機動隊

機動隊とは日本警察の警備部隊である。

概要

詳しくはウィキペディア参照。
機動隊は集団で行動する特性を活かし、多くの人が集まる雑踏警備や要所の警備・治安維持、暴動・暴徒など騒擾事件の鎮圧に向いている。反面、建物内部など狭隘な場所での、特に銃火器で武装した脅威の制圧には必ずしも向いていない。

狭隘な場所でのテロ事案や人質事案に対処する為に、一部都道府県機動隊内に特殊急襲部隊(SAT)が、都道府県警察刑事部麾下に特殊犯捜査係の突入部隊が編成されている。

特徴

全身にプロテクターやボディーアーマーを装備しているため識別は容易。チームワークを生かし、盾を使った密集陣形などで暴徒の進撃を食い止め、撃退するといった芸当が可能。（→暴動）

機動隊がいなかったら、一般警察官の装備では多勢に無勢でフルボッコにされてしまう。
短い警棒では物足りなく、かといって非武装の市民に拳銃を撃てば大問題など使い勝手が悪い。

海外でも現地の機動隊・治安維持部隊が暴徒と戦っている姿などが映し出されることも。

機動隊の主な活動履歴

• 1637年10月　島原
  • 警視庁捜査一課時空班の要請に基づき出場。島原の乱において、孫の天草四郎の戦いぶりを督戦する豊臣秀吉を護衛する為に警備を実施した。
• 1877年
  
  • 西南戦争の勃発を受け、東京警視本署(当時)が軍の後方支援部隊として『警視隊』を編成。バット謡に代表される様に前線にも出動して反乱軍鎮圧に従事した。戊辰戦争で敗北した旧江戸幕府側士族が少なからず参加していたため反乱側に対する戦意が高かったという。

• 1930年代
  • 警視庁に『特別警備隊』が発足。政情不安及び社会不安によるテロ事件、労働争議などを受けての発足だが二・二六事件では反乱軍に警視庁本庁もろとも包囲され武装解除されている。
• 1940年代
  • 一部都道府県警察部に『警備隊』が編成されるも終戦＋連合軍による占領統治により廃止。しかし紆余曲折の末、全国の警察に『機動隊』が編成される。
• 1950年代
  • 60年安保で世情が揺れる中、デモ隊の警戒及び鎮圧の為に警備を行った。
•  1960年代
  • 同じく70年安保で同様のことがあった。大学での闘争学生らの篭城に際して、当初は大学側が警察の介入に腰が引けていたものの、やがて学園の正常化の為に警察の介入が行われるようになる。東大安田講堂事件などが有名。
    1968年には新宿騒乱が発生。左翼活動家の確信犯が暴動を起こした。後に銀河帝国ノイエラント総督や江戸幕府警察長官を務める若本規夫は、機動隊員として臨場しこの事件に対応している。 「こ～の暴徒どむぉ～俺ぇ様が相手どぅぁ～ぶるるわぁ！」とは言っていないだろう。
• 1970年代
  • 1970年代に入ると安保闘争は下火になったものの、運動学生らの闘争は先鋭化し、より過激なテロリズムへと走っていった。1972年のあさま山荘事件では、赤軍派や京浜安保共闘の流れを汲む連合赤軍が軽井沢の浅間山荘に人質をとり武装して立て篭もった。
    最終的に警察は制圧・逮捕に成功したものの、第2機動隊長と特車中隊長が殉職する。当時は対テロ戦術や現代的CQBの黎明期でもあり、銃で武装した立て篭もり犯に対するに機動隊の能力が不足したのは止むを得ない面もある。
    SATの前身部隊が警視庁、大阪府警察に極秘裏に編成されたのもこの時期である。
• 1980年代
  • 安保闘争や学園紛争はすっかり過去のものとなったが、一方で成田闘争が活発化し殉職者を出す事態も発生した。
•  1990年代
  • 東西冷戦の終結と共に、国際情勢が著しく変化した。国内においてはカルト宗教団体「オウム真理教」の活動が活発化し、松本サリン事件や地下鉄サリン事件を起こす。機動隊はオウム関連施設の警戒や上九一色村の関連施設捜索など、従来にはない脅威に対応することとなる。
    1995年6月には全日空857便ハイジャック事件が発生。函館空港において警視庁機動隊内に作られていた特科中隊の支援を受けた北海道警察の機動隊が当該機に突入、犯人を逮捕し人質を全員救出した。
    その翌年、存在を秘匿されていた特殊部隊は公表及び増強された。
    90年代に入ると汎用人間型作業機械「レイバー」が、従来の重機とあわせて使用されるようになる。しかしレイバーを用いた犯罪も急増し、これに対処する為警視庁は警備部にレイバーを用いる執行隊の設置を決定。従来の特科車両隊とは別に警備部直轄で中隊編成の「特科車両二課」を創設した。通称は「特車二課」「パトロールレイバー中隊」である。 
• 2000年代
  • 2002年に日韓ワールドカップが開催。世界中からフーリガンが集まってくる恐れがあったので、全国の機動隊がこれへの備えることとなった。警備実施要領の確認だけでなく、機動隊員も含めた警察官がスペイン語で「警察だ」「動くな」「逮捕する」「撃つぞ」という言葉を覚えることもあった。
    またW杯警備の頃を境として装備も一新された。ジュラルミンの盾はポリカーボネイト製の盾となり、防弾ベストなども装備するようになる。 
• 2010年代
  • 2011年の東日本大震災を受け災害救助能力が1995年の阪神・淡路大震災以来の強化が図られた一方、欧米でのテロリズムが激化したことを受け、テロ対応も機材・訓練面でさらに強化された。

