機関銃(machine gun)とは
- 銃器の分類の一つである。機銃、マシンガンとも。
- 連射できる銃全部(一般の人がもつイメージ)
- 小銃弾以上の弾薬を使用し、長時間の連射を目的としたでかい銃
- 上記が転じて、マシンガンのように大量に連続する様のたとえ。とぎれない様。「マシンガン打線」「マシンガン継投」「マシンガントーク」など。
本項目では1-Iに触れつつも、1-IIを主に解説する。
概要
- 広義 の 機関銃
- 「引き金を引いているだけで自動で連射できる銃」である。
通俗的にはフルオートマチック(引き金を引き続けるだけで弾が連射される)射撃が可能な銃の総称である。
短機関銃、突撃銃などが「機関銃」と呼ばれることがある。当該記事を参照。
…現職やミリオタの人が機関銃と言うと大抵、次の「狭義の機関銃」である。
- 狭義 の 機関銃(本稿にておもに記述)
- 「長時間の連射を安定的に比較的高い精度で行えるデカい銃」である。
- 大柄で、重く、大容量の弾倉やベルトリングによる給弾機構を持ちフルオート射撃による小隊や分隊への制圧射撃による支援を行うことを前提とした銃のことである。小銃用弾薬(ライフル弾)、もしくはより大きい機関銃専用の弾薬を使用する。
- ・連射して使うことを大前提にしているため、高熱、高負荷に耐える肉厚な機関部や銃身を持つ。
- ・過熱した銃身を交換する機能、または大掛かりな冷却機構を備えているのが一般的。
- ・機関銃自体が重いものが多いが、重量によって跳ね上がり(反動)を緩和しやすい。
- ・安定した射撃のために二脚や三脚が付属しているものがほとんど。
(車両・航空機・船舶などに据え付けて運用される場合も多い)
-
- …さらに用途・設計・開発側の想定により細かく分類される。
また、使用する弾薬の口径が一定以上のものは「機関砲」と呼ばれる
(基準は時代・組織によって異なる。現代においては20mm以上の口径の物が機関砲と呼ばれる場合が多い)。
制圧射撃
機関銃が得意とする戦術。これなくして機関銃は語れない。
(他の銃でも一応可能であるが、機関銃ほど安定して長時間は不可能)
絶え間く降り注ぐ銃弾(弾幕)によって
相手に心理的圧力を与え、黙らせ、その場に釘付けにする。
敵に強いプレッシャーを与え続け、自由な行動を阻害する。
(→銃撃戦 の百科記事でも一部は語られている)
※弾が命中しなくとも効果がある。[1]
- 敵をビビらせ、危なっかしくて顔を出せなくする。[2]
- 顔を出せても、落ち着いて狙えない。
- 物陰から出られず移動もままならない。
(迂闊に動いて身を晒せば被弾してしまうため)
- その他、接近してくる敵を足止めする。
- 味方は身動きが取れない敵に対して…
- 有利な位置に移動、迂回して包囲するといった自由な選択肢を取ることが可能。
- 味方は有利に、敵はますます不利な状況に追い込まれる。
車両・航空機に搭載された大口径の機関砲や高い連射速度の機関銃で行われると、制圧射撃どころか一方的にオーバーキル状態になることもある。(M134などが良い例)
- 欠点
- 弾薬消費が激しく、長時間の射撃により銃身の過熱が蓄積していく。
- 敵に機関銃手が居た場合は同様の戦術を行ってくる。
- 機関銃手が倒されると不利になるため優先的に狙われる事もある。
- 機関銃自体が重い物が多く機動性に欠ける。
- 連射し続けることから、発射時の炎・煙・音によって居場所が特定されることも。
- 一か所に留まって射撃を行う事が多いため、狙撃などには特に脆弱。
- 弾切れすると再装填に時間がかかり大きな隙となる。
- 重機関銃以上は人力による運搬が困難[3]で、頻繁な移動には不向き
動作機構による分類
- 外部動力式
- 電気モーター、油圧などを用い外部から供給された動力によって弾薬の装填・薬きょうの排出を行う。
初期の手回し式ガトリング銃、現代のガトリング機銃やチェーンガンなど。
- 内部動力式
- 弾薬が発火したときの反動や燃焼ガスを利用して弾薬の装填・薬きょうの排出を行う。
外部動力を必要としないため、広く用いられる。
用途による分類
- 重機関銃(Heavy MG)
- 拠点(機銃座、機銃陣地)に三脚等により固定、または車両・艦艇・航空機に据え付けて射撃することを前提とした機関銃。19世紀後半か頃から出現し、高い威力と連射力で僅か数人で死体の山を築けるため戦場の様相を一変させることとなる。(→塹壕戦)
- 初期の機関銃と言えばこうした重量のあるものばかりであり、それが「重機関銃」として分類されたのは、より軽量な機関銃が登場以降となる。
現代では小銃弾を使用する機関銃は汎用機関銃や軽機関銃に取って代わられているため、重機関銃と呼ばれるものでは12.7ミリクラスまたはより大きい弾薬を使用するのが主流である。
