体格を誇る巨漢であり、右四つを得意として他の怪力力士とは力比べのような形になることもある。また、怪力を生かした豪快な吊り相撲を時折見せる。2013年に右膝の大怪我を負い、幕下まで落ちながらも復帰後に幕内優勝を決めるという不屈の精神の持ち主でもある。最高位は大関。
趣味は料理。また、実家がワイン農家を営んでおり、自身も酒豪である。また、来日前にジョージアの歯科医師免許を取得している。本場所の土俵で締めている「締め込み」は、師匠の春日野親方(元・栃乃和歌)が現役時代に実際に締めていたものを使用している。未使用のまわしを譲り受けたり、サガリだけ譲り受けたりする例はよくあるが、使用済みのまわしを使用するのは、極めて異例である。
大相撲入門前はいくつかの格闘技を経験してきたが、特に柔道とサンボは強豪選手として鳴らしていた。サンボではヨーロッパ王者になり、柔道も、角界入りしなければオリンピックの代表選手になれていたと語っている。しかし、2004年に相撲経験がないまま出場した世界ジュニア選手権大会で3位入賞を果たしたことで、相撲の魅力にとりつかれた。なお、この時の大会の重量級チャンピオンは、後に同部屋となる栃煌山である。その後は、柔道か相撲か迷った末に相撲を選び、2006年3月場所で春日野部屋から初土俵を踏んだ。四股名の「栃ノ心」は、春日野部屋を興した第27代横綱栃木山に由来する部屋伝統の「栃」の字に、ジョージア出身ではあるが日本の心も持って欲しいという、春日野親方の願いが込められている。下の名前の「剛」も、栃木山の年寄名だった「春日野剛史」に由来しており、2017年5月場所からは全く同一の「剛史」に改名した。
大相撲入門後は、元々格闘技経験があり、相撲の大会で結果を残していたという実績に違わぬ順調な出世であり、所要11場所で2008年1月場所で十両に昇進した。同部屋の木村山と同時の新十両昇進となったが、本来は関取になった時点で一人部屋が与えられるところ、春日野部屋に3室しかない関取用の個室が埋まっているという理由から、木村山が結婚し部屋の外に自宅を構えるまでは相部屋生活をしていた。新十両の場所は12勝3敗で新十両優勝、次の3月場所も勝ち越して十両は2場所で通過し、5月場所で新入幕を果たした。
入幕後は幕内に定着し、幕内4場所目の2008年11月場所では初めての上位総当たりを経験した。2009年9月場所では日馬富士と千代大海の2大関を撃破し、初めての大関戦勝利となったが、最終的に4勝11敗と大きく負け越した。翌11月場所は番付を大きく落としたが、優勝次点となる12勝3敗の好成績を挙げて、初めての三賞となる敢闘賞を受賞した。2010年5月場所は西前頭2枚目の地位で4日連続で大関を倒し(2日目から5日目。日馬富士、琴欧洲、琴光喜、魁皇の順。なお、琴光喜はこの場所が現役最後の場所となった)、8勝7敗と勝ち越して2度目の敢闘賞を受賞。8勝のうち4勝の決まり手が吊り出しだったことで、怪力ぶりを印象付ける結果となった。翌7月場所は新三役の小結に昇進した。
西前頭6枚目に番付を下げていた2011年5月技量審査場所は、師匠が現役時代に使用していたまわしを締めて臨んだが、千秋楽まで横綱白鵬と優勝を争った。白鵬が1敗、自身が2敗で迎えた千秋楽の大関日馬富士戦に敗れたため初優勝は逃したが、12勝3敗で2度目の優勝次点となり、3回目の敢闘賞受賞となった。故郷ジョージアでは、栃ノ心が優勝争いをしていることが連日のように大々的に報じられたという。この頃の栃ノ心は時々好成績を残すなど、大物ぶりは発揮していたが、一方で私生活はあまり良くなかったようで、門限破りや服装規定違反(力士は外出時は和装でなければならないにも関わらず、洋装で外出した)の常習犯だった。この年の10月14日にはついに師匠の逆鱗に触れてしまい、ゴルフクラブのアイアンで殴られる暴行事件が発生した。暴行を受けたショックから数日間部屋には戻らなかったが、最後は土下座して詫びを入れ、部屋に戻った。なお、事件の被害届は出さなかった。
前場所の成績不振により、4年ぶりに平幕の2桁台となる西前頭11枚目に下がっていた2013年7月場所は、4日目まで2勝2敗の成績だった。5日目の徳勝龍戦では、自慢の怪力を活かして徳勝龍を吊り上げる場面があったが、あまりに強引な吊りだったため膝が耐え切れず負傷してしまった。取組自体は寄り切りで勝ったものの、右膝の靭帯の負傷のため翌日から長期休場となった。休み続けたことで番付は急速に下がり、2014年1月場所ではついに関取の座を失った。休場中には引退を考えることもあったというが、師匠からの激励を受けて現役続行を決意し、西幕下55枚目まで落ちた2014年3月場所で復帰した。怪我で落ちた小結経験者にとって、幕下力士はもはや相手ではなく、2場所連続の7戦全勝優勝で十両に復帰した。十両へ戻った7月場所では、休場中に幕下付出で入門した「モンスター」逸ノ城の十両連覇がかかっていたが、千秋楽に本割と優勝決定戦を自慢の怪力相撲で連勝し、自身2度目の十両優勝を果たした。毎回好勝負となる、栃ノ心対逸ノ城戦の始まりである。翌9月場所では15日制で5人目となる15戦全勝優勝を達成した。過去に十両全勝優勝を達成した4人は全員が横綱か大関になっているという大相撲史上極めて稀な記録を達成し、完全復活のアビールとなった。
