歌舞伎 単語

423件

カブキ

5.5千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

歌舞伎(かぶき)とは、日本固有の伝統芸能である。

概要

日本発祥の400年の歴史を持つ伝統芸能
名前は「傾く(かたむく)」の古い言い方である「傾く(かぶく)」から「カブキ」という名前が定着したと言われている。

もとは戦国時代辺りから流行り出した、手な衣装を好む者や常識逸脱したような奇怪な行動を「傾奇(かぶき)」と呼ばれていたのが(また、そのような振る舞いを嗜む者を「かぶき者」と呼んでいた)、やがて1603年にそうした装いを取り入れた(当時としては)新極まる踊りを「かぶき踊り」として出雲阿国北野天満宮で始めたのが、歌舞伎のルーツとされている。

その後、「う芸」という言葉からかぶきの字も『歌舞』と当てられるようになり、やがて遊女歌舞伎が禁止されると「」の字は使われなくなり「歌舞伎」という名称が定着していくようになる。江戸時代は双方の名称が混同されて用いられていたが、現在の「歌舞伎」の名称で統一されていくのは明治時代以降からと言われている。

音楽・舞踊・科白(決口調)の3つの特徴から成り立つ芸能である。

現在ではテレビ映画で活躍する人気歌舞伎俳優の増加と話題の演が増えていること、また全編観劇すると7~8時間ぐらい掛かることから、なかなかチケットが取れない&時間に余裕のある人向けの娯楽というイメージが根強い。
一方歌舞伎を上演している松竹側もそんな現状を鑑みているのか、安価かつ1時間程度の一幕だけ見られるお試し版的チケットの販売や映画館でのライブビューイング過去名作上映の開催、ネット配信などでも歌舞伎を観やすい環境を整備しつつある。

演目の種類

一言に「歌舞伎」と言っても、演や題材は複数に分けられ、多種多様なジャンルが存在している。

時代物

舞台となっている時代を江戸時代以前に設定した、武士貴族主人公とした戦記や伝承を元にした演
表現がやや大げさで、一般的にイメージをされる「歌舞伎」らしさがある。 

な演:「義経千本桜」、「仮名手本忠臣蔵」、「菅原伝授手習鑑」など

世話物

江戸時代の民衆の風俗を描いた演。時代物が武士人の演であるのに対して、世話物はや侠客、長屋住まいの庶民などが役となる演が多い。
時代物にべて表現が落ち着いており、写実的になっているのが特徴。 

な演:「女殺地獄」、「曽根崎心中」、「め組の喧嘩」、「極付隨長兵衛」など 

舞踊

一般的に「日本舞踊」と呼ばれるものの多くは歌舞伎舞踊を発端としており、歌舞伎役者は舞踊の流を持っていたり、流の祖が歌舞伎役者であったりする。
舞踊の中でも「所作」や、狂言を元とした「」と呼ばれる種類に分けられている。

な演:「鹿道成寺」、「」、「」、「勧進帳」、「連獅子」など 

新歌舞伎

明治から戦前にかけて、劇場などから独立した劇作家小説家などにより書き下ろされた作品。それ以前は劇場専属の作家が脚本を書いていた。
演劇近代化のもあり、荒唐稽を排した写実的なものが多いが、台詞重視になっていて動きが少ない傾向が強いと言われている。

な演:「一葉」、「頼朝の死」、「番町皿屋敷」など。

新作歌舞伎

戦後以降に書かれた作品。現在でもプロのものから一般募まで多くの演が生み出されている。
古典的な演出を取り入れているものから、全く違った現代的な演出を取り入れたものまで幅広い。歌舞伎俳優以外の役者が出演する演があったり、最近は漫画原作の演話題となっている。
三代目市川猿之助が始めたスーパー歌舞伎は、新作歌舞伎の一種である。