各種部隊

『機動隊』と一括りにされてはいるが組織内には『機能別部隊』、『常備・予備部隊』と複数部隊に分かれている。地方によっては他部署との兼任で運用される部隊もいる。

• 爆弾処理班
  • 事件性がある爆発物（と思わしき物品）に対処する部隊。詳細は項目参照。
• 銃器対策部隊
  • 銃火器を持った犯罪者への対処や原子力発電所などの重要防護施設を警備する部隊。自動拳銃や短機関銃、自動小銃が配備されている。
• 救助部隊
  • 災害時や大規模な事故が発生した場合に出動し、被災者を捜索し救助する。
• NBC対応部隊
  • 核物質、細菌、化学物質を用いたテロ事件・災害に対応する部隊。
•  特別機動隊・管区機動隊
  • 前者は普段警察署に詰めている警察本部規模の予備部隊、後者は各地方管区警察局規模で編成される予備部隊。
• 重要防護施設警備隊
  • 首都圏の国際空港(成田、羽田)や原子力発電所、総理官邸の警備を担当。任務上、銃器対策部隊とNBC対応部隊の混成となる。

装備品

車両

• 指揮車
  • 暴動鎮圧や雑踏警備時に部隊指揮官やDJポリスが隊員に檄を飛ばしたり、誘導を行う櫓やスピーカーを備えた4WD車。_{正直狙撃に弱い。}
• 警備車
  • 警察用装甲車のこと。とりわけ軍用と見間違える外観を持つ『特型警備車』とカマボコ状屋根が特徴の『常駐警備車』が代表的だが、90年代に入って前者は特殊部隊用を除いて箱型状の外観をしたものに代わり、後者は屋根を水平にした代わりに正面に傾斜をつけたものに変わった。
    ちなみに海外では装軌式装甲車を含む軍用車両を採用することがあるが日本では民生トラック^[1]をベースに製造している。_{防御力についてはお察しください。}
• 放水車
  • 暴徒鎮圧のお約束『放水銃』と関連装備（ポンプ＋水槽）を備えた車両で前述の警備車にもこれを兼任するものがある。
    純粋な放水車としては中型トラックをベースにした『遊撃放水車』や消防用の水槽付きポンプ車を流用した『高圧放水車』がある。
    なお、学園紛争の経験^[2]からはしご消防車や屈折はしご車が『高所放水（作業）車』^[3]として装備された時期もあった。
• 救助車
  • 消防用の救助工作車と比較すると積載機材は多くない。但し水難救助用は出動中に潜水服＋関連装備を着装できるバス構造式を採用していることがある。
• 人員輸送車
  • ワゴン車やマイクロバス、路線バスベースで製作され、特に路線バス型は常駐警備車の代わりにバリケード扱いされることが近年になって多い。因みに6人程度しか搭乗できないワゴン車、マイクロバス型は『遊撃車』と呼ばれる。
• 支援車両
  • トイレカーやキッチンカー、機材搬送に使われるトラック、災害救助に活用される重機^[4]など。