幕内復帰となった2014年11月場所は、東前頭8枚目の地位で11勝4敗と大勝ちをして4回目の敢闘賞を受賞した。翌2015年1月場所は6勝9敗と負け越したが、大関豪栄道を撃破した。また、逸ノ城戦では高度なテクニックが求められる「内無双」を決め、テレビ中継のアナウンサーは「こんな技を持っていたのか栃ノ心!」と実況した。内無双を本場所で決めたのはこの1回だけだが、この年の大相撲超会議場所の超大相撲トーナメントで、荒鷲に対しても決めている。続く3月場所では、横綱日馬富士を破り、初金星を獲得して勝ち越した。番付運の悪さもあったが、平幕の上位で3場所連続で勝ち越したため、11月場所で小結に復帰し、ついに怪我をする前の最高位に戻った。小結は5場所目だったが、10勝5敗と初めて勝ち越し、5回目の敢闘賞を獲得した。その後は2場所連続で負け越し、三役から陥落した。平幕に下がった2016年5月場所は、得意の右四つの形が評価され、場所中に吊り出しを決めたことも決め手となって初めての技能賞を獲得。翌7月場所で、ジョージア出身力士として初めて関脇に昇進し、ついに怪我をする前に最高位を超えた。
2017年は、小結だった1月場所で、古傷を持つ右膝を再び痛めて途中休場した。3月場所も負け越したため、下の名前を「剛」から「剛史」に改名した。改名場所となった5月場所は、12勝3敗て自身3度目の優勝次点という好成績だったが、東前頭10枚目いう低い地位まで下がっており、「関脇経験者なら、これくらい勝って当たり前」と思われたのか、三賞は無かった。翌7月場所は横綱稀勢の里に勝利し、自身2個目の金星を獲得した。
2018年は、1月場所を上位総当たりとなる西前頭3枚目で迎えた。2横綱が途中休場するという状況の中、1人だけ皆勤した横綱鶴竜には負けたものの、残り14番を全て勝つ14勝1敗の好成績で、自身初めての幕内最高優勝を果たした。ジョージア出身者の優勝は初めて、春日野部屋からは1972年1月場所の初代栃東以来46年ぶり、平幕優勝は2012年5月場所の旭天鵬以来約6年ぶり、しかも14日目に優勝が決定するのは2001年9月場所の琴光喜以来約17年ぶりと、異例尽くめの初優勝だった。優勝が決定した14日目には、国技館から春日野部屋まで徒歩で帰る間、絶え間なく大勢のファンに囲まれる姿が見られた。優勝自体が殊勲に値するという理由から初めての殊勲賞を選考委員会の満場一致で受賞、右四つを得意とする相撲の型を評価されて2度目の技能賞も獲得し、三賞はダブル受賞となった。千秋楽の優勝パレードの旗手は、同部屋の碧山が務めた。
翌3月場所は西関脇で迎え、11日目までに4敗してしまったものの12日目には無敗だった横綱鶴竜に初めて土をつけ、最終的には10勝を挙げ2場所連続の殊勲賞受賞となった。
翌5月場所は大関昇進を賭ける場所となり初日から順調に白星を重ね、12日目には過去25戦全敗だった横綱白鵬に勝利し優勝争いトップを独走する。しかし13日目平幕の正代に土俵際の引き落としで敗れ1敗で追っていた横綱鶴竜に並ばれる。14日目にその鶴竜と対戦し敗れたため2敗となり鶴竜を追うことになる。千秋楽では勝利し13勝を挙げ、鶴竜が敗れれば優勝決定戦にもつれこむ可能性があったが、結びで鶴竜が白鵬に勝利したため2度目の優勝はならなかった。それでも勝ち星と内容が高く評価され敢闘賞と技能賞を受賞。そして3場所で37勝を挙げ、場所後の理事会で満場一致で大関昇進が決定した。
ニコニコ超会議で行われた大相撲春巡業のワンデイトーナメント大会の結果をここに記す。
ニコニコ超会議2015で開催された。当時の番付は西前頭4枚目(2015年3月場所)。
回 | 勝敗 | 決まり手 | 対戦相手 |
---|---|---|---|
1回戦 | ○ | 内無双 | 西前頭15枚目 臥牙丸 |
2回戦 | ○ | 吊り出し | 西前頭14枚目 荒鷲 |
準々決勝 | ○ | 送り出し | 西大関 琴奨菊 |
準決勝 | ● | 寄り切り | 西横綱 日馬富士 |
決勝 |
ニコニコ超会議2017で開催されたが、「右膝前十字靭帯再断裂」のため、休場した。当時の番付は東前頭10枚目(2017年3月場所)。
取組 | 勝敗 | 決まり手 | 対戦相手 |
---|---|---|---|
DAY1 幕内取組 | や | ||
DAY2 幕内取組 | や |
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最終更新:2024/04/24(水) 00:00
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