桂田智司とは (カツラダサトシとは) [単語記事]

概要

全日本愛国者団体会議元副議長
桂田智司
基本情報
本名	桂田智司
居住地	兵庫県姫路市 →神奈川県横浜市
生年月日	1961年
職業	契約社員^[1]
役職
全日本愛国者団体会議教務局長（不明 - 現在）副議長（不明 - 2012.10.21）　神鷲皇國會最高顧問（不明 - 2013.4.18）　愛國播磨雄會代表（2005.6.13 - 2012.10.31）ほか多数

30年以上の活動キャリアを誇り、右翼団体のナショナルセンターにあたる「全日本愛国者団体会議」（全愛会議）の副議長まで務めたベテラン右翼活動家。1994年に宮澤内閣閣僚暗殺未遂事件（後述）を起こすなど、過激かつ急進的な活動姿勢で知られ、「右翼のリーサルウェポン」の異名を奉られたこともあった^[2]。

だが右翼活動への締め付けが厳しくなったことから、2011年 10月に右派系市民活動家への転身を表明。「在日特権を許さない市民の会」（在特会）を始めとする右派系市民団体の関西在住メンバーや関西の右派系ネットユーザー（いわゆる「ネット右翼」）らによって構成される連合グループ「チーム関西」に参加し、街宣やデモなどで中心的な役割を果たすようになった。

近年は過激な言動で知られた右派系市民団体「神鷲皇國會」で最高顧問を務めたほか、全愛会議と「日本民族青年同盟」（日民同）の両右翼団体で教務局長として後進の育成にあたっており、「教官」の愛称で親しまれている。

家族ぐるみで活動に従事しており、まだ幼い頃から3人の子供を街宣などの場に立たせていた。特に長女の桂田雅は独自の団体を立ち上げデモの代表世話人を務めるなど父親顔負けの活動家ぶりを見せており、中学時代の2013年 2月には鶴橋のコリアタウンで「在日クソチョンコが憎くてたまらない」「鶴橋大虐殺を起こしますよ」と叫び、国内外のメディアで大きく取り上げられた。

同年4月の神戸市立博物館脅迫事件での逮捕・勾留と執行猶予付き有罪判決を受けて活動休止状態となっていたが、2015年夏の離婚・上京を機に再び活発な活動を再開。「嫌韓無罪」をスローガンにヘイトスピーチ規制への反対論などを訴えていたが、2018年 2月、活動家仲間と共に朝鮮総連本部を銃撃する事件を起こし、逮捕された。

経歴

右翼活動家への道

1961年兵庫県姫路市生まれ。東洋大学に進学後、2年生の時に民族派学生組織「日本学生同盟」に参加したことをきっかけとして右翼活動家としてのキャリアをスタートさせる。当時から過激な活動に従事しており、奈良少年刑務所や大阪刑務所に収監されたこともあった^[3]。

後に「東洋青年有志会」で行動右翼のノウハウを学び、「憂国公論社」を経て、1988年頃に日民同に合流した^[4]。

宮澤内閣閣僚暗殺未遂事件

1992年 4月、来日した中国の江沢民総書記（後の国家主席）は天安門事件以降の国際的な孤立状態を打開するきっかけを作るべく、今上天皇の訪中を日本政府に要請した。当時の宮澤喜一内閣（自民党）はこれに応じる方向で検討に入り、自民党内の反対派を説得して訪中計画の実現に漕ぎ着けようとしていた。

これに激怒した桂田は「宮澤首相を殺しても首相代理となる閣僚が天皇訪中を決定するだろう。ならば全閣僚を皆殺しにしなければならない」と考え、強奪したタンクローリーで首相官邸に突っ込み、閣議中の閣僚もろとも木っ端微塵にするという自爆テロ計画を立案した。実行日は官邸で閣議が開かれる予定の8月25日。

予め強奪するタンクローリーに目星をつけ、強奪用の拳銃と手錠を用意して準備万端…と思われたのだが、いざ当日になると公安の尾行を撒くのに手間取り、狙っていたタンクローリーはどこかに走り去ってしまった。やむを得ず念のため用意していたトラックに大量のガソリンと可燃物・爆発物を積み込み、一路官邸を目指すことに。