な演:「ヤマトタケル」「野田版 研の討たれ」「風の谷のナウシカ」など

歌舞伎に関連する言葉

  •  (意味:見えない場所から人を唆して、思い通りに操ること)
    差しとは、歌舞伎の舞台にて、などの小動物舞台上で操るために塗りの竿の先に針を付けた小具である。若しくは、浄瑠璃人形の手や首を操作するのに用いる細い棒も同様の名前で呼ばれる。
  • 黒幕 (意味:表に出る事く、裏から計画したり思い通りに示する人物)
    歌舞伎や浄瑠璃人形舞台において、の場面を現すためや舞台(場面)を転換する際にはい幕をっていた。その幕のから舞台を操る様から、裏から糸を引いて人や事物を操る人を「黒幕」と呼ばれるようになった。 
  • 二枚目・三枚 (意味:男前、美男子二枚目) ・ 残念滑稽な役どころ(三枚))
    歌舞伎の劇場・芝居小屋の前に掲げられている八枚看板にて、看板には舞台の立役者役)が一枚に、美男役の役者二枚目に、そして道化役(面おかしい役)が三枚に載っていた事からきている。
    現在でも二枚目や三枚という言葉はよく用いられるが、一枚という言葉が用いられない理由については後述。
  • 一枚看板 (意味:組織・集団の中心人物、他人に一誇れる長所・特技など)
    劇場・芝居小屋の前に掲げられている大きな看板のこと。看板には外題と、役である役者の絵姿が描かれている。
    即ち劇団・一座の中心人物たる役者そのものをす言葉となり、転じて集団や組織の中心をす言葉となった。
    先述の「二枚目」「三枚」と違って一枚が使われない事情については、二枚目や三枚が容姿や振舞いについてをした言葉である事に対して、一枚(一枚看板)は地位を現した言葉であるからだと思われる。
  • 千両役者 (意味:名優、素晴らしいで観客を沸かせる人)
    歌舞伎役者の中でも特に名優と呼ばれた者は、年収が千両をえた事すらあったという。
    そこから転じて、現在では素らしく活躍するスポーツ選手などに対してもこの呼び名が用いられる事がある。
    因みに初めて千両をえた役者は二代市川團十郎である。
  • 大詰め・幕切れ・大喜利 (意味:物事やイベントが最終局面を迎える状態)
    歌舞伎にて、それぞれの幕(場)が切れる際に舞台上の引き幕が閉まる事を幕切れといったが、その中でも時代物を演じる一番狂言の最後の幕は大詰めと呼ばれた。その後、歌舞伎以外にも芝居や戯曲などでも同様に最終幕を大詰めと呼ばれるようになる。
    また、世話物を演じる二番狂言の最後は「大切り」と呼ばれ、これが「大喜利」のとなったという。
  • 十八番 (意味:最も得意とする技、及び芸)
    保3年(1832年)に七代市川團十郎が、市川に代々伝わる芸を十八種類(厳密に言うと17種類+新作1種類)を選定して発表したのがこの言葉の起とされる。正式名称は「歌舞伎十八番」。
    「おはこ」とよく呼ばれるが(パソコン等でも「おはこ」で変換すると「十八番」と出てくるだろう)、本来は「じゅうはちばん」が正しい読みである。この読み方については、十八番の芸の台本をに仕舞って保管していたからとするなど諸説あるが、正確なルーツは判明していない。
    ついでに言うと、「番」とは狂言を数える単位である。
  • 大見得を切る (意味:大な表情や動作で相手を圧倒するさま)
    歌舞伎の舞台にて、展開が盛り上がってきた時に役者舞台上で一時動きを止めた後、睨むような表情を取ってポージングを取った事からきている。そこから、日常などでも大仰な言動・行動などを見せて自信をアピールし、相手を圧倒する事を大見得を切ると言う。
    なお言葉内の「切る」の意味は「を切る」「啖呵を切る」と同様に、立つような口ぶり・態度を見せる事を示す。
  • 茶番劇 (意味:底が見え透いた、馬鹿げた行為など)
    もとは「茶番狂言」を略した言葉で、下手な役者が手近な具などを用いて面おかしな寸劇や話芸を演じるものを茶番劇と呼んでいた。歌舞伎から流行したとされる。茶番とは本来、給仕やお茶の用意をする者のことであるが、歌舞伎や舞台の楽屋にての給仕をしていた役者菓子などを用いて余がてらにネタを披露しオチとした事から、この寸劇を「茶番狂言」と呼ばれるようになったといわれる。
    そしてそこから、素人劇を思わせる底の見えた馬鹿馬鹿しい行動・物事を茶番劇と呼ぶのが定着した。
  • 助六 いなり寿司と巻き寿司弁当
    コンビニなどでも普通に売られているいなり寿司と巻き寿司のパック・弁当であるが、名称の由来は歌舞伎の演で、市川團十郎に伝わる歌舞伎十八番の一つ、「助六由縁江戸」の主人公の「助六」である。助六仲にあるの名が「揚巻(あげまき)」で、「揚げ=油揚げ」と「巻き=巻き寿司」の弁当助六と掛けている。 

創作作品や、ニコニコの場合

日本に定着した文化の1つだけに、創作作品などでも幅広く登場する。

 
(上記以外にも、どんどん追加していって下さい)

関連動画

古典歌舞伎

入門編、劇場へ行こうよ!

歌舞伎を見たことのない方にもおススメ

歌舞伎MAD

現代文化の中の歌舞伎(スーパー歌舞伎タイムなど)

超歌舞伎

関連コミュニティ

関連項目

一般項目、関連作品など

関連人物

大百科記事のある歌舞伎役者

その他の人物

 

外部リンク

この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
エターナルアルカディア[単語]

提供: 果てなき銀の呪縛

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/04/20(土) 07:00

ほめられた記事

最終更新:2024/04/20(土) 07:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP