極道兵器とは、石川賢の漫画作品である。全3巻。
概要
改造人間となったヤクザが抗争を繰り広げる極道漫画。石川賢の最高傑作であると言うファンも多い。
日本の首領を自称する岩鬼将造が悪の組織「デス・ドロップ・マフィア」の日本侵略に対抗するというストーリー。将造のムチャクチャな言動や、作品全体に満ちあふれるアクションとバイオレンスがファンには好評だったが、掲載誌そのものが廃刊となり「いつもの結末」を迎える。単行本化に際し足りない分は「漫画サンデー」に短期連載されたほか、この作品のプロトタイプとなった読み切りが収録されている。
あらすじ
傭兵として米軍の対ゲリラ攻撃に参加していた岩鬼将造は、岩鬼組組長である父親が襲撃され死んだことを知る。しかも、父親を殺した相手は、米軍をも動かすヤクザ「デス・ドロップ・マフィア」だと言う。世界を相手に大きいケンカが出来ると知った将造は嬉々として日本に帰り、デス・ドロップ・マフィアの手先となった元岩鬼組組員・倉脇に対し宣戦布告。手始めに倉脇系島田組を壊滅させる。
登場人物
岩鬼組
- 岩鬼将造
- 主人公。日本の首領を名乗っている。日本全てが彼のシマである。
- 関西最大級のヤクザ・岩鬼組組長の実子だったが、仁義を無視して他の組にケンカを仕掛けて潰したために勘当同然で海外へ放り出される。その後、傭兵として数年間世界各国の紛争地帯でケンカをするが、日本でデス・ドロップ・マフィアとケンカするために帰国。
- 日本政府をバックに付け、デス・ドロップ・マフィアやシマウチを荒らすヤクザとのケンカに明け暮れる一方、極道連合を立ち上げて、日本全国から骨のあるヤクザを集めている。
- 倉脇とのケンカで重傷を負った際に、レッドタイガーによって左腕に小型機関銃を、右足にロケット・ランチャーを取り付けられ「極道兵器」となる。さらに海座との戦いで右目を潰されたあとにはレーザーサイトを取り付けられている。
- なお、彼にとってはいかなる戦争・戦闘行為も「ケンカ」である。
- 山鬼なよ子
- ヒロイン(一応)。22歳。山鬼組の女親分。倉脇に人質として捕われていた。
- 将造の起こした新しい岩鬼組に山鬼組を合併させる。
- 三太郎
- 将造の子分。将造と行動を共にするサングラスとモヒカンの男。
- 拓三
- おなじく将造の子分。爆破担当。常に笑顔を浮かべている。
- 政と鉄
- 岩鬼組の残党2人組。警察の囲みをトラックで突破して将造を迎えた。
デス・ドロップ・マフィア
アメリカ軍をも動かすほどの力を持った恐ろしいマフィア。
原子力空母や潜水艦、戦闘機、核ミサイルなどの戦力を保有している。
倉脇系
- 倉脇重介
- 将造のライバル。デス・ドロップ・マフィアの支援を受け、岩鬼組組長を暗殺。関西をほぼ手中に収め、「ネズミが入れば生きては出られない」ほどに要塞化したハイテクビルを本拠地にしている。
- しかし、将造に敗北しビルは倒壊。自身も大怪我を負った。その治療の際にシャルロの指示によってサイボーグ化される。
- 武器の塊となった重介は楽しい楽しいメリーゴーランドに乗って将造を執拗に狙う。そのしつこさから将造にはゴキブリヤクザと呼ばれる。
- 島田
- 元岩鬼組組員。現在は倉脇系島田組の組長。以前はシャブ島と呼ばれていたらしい。
- 岩鬼邸のあった場所に建っているサラ金を倉脇に任されていたが将造達に潰された。
- 倉脇竜行
- 倉脇重介の弟。あまり役に立たない男であることは重介も承知している。
- 将造にビルの最上階から突き落とされて死亡。
その他
- 海座隆
- 通称帝王(カイザー)。倉脇とは別ルートでのし上がってきたヤクザ。東関東のドン。
- アメリカに留学していた際にデス・ドロップ・マフィアに接触、核の起爆装置を体内に保有する「人間核野郎」となる。
- 東京で銃器や共産圏の中古戦車・ヘリなどを売っているが、前述の核があることによって警察も手出しができない。
マフィア本部
- シャルロ
- 将造にマフィア小僧と呼ばれる、デス・ドロップ・マフィアの構成員。倉脇や海座を使って日本制覇を企む。
- ゴッドファーザー
- デス・ドロップ・マフィアの「長老」と呼ばれる幹部達の長と思われる人物。相手の思考を読んだり、念力でティーカップを割るなどの超能力を見せる。
その他
- 赤尾虎彦
- 通称レッドタイガー。内閣特務捜査官。総理大臣をも動かすことのできる権限を持っているらしい。
- 拳銃でヘリコプターを撃墜できる。ドクターとしても優秀で、瀕死の将造を改造した。
- 岡村鉄男
- 将造の少年刑務所時代の親友。どちらかが天下取りの足場を固めたら迎えに行くと約束をしていた。
- 少年刑務所時代から「シャブ極道」を名乗るほど薬物を利用していたが、それを大王組に利用されて所属していた天取組を潰してしまう。
- 山林のおじき
- 山林組の組長。とはいっても今ではスクラップ工場の親父である。なぜか衛星兵器を保有している。
- 昔、将造はこのタヌキオヤジの泣き落としに騙されて二度も臭いメシを食わされたとか。
- ドクトル・タルコフスキー
- 本名はアンドレラ・タルコフスキー。旧ソ連の天才工学博士で、どこかの国が彼を手に入れれば世界の勢力地図が変わってしまうとまでいわれている。山林組の衛星兵器を造ったのはこの男である。
- 黄 広天
- 通称黒龍。新宿の中国ヤクザのトップ。
- 将造とデス・ドロップ・マフィアのケンカに巻き込まれて組織が壊滅したが、将造に認められ極道連合への加入を勧められる。
- 黄 新紅
- 黒龍の弟。日本に密航を企んでいたところをデス・ドロップ・マフィアに利用され、人間細菌爆弾のモルモットにされる。
- 脱走して兄を頼るも、爆弾が起爆しそうになったために火炎放射機で細菌爆弾もろとも焼却される。
映画版
2011年に「極道兵器 YAKUZA WEAPON」のタイトルで実写映画化された。
(DVD化の際にタイトルは「極道兵器」だけになっている)
原作1巻の倉脇との戦いを中心に、2巻以降のネタも交えて再構成している。R15+。
関連商品
リイド社SPコミックスの単行本は絶版。コンビニコミック版ならあるが、復刊はされていない。
1巻と2巻は古書で比較的容易に手に入るが、3巻(コンビニ版では「滅殺編」)だけあまり出回っていないようで、SPコミックス版、コンビニ版ともに入手困難になっている。
電子書籍化されているのでそちらを読むのがいいだろうか。漫画喫茶に置いてあることも…
関連項目