官邸前に辿り着いた桂田は荷台に火をつけ、火達磨となったトラックで万歳突撃を敢行する…はずだったのだが、なぜか荷台ではなく助手席の火炎瓶に火がついてしまい、炎と煙に包まれて運転どころではなくなってしまう。結局当初の目的を果たすことも自決することもできないまま、自力で車から這い出たところを御用となったのであった^[5]。

逮捕・起訴された桂田は懲役5年の実刑判決を言い渡され、1997年 10月まで前橋刑務所で服役することになった^[6]。なお天皇訪中は裁判中の1992年 10月に実現している。

愛國播磨雄會時代

5年ぶりに娑婆に復帰した桂田は夫人との間に相次いで3人の子供を儲けたが、過激な活動姿勢は変わらなかったため、妻子を置いたまま再び娑婆を去ることもしばしばだった。この頃福岡刑務所に1年ほど収監されたほか、2003年には式典での国歌伴奏を拒否した教師に傷害を負わせ、約7ヶ月間神戸拘置所に勾留されている^[7]。

だがこの事件以降は逮捕・収監に至るような活動は行われなくなり、以後8年近くに渡って桂田家は凪の時期を迎えることになる。2005年 6月に地元・姫路を拠点とする右翼団体「愛國播磨雄會（あいこくはりまおかい）」を結成し代表に就任^[8]。また日民同では兵庫県本部長、全愛会議では副議長の要職をそれぞれ任されるなど、右翼業界における桂田の地位は着実に上がっていった。

また子供らを「スーパー右翼」に育て上げるべく幼い頃から右翼思想を教え込み^[9]、小学校に上がる頃には街宣活動に同伴させるようになった。桂田は彼らを「子供遊撃隊」と呼び、その成長ぶりに目を細めた。

00年代後半に在特会を始めとする右派系市民団体が台頭するとこれを歓迎し、特に在特会や「主権回復を目指す会」（主権会）の活動には高い評価を与えた^[10]。また2008年 11月には自らブログを開設し、右派系市民活動家やネット右翼との交流を図ったが、「街宣右翼在日説」を信じるネット右翼から在日認定を受けて憤る一幕も見られた^[11]。

2010年 6月、従軍慰安婦とその支援者らの街宣にカウンターを仕掛けた際、同様にカウンターを仕掛けていた在特会兵庫支部所属の男性と共闘を演じる。このことがきっかけでチーム関西代表の荒巻靖彦や「日本女性の会そよ風」（そよ風）関西支部長の望月紀李と知り合いになり^[12]、チーム関西主催の活動に参加するようになっていった。

右派系市民活動家への転身

チーム関西の街宣やデモに顔を出しつつ、本業である街宣右翼としての活動も積極的に行っていた桂田だったが、2011年 8月に公務執行妨害容疑、翌9月には道路運送車両法違反容疑と、街宣右翼としての活動に関して相次いで逮捕されるという憂き目に遭う。ちなみにこれは桂田にとって記念すべき（？）20回目の逮捕であった。

前者は罰金50万円、後者は不起訴と比較的軽い処分で済んだものの^[13]、右翼への締め付けの厳しさに辟易したことに加え、愛國播磨雄會の運営方針について宮崎吉満副長と意見の対立が生じたこともあり、同年10月末をもって愛國播磨雄會を解散させ、右翼活動家から右派系市民活動家に転身することを発表した^[14]。

桂田のチーム関西加入に対しては、「街宣右翼在日説」を支持する一部のネット右翼から不満の声が上がったものの、現場の活動家からは歓迎の声をもって受け入れられた。「チーム関西に新参者現る」と題した桂田の紹介動画へのリンクが、半年近くもの間チーム関西関連の動画で動画説明文のテンプレとして載せられ続けたほどだった。

またチーム関西では以前から子供を連れての街宣・デモ参加を許容していたため、街宣右翼時代と同様に3人の子供を活動に同伴させる場面が見られた。特に長女の雅は常連メンバーとなり、父が主宰した団体の名前をもじった「愛国播磨女会」を率いて日中日韓断交デモの代表世話人を務めるなど^[15]、熱心な活動家となっていった。

神鷲皇國會最高顧問へ

2012年 9月頃から清水勇祐率いる新団体「神鷲皇國會」がチーム関西内で台頭すると、桂田はその最高顧問として迎え入れられた。清水も桂田と同じ街宣右翼出身者であったため、神鷲皇國會は街宣右翼的な名称と標章（黒地に菊花紋章・日章旗・旭日旗をあしらったもの）に右派系市民団体の活動スタイルを混合させた団体となった。

ヘイトスピーチやジェノサイドの扇動も辞さない神鷲皇國會の過激な言動は多くの反響を呼び、メディアで在特会と並んでその名を取り上げられるまでになった。また2013年 2月には、神鷲皇國會が在特会などと共同で行った鶴橋での街宣で長女の雅が「在日クソチョンコが憎くてたまらない」「鶴橋大虐殺を起こしますよ」と叫び、国内外のメディアで「日本の女子中学生による白昼堂々のヘイトスピーチ」として取り上げられるという事件も起きた。

右派系市民活動家として順調にキャリアを重ねていた桂田であったが、2013年 4月10日、中国の文化財展示を予定していた神戸市立博物館を脅迫した容疑で1年半ぶりに逮捕された。電話で1時間半に渡って職員を脅し、展示会の最中には約10回も街宣車を連ねて抗議活動を行ったという^[16]。

桂田の逮捕後、神鷲皇國會は幹部らが恐喝・傷害・売春あっせんなどの容疑で次々に逮捕され、解散に追い込まれた。桂田は約7か月間勾留された後、暴力行為法違反の罪で懲役1年2月・執行猶予3年の有罪判決を受けた^[17]。釈放後に判決を不服として控訴したものの棄却され、2014年 4月に有罪が確定した。当面は仕事に専念しながら執行猶予期間の満了を待つとしており、活動の第一線からはしばらく退くことになった^[18]。

上京、嫌韓活動へのシフト

とは言え活動家の血は抑えがたかったか、執行猶予期間中の2015年 5月に県内限定と称して活動に復帰、さらに8月には靖国神社での活動のため東京まで遠征する。ところが同時期に妻から離婚を宣告されたため、一人故郷の姫路を離れ上京、以後は関東を舞台に活動を展開していくことになる。

この頃になると、従来から重きを置いてきた反中・反露・反左派系勢力などのテーマに増して、「嫌韓」を重要なテーマとして取り上げる機会が増えるようになっていった。その中で桂田は「嫌韓無罪」という考え方を提唱し、あらゆる手段で反日的とみなした朝鮮人を排除する風潮を作るべきだと論じた。

　反日不逞鮮人を発見したらその場で成敗してしまえ。そうだろう、そ奴はテロリストかも知れないしその共犯者かも知れぬ訳だ。共謀罪が成立したのだから、共犯者や同調者を成敗してもハズレにはならんわ❗
　一人成敗すれば１０人の日本人をテロから救う事が出来る十人成敗すれば１００人救える。百人成敗すれば１００００人を救えるんだ❗ 相手は無差別で日本人を狙っているんだから、一人二人間違ったって気にする必要はない❗不審者は全て成敗の対象だ。Γ疑わしきは罰せよ❗」の方針でなければ日本国民を守る事は出来ない❗
　考えても見よ。たまたま逃したたった一人のテロリストが１０人１００人の日本人を殺すことになるのよね。されば一人二人の誤爆など許される間違いの範囲よ❗

（2015年12月11日ブログ記事より抜粋）

　韓国の反曰無罪に対抗するには嫌韓無罪しかない❗ これまでの日本の「冷静な大人の対応」と言う姿勢が、韓国の反曰無罪を愈々つけあがらせて、遂に此度の事態を招来したのだ❗ これ以上事態を紛糾させぬ為にも、断固とした嫌韓無罪を貫くしかない❗
（2015年12月17日ブログ記事より抜粋）

　パクられ様がパクられ様が次から次へと際限もなく嫌韓行動を連続して「嫌韓無罪」の風潮を国内に醸成して行く事こそが、日支日韓関係を改善する最良の策であると確信する❗
（2015年12月27日ブログ記事より抜粋）

その一方、同年11月の靖国爆弾事件に関する活動で知り合った女性と意気投合し再婚、翌春には長女の雅が父を慕って上京するなど、プライベートは一定の充実を見た。2017年 4月には神戸市立博物館脅迫事件の執行猶予期間が満了、同年8月15日に公務執行妨害容疑で逮捕・勾留されたが起訴猶予処分に留まるなど、過激化する言動と裏腹に、再び凪の時期が訪れるかのようにも思われた。