個人装備

• ヘルメット
  • バイザー付のイメージが強いがこれがつくようになったのは1960年代後半から。
  • 救助用や銃器戦闘用のヘルメットも保有。
• 活動服
  • 警官が通常着用する制服とは別に、暴徒鎮圧用、救助活動用の専用服を保有。
•  盾
  • 欧米でみられるポリカーボネイド製の盾も一般化しているがやはりジュラルミン製の盾も一般的。
  • 防御だけでなく、押し付けて行動を制限したり殴りつけるといった芸当も可能。
    （→シールドバッシュ）
  • 透明な盾は視認性は良いが防弾性能は皆無。^[5]
• 銃火器
  • 前述の拳銃、小銃の他、一部警察の銃器対策部隊及びSATに配備されたMP5や89式小銃といった自動火器、催涙ガス弾用の専用発射銃、救助用ロープを発射する空気銃を保有。
    ちなみにアメリカ統治時代の琉球警察(現沖縄県警察)ではⅯ1カービンが配備されていた^[6]。

海外の機動隊

アメリカの機動隊

アメリカは連邦、州、郡、市町村毎に別個の警察機関が作られており、機関毎に組織編成は全く異なる。ただ全体的な傾向としてはRiot Unitの専従編成が取られるとは限らず、パトロール部局から召集された警察官が臨時編成で警備に投入されることも多い。対応する案件は雑踏警備やデモ警備、騒擾状況で、その辺りは日本と変わらない。またヨーロッパもそうであるが、アメリカでも騎馬警官が警備目的で編成されており、群集やデモ隊の警戒や制御するのに投入される。

ロサンゼルス市警察 メトロポリタンディビジョン(LAPD Metropolitan Division)

 市内でおきる騒擾や重大事件、テロへの対応や、その他パトロール警官や刑事を現場で支援するメトロポリタンディビジョン。A、B、C、D、Eの五個小隊とK-9の6の部隊で編成され、ディビジョンの指揮官はCaptain Ⅲをあてる。LAPD屈指の精鋭部隊である。

• A小隊(A Platoon)
  • ディビジョンの訓練を立案したりCaptainの幕僚を務める部隊で、軍隊で言うところの中隊管理小隊のようなもの。
• B、C小隊
  • 雑踏警備や暴動警備を行う部隊で、これが日本の機動隊に近い。
• D小隊
  • SWATで、小隊長であるLieutenantに率いられたエントリーチームを擁する。
• E小隊
  • 騎馬隊であり、馬使って群集制御を行ったり、暴徒を制圧するための騎馬突撃を行う部隊。
• K-9
  • 警察犬部隊となっている。 

関連作品

動画

静画

• 人員
  
• 車両

MMDモデル

関連項目

• 警察
• 暴動／暴徒
• 攻殻機動隊
• ケルベロス・サーガ
  • 首都圏治安警察機構
• 機動警察パトレイバー
• 特殊部隊/特殊急襲部隊

脚注

1. *但し1950年代までは旧軍の戦車(大砲を外すなどの改造をしていた)や進駐軍の非装甲だが威圧的な外観を持つ軍用車両を装備していた
2. *東大安田講堂事件の様に建物に籠城して屋上や高層階の窓から投石や火炎瓶などを投げてきたケースがあった
3. *現在は建設用の大型バスケット付作業車を使用
4. *あさま山荘事件で使用された鉄球付きクレーン車は地元企業から徴用されたものに簡易装甲を装備したものだった
5. *厳密には軍用ライフル弾を防ぐレベルの盾は非常に重く車輪付きのものや、小型の携帯可能な重量サイズに収まっている場合が多い。
6. *但し、琉球警察では拳銃も含めて銃火器は部隊長クラスの許可がなければ緊急時を除いて装備して出動、警戒ができなかった