栗田貫一とは、日本のものまねタレントであり、ルパン三世の声(二代目)でもある。
六本木のショーパブでスカウトされたことがきっかけで、「日本ものまね大賞」にてテレビデビュー。世間一般では『ものまね王座決定戦』の「ものまね四天王」の一角、あるいは二代目ルパン三世として有名。最近ではものまねやルパン三世業の他に清水アキラとアキカンという漫才コンビとしての活動を行っている。
昭和33年3月3日生まれで、平成3年3月3日に33歳になった。
「もしもものまね」のパイオニアであり、「もしも細川たかしがパトカーのサイレンだったら…」などといったネタを知っている人もいるのではないだろうか。また、歌マネも得意としており、中にはドレミの歌で8名の人物を音階毎に演じ分けるという荒業まで存在している。他にもアニメの登場人物のものまねも得意としており、後述のルパン三世も彼のレパートリーの一つであった。
現在、栗田は二代目のルパン三世を担当している。
長らくはほぼ毎年恒例となったTVスペシャルのルパンのみを担当していたが、2012年には本人も望んでいたTVシリーズ「LUPIN the Third 峰不二子という女」でも担当することになり、2015年には、30年ぶりのアニメシリーズ(峰不二子という女は番外扱い)でも引き続き演じている。
意外(?)にも、初代ルパン三世役の山田康雄とは親交があり、きっかけはお互いの自宅にルパンの声で留守電に用件を吹き込んだ事から。
その後山田が亡くなり、栗田は『くたばれ!ノストラダムス』においてピンチヒッターのつもりで演じたつもりだったが、そのまま二代目になったという逸話がある。
一部では山田が直接栗田に託したという噂があったがそれはデマであり、実際は病床で発した「ルパンの声を頼む」、倒れる前に山田が発した「疲れたから後はクリカン(栗田)にやらせておけよ」という冗談を発したことが噂として広まってしまったと見られている。
余談だが、山田存命時に栗田がものまね番組でルパン三世を演じた際、後ろから山田本人が登場し、Wルパンを披露したことがある。この様子は「ルパン三世よ永遠に-山田康雄メモリアル-」に詳しい。
今では二代目となった栗田が本物さん登場として現れることもしばしばである。
ルパンを演じる際には他の役者からアドバイスを貰いながら、山田のルパンを尊重したルパンを心がけている。
これは「ルパンは山田さんの演じたものだと思っている。山田さんを演じる事が自分のルパン」というこだわりからきており、ルパンの仕事が入ると数週間前から仕事を全てキャンセルしてイマジネーションを高める作業に入るという。
声優としてルパンの役作りを行う際は、過去作品からのイマジネーションを得てから演じている。この下準備と高い集中力が必要になっている為か、収録以外ではルパンの声は突然のリクエストやアドリブだと上手く出せないという。
アフレコ時も、自身が声優としては素人であったことから、収録後に自分の演技を添削し、不足点があれば自分の収録部分だけ再録を進言することもあったという。
ファンの間では有名な『ルパン三世 風魔一族の陰謀』におけるエピソードが物語るように、誰よりも強くルパン三世を愛し、『ルパン三世を一生手放さん!!』と固く誓った山田康雄がいた。
そして実際、クリカン本人は大のルパンFANで、そして大の山田康雄FANであり、「ルパン三世の再放送を見ているだけでいいんですよぼくは」とハッキリ何度も公言をしている。
代役を続けている事に対しても、荷が重いという理由で未だに強い抵抗を示しており、事実、声がそっくりな山田浩康に本気でルパン役交代を求めたことがある(あっさりと固辞されたが)。
生前の山田康雄がアフレコの最中に「クリカンがやったって同じなんだから、クリカンを呼べよ」と言った事があるが、当人はもし山田康雄本人が「クリカン、お前でいいんだよ。」と言ってくれたとしても、自分は嫌だと述べるほどである。
それは大きなプレッシャーや「自分でいいのか」という思いから来ている部分が多く、何度か弱音をもらしたこともあったが、すると小林清志や納谷悟朗といった共演者から「お前でいいんだよ」と励まされたという。
数年後、悶々と山田康雄の後継者をやっていた栗田だったが、ある時納谷悟朗から「これはお前の作品(お前が主役)なんだから、俺達はお前に付いて行くからな」「お前の決めたことに従う」という重い言葉を貰い、嬉しさとともに背負っているものの重さを感じたという。
近年では声優交代も起こり先輩格として作品の座長として引っ張っている。
なお、山田ルパンに愛着のある世代からは「ルパンは山田康雄以外に有り得ない」と度々批判は絶えないものの、TVスペシャルシリーズ最高傑作と名高い『ルパン三世 ワルサーP38』や原作者監督の映画『ルパン三世 DEAD OR ALIVE』などは作品の出来そのものもさることながら、栗田氏の演技自体も認められており、比較的ファンキーなイメージの強かった(主に2ndシリーズ路線の)山田ルパンに比べ、「シリアスでクールなハードボイルド路線(要するに初期路線)の作品の方が栗田氏に合っているのでは?」という声もある。実際、そのような初期1stルパンの路線で作られた『LUPIN the Third -峰不二子という女-』はシリーズ初の声優総入れ替えのシリーズでありながら、比較的好評を博している。
しかし本人はハードボイルド路線よりもコメディありきの作品のほうが好みなのか、上記のTVシリーズ終了後のスペシャル作品におけるコメントでは「TVシリーズはシリアスだったけど今回はコメディなルパンが帰ってくる」といった主旨のコメントを残している。
先述のような佳作の存在から、現在継続しているテレビスペシャルシリーズも、栗田氏の演技云々よりはシナリオ脚本といった話そのものの出来に問題があるのであり、彼の本来の資質を生かした作品を作れば面白いルパン三世はまだまだ作れるはずだとするルパンファンは多い。事実、山田氏が存命時には彼自身がシナリオやアニメーションの絵に大きく口を挟むことも多々あり、『アニメ版原作者』ともいえる立場だったという(漫画版原作者モンキー・パンチも「山田氏はルパンの生みの親」と語る)。このあたりは、『原作者』が不在となり、迷走してしまった末期の大山のぶ代版『ドラえもん』の状況とよく似ている。
何はともあれ周囲の励ましを受けつつも、クリカン自身は『ルパン三世は未だに山田康雄で、その山田康雄を演じているのが自分である』との強い意志を持っているのは事実である。
栗田はあくまでものまねタレントであって、こういった声優業はメインの仕事ではない。上記のように山田康雄のルパンの代役という意識が強いためであり、よほど強いオファーがない限りはルパンの役以外は担当しない。
そのため声優業界についてはあまり詳しくなく、『ルパン三世VS名探偵コナン』アフレコ当初、過去にルパンシリーズで共演した高山みなみに「今日は何の役ですか?」と聞いてしまったほど(言うまでもなく、高山が演じるのはもう一人の主役・江戸川コナンである)。
こういった姿勢故か、過去の外画吹き替えにおける追加録音は地声が山田に似ていると評される多田野曜平が担当することが多い。ちなみに『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』では、珍しく外画吹き替えを担当した栗田と、ゲストで出ていた多田野が共演し、山田の仕事を継いだ経験のある二人が会話をするという不思議なシーンを見ることが出来る。
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最終更新:2024/11/15(金) 01:00
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