代表的なブローニングM2は、本体だけで38kgほどの重量がある。
- 代表的な重機関銃:ブローニングM2、DShk、KPV、九二式重機関銃など。
- 軽機関銃(Light MG)
- 歩兵が一人、および射撃補助を行う給弾手とのコンビで携行し、手持ちや二脚立てでの射撃を行うことを主眼とした機関銃。第一次世界大戦後、機動戦の重視に伴って開発された。
- 現代において重機関銃に分類される機関銃では歩兵部隊を支援するにはオーバースペックであるため、歩兵戦や車両の備え付け銃器での運用はこちらが主流である。
代表的なミニミが本体のみで7kgほどと非常に軽量化されている。
代表的な軽機関銃:ZB26、ブレン、九六式軽機、M60、RPK軽機関銃、ミニミ軽機関銃、MG3、PKMなど。
さらに用途や設計思想によって下記の二つに分類することができる。
- 汎用機関銃(General purpose MG)
- 軽機関銃の中でも、三脚架等に据え付け予備弾薬や指揮体勢を確立すれば拠点防衛にも使用可能な程の火力を持つもの。ドイツのMG34がその祖とされる。
ベルト給弾式で通常は弾薬手と二人一組で運用するが、ジョン・ランボー氏が実演して見せたように一人での運用も不可能ではない(ランボー2で使用されたのはフォアグリップを追加し単独運用を考慮したM60E3のようだ)。ただし間違っても敵陣に一人で突っ込んで撃ちまくる物ではない。
汎用の名の通り歩兵部隊のほか各種車両、航空機・ヘリコプターなど軍隊のあらゆる部門で使用される。
M60の重量は約10kgほど。
- 代表的な汎用機関銃:MG34、MG42、MG3、FN MAG、PKM、M60など。
- 分隊支援火器(Squad Automatic Weapon)
- 軽機関銃の中でも軽量小型のもので、通常の小隊や分隊の後方に別隊として陣取り支援する為だけでなく、最前線で進撃する分隊の中にあっても有効に使用することができるように設計されたものはこう呼ばれる。
- 小型軽量である為に耐久力や射撃安定性は低くなってしまうが、その分取り回しに優れ、戦局に応じて素早い対応の求められる最前線においても足手まといにならず、制圧射撃による支援も十分に行えるという銃である。
- ●通常のアサルトライフルの銃身を延長し、多弾数のマガジンを装着したものもある。
- 分隊運営の効率化の為にその弾倉や機関部部品に他の分隊員の持つ突撃銃との互換性を持たせり、単純に突撃銃の部品を交換した物を利用することで一括して補給を行えるようにしてあるといった工夫が見られる物も多い。やや軽量で操作法や教育も同じで済むメリットがある。
・ただしベルト給弾でないため装填可能弾数は劣る、銃身交換が困難といった欠点がある。
- 通常SAWと略され、運用する兵士を「ソーガナー」と呼んだりもする。ただしニコ百では「SAW」は映画「SAW」の記事になっているので注意。
- 代表的な分隊支援火器:MG36、L86、RPK軽機関銃、BAR、ミニミ軽機関銃など。
- 言うこときかんじゅう(NAI HOU GA Machine gun)
- かつてとある武装組織が開発・保有していたとされる伝説の武器。詳細については断片的な情報が伝え聞かれるのみである。一説には運用側から「開発したやつは満州にカエレ!」なるコメントが出たとか。
- その機密保持レベルは高く、国外持ち出しの際には議会で反対されるまでの騒ぎになった。
実はただの偽情報(ディスインフォメーション)で、普通の機関銃に過ぎないという説もある。
→62式機関銃
その他
- 弾をばら撒くだけでは不経済・非効率な部分もあるため…
- 近年は2~4倍程度の低倍率のスコープを装着して使用されることも多い。
- 距離のある目標に対しても一定の命中精度向上を望めるようになった。
- 特に機関銃に搭載されるものは反動で照準がズレないよう、ゴツい外観をしているものも多い。
(ELCANなど)
- 戦時中の日米においては…
- 米軍:機関銃?そこに弾丸をバラまけりゃいいだろw
- 日本軍:弾もったいないやん!低倍率のスコープつけたろ!(見た目はスリム)
- 結果的に、機関銃の弾数で正確に狙撃してくるため米軍に嫌がられた。やるじゃん。
- フォークランド紛争(1982年)
関連動画
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関連項目
脚注
- *制圧射撃だが、もちろん弾が当たるに越したことはない
- *周囲の土や枝葉、建材や物品が激しくはじけ飛ぶ、殺意を持った弾丸が空気を切り裂く飛翔音が体を掠める。
- *重機関銃の運搬には2~3人以上が必要。